第一章 Ⅰ ~始まりの朝~
闇
見渡す限りの黒。
よく分からないが先ほどは周りは赤だったような気がする。
夢、なのだろうかあの赤もこの黒も。
けれど、今はまだ
とても気持ちがいいとは言えないこの黒い世界に浸っていたい気がする。
ああ、でもこれが夢ならば目覚めれば良いだけの話だ。
この浮遊感が目覚める前兆ならいいのに
一筋の光すら差さない此処はまるで私の心を表しているようで
早く目覚めて欲しいと切に願った。
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明かりを取るために少々大きめな窓から朝の日差しが差し込んでいる。
日差しを受けて少女ーーーリィルレイナ・アルカースはまどろみから目を覚ました。
(・・・・私の部屋だ・・・)
目覚めて一番最初に見た景色が見慣れたものであったことにまだ覚醒してない意識の中
で安堵を覚える。
それにしても・・・
「変な、夢。」
そう、夢。 あれは、夢だ。
けれど夢でないのなら?
あの時と同じようにこれもただの夢でないのなら?
「嵐が来る、かな。」
どうも、面倒なことになりそうだ。
とりあえず
「シャワー浴びよう。うん、そうしよう。」
この汗を洗い流してしまおう。
それとともにこの嫌な予感もなくなってくれれば良いのにと意味も無いのに少しそんな
ことを考えてしまった。
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ザリッ
リィルレイナの住む部屋があるマンションから数百メートル離れた位置の屋上。
そこに一人の男がたたずんでいた。
一目で鍛えられたと分かる長身の体躯にややくせっけのこげ茶の髪。瞳は嫌悪感を抱か
せる紅。衣服は黒いアンダーシャツと黒いジーンズの上にこれまた黒いコートを着込んで
いる。
(あれが今回のターゲットか・・・まだガキだな。)
リィルレイナが住んでいるマンションを見据えながら男は思案する。
(しかし・・・魔法の腕は本物だな・・・・)
先ほど以来をさっさと済ませようと窓から入ろうとしたのだが不可能だった。窓の前に
魔法と物理攻撃を遮断する結界が張ってあったのだ。ちなみにドアやら壁やら全てを覆う
ように張ってあったので多方面からの侵入も無理だった。
(にしても、普通眠りながらあんな強度の結界張れねぇんだがな。)
道具を使ったのならまだ納得がいくのだがあれは純粋な力のみで張られた結界だ。それ
も上級魔法を防げるほどの強度を誇った。
「面倒な依頼だ。」
その一言を残し男は消えた。
お詫び
この度は更新が極度に遅れ大変申し訳ありませんでした。(土下座)
今後、このようなことが無いとは限りませんがなるべく最初に宣言した一週間
に一話というペースを崩さぬよう尽力いたしますのでこれからもこの作品を読ん
で頂けるとうれしいです。
では、追加ですが感想・誤字脱字の指摘があれば書いて頂けますようよろしく
お願いいたします。