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由美と国際情勢

 一方の東安国内では、開封運河の通行税制によって経済が壊れ始め、東安への必要物資の供給が滞り始めた。

 そこで開封遷都論が巻き起こった。開封は占領下ではあるが全ての地域とより簡単に繋がれるという触れ込みで、また月都側も東安の属国化を目論見、これを支持した。

 とはいっても東安の主流は開封「奪還論」であり、東安は南北からの一斉挟撃を計画していた。

 しかしその計画が事前に露呈し、運河の封鎖により東安市は食糧不足になりつつあった。

 更に東の水路地帯をすぐに占拠した月都軍は、東安の外壁内に攻め入り、残すは内壁のみとなった。

 そこで東安が降伏し、現実世界での1ヶ月分の徴税権その他全ての権利を奪い尽くした。

 東安帝国は領土こそ失わなかったものの、大幅に経済力を減じ、かつての大国の威容は消え去ってしまった。

 そこに由美の三壁公国が擦り寄った。美子の西森、萌香の雪花は今やそれぞれ大国程度の経済力を持っているが、三壁は大敗北によって領土をかなり減じられたのだった。

 そこで由美は東安からの使者と共に、秘密裏に東安へと亡命した。

 東安国内では東の湿地植民地への開拓が進められつつあった。

 既に発展した海岸地域は全て月都に押さえられ、首都ですら危うい状況。

 これに対して内陸はまだ侵略が進んでいなかった。何とか多くの人材や資本が東安から移転させ、首都人口は食糧を自力(あきち)で賄える程度になった。

 そして東方植民が進む中、開封奪還を掲げた反政府運動が巻き起こった。

 東安政府には最早実権は無く、反乱軍が独自に月都及びその従属国に宣戦した。

 各反乱軍の首領は次々捕まり、開封の宮城(きゅうじょう)予定地内に収容された。

 また開封港が突如爆破され、暫く修復される事がなかった。恐らくは現地に居た月都軍がやった事だろうが、詳しくは分からなかった。

 これに対しては軍の発言力強化を恐れて、(トップ)を挿げ替える事とした。陸軍大臣と海軍大臣を兼任していた元海賊の首領・田中を解任し、暫く私の直轄とした。

 開封港が破壊された事により東安商人は途中停泊地を失い、運河の渋滞を防ぐために港以外での停泊を禁じたため、通行量はかなり減少した。

 このような経緯もあって、東安市民は皆東方への植民に進み、沿岸部を去っていったのであった。

 占領地である開封ではそのような傾向は起こらなかったが、港の爆破によって商業が著しく減退していった。

 最早搾れるものは搾り尽くしたという事で、運河の関所を廃止し、更に開封市も東安帝国に返還した。

 但し条件として今持つ全ての政府資産を譲渡させた。

 東安政府としては開封返還で人気取りをしたかったというのが実情だったが、これによってかろうじて首都の地位を有していた東安市にある宮殿や政庁を手に入れ、競売(オークション)に掛けた。

 上限設定(オランダ)式ではなく下限設定(イギリス)式の競売で執り行なった。

 この競売により、人々は返還の条件が政府や帝室資産だった事をはっきりと認識した。

 これを聞いた商人の多くは開封返還に伴い撤退し、月都などに戻るか移転した。

 やはり商人達の予想通り、開封に無血入城した東安軍は略奪の限りを尽くし、撤退出来なかった者は大損害を被った。

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