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コトバがあるということ  作者: かなたつむぐ
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コトバがあるということ

 数年後。

 僕の家族は妻の浬音、娘の(つむぐ)、息子の奏多(かなた)になった。


 僕も子どもたちに「おはよう」「いってらっしゃい」「おかえり」「おやすみ」とコトバを欠かさずに言っている。もちろん両親にもメッセージを毎日送っている。僕は今も家で仕事をしている。だから「いってらっしゃい」も「おかえり」も言える。自分が言うようになってからコトバの温かさと優しさを実感できるようになった。親になって、母の気持ちがやっとわかるようになった。


 家族がいることもコトバがあることも当たり前の日常ではなく、とても特別なことだと思うようになった。

 子どもたちが「パパもママもなんで毎日、おはよう、いってらっしゃい、おかえり、おやすみなさい。っていうの?」と聞いてきた。


 いつか聞かれるのかなと思い、母から教えてもらったそれぞれのコトバの意味を子どもたちに伝えることにした。


『おはよう』

 その言葉は目を開けた瞬間のコトバ。未来がはじまるコトバ。

 爽やかに起きた時も、悪夢を見た時も、疲れが取れていない朝でも、どんな幸せの日も辛い日も泣きはらした日もどんなに情勢や環境が変化したとしても起きたら必ず未来がやってくる。


『いってらっしゃい』

 未来へ一歩すすむコトバ。この言葉は元気をくれるコトバ。背中を押してくれるコトバ。そして、帰る場所があり頑張ろうと思わせてくれるコトバ。


『おかえり』

 自分という家、自分の世界にかえることが出来るコトバ。一番安らげる場所、自分らしさを100%に出せる場所にあるコトバ。帰る場所があるというコトバ。


『おやすみ』

 未来がはじまる準備をするコトバ。体という器を休ませるコトバ。未来がはじまる前に体を休ませ回復させる。そして、未来という大きな眩しい世界に行くために一番大切なコトバ。


 『コトバ』の数だけ『コトバ』の意味だけ、世界は広がる。

 こんなコトバが返ってきた。


 母はコトバに自分なりの意味を込め使い、コトバ一つ一つの大切さを教えてくれた。当たり前にみえるこの世界は、毎日未来へ進み、当たり前ではない世界をつくりだしていく。母は色んな大切なことを教えてくれる天才だ!


 それに妻もコトバの大切さを知っていて、誰かを笑顔にするという目標を持ち、自分の好きに一生懸命で誰かの幸せのために行動している。人は誰かのためと言って結局自分が可愛いし他人の世話をするといいながら自分のことで精一杯になってしまうもの。自分が辛いときは誰かに八つ当たりする者もいる。そんな世界で誰かのとこを思えるというのは本当に素晴らしいと思う。


 それに今まで出逢った人たちからかけられたコトバ一つ一つが宝物だと感じる。プラスのコトバだけではなくマイナスのコトバもある。自分がプラスで言ったコトバが相手にはマイナスに捉えられるなんて日常茶飯事。捉える側の心一つで善意が悪意にも変わってしまうのがコトバである。コトバはどんなに想いを込めても100%伝えることは出来ない。それでもコトバは伝えていきたい。だからせめてコトバ一つ一つに想いを込めていこう。


 たった一言のコトバやコウドウが未来を世界を変化させる――。

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