三壁戦争講和条約
月都・東安・石野の3国同盟が締結され、開戦からゲーム内で約2週間。
三壁への和平提案は無視され、外街7区侵攻の刻限が訪れた。
敵も必死なのか、外街5区が外壁伝いに攻略された事から、既に外壁の一部を爆破していた。
更に鉄路も数本を残し破壊している。
もし攻略しても、補給ができなくする予定らしい。
という事は持久戦に挑む気だろうか。
しかし向こうも長続きせぬ筈。
穀倉地帯の石野が反旗を翻した今、残る領土は首都圏のみ。
つまり現在、食糧難のはずだ。
幾ら備蓄していようと、人口は1000を超えているため、包囲され続ければいずれ枯渇する。
それにどうやら三壁共和国は、外街6区から外街10区へと続く地下鉄の存在に気付いていないらしい。
私が作った都市なのだから、私が知らない情報はない。
それに対して敵軍は都市を使いこなせていないようだ。
加速レールの複々線、物資も兵員も一瞬で運べるのだが、偵察兵によると、外街10区直下まで進んでも無人だったとか。
勝機は圧倒的にこちらにある。
反乱軍は既に北壁に到達したらしく、北門周辺で戦闘が起こっているとか。
東安軍も東壁に到達し、城壁にて両軍は膠着しているらしい。
西壁には西石野からの我が軍が既に押し寄せている。
ここで飾りの城壁しかない南側を落とせば、逃げ道は全くない。
仮に逃げられたとしても、そこは対立するいずれかの勢力圏である。
それに外街7区は、壁外や12区への鉄路など、交通の要衝にある。
ここを落とされれば、三壁の逆転は完全に不可能となる。
そのため7区に進軍すると、やはり弓矢や弩、剣や槍などの各種攻撃の雨を受けた。
最初は劣勢であったが、斬り進めていくにつれ、抵抗はやがて高架上からの射撃程度になった。
そして高架上の敵を掃討するため、外街7区駅を占拠した。
7区駅には40番線ほどあり、京都駅や東京駅よりも番線数が多い事から分かるように、ここを落とされる事は他の領土全てを失う事を意味する。
高架上の敵を斬り落とすと、外街7区での抵抗は殆ど無くなった。
コンクリート造りの高層建築物に立て籠もる事もできるのに。
反乱軍や東安軍に兵力を割かれ、もう余剰兵力がないのだろう。
そして7区で一番高い建物に白旗が揚がった。
外街7区は陥落した。
続いて奥の8区や9区でも、無抵抗のまま白旗が揚がった。
外街10区までの道のりは奇襲に備えて高架上を通ったためか、無人で、勿論無抵抗であった。
するとその途中、大きく華美な旗とともに、数人が現れた。警護兵と代表者のようだ。
『三壁共和国大統領』と名乗るその人物は、講和の条件を訊いてきた。
折衝がある事を見越して、外街6区までの割譲に石野の独立、そして11区と12区の東安への割譲まで要求した。
すると大統領は、少しの躊躇いも無くそのまま了承し、講和文書に調印した。
三壁側では非常事態という事で、大統領に権力集中が行われたらしい。
そして大統領は、我々を刺激しないよう、如何なる要求でも呑むつもりだったとか。
この大割譲により、三壁の本土は首都圏である外街7区から外街10区までとなった。
三壁は唯一の壁外植民地・石野の独立を認め、更に発展の期待される地域である外街11区と外街12区を東安が掠め取り、南三壁と西石野を月都帝国が獲得するという結果に終わった。
三壁では侵略の端緒となった南進策を唱えた派閥が追放されたとか。
しかしこちらも脅迫のつもりが侵略となり、更に独立戦争にまでなってしまった。
異世界における第1次世界大戦といっても過言ではなかった規模の戦争が、1年も掛からずに終結してしまった。
この完全兵装はあまりに強すぎる。
東安に譲渡したり兵士に貸与したりした兵装は1つ残らず全て回収し、高山の宮殿の隣の武器庫に元通り封印した。
そして南三壁からは撤兵し、同盟国として三壁公国を独立させた。
三壁公には南三壁の指導者で、かつての連合政権にも関わっていた者を指名した。
西石野には戦功のあった者に土地を分け与え、直轄植民地とした。
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