山本タクミ(20)/配信者 おまけ
「イトーさん、そんなに落ち込まんと。声かけただけでもようやったと思いますよ」
「私がもっと上手く話せていたら、山本さんはああならなくて済んだかもしれないじゃないですか」
「そうやって毎度誰かのために心を痛めるんは精神衛生上悪いですって。それにあの兄さんもわかっててそうなったんやから、イトーさんが自分責めることないですから」
「それでも、やっぱり見えているからには何かしたいと思うのが人情ですよ」
「それがイトーさんの良いところだってボクはわかってますけど。……んで、あれ、どないしはるつもりです?」
「依頼がない以上、勝手に入るわけにはいかないですからね。山本さんのご両親のご決断が早いことを祈るしか、ないですよねぇ」
「やっぱりそうなりますよねぇ。ま、よかったです。乗り込んでって解体しようと思てたら、ボクはどないしようかとハラハラしてましたもん」
「はは、さすがにそこまで善人じゃないですよ。私だって、この仕事が長いですからね、色々わきまえてるつもりです。ここでの仕事もそろそろ動くかなぁと思ってたんですが、山本さんのことが決着つくまでは残ろうかと。そのくらいのことはしてもいいんじゃないかなぁって思うんです」
「やっぱりイトーさんはいい人やなぁ。ボクもイトーさんとお仕事さしてもらいたいんで、こっち先に来たら回しますわ」
「ああ、それは助かります。ありがとうございます、オオツキさん。……山本さん、あなたが早くご家族の元に還れるよう、ここでお待ちしてますからね」