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世界の接続

 宇宙開発においては今の科学水準で十分可能であるため、部品などの技術面が重視された。そして雪花の工業地帯には宇宙技術研究の会社が何社か設立され、研究競争においてはかなりの速度で他勢力を引き離していった。更には爆薬研やエネルギー研のデータなど、全ての研究データという研究データが、「第6研究所」である宇宙研究所の置かれた高山の宮殿の一室には集められ、半年もせぬうちに打上実験が西域で繰り広げられた。数十度に亘る実験の末、天門1号が西域打上基地から発射された。打上は成功だったが、1つ問題が生じた。「宇宙世界」との交信が出来なかったのである。幸いにして地球周回軌道へのプログラムは電波誘導ではなく自律式の慣性誘導であったが、結果が分からない。そこで世界の修正が行われる事となった。従来は異世界間の通信は不可能であったが、この修正によって交信が可能となった。そして電波望遠鏡なども地上に設置されながら、打ち上げた衛星・贏政からの交信が行われた。この洒落は研究者の1人が考えた親父ギャグであり、ここ最近お疲れ気味の研究者達にとっては爆笑ネタだったらしい。研究者の過労を案じてカウンセリングを設置しようと思ったのもこれが切っ掛けだった。「贏政」は「地球」周回軌道に乗って、地球世界の各地の画像を撮影した。しかし殆どが未探索の我々には、それがどこかは分からなかった。唯一分かったのは、夜側の画像で我々の都市群のみが唯一つ光る点として写っている写真だった。昼側では太陽を強めに設定した所為(せい)で殆どの写真が白い背景になってしまった。このような調子で太陽も設定修正が行われたり、公転軌道の設定が行われたりと、様々な事が行われていった。そうしてこの「贏政」の打上は様々な見識をもたらした。続いて月面探索であったが、「月世界」との距離は現実に則したものとしたため、38万B(ブロック)先に設置された。また月の公転も設定されたので難易度はかなり上がった。それに対してその報酬も設定された。現実の月ではあまりに寂しいため、月の地下50B(ブロック)は様々な資源がランダムで存在するように設定したのだ。そんな事をしたものだから、ふざけて「月の土地売ります」などというネタに走る者共でさえ宇宙開発に投資するようになり、探査機も打ち上げられた。また東安帝国でも月読(ツクヨミ)1号が打ち上げられ、地球世界の周回軌道を素っ飛ばして月が目指された。しかし月読1号は月面に激突した模様で、到着こそ成功したものの軟着陸は失敗に終わった。一方で第6研究所は洒落で取った秦始皇帝・贏政に続いて、漢代史上最大の影響を残した皇帝・武帝の名を取った「劉徹」は月周回軌道に入り、子機として「司馬遷」と「張騫」が月面軟着陸に成功した。また通信は子機から親機である「劉徹」を経由して地球世界に送信された。「司馬遷」は月面表側を、「張騫」は月面裏側に着陸し、クレーターのない平坦な月面を映し出した。また「司馬遷」は爆薬を月面で炸裂させ、どの程度のものかを実験した。勿論地球世界からは観測できる訳もなく、せいぜい数B(ブロック)程度の影響に終わった。また人工地震による探査も行われるなど、前回の地球周回の時には居なかった新人材が入った事によって様々な事が行われた。一方で東安では月読2号の有人月着陸船としての打ち上げが決定された。軟着陸も成功させた事がないのに、とかなりの言われようではあったが、東安帝国は強行しようとした。しかしかなりの反対に遭った所為(せい)で十分に燃料が調達できず、地球世界を周回する宇宙ステーションの建設計画へと置き換わった。月読2号は地球周回に成功し、定期的な食糧補給さえあれば定住できるようになった。また周回軌道上の「贏政」との衝突防止のため、月読2号は静止軌道上の「贏政」より50km、つまりは5万B(ブロック)ほど高い高度で飛んでおり遠心力に抗う必要があったため、燃料も幾許(いくばく)か必要とした。月周回探査機「劉徹」の成功により、月面の概要が少しずつ分かり始め、民間でも打ち上げを試みる者が現れた。開封の商人団は東安帝国と同じく湿地打上場を利用し、地球世界周回軌道に「趙匡胤」を打ち上げた。現実世界の開封に都した北宋王朝の初代皇帝の名から取ったらしい。開封商団は続いて月面を目指す資金を募るファンドを立ち上げた。するとあっという間に証券化され、更にはまだ得ていない月の土地まで独自に売り出し始め、開封に月世界取引所を設ける事となった。資金調達はそのためかなり順調に進んだが、北宋2代皇帝の名を取った「趙匡義」は1度打ち上げに失敗した上に、「2号」に至っては地球世界から脱出する前に落下を始め、開封西沖に落下して大騒擾となった。この騒ぎによって開封の月世界取引所は価格崩壊を防ぐためのストップ安を連日のように掛ける事となり、ゲーム内での1週間、現実世界では1日もせぬうちに、月世界の証券は紙切れも同然となった。そして開封では同業者同士での責任の押し付け合いが始まり、遂には放火事件にまで発展した。それもロケットエンジンの燃料を垂れ流して燃やすという悪質なもので、開封市の75%が焼け落ちた。そんな中、月都政府は「天門3号」の打ち上げ成功と、月着陸無人船「劉秀」の着陸成功を発表した。これもあって、開封商団の信用はガタ落ちとなり、持っていた権益の殆どを月都商人が掠め取っていった。更に開封再建を巡って東安政府と月都商人が対立し、これも宇宙開発競争に仮託されるようになった。東安では既に打ち上げた宇宙ステーション月読2号への搭乗を目指して、有人宇宙船月読3号が開発された。そして月都の有人地球周回船「李淵」の打ち上げと同日に打ち上げられ、双方ともに成功した。背後では2基の衝突を防ぐための回避運動の計算が絶え間なく行われており、高度調整や方向調整も至難の業であったが、研究者達はそれを見事にやってのけた。しかし問題は帰還である。現実の地球ならどこに着陸しようとも市街直上でさえなければ問題ないのだが、未探索領域が殆どであるこの「地球」では、少しのズレが行方不明や送迎不能に繋がる。そこで第6研究所は「贏政」が撮影した写真を元に、誤差が出ても問題が無いように、南方3都市の南岸にあたる部分の海に着水させる事を目標とした。一方で東安の研究グループは上空で逆噴射を行い、途中で部品を細分化して投棄しながら戦闘機での上空での保護を考えた。そして周回軌道上での有人飛行が成功した後、帰還の時を迎えた。「李淵」が進行方向を変え、地球世界へと進む。そして地球世界への突入を確認した時、バビロン東約100kmに飛翔体を確認。約45度で突入し、だんだん0度へと近付けていく予定であった。着水時までにはパラシュートは無事開いたが、着陸地点は大幅にズレ、危うく追跡不能となる所であった。一方で東安の「月読3号」は戦闘機での上空回収に失敗し、部品は南方数百B(ブロック)あたりに散乱しているのが発見され、宇宙飛行士は行方不明となった。しかしリスポーンしていない事から、何かの拍子で本当の意味で死んでしまったか、どこかで生きているかのどちらかであると推測される。その後、5大研究所はこの電子世界がインターネット上にある事を明らかにし、ネット上に存在する世界を実際の星として「宇宙空間」に投影したと発表した。つまり、インターネット上の世界(オープンワールド)は全てこの世界を中心に(と断言すれば誤解を招くが)、「宇宙空間」という新しい世界によって接続された。中には元は同じシード値やデータから派生した世界があるらしく、それらは惑星系になっているという。そしてこの世界は元々「アイススパイク村」なる公式シード値を元にしているため、割と他の惑星が多い星系なのだという。他にも人気のシード値や配布ワールドの世界は多数存在し、1万以上の惑星が混在する惑星系が存在するとか。我々の星系は公式シード値である上に、この世界データも配布したものから成立したものであるため、1000ほどの惑星が存在するという。作成日時順に外惑星となっていく形式らしく、またそれぞれの星が月を有している。5大研究所は同じ惑星系にある星、つまりは「同じシード値の星」の月全ての裏側に基地を設定し、そこには我々の星の位置とこの世界の構造について解説した文書を配置したと発表した。また宇宙最大の星系はやはり「舞倉市」の星系らしく、ここからかなり遠い位置にあるため直接航行は不能だろうと結論付けた。

取り敢えず、ここで完結となります。ここまで読んで頂きありがとうございました。

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