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エピローグ

 これがわたくしの、殿下との婚約破棄の顛末。


 その後のお話を少ししますと、当日中に王家より正式に、エリオット殿下とわたくしとの婚約解消と、エリオット殿下の廃太子が発表されました。

 エリオット殿下は学院卒業までの残り半年、王城での謹慎を言い渡され、当然、翌日の創立記念パーティには参加せず、学院生徒たちの好奇の視線を浴びることがなかったのは、むしろ陛下の恩情であったかと思います。

 いえ、恥の上塗りを避けたかったのかもしれません。

 放っておけばあのバカは、あのような状況でなお、パーティ会場に乗り込み、わたくしかソフィアさんにパートナーの申し込みをしかねませんので。


 わたくしは、約束通りソフィアさんのエスコートを務めました。

 婚約解消と同時にエリオット殿下の廃太子が発表されたことで、この婚約破棄においてどちらに問題があったかは周知のこととなりましたので、わたくしに向けられる周囲の視線は、覚悟したよりも穏やかでした。

 ですが、婚約解消直後に他の殿方のお誘いを軽々しく受けることは、公爵令嬢として憚られますし、そもそも今、男性とダンスを踊りたいとは思えません。

 ですのでわたくし、男装してソフィアさんをエスコートいたしました。


 王太子との婚約を解消したばかりの公爵令嬢が男装し、王太子に追い掛け回されていたソフィアさんをエスコートしたのです、それは衆目を集めました。まして、まるで男女のペアのようにダンスを踊れば、互いにドレスで連れ立っているよりも、よほど周囲の印象に残ったことでしょう。

 わたくしとしては男性からのお誘いを断るまでもなく退け、同性の友人たちとはダンスの相手をしながら事の顛末を語ることができ(ちなみにその間、ソフィアさんのお相手はお兄様が務め、他の殿方を牽制しておりましたわ)、王家の醜聞も僅かにでも薄まったと思えば、いいこと尽くめですわ。


 そのような次第で、学院生徒にとっては、『王太子の婚約破棄』と『婚約破棄された公爵令嬢』の話題は、さして盛り上がらなかったようです。

 尤も、『エリオット殿下の廃太子』についてはその限りではありませんが、それも、日を置かず第二王子アルフォンス殿下の立太子が宣言され、噂話の主流はそちらに移りました。


 わたくしとソフィアさんは、その後も良好な友人関係を続けております。

 学院を卒業しても、きっとこの関係を続けていきますわ。


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