表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/116

護国戦争、終戦?

 開封市の東には東安川がある。その東の台地に陣を張る。

 敢えて作った、ここを襲わせるための偽本陣である。

 実際に小屋に松明を立て、ここを中心に動く。

 そして敵が八重垣を越えて偽本陣を落とした時、こちらは手薄な開封市を落とすという算段だ。

 一方で壁内の方では、正統三壁帝国が北に吸収されたとか。

 西方軍は外街8区まで押し返したが、戦線が膠着したらしい。

 また北石野亡命政権は脱出後に最後の砦が陥落し、亡命政府が壁内に移ったとか。

 あまり詳しい事が伝わってこないあたり、戦線が離れすぎた結果だろうか。


 そうして待っていると、敵軍が偽の本陣を取り囲んだ。今しかない。

 いくら空堀を巡らせ、入口さえ潰したとはいえ、砦内からの攻撃がないのならすぐに落とすだろう。

 開封市内に一斉に侵入すると、市民とも戦闘になる。

 向こうにとっては都市を見つけて住み着いているのだ。

 つまり、ここの陥落は住居を失うのと同じ。

 ならば。

 「降伏すれば住居は与える」

 こうすれば問題はないはず。

 東安の領内だが、現実世界以来の交渉術でどうにかなるだろう。

 こうして開封市を少し強引に平定した。

 西方軍は弩兵(どへい)隊を駆使して戦っているとか。

 聞いていると、どうやら「湿地の民」は陸上での集団戦闘が不得手らしい。


 今度は南から報告が来た。港と道路の建設が終わったとの事。

 また報告だ。石野旧領に「石野王国」が建国されたとか。

 勿論、「湿地の民」の国・北三壁帝国の属国らしいが。

 北三壁帝国(湿地)軍と西方軍が外街9区で激突し、敵の不得手な筈の陸上戦闘なのに、完全兵装のこちらにも死者が出たとか。

 幸いにも兵装は回収できたらしいが、激化してくると、いずれ兵装を奪われる日がやってくる可能性がある。

 その前に敵軍の強さを分析せねば。

 そして東安城を解放せねば。

 物資輸送は海底回廊から安定的に行えるものの、それが問題ではない。

 いつ城壁が破られるかも分からないのだ。

 東安が落ちれば戦線崩壊である。

 幾ら一度も侵入を許したことのない月都本土でも、「湿地の民」の手に掛かれば籠城戦に追い込まれるだろう。

 宮殿や住居のある高山はすぐに落とされるだろう。

 そうすれば旧世界民たる我々は終わりだ。

 かつてゲルマン人によって滅びたローマ、五胡の侵入で滅んだ西晋の二の舞を踏まぬように。

 最後の砦である東安の後詰めに駆け付け、勝利せねばならない。

 開封まで来れば、東安は目と鼻の先。

 決戦の地は開封市街。市民には南岸への避難を促した。

 しかしここに思わぬ敵がやってきた。

 それは東からの「湿地の民」だった。


挿絵(By みてみん)

 東からの「湿地の民」、尤も彼等は「南湿地の民」と名乗っていたが。

 彼等の来訪は大ピンチであった。

 今決戦をすれば、東安を包囲する「北湿地の民」とバビロン州方面から来る「南湿地の民」に挟撃されるのだ。

 これまで侵攻を行ってきたのは「北湿地の民」らしい。

 兵力不明の「南」を相手取ってはいけない。

 直感的にそう思い、開封から撤退し、アレクサンドリア州まで戻った。

 旧東安領は東安の東隣に東安東州、その南に開封市、その東がバビロン州で、開封市の南がアレクサンドリア州である。

 この「南湿地」をどうにかやり過ごす方法はないか。

 「南」と敢えて名乗っているという事は、「北」からの独立性を主張しているという事。

 つまりこの2勢力は対立し得るという事だ。

 早速「南」に使者を飛ばした。協力要請だ。

 条件として住宅を要求されたが、開封への集住を許可すると、「湿地の民」の南北戦争が始まった。

 南北ともに湖で戦ったため、こちらから見て左側が敵の「北」、右側が「南」だった。

 結果はこれまで戦力を温存していた「南」の勝利であった。

 更に我々は「北」の本拠地への攻撃を共同作戦として行う事とした。

 敵が本拠地を失えば攻撃は止むはず。

 そう信じて、「北湿地」への攻撃が始まった。


 「北湿地」には、バビロン州にある東西の川を遡上すると行けるらしい。

 そして「南湿地」の軍隊とともに「北湿地」へ向かう。

 まだ見ぬ世界である。

 川を上ると、小屋や木々が所々にある。

 その全てを焼き払い、水路網を破壊する。

 二度と外を夢見ぬように、湿地と小川の間に10ブロック程度の盛り土をした。

 二度と船を造れぬように、木という木を焼き払い切り倒した。

 二度と軍を出せぬように、湿地を完全に封鎖した。

 そして巨大な地下牢を建設した。

 敵軍捕虜をここに収容するためだ。

 勿論湿地であるため、水牢にもなっている。


 こうしていると、報告が入った。

 西方軍が勝ったらしく、撤退してくる「北湿地の民」を発見した。

 それら全てを捕虜化し、深さ50B(ブロック)の地下牢に入れた。

 これで戦争は終わった。

 全く終結した感じはないが、護国戦争は旧世界軍の勝利に終わったのだ。

下にある評価ボタンで☆☆☆☆☆(星5つ)を付けて頂けると、大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆☆☆☆☆評価とブックマークがあると励みになります。
更に下記ランキングボタンを押すと作者の命が数秒延びます。

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[良い点] 開闢物語編「護国戦争、終戦?」まで読ませてい頂きました。 自分で作ったマインクラフトのマップの世界へ入って行ったストーリーですね。 マインクラフト自体の存在は知ってますが、 プレイした経…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ