第6話 「ステータス…オープン!」が使えるようです(2025.02.21修正)
異世界転生テンプレ的なチート能力があったのかよくわからないが、私は全魔法適性を備えていたことが発覚した。それ以降、残りの魔法関係の書物を漁りまくり、現在は様々な魔法にチャレンジする日々を送っている。
イメージが大事というのは確かなようで、前世で読んだりみてきた漫画やアニメなどの魔法の使用しているイメージや前世で習った理化学系の知識を使って、様々な魔法を使えるようになった。
特に闇魔法や風魔法は使い勝手が良く、重宝している。
闇魔法を使って、影に隠れて周囲の人たちに気づかれずに移動してみたり、風魔法を使って空中散歩してみたり…。ここ数年の中で一番異世界転生の実感が沸いているところだ。
前世の時から、何か一つにハマるととことん完璧を求めて追求していくタイプでもあったのもあり、8属性の魔法をあらかた習得するにはそこまで時間はかからなかった。なにぶん子供には時間が有り余っているのだ。ただ、高位魔法や攻撃魔法のような、図書室や自分の部屋の中でできそうもない魔法はさすがに練習する場所がなく、まだ使用したことはない。どこかでそろそろ魔法の特訓ができそうな場所を確保したいと思って、図書室でこの城の地図を引っ張り出して見てみることにした。
地図によると、グレイシア帝国の城の裏手には広大な森が広がっており、そのもっと奥には氷で覆われた山々が連なっている。そのあたりにいくことができれば、練習はできそうだ。もう少し周りの大人たちを出し抜いて、抜け出すことができたら練習しに行ってみようと思っている。
それまでは室内でできそうな魔法をどんどん習得していくことにした。今日は8属性ではなく、無属性や特殊スキルと言われている種類の魔法について書かれた本を読んでみることにした。とはいえ、謎が多いとされるこの属性についてわかっていることは少ないため、読んではみたがそこまで得られる情報はなかった。
現在無属性として使われている魔法は【鑑定魔法】と【精霊魔法】か…
【鑑定魔法】は名前の通り対象のものについてを知ることができる魔法とのことで、使える人は少ないものの魔力量が多い人や平民でも習得している人はいるらしい。前世の漫画やゲームとかにあるような「ステータス…オープン!」なんて唱えると目の前に表示が出るような感じだろうか…?
試しにやってみるか…?前世のゲームのステータス画面をイメージしながら目を閉じ、自分の胸あたりに手を当て唱えてみた。
「ステータス…オープン!」
(なぁんてね…!流石に無理かな…?)
そう思いながら目を開けてみると…
〜ステータス〜
名前:ルーナリア・グレイス(3歳)
性別:女
状態:正常
魔法適性:全属性
無属性:鑑定魔法
└可能性:♾️
魔力量:10,017
称号:グレイシア帝国皇女、神々のお気に入り、魔法オタク、美形オタク、転生者
「で…でた…!!!」
前世でやっていたゲームと同じような半透明の四角い画面の中に、名前やら情報が書かれていた。よくみていくと、無属性の部分に♾️(無限)とついているし、称号には訳のわからない『神々のお気に入り』とか『魔法オタク』とか書かれている。いや、『美形オタク』って何だよ…。間違ってはいないけれど、文字にされると何だか残念な人のようでヘコむんだが…。
そもそも『神々のお気に入り』ってあるけど神にあった記憶はないし、そもそもこの大陸って神様いたんだ…。この大陸にも宗教は存在しているらしく、確か教皇が統治する聖王協会という土地は存在しているがあそこは聖女信仰だったはず。前世でやっていたゲームや好きな小説などに神話モチーフのものがあって興味を持ち、昔から神話は勉強したりしていたのもあって、この世界の神話なども探してみたのだけれど、この世界というかこの大陸において神という存在は伝承されていたり崇められていたりすることはなかったのだ。だから神はいないものとばかり思っていたけれど…。代わりに精霊や聖獣、聖女や勇者の信仰は存在していた。
(むむ…むむむ…)
神様との遭遇なんて絶対記憶に残っていそうな出来事はどんなに思い出そうとしても思い出すことはできなかったので、わからないことは置いておくことにした。そもそも前世でも、物語として読む神話や神々のことは面白いと思ってはいたが、神様を信じているタイプでもなかった。私にとって神とは、イコール推しのことであり、すなわちsevensが神だったからなぁ…。あぁ、神々しきあの人たちに会えないというのは何と悲しいことだろうか…。そういえば、彼らのことは色褪せることなく何でも思い出せるのだけれど、前世最後の現場になってしまったサイン会で水月くんと交わした約束だけ思い出せないんだよな…。
確か隣にはいつもと同じように氷月くんもいて、水月くんとの会話に入ってきて何か3人で約束した気がするんだけど…。
まぁ、それも思い出せないのなら仕方がない。前世であれば置いておくことなどできず、必死に思い出す努力をしていただろうが、すでに再会することはできないのだからひとまず置いておこう。何事も切り替えが大事だ。それよりも目先のことである。私は使えるようになった鑑定魔法を用いて、更に魔法研究を進めていくことにした。
ステータス、オープン!!が使えてしまったルーナリアさんでした。