ある木こりのお話
ある所に正直者の木こりが住んでいました。そう、その木こりが湖に斧を落としてしまい、女神様に聞かれるわけです
「あなたが落としたのはこの金の斧ですか」
「いいえ、それは私の斧ではございません」
「では、あなたが落としたのはこの銀の斧ですか」
「いいえ、それも私の斧ではございません」
「あなたが落としたのはこの鉄の斧ですか」
「はい、それは私が落とした斧でございます」
すると女神様は言うわけです
「あなたは正直者ですね。この金の斧と銀の斧も差し上げましょう」
木こりは金の斧と銀の斧と鉄の斧の全てを手に入れました
ここで、いつも通り隣の欲張りな木こり。自分も同じことをやってみることにしました。 森の湖に自分の鉄斧を放り込むと、「神様助けてください」と叫びました。
女神様は聞きます
「あなたが落としたのはこの金の斧ですか」
欲張りな木こりはあわてて、「そうです。それは私の斧です」と答えました。
「いいえ、あなたは嘘つきです。あなたはこの斧を落としてはいません。」
こうして、欲張りな木こりは自分の斧すらも失ってしまいます。
ここまでは皆さんも知っているでしょう?しかし、この物語には続きがありました。その2人を見ていた悪賢い木こりがいたのです。
彼は1人目の正直な木こりを見て、斧をもらえる湖を知りました。しかし、彼は賢いのでそこですぐに実行はしませんでした。
そのまま湖を観察していると、欲張りな木こりが来ました。手には大切そうに斧が握られています。それをわざと落とし、嘘を付くところまでしっかりと見ていました。
彼はハッとしました。我慢して最後まで待てば、ただで斧が手に入るのではないかと。
木こりは家に帰り、斧を持って湖に戻りました。そして、湖に投げ入れました。
湖からは、女神様が現れてきます。
「あなたが落としたのはこの金の斧ですか」
「いいえ、それは私の斧ではございません」
「では、あなたが落としたのはこの銀の斧ですか」
「いいえ、それも私の斧ではございません」
「あなたが落としたのはこの鉄の斧ですか」
「はい、それは私が落とした斧でございます」
木こりは確信しました、これで手に入ると。
「では、間違ってこの斧を落としてしまったのですね?」
「はい、間違って落としてしまいました」
その瞬間、優しそうな女神様は豹変しました。鬼のような表情をした女神様は言いました
「あなたがわざと斧を投げ入れたのを見ていました。嘘つきには斧は返しません。」
そういって湖に帰って行きました。
2人の木こりから、嘘つきは損をすると教えられたでしょう。しかし、最後の木こりによって見返りを求めて嘘を付かない人も、嘘をついている人も同じだと言えます。
皆さんの周りにもいるのではないでしょうか。
いや、あなた自身が思ったことはありませんか。
ここで正直にいっておいて評価をあげようとか、私は嘘を付かないから信用できる人ですよ、とか。
そういう考え自体がもういけないことなのです。
ただ、正直であることが大切なのです。