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第一話 目覚め

          第一話 目覚め


………………………

…………………

………………

……………

…………

………

……


………ウウン、ムニャムニャムニャ


…………………………………


ンン…………


…………………


アレ………………




????


??????


?????????


アレアレアレ…………


一体何が………


???????????? 


ウ…頭が…


……ダメだ、何がどうなってるんだ……?


??????


訳がわからない………


何かをしなければ……


俺は…俺は…


?????


何を思い出そうしたんだっけ……


?????


?????????


わからない…わからない…わからない…


何かとてもない重要なことを…………


???????





 …しばらくして混乱がおさまってきた…。

 ここは…ドコだ…?目の前は真っ暗だ…。

 …イヤ正確にはこの暗黒は目の前が真っ暗というより目を瞑ることによるものだろう。

 しかし自分には目を開けることができない。目はきっちりと固く結ばれた紐のように開かないのである。

 しかもそれに加えて何も聞こえない。

 ただただ沈黙だけが俺の耳を支配しているのである。

 嗅覚も何も感じない。ただ感じることができるのは肌の触覚だけだった。

 ただ唯一使い物になる感覚器官で分かったのは自分が水か何かの液体に全身で浸かっていることだけだった。

 しかもそれに加えて動けない。

 動こうとしても僅かに動くことができる程度で、狭い密室…イヤ、寝袋を頭まで被ったような感覚でそれ以上は動けない。


 しかし人間が本来大きく頼っている目と耳を制限されて、しかもそれに加えて動けなくなっている中にも関わらず、不思議と恐怖を感じなかった。

 いや、むしろ安心感さえ覚えるような…そんな感じであった。


 そんな中でただただ思ったことは自分がなぜこのような場所にいるのかであった。


 ハテ…、そもそも自分は何物なんだ…?フトそんなことを思って自分のことを思い出そうと頭の中をこね繰り返して見た。

 しかし…何も思い出せない。

 なぜなんだ…?

 自分のことを一切合切何も思い出せないくせにそれ以外のこと…つまり自分と関わりがないことの知識だけが頭の中にはあった。 


 自分は今記憶喪失で昏睡状態にあるのであろうか?

しかしそうであると考えてみても納得がいかなかった。

 なぜ自分は水のような感触を感じるのだろう…、昏睡状態にあるのであれば本来失うはずの意識がなぜあるのだろう? 

 何度考えても全然わからなかった。


 …意識が目覚めてからどれだけの時間が経ったのだろう。 

 何分?何時間?いや、ひょっとして何日も?

 この暗闇の中にいるのもかなり長い時間が経っているように感じる。

 人間は本来このような果てしない暗闇と静寂の中にいると発狂するという。

 しかし、さっきも言った安心感のおかげか自分は発狂せずに済んでいる。

 この安心感は…まるで母親の温かさのようなものだ…。

 ずっとここにいたい。そんな気持ちさえ湧いてくるような気分だった。

 しかしそんな安心感の中でも唯一不満なことがあった。


(クッソ暇だな…)


 そう、暇なのである。暇すぎて下手すれば発狂しそうなのである。

 これで、動くことができればまだマシだが、全然動けないので余計発狂しそうなのである。

 最初のうちは小説やアニメや漫画の記憶から自分なりの想像…もとい妄想(そういう意味じゃないからな、うん)をしていたのだが…それでも耐えられなくなってきた。

 次に妄想(そういう意味じゃないからな(念押し))したのが自分のオリジナルの物語だった。

 これが結構良い暇つぶしとなった。自分の記憶にあったさまざまな事柄と結びつけていくと段々と壮大な物語になってきた。

 もしかすれば、これで一つ小説を作れるかもしれない。そんなことを考えながら小説を妄想(だからそういう意味じゃr y)しているとある二つの名曲が自分の中で強く思い浮かんできた。



 その二つの歌とは、一つはドイツの作曲家であるベートーヴェンが作曲したあの有名な「第九」もとい「歓喜の歌」、そしてもう一つはロシアの作曲家のチャイコフスキーが作曲した「悲愴」とも呼ばれる交響曲第六番であった。

 二つの曲は全く反対の性格を有している。 

 題名からわかるように一つは歓喜、もう一つは悲愴…要するに悲しく痛ましい気持ちである。


 なぜこんな二つの両極端とも言える曲が浮かんできたのだろう。

 ひょっとすれば記憶がなくなる前の自分はこの二つの曲が好きだったのかもしれない…。

 そんなことを考えていると、この二つの曲を自分の物語と絡ませていきたいという強い思いが浮かんできた。

 なぜ絡ませたいのかはわからない。

 しかし、絡ませたいという強い思いは次第に自分の物語の中核に深く入り込んでいったのであった。



 また再び長い時間が流れた。 

 フト、本当に動けなくなっているのかと思って試しに動き回ってみた。

 そして頭で自らを覆っている「何か」を突いてみたところ、そこに穴のようなものがあることがわかった。

 その後長い時間の間、その穴から無理やり出ようと試みた。

 そうしてその穴を頭で広げようとしていたところ、突如自らの周りにあった水の感覚が徐々になくなっていくのを感じた。

 そして、そのことを感じた後から徐々にその穴が広がっていくように感じた。

 そうして長い時間が経ったのち、ついに頭をその穴から出すことに成功した。

 頭を出した後はそこから出るのは簡単だった。

 自らを覆っていた袋のようなものを出た後は狭い道のようなところに出た。

 そしてそこを這って進んでいくにつれて固く結ばれていた目が徐々に開き、長い間感じられなかった光を若干だが感じられた。

 そして前を見てみると、この狭い道の出口と思しき穴があり、そこから光が注いでいた。

 ついにここから外に出られるのでは…、そう思うと袋の中の安心感を思い出し、それから離れると思うと少し名残惜しかった。

 しかし、もう後戻りはできない。狭い道をまた戻ることは到底不可能なので進むしかない。

 そうしてついに俺は光が注いでいる穴から出たのであった。






 「・・- -・・- --- -・・- --・-・ -・ -- 亅


 出口から出るとまず最初に何かを言っている声が聞こえた。

 そしてその次に目に光をもろに感じて眩しさのあまりしばらくの間目を開くことができなかった。

 そしてその次に今まで感じなかった息苦しさを感じ、思わず「オギャア」と泣いてしまった。

 思わず「オギャア」と泣いてしまったことに驚きつつも、そのあとは不思議と息苦しさはなくなって普通に息ができた。


「・・ー ーー・・ ・・ ーーーー ・・ ー・ーーー ・ー・ーー ・・ ーーー・ー 、ーー・ー・ ー・ー・ー ・・ ・ー・ー・ ・ー・ーー ・・ ー・・・ ・ー・ ・ー ・ー・ーー ・・ ーーー・ー 」


 またしても声が聞こえた。

 しかし、耳が良くないのかそれとも他の理由があるのかはわからないが、何を言っているのかわからない。

 そして眩しさに慣れてあたりを見渡してみるが、目の焦点が合わないのかぼんやりとしていてよくわからなかった。

 そしてあの「出口」を出た際の感覚器官の混乱によって、忘れていたが、自分が誰かの腕の中にいるように感じた。

 どういうことだ、自分は巨人族にでも捕まえられてしまっとでもいうのか。

 それとも…、自分は赤ん坊にでもなってあの体験は出産だとでもいうのだろうか…?

 いや、そんな馬鹿げたことがあろうか。

 しかし、自分が今まで体験したことは出産の際に赤ん坊が体験することと似ている…。

 しかし、そんなことがあろうか…?

 しばらくそんなことを考えていると、次に聞こえたのはどこからか誰かが走ってきたのか、ドタドタという音が聞こえてきた。

 そして次に男の声でこんな声が聞こえてきた。


 「・・ー ー・・ー ーーー ー・ ・ー・・ 」

 またしても何を言っているのかわからない。

 そして次に先ほどまで聞こえていた声とは別の女の声が聞こえた。


 「ーー・ー・ ・・ ・・ー ーー・・ ・・ ・ー・ ーーーー ・ー・ーー ・・ ーーー・ー ーー 」


 こちらも何を言っているのかわからない。

 そしてその次に自分は今まで抱えられていたからまた別の人の腕に移された。

 その腕は肌の感覚だけでも屈強なものだとわかった。


「ーー ・・・ー ・ーー ー・ 」


「ーーーー ーーー ・ー・ーー ・・ ー・・ー・ ・ーー ・・ー・・ ・・ーー ・・ー・・ ・ー・ ーーー ー・・ー ーーー・ー 」



うーん、やっぱり何を言っているのかわからない…。





 2人の会話を聞いているとなんだか眠くなってきた…。


うーんむにゃむにゃむにゃむにゃ………。









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