第2話 今世の私は皇族のようです(2025.02.20 修正)
主人公はルーナリアちゃんです!
転生ベイビー、頑張ります!
飛行機墜落と同時におそらく死んだ?らしい私は、なぜだか可愛らしい赤ちゃんになっていた。昔よく読んでいた転生ものの小説やら漫画の主人公たちのように、今の世界に転生したらしい。
初めて目を覚ました時の衝撃から数ヶ月経ち、やっと自分と自分の周りの状況が見えてきた。
まずは私自身のことについて。大陸の北に位置するグレイシア帝国の第四皇女として生を受けたルーナリア・グレイス、それが今世での私の立ち位置と名前だった。ルーナと呼ばれていたのは私の周りの人たちが呼ぶ、私の愛称だったわけだ。
まさか前世でよく読んでいた転生ものに自分がなってしまうとは思いもしなかった。しかも転生ものの定番、前世でいう西洋の中世時代のような貴族世界。ただ、髪色や瞳の色はアニメのようにみんな色とりどりだし、人間以外の種族も存在しているんだとか。ケモ耳っことかキャラクター的に好きだったから獣人がいるならぜひ見てみたい。あわよくば仲間にしたい。エルフとかドワーフとかRPGの世界の種族とかいないかな〜。現在私が生活している圏内では、まだみたことは無いんだけれど。
ちなみに今世の私は、ぱっちりと大きくまるでアメジストのような紫の瞳に、髪色は私を迎えにきた双子と同じキラキラと光る綺麗な銀髪。そしてまたまた双子と同じく、大きくなったらめちゃくちゃ美人間違いなしの美幼女だった。
まさに転生したら悪役令嬢でほにゃららら的な漫画や小説の主人公にでもなってしまった気分だ。本当に小説の世界とかだったら…と自分の心当たりのある漫画や小説のキャラクターの名前と自分の周りにいる人たちを照らし合わせてみたが、とりあえず自分の知っている物語の世界ではないらしい。
流石にそんなわかりやすい展開はないか…。あったとして魔王を倒しに行かねば!とか婚約破棄を回避せよ!とか面倒だから逆に思い当たる漫画や小説の中ではなくて安心した。それにしても、今世の私とその家族は皇族なのだからびっくりだ。正直、お家騒動とかドロドロしたのはごめん被りたいのだけれど…。いや、まじで。
そんなこんなでよくわからないが二度目の人生をこの世界で歩んでいくことになった私なのだけれど、せっかくの二度目の人生なのだからどうせなら全力で楽しみたい。前世ではアメリカツアーにいく直前で死んだり、楽しみに待っていた漫画の最終巻の結末が読めずに死んだり、愛する推しの新曲が聴けずに死ぬなんて後悔の残る人生だった…。オタクにとっては現場に行けないとか死活問題だよ!?本当に…!!現場に行くために日々頑張っていたと言っても過言ではないのだ。今世ではもう、ライブやオフイベントには行けないけれど、悔いの残る人生にならないよう、やりたいことは即実行!やらない後悔よりやった後悔!をモットーに生きてやるのだ!!
「あうあう〜!う〜!(頑張るぞー!おー!)」
「あら?ルーナ姫様、ご機嫌ですか?」
私の謎な雄叫びに笑顔で答えてくれたのは私の専属侍女のマリーだ。今世での私の最初の記憶にある双子たちとの出会いの際にもいた女性でもある。
「ルーナ姫様がご機嫌で私も嬉しゅうございます」
そういって微笑むマリーはまさに聖母の如き美しさだった…。この世界って美形しかおらんのか…?まぁ皇族に使えるのだからそれなりの外見の者たちで構成されていてもおかしくはないのだろう。騎士とかもイケメン多そうだったし。私の好きだった水月くんもなかなかに綺麗な顔をしていた。私の場合、推しを定めるのに顔だけで判断していたわけではないから、あの頃にのように好きになれるイケメンがまた今世でも現れるかどうかはわからないけれど。目の保養として美しいものが近くに多いのは嬉しいことだ。私が仲良くしていた前世の推し活仲間の一人なんか、黒髪が似合う美形が好きとか言っていたし、人の趣味はさまざまだよね。あの子は元気にしているだろうか…。
マリーは若草色の瞳に柔らかい印象の茶髪を一つにまとめてポニーテールにしているが、侍女のお着せも相待って、それはそれは素晴らしいハーモニーを醸し出している。うん…。メイド服と美女の組み合わせの破壊力…。けしからんですわ…。なぁんて幼女らしからぬ考えに浸っている私なのだった。
◇ ◇ ◇
「姫様、本日は庭園まで行ってみましょうか」
まだ1歳とちょっとくらいの年齢らしい私は一人で動き回ることができないため、こうしてマリーが私を部屋の外に連れ出してくれる。人生を後悔なく楽しむためにも、情報が必要なんだけど部屋から出ることができない私にとっては、こうした散歩などが情報収集に活かせることもあり、大変ありがたい。
「あうあう〜!(行こう行こう〜!)」
「うふふ、今日は本当にご機嫌でいらっしゃいますね」
まさか赤子が自分の言葉を理解できているとは思っていないマリーは、私がご機嫌なのをみて微笑みながら、私を抱いて部屋から出ていく。今日は庭園にいくっていっていたけど初めて行く場所かな…?
(さぁ、今日も元気に色んな場所へといきましょう!がんばるぞー!)