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第13話 初のお茶会主催、気になる子たちがいるようです①

最初に向かったのは、双子の側近たちが座るテーブルだった。

ここは特別な話をするというより、まずは顔合わせと挨拶程度である。

双子が選んだ側近たちは、皆、年齢のわりに落ち着いていて大人びた雰囲気をまとっていた。姿勢も美しく、どこか賢さを感じさせる。さすがは将来、帝国を支えることになる人材たちだ。

私がテーブルに近づいた瞬間、彼らは一斉に立ち上がり、流れるような動作で臣下の礼を取った。

その所作の美しさに、思わず目を瞬かせる。


(……みんな美形なのは、やっぱり貴族だからかしら)


整った顔立ちの少年少女たちが並ぶ様子は、まぶしさすら感じるほどで、私は思わず少し目を細めた。


「本日は、我々までルーナリア皇女殿下、初のお茶会にご招待いただき、大変光栄に存じます」

「ええ、まさに天にも昇るほどの幸福です」

「幸せすぎて、昨夜は眠れませんでした」


どこか恍惚とした表情でそう語る彼らに、私は若干引き気味になりながら、


「あ、ありがとう……」


と、少しぎこちない声を返してしまう。


(あれ……なんか、思ってたのと違う)


第一印象では、もっと落ち着いた優秀な子たちという印象だったのに、いざ話し始めると、なぜか私の親衛隊のような勢いだ。

その様子はどこか既視感がある。

ちらりと双子の座る方へ視線を向けると、二人は満足そうにうんうんと頷いていた。


(あ、これは……双子がしっかり教育しているな)


双子の私への愛情を、そのまま受け継いだかのような熱い視線を向けてくる側近たち。

類は友を呼ぶとは、まさにこのことだろう。

私は軽く微笑みながら当たり障りのない会話を交わし、次のテーブルへと足を向けた。


双子の側近たちのテーブルの近くに座っていたのは、皇帝派の家柄の子どもたちだった。

プレナイト侯爵家をはじめとした伯爵家までの子どもたち数名、そしてその隣には、やや緊張した面持ちの子爵家や男爵家の子どもたちが並んで座っている。


「皆さん、ご機嫌よう。今日は招待に応じてくれてありがとう」


私が声をかけると、皆一斉に立ち上がり、臣下の礼を取った。

双子の側近たちほど洗練されてはいないものの、どこか辿々しい所作の中にも、私への敬意がしっかりと伝わってくる。

まずは、高位の家柄の子どもたちが座るテーブルへ腰を下ろした。

見渡すと、従姉妹であるプレナイト侯爵家次女、リコリスがにこやかに微笑み、優雅に一礼する。


「ルーナリア皇女殿下、お会いできて嬉しいですわ」

「リコリス、(わたくし)も会えて嬉しいわ」


そう言って微笑み返しながら、他の顔ぶれにも目を向けると、見知った人物によく似た顔立ちの少女が目に入った。


「シシリー、体調は大丈夫かしら?」


まさか名前まで覚えられているとは思っていなかったのだろう。

シシリーは一瞬驚いたように目を瞬かせた後、やや恐縮した様子で背筋を伸ばした。


「はい、問題ございません、殿下。ご心配賜り、恐悦至極に存じます」


あまりにもきっちりとした、少し堅苦しい返答に、私は思わず小さく微笑んでしまう。

どこかマリーの生真面目さに似ていて、微笑ましかった。

シシリーは、マリーとエディの娘で、以前から名前をよく聞いていた。エディはマラカイト伯爵家の出身で、シシリーは伯爵令嬢にあたる。実際に話してみた印象も、噂どおり誠実で真っ直ぐな子だった。


(やっぱり、側近の一人はシシリーがいいかもしれない)


そう思いながら、ふと視線を上げて、お茶会全体の指揮を取っているマリーの方を見る。

マリーは忙しく立ち働きながらも、どこか少し心配そうな目で娘の様子をうかがっていた。

一方、同じく護衛騎士としてこの場に控えているエディは、なぜか恍惚とした表情でこちらを見つめている。

おそらくだが、愛する娘と私が同じテーブルで会話をしていることが、彼にとってはこの上ない幸福なのだろう。

その様子に小さく苦笑しつつ、しばらく歓談を続けた後、私は隣のテーブルへと足を向けた。


子爵家と男爵家の子どもたちのテーブルに、私が腰を下ろすとは思っていなかったのだろう。

その瞬間、会場のあちこちで小さなどよめきが起こった。

皇女から招待を受ければ、参加は半ば義務のようなものだ。

だが、帝国の頂点に連なる皇女が、低位の貴族の子どもたちにまで気を配り、まして同じテーブルに座るとは、誰も予想していなかったらしい。

周囲の子どもたちは、不敬にならない程度にひそひそと様子をうかがい、目の前の子爵家と男爵家の子どもたちは、驚きと緊張の入り混じった表情で私を見つめていた。


(まあ、双子の側近は皆、伯爵家以上だものね)


そう思いながら、私は彼らにやわらかな視線を向ける。


「皆さんも、今日は来てくれてありがとう」


そう声をかけると、彼らは高位の家の子どもたちほど洗練されてはいない、少し辿々しい動きで臣下の礼を取った。その様子を、少し離れた席に座る貴族派の高位貴族の子どもたちが、くすくすと小さく笑っている。

笑われていることに気づいたのだろう。

目の前の子どもたちは、恥ずかしさに顔を赤くし、さらに身体をこわばらせた。

私は変わらず微笑みを浮かべたまま、


「楽にしてちょうだいね」


と優しく声をかける。そして、周囲には聞こえないほどの小声で続けた。


「気にすることはないわ。あなたたちはちゃんとできているもの。胸をお張りなさい」


その言葉に、彼らの目の色がわずかに変わった。

姿勢を正し、まだ緊張しながらも、しっかりと顔を上げて私と会話をしようとする姿は、年齢以上に頼もしく見える。


その中でも、特に目を引いたのはフレデリックという少年だった。

確か、アゲート男爵家の令息で、アゲート家はもともと商家から功績によって爵位を授かった家系のはずだ。

相手の様子をよく観察し、言葉を選びながら丁寧に話すその姿勢は、年齢のわりに落ち着いていて、とても好印象だった。

フレデリックが話している最中、周囲のテーブルから小さく、


「男爵家、それも元は商家の者が、皇女様に意見しているぞ」


という心ない囁きが聞こえてくる。

きっと彼の耳にも届いているだろう。それでも彼は、わずかに背筋を伸ばし、真っ直ぐに私を見つめたまま、言葉を止めることなく会話を続けていた。


(うん……いいわね。とっても魅力的だわ)


そう思った私は、席を立つとき、フレデリックに視線を向けて言った。


「あなたのお話、とっても面白かったわ。すごく頑張って勉強しているのね。素敵だわ。また今度、ぜひお話しましょう」


その瞬間、彼の瞳がぱっと輝いた。


「はい……皇女殿下!」


嬉しさを抑えきれないように笑った彼を見て、周囲の子どもたちも、彼への評価をわずかに改めたようだった。


良い意味でも、そして――もしかすると、そうでない意味でも。

それでもなお、フレデリックの表情には、揺るがない強い意志が宿っていた。


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