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コトバがあるということ  作者: かなたつむぐ
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校門に立ち「おはよう」という毎日 ~高校生の思い出~ ③

 その日の放課後。

「ちょっと聞いて欲しいことあんだけど」と福島千春に呼び出された。

「こ、これはイジメでも嫌がらせでもないからな。お前が俺の親友を取ったから悪いんだ」と自分は正しいんだと言わんばかりに言った。


 福島千春は身長158センチの体重110キロ。見た目でバカにされたりするのをよくみかける。福島千春は見た目のことを言われると「これはイジメだ!」と大きな声を上げる。そんな彼の言い訳は“イジメでも嫌がらせでもない”そうだ。思わず笑いそうになってしまう。


 大抵の人は自分が大好きだから。自分がされて嫌なことは否定し怒る。なのに他人には自分がされて嫌なことは平気でやる。本当に面白い生き物だ。そして可哀想な生き物だ。そんなことを思いながら僕は微動だにせずに無口無表情のまま彼をじっと見る。


「なんでなんもしゃべんねーんだよ」

「福島くんが聞いてと言ったから聞いているだけだけど?」

「ああ、そうかよ。だから謝らないからな。でも言いふらすなよ」

 僕は無口無表情。肯定も否定もしない。だって聞いてほしいという要望だから。


「だからなんでなんもしゃべんねーんだよ」

「福島くんが聞いてと言ったから聞いているだけだけど?」

「あーもうわかったよ。ウンとかスンとかいってくれよ」

「ウン、スン」

「お前、ふざけてんのか?」

 僕は無口無表情。肯定も否定もしない。そんな僕に怒りMAXになった福島千春は僕に殴りかかろうとしてくるので避ける。また殴る素振りをみせるので「犯罪者になりたいなら殴っていいけど? 後悔はしないんだね?」と言うと福島千春は手を下ろした。

「このことは誰にもいうんじゃないぞ」と怒鳴りちらして福島千春は去っていく。


 一方的に言われたことであり約束事でもないので早速、福島千春の親友だという高知悠斗にこのことを話した。

「うげぇ、俺親友じゃないんだけど。キモすぎ。あのデブ、ストーカーのように着いてくるし、毎日何十通ものメッセとか送ってきてうざかったんだよね」と高知悠斗は大きなため息を付いた。


 勘違いからはじまったこと。僕は平等に接していても相手からするとそうは捉えられない。いくら相手と話してもこの問題は解決できないだろう。人の思い込みを否定するなんてことも出来はしないし、自分の意見を押し付けることも出来ない。それなら関わりを切るしかない。でも集団にいる限り関わりは出てしまう。当たり障りのないコトバを選んで嘘の笑顔の仮面をつける。それで世の中うまく行くのであればそれでいい。


 僕らにはコトバというステキなツールがあるのにそれが役に立たないこともある。でも折角、口から出すのであればマイナスのコトバよりプラスのコトバを選びたいなと思った。

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