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空軍の整備

 一方で地対空ミサイル防衛網の建設を進める月都帝国では、雪花の植民地の最西端で、何度も実験が行われた。更にはコンピューターが秘密裏に開発され、現代兵器の開発も進んでいった。兵器開発は年間予算の0.1%以下と定められたが、それでも莫大な予算があった。地対空ミサイルが完成したのはゲーム内で数年が経過した頃となったが、その間、戦闘機も同時並行で開発が進み、実用化に至ったのはこちらが先であった。世界初の飛行は飛行場用地が無かったために海上で行われた。更に都南諸島では空母の建設が進められ、軽い飛行機なら載せられるようにもなった。しかし対立国が存在しないため軍拡は必要なく、それぞれ各1機1隻ずつの試作(プロトタイプ)が作られるのみに終わった。研究データは高山市街の地下にある「暗黒の空間」に隠された。「暗黒の空間」は表向きは高山の南の農場を管理する組織の高山市農林局が、高山市街の地下に広がるこの空間への唯一の入口を管理している。この空間への入口は1つしかなく、他の場所には市街地が広がっているために掘って侵入に挑むのは極めて困難で、市街から直下に掘るにも厚さがある上に、高山市街の1階は全て商業施設化されており、掘って怪しまれない環境すら存在しない。まさに秘密図書館であった。また「暗黒の空間」は一切灯(とも)されておらず、また明かりを持って進む事も許されていないため、もし侵入者などあればすぐに光の存在で分かるようになっている。また構造も迷宮化しており、慣れていなければ探すのも難しい。こうして徹底的に隠匿される事により、飛行技術は東安の手には渡らなかった。しかし東安東西戦争はさながら1次大戦の様相を呈しており、国家間の総力戦にも等しかった。両勢力は皆兵制の下で激突し、近代技術戦での継戦力の維持例を示した。月都帝国はこの戦争を分析し、次の物量戦に備えて広大な植民地からの資源をなるべく自国領内に留め置かせるようにした。高山川の三角州はそうした資源の保管地の1つとなった。そうした中で、東安ではパラグライダーに次ぐ飛行手段が登場した。エンジン式の複葉機は空へと飛び上がり、遂には金台海峡を横断して月都や高山からもその姿を確認できた。しかしこれを何者からの侵略と勘違いした月都軍は全砲門を向けて砲撃し、更には試作段階のミサイルを発射し、試作戦闘機をスクランブル発進させた。その結果、東安から飛び立った複葉機は相次いで撃墜され、パイロットは全員鎖に繋がれていた。そんな事も知らずに東安側が次々と複葉機を飛ばした結果、累計撃墜数は4にも達し、部品などは詳細に調べ上げられた。そして鹵獲品だけで東安型複葉機の再現に成功し、月都沖でその性能などを試していた。するとまた東安から複葉機が飛び立ち、何と出くわしてしまった。パイロットは困惑し、一旦帰還を試みたものの、鹵獲品で再現した複葉機には機関銃を搭載しており、同様に撃墜した。その風景を海岸で見ていた東安の研究者らは驚き、そこで政府間会合に至った。そして捕まえたパイロットの解放と、行方不明者の捜索が行われた。都南半島では月都地峡が開かれて以来無人となっていた事を活かして空軍基地が置かれており、そこから試作機が飛ばされていた。そして海域探索の結果、残骸が発見された。海底深くに沈んでいるために簡易的な調査が行われたのみであったが、脱出の痕跡が存在した。しかし捜索空しく、結局は見つからなかった。そうして互いに秘密裏に研究していた事が相手に知られたのであった。

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