校門に立ち「おはよう」という毎日 ~高校生の思い出~ ⑤
高校一年生の吐く息が真っ白になり、地面が真っ白なふわふわの絨毯で一面になる時期、また学校へ行きたくなくなるような出来事が起きた。
そもそも高校は部活で選んだので学力的には自分の成績では余裕で受かる高校であった。自分からしたらレベルの低い高校だったので学年でもクラスでも二番の成績を取るのが当たり前になっていた。
一年最後なので少し気合を入れて勉強をし、学年でもクラスでも一位になった。
心の中で「よっしゃー!」と叫んでいると、いつも一番を取っていた山口景が「アタシが一位じゃなかったー! 悔しい!」と大きな声で叫びだした。山口景はスポーツ特待生なのに成績も一番だった女子。
「山口さん、残念ね。今回は山田くんが一位なのよ」と相変わらず空気を読めない荻野先生はそういった。
当然のことだが、クラスの視線は僕に向けられ『女の子を泣かすな! 空気読んで一位取るなよ』という雰囲気を感じた。
「次は一位になるー! 悔しいー!」と山口景は大きな声を上げる。
「景ちゃんがこれからずっと一位に決まっているよ!」という山口景の仲間たち。要するに僕に気を遣って二位を取れというプレッシャーをかけてきたように感じた。
この時、コトバは言ったもの勝ちだなと思い知らされる。
僕は頑張ってこの成績なのに僕が悪いというこの空気。悔しいのは僕だ。一位を取れないのは明らかに勉強不足という努力が足りないだけ。他の試合やコンクールやコンテストでも「悔しい!」と言ってくる奴は多いが、結局は努力不足なだけ。悔しいはわかる、口に出したいのもわかる。
けど悔しいには『自分のほうが優れているのにお前なんかに!』というのが本音としてみえてくる。だから言う場所や相手を考える必要があると思う。『自分のほうが優れているのにお前なんかに!』という本音があるとしたら一位の人をバカにしている訳だから。
しかも『悔しい! と言っている私に気を遣え! フォローして慰めろ!』まで聞こえてくる。そう捉えられる可能性があることを理解した上でコトバは口から発して欲しいなと思った。
それから学校の試験は努力しないことにした。
その代わりに全国模試で頑張ればいいのだと。
僕はポーカーフェイスを保ち、誰からか話しかけられたら対応する。
人と関わることを避けるようになっていった。




