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キョーマのお話

眠れぬ夜のささやき

寝たら?


ねない。


眠いんでしょ?


ねむい。


じゃあ寝てしまえばいい。


ダメ。


どうして?


おしごと。


どんな仕事?


あなたを見はるおしごと。


それは困ったな…


だからわたしは、ねない。


代わってくれる人は?


いる。いや、いるけどみんなねてしまった。だからいまはいない。


そうか。じゃあ君も寝ればいい。


いやだ。


大丈夫(だいじょうぶ)さ。なんとかなる。


なんとかならない…とおもう。だからおきている。


無理は身体に(どく)だよ。そもそも(だれ)かに言われてやっている仕事じゃないんだ。やめたって誰にも言われないさ。


そう。そうだけど、しごとはしごと。


頑固(がんこ)なコだな…そうだ。君に子守り歌を歌ってあげよう。


やめて。


ね〜んね〜んころ〜りよ〜♬


うるさい!歌わないで!


これは失礼。


なんであなたはねむらないの?


そもそも(ぼく)は眠らない。


どうして?


さぁね。初めからそうだったから理由は分からないよ。


そうなんだ。


そうなのさ。ほら、もう寝る時間だ。大丈夫。自信を持って。君はいつもがんばっていたじゃないか。


がんばった…けど。


けど?


ダメ。自信、持てない。


そうか。じゃあ分かった。


なにが?


君に必要なモノだよ。君に必要なのは魔法さ。これから君に「特別な魔法の呪文」を唱えてあげる。


とくべつな、まほうのじゅもん?


そうだよ。とっておきの呪文さ。


ホントにホント?


ホントにホント。現代風に言うと(おお)マジさ。


おおまじ?


そう!大きな魔法(マジック)で大マジさ。


そうなの?


まぁ少し違うかもしれないけど、そんな感じだと思うよ。うん。今晩だけはそうしよう。


じゃあ、きかせて。おおまじ。


もちろん。それじゃ今から僕が魔法を唱えるから言った事を君はそのまま続けるんだよ。例えそう思ってなくてもね。


うん。わかった。そうおもってなくても言ってみる。


私は沢山やってきた。


わたしはたくさん、やってきた?


私は、毎日練習したし、


わたしは、まいにちれんしゅうしたし、


今日はてるてる坊主さんを10個も作った。


きょうは、てるてるボーズさんを10こ作った。


だから明日は怖くない。


だからあしたはこわくない。


明日はきっと晴れる。


あしたはきっとはれる。


きっと明日は大丈夫だ。


きっとあしたはだいじょぶだ!


だから安心して今日は寝よう。


だから安心してきょうは、ねよう。


はい。おしまい。ね?大丈夫でしょ。


うん。だいじょーぶ。


それじゃ、おやすみなさい。


おやすみなさい。………? まって。


どうしたの?


もう、いなくなっちゃうの?


ううん。そんな事ないよ。少し小さくなって見えなくなるだけさ。


そうなんだ。


そうさ。だって僕は「君の不安」だもの。


ふーん。そうなんだ。安心した。


安心したの? それは良かった。


うん…よかった…


それじゃ、今度こそ、おやすみなさい。次は一人で寝るんだよ。


………。


あらら、もう寝ちゃったか。

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