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コトバがあるということ  作者: かなたつむぐ
20/27

父からのメッセージ ①

 そんなある日、珍しく父から『久しぶり。元気にしているか。たまには帰ってこい』とメッセージが届く。父からメッセージなんて半年に一度あるかないかくらいのレアケース。しかも『たまには帰ってこい』なんてみたこともないコトバ。


 今日は嵐でも来るのかな? となんとなくスマホアプリの天気予報を確認したが何の変哲もない天気予報が表示されている。


 父は母と違って顔文字も絵文字を一切使わない。だから、そのメッセージから感情が読むのが難しくて通常通りなのか、威厳たっぷりなのか、怒っているのかもわからない。それに“そのうち帰っておいで”なのか“急いで帰ってこい”なのかもわからない。


 そんな理由で父のメッセージをスルーしていたら都貴子叔母さんから『お母さん、裏のおじいちゃんとおばあちゃんのお世話が大変らしいよ。たまには帰って、みんなの顔でもみにきてあげて!』とメッセージが届く。僕は何年も家に帰っていなかったので、実家に一泊二日で帰ることにした。


 先ず実家に帰る前に母方の祖父母に会いに行った。昌夫じいちゃんは相変わらず元気で趣味の植木を育てていた。庭にいる祖父に声を掛けようとすると、僕に気が付いた祖父が先に声を掛けてくれる。


「久しぶりだな。おかえり」と祖父はくしゃくしゃの笑顔で出迎えてくれる。

「ただいま、じいちゃん」


「そうだ。いつもどうもな。毎年、敬老の日に植木やお酒を送ってくれてありがとな」

「こんなことしかできないから」


「そうだ、寄ってく時間はあるか」

「うん」

 祖父はそう言って、家の中へ招いてくれる。


「そうだ! とっておきのがあるぞ」と祖父は僕が去年敬老の日に送ったお酒を出してきた。祖父は僕とお酒を一緒に飲みたくて大事に保管していたそうだ。やっとお酒も一緒に飲める年になって昼間からお酒を飲みながら積もる話をした。


 一恵ばあちゃんはパーキンソン病に伴う認知症を患っていた。そんな祖母は家の縁側から落ちて背骨を骨折していたのだが「痛い」という感覚も忘れてしまったらしく口にだすことがなかった。そのため誰もそれに気が付かずそのまま放置していたらそのまま寝たきりになってしまったのだ。


「ばあちゃん、久しぶり! 調子はどう?」

「あ、ああ。あああ。あ」


「元気そうで良かった」

「……」


 祖母に話しかけても稀に返事があるかないか。コトバも話せなくなり表情も変わらない。話しかけるとこちらを向いてくれるし、何かを話そうともしてくれる。祖母は何かをいってくれているのかもしれないが僕にはそれを理解することが出来なく、一方的に話を終わらせてしまう。


 そんな祖母は都貴子叔母さんが面倒をみてくれている。祖母の変貌ぶりに少し衝撃を受けた。祖父と叔父叔母に挨拶をしてから実家へと向かう。

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