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第10話




 日曜日の8時、僕は家のピンポンが目覚ましとなり朝を迎えた。日曜は部活も休みのためゆっくり寝れる日なのだが。


 「はーい、今行きます」


 寝惚け眼をこすり、意識がはっきりとしないまま玄関に向かった。


 「おはよ、今起きたでしょ」


 「やっぱり松下か。それで今起きたけどどんな用事?」


 「今日いつものメンバーと赤崎さんで愛斗の家に泊まっていい?」


 「うん、いいけど」


 「おっけー、じゃそれだけだからまたベットに戻りな」


 「それだけならLINEでいいじゃんか」


 よく松下は僕の家にこうやって世界一ダルい目覚まし時計としてやってくる。


 本当に勘弁してほしい。もし松下じゃなかったら困るから一応出るけどいっっっつも松下。


 それにしても赤崎さんも家に来るのか、一昨日大騒ぎしたら大変って思ったけど早速その状況になる……もう楽しければなんでもいいか。


 僕は騒いでしまうことはどうしようもないと諦め、部屋の片付けに徹することにした。


 僕の家は広いが個人的に汚れていたり、整理整頓がされていないことはないと思う。客観的に見たら汚れてるかもしれないけど。


 とりあえず、今は一旦二度寝して次起きたときに片付け始めよう。


 ――気持ちのいい二度寝は約束事の前にしないほうがいい。だって今困ってるから。


 今の時間は16時で僕は今日二度目のピンポンで目覚めた。つまり、片付ける前に4人の誰かが来たってこと。


 「はーい、今行くので待っててください」


 僕は配達の人であってくれと願いながら再び玄関に急いで行く。こういうときの願いは儚いもので、もちろん配達の人ではなかった。


 「遅い、待たせすぎ」


 「ごめん、二度寝したら今起きて……」


 松下、如月さん、赤崎さんの3人だった。


 「今?!いくらなんでも寝すぎでしょ」


 「うん、だから二度寝のときは気をつけるよ。とにかく中に入っていいよ」


 「はーい、ただいまー」


 「小渡くん、おじゃまします」


 「うん、いらっしゃい」


 いつも同じメンバーだったから赤崎さんっていう新鮮味があるとなんだかワクワクする。


 「それにしても来るの早くない?」


 「買い物とかすぐ終わったから」


 「そっか、疲れただろうからゆっくりどうぞ」


 「ども」


 「赤崎さんも自由にしてていいからね」


 「うん、ありがと!」


 あとは翔だけだが、あいつは松下と同じで遅刻魔。そのため早めに来ることはないだろう。


 「僕は翔を呼んで買い物もしてくるから家荒らさないでね?」


 「未來となつみ、いつも荒らしてるんだ!」


 「いや、私じゃなくて未來だけ」


 「えぇ、未來問題児じゃん」


 いつの間に赤崎さんは二人を下の名前で呼ぶようになったんだろ。まぁ仲良くなってくれてよかった。


 「行ってきます」


 「いってらっしゃい!」


 赤崎さんが元気よく返してくれた。


 ――ここから翔の家まで徒歩5分、そしてそこからスーパーまで10分。往復30分で買い物の時間含めたらだいたい一時間といったとこだろう。なるべく早く終わらせて帰らないとあの3人は何をするかわからないからな。


 そうして歩くこと5分、僕は翔の家についた。


 「しょーう、迎えきたぞー」


 家の外から翔の部屋に向かって声をかける。


 「お?愛斗か、少し待っててくれ」


 「はーい」


 僕と違ってしっかり起きていたようで、いつもの翔が出てきた。


 「てか、お前はちゃんと聞いてたんだな、泊まること」


 「うん、未來からLINEで昼ぐらいに言われたから」


 なんで僕には直なのに翔にはLINEやねん。いや、家が遠いからか……。


 「それで、お前はこんな早くなんで呼んだんだ?」


 「ちょうど食材とか切らしてたからそれの付き添いで」


 「あーね」


 翔には何度も付き合ってもらっており、嫌な顔せず承諾してくれることにとても感謝している。


 「それじゃ行こうぜ」


 「そうだな」


 寝起きの頭と体を覚醒させるためにランニング程度のスピードで足を動かし、スーパーに向かう。


 今向かっているスーパーは量より質を重視しており、種類は少ないが魚や肉はとても美味しい。


 ここのスーパーというよりかはこの地域で取れる魚や肉が美味しいってことだと思うけど。


 そんなことを一人で考えながら翔の話しを聞いていたため何度も呼ぶ翔の声に反応をしていなかった。


 「――おい、聞いてるのか?」


 「あぁ、ごめん、聞いてなかったもっかい言って」


 「だから、もう3人来てるのか?」


 「松下たちならもう家で女子会みたいなの開いてる頃だと思う」


 「そうか、松下ってちゃんと集合時間に間に合ったんだな」


 「だな」


 松下のこと心配できるほど翔も言えたことじゃないけど。


 「――それじゃ、色々買ってくるからなんかいるものあるか?」


 「んーない」


 「おっけ」


 簡素な会話で確認して僕はそのままスーパーに行き、買い物をする。


 朝も昼も夜もすべて一人で作って食べなければいけないが、量はそんなに多くないのでこうやって泊まりにくる日じゃなければ三日に一回の買い物だ。


 メニューを決めている僕は慣れた動きでその材料のとこに行ってはまた別の材料と右往左往する。


 効率のいい回り方あればいいんだけどな……。


 そして翔からのリクエストもなかったのでおよそ20分で買い物を終わらせ大きい袋を4つ両手に下げて店を出た。


 「おぉ、おかえり」


 「ああ、これ頼めるか?」


 「いや、2つ持つぞ」


 「悪いな」


 4つのうち1つを渡そうとしたが2つ持ってくれるということで甘えさせてもらう。


 さすがはモテる男は荷物も持てるってな……口に出すのやめとこ。


 荷物を両手に持った僕たちは走って来たときよりもプラス15分の全然遅い帰りとなった。

 ここまで読んでいただきありがとうございます


 応援を評価という形でしていただけると嬉しいです


 誤字脱字ありましたら、申し訳ありませんm(_ _)m

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