表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/16

「時の選択」

 黒い影が迫る。凛は時計を強く握りしめた。冷たい空気が肌を刺し、鼓動が激しくなる。


「思い出せ、自分の時間を——」


 時守の声が遠く響く。しかし、記憶の扉は容易に開かない。影の手が凛の肩に触れようとした瞬間、時計が青白い光を放った。


「——!」


 次の瞬間、彼女の身体は宙に浮き、強い力で引き寄せられる。光の渦の中で、過去の記憶が鮮明になっていった。




 目の前に広がるのは、凛がまだ幼かった頃の世界。見覚えのある街並み、人々の姿。しかし、そこにはひとつだけ違うものがあった。


「これは……?」


 街の中心にそびえる時計塔。その時計盤が割れていた。


「時間が……壊れてる?」


「そうだ。お前の選択が、この世界を作り出した」


 時守が彼女の横に立っていた。穏やかだが、その目は鋭い。


「私の……選択?」


「時間は常に分岐する。お前はどの時間を選ぶべきか、試されている」


 時計塔が響く音とともに、空間が歪み始めた。




 再び、記憶の欠片が流れ込む。幼い頃の彼女と、あの青年が時計塔の下に立っていた。


「凛、時間を超えても、僕は君を守る」


 青年の手には、同じ銀時計があった。


「あなたは……?」


 彼の顔がかすかに揺らぎ、記憶が曖昧になっていく。


「このままでは、時間が崩壊する。凛、お前はどの時間を選ぶ?」


 時守の問いかけに、凛は深く息を吸った。


 彼女の選択が、未来を決める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ