第1話
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「小渡くん、今日の私は昨日と何が違うでしょうか」
教科書を机に並べようと掛けてあるカバンに手を伸ばすと、聞き慣れた声とともにいつものやつが始まった。
「んー何か変わった?」
僕は赤崎さんと隣の席になってから毎日この質問をされる。何も変わってないように見えるのに、なぜかこう答えると不機嫌そうな顔を見せる。
「今日で10連敗。ホントに分からない?」
「うん、毎日見てるけど変わったとこなんて分からないよ」
「そっか、じゃもっと分かりやすくしないとダメってことね」
「何を?」
「あっ!聞こえてた?独り言だから気にしないで」
そう口にした赤崎さんは、次の授業の準備を終わらせて顔を腕全体で覆い隠し、残りの休み時間を睡眠に費やした。
そんな赤崎さんを横目に、僕は小テストのためにペンを走らせていた。
――僕の名前は小渡愛斗、全国どこにでもいる普通の高校生……ではなく、左目が緑、右目が青のオッドアイを持つ珍しい高校生だ。
そんな僕に興味津々な人が多く、幼いときから人と接する機会も多かったため、コミュニケーション力はものすごく身についた。
でもみんな揃って僕のことを【鈍感】という。なぜ鈍感なのかは分からないけど一つ言えることは、人の気持ちを理解するのはとても難しいということ。
だから今日も、赤崎さんが不機嫌そうな顔をした意味も全く分からなかった。
まぁ、そんなこと考えるより今は、小テストの勉強をしないといけないのでスイッチを切り替える。
――授業開始のチャイムが鳴り、小テストが始まった。
僕はお世辞にも頭が良いとは言えないため、勉強しなければ再テストを受けなければいけない。もちろんそれを回避するためにギリギリまで勉強をするのだが……。
「はい、そこまで。隣の人と交換して7点以下だったら再テストな」
担任の先生の言葉は、答え合わせをする前に空白が3つ作った僕の心を貫いた。
そして――
「また、再テスト受けないとだね」
「……まぁそうだけど」
「そうだけど??」
「答え分からないから再テストの再テスト受けないといけなくなるんだよ」
「えっ!」
そんなことあるの?と言いたげな赤崎さんは出かけた言葉を閉じ込めた。
そりゃ、成績優秀の人からしたら驚くことかもしれないけど。
「じゃあ明日私の何が変わってるか当てれたら私が教えてあげるよ!再テストは明日の午後だし」
「えぇー……分からないから無理だよ」
「可能性ないよりましでしょ」
「分かった。じゃお願いします」
自信は0。赤崎さんが分かりやすい変化をしてくれればいいのだが、それはないだろうな。
僕は僅かな期待を心の底に持ちながら午後のホームルームを終え、部活へと向かった。
――私は赤崎凛、全国どこにでもいる転入してきた普通の女子高校生……ではなく、赤色の髪の毛をした珍しい女子高校生だ。
親はどっちも黒髪で、なぜ赤髪なのかは分からないけど気に入っているからそんなことはあまり気にしていなかった。
それにこの学校には赤髪の私よりも有名な人がいる。それも隣に。
小渡くんはオッドアイでとてもキレイな目をしている。目だけじゃなく顔も上中下の上に属する人で、運動もテニスを中心に完璧といっても過言ではないほどという。
でもそんな小渡くんにも欠点があり、それが頭が良くないことと鈍感すぎること。
頭が良くないことは悪いことじゃないし、むしろ欠点あって当たり前の人だから納得できる。でも鈍感の頂点に君臨するほどの鈍感さは接していて心配になるほどだった。
そんな小渡くんに私は興味を持った。赤髪で珍しい私が霞むほどの珍しい人、それに加えて超鈍感。そんな人と関われたら絶対楽しいと思った。
そんな私はこの学校に転入して、奇跡的に隣になった小渡くんに、毎日いろいろ変化させた自分のどこが変わってるか当ててもらうことにした。
――初めてから10日、もちろん当てられた回数は0。
本当に1回も当てれない小渡くんに私は面白さを感じ、次の小テストで落ちるであろう小渡くんに次はどうやって関わろうか、顔を腕全体で覆い隠して考えていた。
――高校1年が始まったばかりの4月、周りの人の顔は中学のときに見た顔ばかりで、新鮮味がなかった。中高一貫校であるこの学校には刺激もなかった。
赤崎さんが転入してくるまでは。
「はじめまして、赤崎凛です、この学校については全く知らないのでたくさん話していく中で教えて下さい」
そう言う赤崎さんの第一印象は、キレイな赤髪をしたキレイな人だった。
「じゃ、赤崎さんは小渡の隣の席に座ってもらおうかな。あぁ、小渡はあのキレイなオッドアイの男子のことね」
キレイなんて言ってくれちゃって、ありがたいが照れる。
実際僕はオッドアイのことはマイナスに捉えていない。むしろプラスに考えている。
そんな僕が照れている間に赤崎さんは隣の席に来ていた。
「改めてはじめまして、いろいろお世話になります」
「うん、よろしく。なんでも聞いていいからね」
「ありがとう」
笑顔が似合う人だと思った。この顔で毎日話ししてたら絶対にモテるとも思った。
それが赤崎凛との出会いだった。
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はじめましての方ははじめまして、XISと申します。
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