第二王子、襲来!
ファレス・アマディエは、このアマディエ王国の第二王子にして、侯爵令嬢であり私の転生仲間のクロシェット・ジャルダンの婚約者だ。
現在学園の生徒会長を務めており、王族特有のカリスマ性を持ち、成績も優秀。
切れ長の銀眼に、切りそろえられたプラチナブロンドが特徴の眉目秀麗なイケメン王子だが、自他共に厳しく、眉を寄せ、周りに人を寄せ付けないオーラを放つことも少なくないとのこと。
『アマ学』という乙女ゲームの攻略キャラのひとりで、尊大な態度の俺様王子(ドS)、らしい。
クロシェット曰く、「優しいところも勿論あるんだよ」ということなのだが、聞いていれば「俺の婚約者なのだから当然だな」などと言われて喜んでいるようだ。
……きっとクロシェットはドMなのね。
彼女を含め、ファンたちからは『ファル様』と呼ばれているそうだ。
聞いてる感じ、無茶振りのような要求だったり上から目線な褒め言葉(?)が嬉しいらしい。
私は先入観もあってか、そんな第二王子があんまり好ましく思えないのだけど。
しかも、私の愛するお兄様であるアンソニー・リューヌ・エグランテリアは、そんな第二王子サマの友人であり側近のような立場だそうで。
大切な友達(麗しい婚約者)とお兄様(中性的なイケメン)を両方侍らせて、私以上に近しい関係を築いているであろう第二王子に、羨ましいやらなんだか悔しいやらでかなり複雑な心境である。
正直、人となりや乙女ゲームの設定なんかを抜きにしても、それだけで第二王子への私の心象は悪い方へ傾いているのだけど……それはさておき。
ゲーム中のクロシェットは、このファレス第二王子と似たような性格で、やはり高貴な生まれによるプライドの高さや完璧主義、カリスマ性と高飛車な言動で相手を従わせるタイプだそうで、何というか似た者同士の同族嫌悪とかマウントの取り合いやらで婚約者という肩書きにもかかわらず仲はあまり良くなかったそう。
……どうやら最悪の化学反応が起きていたらしい。
そのためゲーム終盤では、第二王子との仲も良好で優秀に育った主人公を見て、これ幸いとばかりに婚約破棄の宣言をする。
お互いWin-Winで大団円というやつかしら。
しかし、今回それは適用されない。
クロシェットはファレス第二王子が大好きだし、性格も人当たりもゲームのクロシェットとは全く違う。
パッと見ではクールビューティーで少し冷た目な印象ながら、物腰は柔らかいし何かを押し付けるような性格でもない。
ただ、肝心の第二王子に対してはへにゃへにゃしてしまいそうな自分を隠すために、冷たく見える態度を取ってしまっているかもしれない、とこぼしていた。
実際の第二王子ルートの主人公は従順なタイプではなく、高圧的な第二王子に自分が不利でも突っかかるような反抗的な態度が『面白い』と気に入られていくうちに、お互いのことを知り合っていって交流を深める感じのストーリらしいので、今のクロシェットが第二王子の好みのタイプなのかは不明。
ドM全開だと逆につまらないと感じるタイプかもしれないけど、そんなこたぁ関係ないのよ。
自分の婚約者なら、好きになる努力というか、歩み寄りも大切なはずでしょ!?
流石にお互い嫌い合っていたら難しいけど、聞いている感じでは拗れたりということは今のところ無さそう。
恐らく普通に政略絡みの婚約者同士、という雰囲気なのでは? と思っている。
私個人の印象はさておき、転生仲間で友人でもあるクロシェットの幸せを当然願っているわけで。
第二王子とクロシェットには、両思いで幸せな婚約期間を過ごして、そのまま円満に結婚して欲しいなぁと思ってる。
今のところクロシェットが気にしているのは、数年後に現れるであろうヒロインに第二王子が惹かれてしまわないか、ということなのだけど。
そんな先のことを心配しても疲れるだけだし、不確定要素も多すぎるわけで。
第一、ヒロインに奪われなかったからといって、そのまま流れ通りの政略結婚になってしまうのも、クロシェットからしたらそれで良いのかもしれないけど、私から見れば納得いかない。
じゃあどうしたら良いのか?
数年後にヒロインが割り込む隙もないくらいに、第二王子とクロシェットがイチャイチャラブラブで超仲の良いおしどりカップルとして学園に君臨したら良いのでは……ということくらいしか思い浮かばなかった。
第二王子と両思いになれるなら、クロシェットとしてもその方が良いに決まっている。
……だけど、全力でサポートすると大見得を切ってしまった私は、一体どんなことをすれば良いのかしら?
結局『一緒に過ごす時間を増やす』だとか『デートに誘う』とか、その程度の提案をして、あとはクロシェットに頑張ってもらうような感じになってしまう気がする。
勿論、恋愛相談に乗るし悩みも聞くし詳細なプランも一緒に考えるけど、具体的に私が手助けできるようなところってある?
そもそも私、前世を含めて恋愛経験がないから、有効な作戦のようなものも思いつけるのか自信もない。
下手な作戦を実行した挙句、逆にクロシェットの印象が悪くなって『やっぱ婚約や~めた』とか第二王子に言われてしまったら目も当てられない。
政略結婚だろうが、とにかく結婚してしまえば離婚するのは大変だけど、それと比べれば婚約破棄なんて超簡単なわけで。
恋愛モノの登場人物で、政略結婚の相手とか、とにかく契約絡みのお相手の場合『浮気含めてお前の好きにしていいけど、俺に愛を求めるな』とか『もし俺に惚れたら契約終了』的な台詞を吐くヤツっているじゃない?
第二王子のタイプ的に、そういう事を言ってきても不思議じゃないと思う。
お話としてはその後に色々あってハッピーエンド☆なのかもしれないけど、実際にそんなこと言われたら、私なら拳が飛ぶかもしれない。
でも、もしクロシェットがそんなことを言われたとしたら……きっとそれすら飲み込んで第二王子の傍に居続けたいと願うのだろう。
そうして、少しずつ何かが削れていく生活が続いて、いずれは――そんな予感すら感じさせるのだ。
かといって、ド直球に告白して見事に玉砕されてしまえば、文字通りクロシェットの心も砕け散ってしまうだろう。
色恋というのは、非常にデリケートで難しい問題なのだと思い知らされた。
***
寮にあるクロシェットの部屋に招かれてから数日。
私はそんなことをこの数日間ずっと悩んでいた。
勿論、まだ何も始まってすらいないし諦める気もさらさらないのだけど、あまり自分が得意な分野でないことも良くわかってる。
色々と脳内シミュレーションしてみたり、考え込んでいたせいか、食い意地の張った私にしては食欲が落ちていたらしく、周囲から具合が悪いのか心配されてしまう始末。
参考になるかと思ってアリーから私の読んだことのない恋愛小説を借りて読んだりもしているけど、前世でも本やら雑誌やらに書かれている恋愛テクニックのようなものが上手くいったという話を聞いたことが無かったので、鵜呑みにするのも良くないと思うし。
逆に世間の恋愛テクニックを真似して大滑りするようなコメディ話はたくさんあったから、私の中ではそういったものへの信用はほとんど無い。
かといって、恋バナ大好きなアリーに相談するのも、流石にマズイかな~と思うし。
まさか私がバカ正直に「クロシェット様ってファレス王子のことがマジで好きでぇ~隅に置けないねぇこのこのぉ~」などと話すわけにもいかないし。
というかむしろ、いろいろ考えすぎて『第二王子はなんでクロシェットに惚れないわけ? バカなの???』という心境にまで至っていた。
美人で優秀で献身的な婚約者に好意を抱かない人なんている?
『仲は悪くない』とか、そんなレベルなのおかしくない???
婚約者の素晴らしさに目を向けないなんて、そんな奴クズじゃない?
BL界の住人なの?
むしろクロシェット側から破棄したら?
――というところまで考えて、いやいやクロシェットは第二王子が好きなんだってば~とか、人の心はどうにもできないしな……とか、政略で仲が悪くないならまだマシかな……と思い返して、また似たような思考のループがグルグルと続いていく。
……ループの度に第二王子への好感度が下がっていくのは仕方ないことだと思う。
ちなみに、もし数年後ヒロインが現れるまでにどうにもできず、第二王子がヒロインに惹かれてしまったら、私はアンチ第二王子隊を組織して学園や王宮をはじめ、どれだけ第二王子がクズなのか世間に知らしめて、盛大なざまぁを計画してやろうと思っている。
優しいクロシェットは勿論反対するだろうし、実際にただの令嬢である私にどれだけのことができるのかは分からないけど、絶対に何らかの形でざまぁするまで諦めないだろう。
そしてクロシェットには、そんなクソ野郎のことは残念だけどスッパリ忘れてもらって、違う人と幸せになってもらうように全力で頑張ろうと思う。
アリーに借りた恋愛小説片手にそんなことを考えて休憩時間を過ごしていた私は、慌てふためいたクラスメイトに告げられた言葉に、ただただ驚いた。
――件の第二王子が、私を呼んでいるのだという。
***
私を呼び出した人物は、ざわつく廊下で圧倒的なオーラを放っていた。
第二王子であり、生徒会長であり、クロシェットの婚約者であるファレス殿下。
その後ろには、申し訳なさそうな困り顔を浮かべたお兄様もいる。
お兄様がいるので少し安心だけど、第二王子に対しては『マジで何しに来たんだコイツ』という気持ちでいっぱいである。
初めて会う人物ではあるけれど、第二王子への私の好感度は、はっきり言って低い。
友人の想い人ということで最底辺から若干浮上しているものの、実際の比較対象がいないので、結局私の中の好感度ランキングではぶっちぎりに最下位だ。
そんなわけで全く嬉しくないけれど、それでも私が望んで会えるような人でもないので、折角のチャンスが向こうからやって来たと思うしかない。
「――来たか。お前がアンソニーの妹だな?」
そう言って教室から出てきた私へ鋭い視線を向けた第二王子は、成程確かに王族らしく堂々としたイケメンではあるものの、細身の身体からはピンと張りつめたような緊張感を辺りに漂わせている。
私は自分の中の好感度を表に出さないように、淑女の礼を取り挨拶する。
「生徒会長ファレス・アマディエ殿下に初めてお目通りいたします、ロゼット・ソレイユ・エグランテリアと申します。仰る通り、そこにいるアンソニーの妹でございます」
クロシェットの時とは違い、兄を介しての紹介でもなければ砕けた雰囲気でもないので、しっかり丁寧に挨拶する。
学園内では一応『身分差を極力排して近い立場で交流を』ということになっているけれど、タテマエはそうだとしてもやっぱり失礼の無いように気をつけなければいけないわけで。
やけに不躾に眺めてくる目の前の人物に、眉を寄せてしまわないように全神経を集中させる。
呼び出しておいて、しばらく用件も言わずにジロジロと睨むように見られては、当然居心地は良くない。
こっちから何の用なのか聞いてやろうかと思ったところで、ようやく第二王子が口を開いた。
「ふん、まぁ、見た目は普通だな。悪くはないが……こんなものだろう。成績はそれなりに良いそうだが。クロシェットもアンソニーもやけに褒めるのでどんな奴かと思っていたが、大したこと無さそうではないか」
やけに尊大な態度でそんな事を言われ、思わず青筋を浮かべてしまったけれど前髪で隠れていて良かったわ。
言い方はアレだけど、まぁ長年クロシェットを間近で見ていれば、その評価もわからなくはない。
超失礼ではあるけど!
こちらとしても、さっきまで以上に好感度の下がった人物に褒められようとは思わないし。
なんとか頑張って、『この人、そんなこと言う為にわざわざ来たのかしら?』という感情を物凄く薄めて、少し困ったような表情を浮かべる。
私の様子を全く気にすることもなく、第二王子は言葉を続けた。
「最近、クロシェットと親しくしていると聞いたが?」
「――はい、先日兄を介してお会いさせていただきまして、それからは恐れ多くもクロシェット様には可愛がっていただいております」
仲良くないよ! と言うと嘘になるし、今後クロシェットの為に色々したいと思っているから繋がりがあることはアピールしておかないとね。
いつか背水の陣で、直訴に行くかもしれないし。
「随分と気に入られているようだな。クロシェットの私室まで呼ばれたらしいではないか」
……良くご存知で。
何だろう、彼女に近づくなとかそういう話?
唯一の転生仲間だから、接近禁止とか言われるとかなりキツイけど……。
「あー、私の婚約者の部屋では、さぞかし素晴らしいもてなしがされたのだろう?」
「……そうですね、素晴らしいお部屋でおもてなしいただき、身に余る光栄でございましたわ」
「私室に呼ばれたのなら、まさかクロシェットは制服姿だったということはなかろう?」
「はい、普段の制服姿も大変麗しいですが、淡い色のドレスを着こなされたお姿はまるで春の訪れを知らせる妖精の様で――それはそれは素晴らしかったですわ」
「ぐっ……、そ、そうか。う……いや、私の婚約者なのだ、当然だろう」
何故か悔しそうな表情を浮かべて胸の辺りを押さえている第二王子だけど、マジで何なの?
ただ、『成程これか』という納得もした。
クロシェットが素敵なのはクロシェットの素質と努力の証であって、第二王子の功績ではないと思うんだけど。
『当然』じゃないわよ。着飾るのにどんだけの手間がかかってると思ってんのよコイツ。
……それにしても何を聞きたいのか全然わからないけど、クロシェットの事を褒めるのは本当のことだからまるで苦じゃないわね。
そんなことを考えていると、目の前の男は悔しそうな表情の後、やけに皮肉気な笑みを浮かべて、随分と失礼な発言をしてくれた。
「貴様、新しい菓子を考案したり、何やら同学年の生徒を集めて運動着やら体操やらをしていると聞くが、クロシェットも今は物珍しいから構っているだけで、しばらくすればそのうち飽きられるのではないか? ――はっ、いずれ声がかからなくなっても、逆恨みしてこの私の婚約者に迷惑をかけるのではないぞ」
あんまり偉そうに言ってくれるもんだから、こっちも思わず「あぁん? なんだとこのパッツン野郎!」とうっかり口から出そうになって、無理やり笑みを深くする。
……ちなみに、第二王子はクロシェットの銀髪と比べると温かみのある色味のプラチナブロンドで切りそろえた髪型――前世が日本人の私からすると、おかっぱのようなヘアースタイルである。
危ない危ない。
話題の半分はテメーの見る目が無い所為で二人して悩んでるんだよ! と言うわけにはいかないし。
随分と引っかかる言い方してるけど、もしかしてケンカ売られてるのかしら?
「クロシェット様の御心、ましてや未来のことなど、矮小な私には到底わかるはずもございませんわ。――クロシェット様のお考えは、ご婚約者であられる殿下から直接お尋ねになってみては?」
ものすごーく引っかかるけど、二人の会話のきっかけになるなら、この際何でも良いよ。
ただ、私の方でも第二王子のネガキャンをしていこうと心に決めた。
「……生憎、クロシェットも私も忙しい。お前の話を出すほど暇ではない」
「差し出口を申しました。お許しくださいませ」
「ふん、まぁ、良いだろう。許す」
許してくれたらしいし、精神年齢はそれなりに大人のつもりなので、「わざわざ下級生いびりに来る時間はあるんですね」とは、言わないよ?
「私の婚約者であるクロシェットは、控えめに言って、どこを取っても超一流の女性だ。今後も彼女に関わるつもりなら、せめて釣り合うよう、これからはより一層勉学や己の能力を伸ばすことに励むように。お前が何か失態を犯せば、クロシェットやアンソニーの顔に泥を塗ることに繋がるのだ。努々忘れぬように――」
「殿下、そろそろ」
何故か、くどくどとお説教のようなものが始まったところで、お兄様が第二王子の肩を叩いた。
「む、……そうだな」
顔をしかめる第二王子の肩を掴んだまま、背後からお兄様が耳元で囁く。
「あと先程、僕の大切な大切な愛しい妹のことを『貴様』とか呼んでらっしゃいました? 僕の空耳だったんでしょうか、まさか品行方正な殿下ともあろうお方が、伯爵家の令嬢をそんな風に呼んだりしませんよねぇ? 聞き間違いですよね?」
……そんな感じのことを言っていたように聞こえたけど、低音で口の動きもあまり見えなかったので、私こそ聞き間違いのような気がしなくもない。
第二王子はバツが悪そうに咳払いをした後に苦い表情を浮かべ、もう一度尊大な態度で私のことをジロリと睨むと「エグランテリア嬢、邪魔したな」と言い、足早に去って行った。
マジで何だったわけ……?
混乱したまま取り残された私に、お兄様が視線を合わせるように少し屈んで私の頬を撫でる。
「ローザ、急なことだったし、あんな言い方をされてかなり気を悪くしていると思う。可哀想に……。すまないね、この埋め合わせは近々必ずするよ」
そう言って申し訳なさそうに頭も撫でられては、お兄様大好きで単純な私の機嫌は急上昇して思わず笑みが零れてしまう。
我ながら単純だけど……良いのよ、単純でも。
「お兄様の所為じゃありませんし、驚きましたけどもう大丈夫ですわ。……ふふ、でも折角埋め合わせて下さるのであれば、そのときにうんと甘やかしていただくことにしますわ」
「望むところだよ、僕の可愛いローザ」
「楽しみですわね。――では、私もこれで」
「あぁ、また連絡するよ」
お兄様が去り際にボソッと「彼には後でもう少し思い知らせておくよ」と言った気がしたけれど、これも空耳よね?
***
――ふぅ。それにしても、背中が汗びっちょりだわ。
第二王子のことを脳内でボロカスに思っていても、流石に直接対面するのは緊張しちゃうでしょ。
お兄様が周囲に視線で牽制していたみたいだから近くには誰もいなかったけど、今は授業開始前の休憩時間だったわけで、広い廊下にはそれなりに人がいる。
ましてや別学年の生徒会長がわざわざやって来たとなると、気になった人も多いだろうし、様子をうかがっていた人もかなりいるんじゃないかしら。
やましいことは何もないし、話の内容も『お前はクロシェットに相応しくない』みたいな、私を貶すような内容もよく考えれば無かったように思うから、私にとってマイナスなことはない、はず。
思い返すと――失礼な部分を除いて、シンプルに内容をまとめると『最近クロシェットに気に入られたらしいけど、近くにいても恥ずかしくないようにして、迷惑かけんなよ』――って感じのこと言ってた……わよね?
俺の婚約者だからとかなんとか余計なことは言ってたけど、クロシェットのことは普通に褒めてた……よね?
かーなーり、余計な装飾を省いて好意的に考えれば、クロシェットの近くにいるなら頑張れよって感じのことも、言ってたのかな?
ん~?
んんんんん???
第二王子ってば、もしかして?
引っかかるところも相当あったけど、さっき話した内容をよくよく思い返すと、もしかしてクロシェットも私も、案外第二王子とのことを心配し過ぎているだけなんじゃないかと、ふとそう思った。
でも、なんだかめんどくさそうな人だなぁという印象が強く残って、近くにいるクロシェットもお兄様も可哀想、とも思った……。
週末、お兄様がお詫びとして街デートをしてくれたのだけど、失礼な態度を取った第二王子からポケットマネーをぶんどってきたということだったので、心置きなく高いお店でご馳走になったのだった。
全体的に、ローザは第二王子に対してライバル意識に近い、捻くれた感情を持っています。
ゲームのクロシェットは小柄で可愛い年下が好きなショタコン←という裏設定。
幼い頃から『可愛げ』という言葉の対極にいる第二王子とは、仲良くなれるはずがなかった……。




