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資格1

 目を覚ましてから二時間後、裏葉柳陽菜が見舞いに来ていた。

「こんにちは。まだ体痛いみたいだね。」

「こんにちは。いや本当にひどい痛みです。小学生の時学校の二階から飛び降りて足の骨折った時より痛いです。」

椅子に座った彼女は内心「何やってんだこいつ」と思いながら、はいこれ、と籠を渡す。中には甘そうな果物がたくさん入っていた。

「多分体の痛みは能力を使った反動っていうのもあると思うんだ。」

「能力の反動?そもそも能力って何なんですか?」

ずっと直感で使ってあんまり詳しく考える暇もなかったので状況を知ってそうな人に質問する。

「能力っていうのはね、詳しくはわかってないんだけどモノや概念を支配して操作したり生み出したりすることができるものだよ。ほとんどの人が存在すら知らないんだけどね。」

「確かに。あの時まではそんなのがあるってことすら知らなかったな。」

「それも能力だよ。記憶を操作できる能力者がいて、その人が誰かが能力を使ってるところを見たとしてもちょっと目を離した時に記憶からなくなるようにしているんだ。能力を持ってる人は一般人ができえないようなことができてしまうからね。犯罪対策だったり、パニックへの対策だったりそういう理由だよ。」

疑問が解消していき納得する。・・・はずだったがここでまた新たな疑問が生まれた。

「あれ?俺この前のことはっきりと覚えてるんですけど?それは何で?」

「君は能力者だからね。能力者とその適正を持った人間は記憶操作に対して耐性を持ってて忘れないんだよ。」

「なるほど。」

「君は今能力者だからほかの人たちより強い力を持ってて、発言したばかりだから能力の使い方もいまいちわかってないだろ。そこで、資格を取ってほしいんだ。」

「免許?」

「そう、能力を持っていますが無害な人間ですよっていう資格。銃を持つことが特別に認められた人たちだけの特権みたいに能力を持つ人たちも特別に認められた人たちの特権なんだ。これがない人間が能力を使ったら犯罪者ってことになって私たちは捕まえなきゃいけない。」

「そうなんですか・・・」

何か思い当たるものがある。話を聞く限り大事な何かが・・・

「あっ、あの時散々能力使ってた俺ってもしかして今犯罪者?銃の違法所持をしてるってこと!?マフィアの一員みたいな扱いってこと?」

衝撃の事実に動かない体であたふたする。焦る晴樹をよそに陽菜は笑っていた。

「そんなことないよ。突然能力者になる人だっているんだから、あとで資格を取れば問題ないよ。」

「でも資格がとれなかったら?」

「大丈夫。能力を持った一般の人がとるのは簡単な資格だよ。英検でいえば4級ぐらいの。勉強すればとれるみたいな感じ。」

「俺4級落ちました。」

真顔で宣言する。たとえが悪かった。少し勉強すれば割と簡単に取れるというたとえのつもりだったのに目の前の人間は落ちた側の人間だった。

「あー、まあ、たとえだから。そのー、ね、カラオケ歌って75点超えればオッケー見たいな感じのテストなんだよ。」

「俺73.8が最高点です。」

真顔で宣言する。たとえが悪かった。一発本番でもいけたりするよというたとえのつもりだったのに目の前の人間は行けたりしない側の人間だった。気まずい空気が流れる。

「まあ、とにかく、多分大丈夫だから。落ちても受けなおせるし、安心して。」

「落ちる前提で話してる!簡単に受かるんじゃないんですか?」

二人して不安が強くなっていた。いったん気を取り直して喋りなおす。

「まあとにかく、一度試験をうけに来てほしい。退院する日が決まったらその時に日付を決めよう。」

「わかりました。・・・そういえば俺の両親に連絡してくれたみたいですね。ありがとうございます。」

「ああ、・・・君の両親に連絡はしたんだけど、能力のことは伝えてないんだ。さっき記憶を操作できる能力者がいるって言ったでしょ。その人に頼んで君の両親の記憶を少し変えさせてもらったんだ。だから君は今入院じゃなくって遊びに行って旅館に泊まってることになってる。能力のことはたとえ両親相手でも秘密にしていてほしいんだ。ごめんね。」

「なんでそこまで秘密にするんですか?」

陽菜は少し答えるかどうか悩み、それでも彼には話さなければ筋が通らないと思い話すことを選んだ。

「君が戦ったあの女・・・あいつは単独で動いてるわけじゃなくてある組織の人間なんだ。とても大きく残虐非道の。・・・彼女たちは基本的に秘密主義で動いている。その存在を知った人間を生かしておくことをよしとしない。」

晴樹はあの時のことを思い出していた。

「もちろん。私たちが守るけどね!君たちには手を出させないさ!だけどなるべくそんな危険からは遠い位置にいた方がいい。だから秘密にしてほしいんだ。」

あの時のあの恐ろしさを自分の両親が知る必要はないだろうと思い、秘密にすることに心で納得していた。

「あ、もうこんな時間。それじゃあまた。体ゆっくり休めてね。」

手を振り病室を後にする陽菜。にぎやかっだた病室が一気に静かになった。

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