日溜まりの場所
小説初挑戦になります。はっきり言って下手くそですが感想など(酷評でもかまわないので)頂ければ今後の参考にしたいと思います。
僕の最初の思い出は灰色の空と冷たい雨。何人もの人が僕には目もくれず、また例え気付いたとしても一瞥して通り過ぎて行く。
誰にも温もりを与えてもらえなかった僕。君はそんな僕に柔らかな笑顔で傘を傾けてくれた。それがとても嬉しかった事を今でも覚えている。そして君は両親を説得して僕を家族の一員に加えてくれた。
その後の思い出の中には必ず君がいる。僕が嬉しかった時、君は必ず優しい微笑みを浮かべてくれた。僕が悲しかった時、君はその悲しみを悼んでくれた。君が嬉しそうに微笑んでいれば、僕も心から嬉しかった。
君が悲しそうに泣いていれば、僕の心も張り裂けそうに悲しくなった。そう。僕の全ての思い出は君と共にあり、その中で感じた想いは君と共に在ったんだ。そしてそれは何時までも何時までも続いていく物だと思っていたんだ。
でも…本当はそんな夢の様な事があるはずは無かったんだ。出会いがあるように必ず別れがある。もうじき僕は君と別れなければならない。だから僕はこの思い出を最後まで心に抱いて生きていこうと思う。
だから神様もう少しだけこの日溜まりの様な暮らしを僕に下さい。あの人と共に在ることが僕にとって一番の宝物だから。これ以上を望む事も、これ以外を望む事も、僕には必要の無いことだから……
だから神様お願いします。
僕はそんなことを考えながら、願いながら、暖かい日溜まりの中君の膝の上で君の温もりに触れて眠りに付く。
近く訪れるであろう最後の時間を感じながら……
そう、僕は『ネコ』だから『ヒト』である君とは生きる時間が異なる。君の身に何か余程の事が訪れない限り、僕の方が残された時間は短い。そして、そのトキが近いであろう事を僕は知っている。僕たちは最後のトキを独りで迎える。
けれど僕はこの日溜まりの様な暖かい場所に最後のトキまで居たいと思ってしまう。
僕の大切な大切な御主人様(日溜まりの場所)。
〜END〜