巨大首都星の内と外
高山帝国の連邦化から暫く経ち、世界の統一も成され、更に巨大なダイソン球まで完成した。収奪し切れない程の資源を抱えるネオ・アカデメイア星からは最早一歩も出る必要はない。形式上の皇帝として未だに君臨はするものの、戦争も無ければ統治は必要無く、内側表面の間を航行する大量の宇宙船は「星内の」宇宙空間を通るために内側表面上には道路は必要無く、各都市の自警団が大抵の問題は解決してしまうために国というものも存在しないに等しかった。しかしこの繁栄に異議を唱える勢力が現れた。星外の民。ネオ・アカデメイア近傍の星は全て原材料として溶かしてしまったがために存在しない。従って最も近い星でも何百光年という距離がある筈。そこから光を全く放たないこの星を発見するなどほぼ不可能に等しい。事前に存在を知っていない限りは。
星外の民と暫定的に名付けた彼等は、突如として惑星サイズの宇宙船に乗ってやって来た。着陸許可を求める彼等であったが、簡単に着陸許可を出す訳にはいかない。というのも実は、電子宇宙では当初重力が設定されていなかったものの、ネオ・アカデメイア星を作る際に建設の都合上、近傍宙域にだけ重力を設定したのだ。つまり、この惑星サイズの宇宙船の着陸は、他の宙域なら出来たとしても、この近辺では出来ない。しかもそれ以前に、ネオ・アカデメイア星にいきなり星外の民を着陸させる事は出来ない。相手の知識量や情報量によっては、インカやアステカの二の舞を演じかねない。すると星外の民は同様に惑星サイズの宇宙船を次々にワープさせてきた。ついにはネオ・アカデメイア星はその巨大さに勝る包囲網によって包囲されてしまった。星内の民はそんな事を全く知らずに暮らしているが、外側表面に来る事がある者は皆、宇宙に浮かぶ星の殆どが敵艦船だという現状を痛感している。しかし彼らはやがて何も無かったかのように突如姿を消した。集団幻覚かのようにも思われたが、記録にはきちんと残っている。間違いなく、彼等「星外の民」はネオ・アカデメイアを包囲していたのだ。
この少し前の事。ネオ・アカデメイアから数千光年離れた先では、ある都市国家が覇権を握っていた。彼等もまた、ようやく宇宙進出を果たした国家であった。彼等は宇宙進出を果たすと同時に、あるものを見つけた。未知の技術がもたらした宇宙船であった。限界までのワープを100回以上繰り返して辿り着いたその宇宙船は、丁度3000kBほどの大きさの、葉巻型UFOといえる形状であった。エネルギー切れで最後のワープの惰性でそのままその都市国家のある星に墜落した宇宙船は、極めて大きな衝撃にも関わらず全くの無傷であった。現実世界をも凌いだか科学力を持つ彼等にとって、その宇宙船は未知の高度技術の結晶であった。やがてその宇宙船からある人物が降りてきた。彼は皇帝を名乗り、彼の率いた軍勢はその都市国家を一夜にして征服した。
征服者である新皇帝の「到着」を祝う式典が翌日開かれ、都市国家の民はそれを大いに歓迎した。というのも、歓迎しなかった者は全て消し去られたからだ。リスポーン機能のあるこの世界で、最も重い刑罰はこの都市国家では追放であった。都市からの追放、つまり非文明的生活への逆行であったのだ。そして旧権力階級は全て未開の惑星へと追放処分が下され、その都市国家がようやく手にした月面領土を一瞬にして開発し尽してしまった。更に都市国家の中心惑星の大洋には乗ってきた宇宙船が運ばれ、その上に彼等は都市を築いた。三重の巨大な堀に中央宮殿が築かれたその都はポセイドニアと名付けられ、都市国家の全てを吸い尽くした。そして彼等は国号を、彼等の故地に因んでこう改称した。「東安国」と。
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