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悪趣味な金の塊と怪物

 「外街1区」―私が建てた、最初の植民地区―。

 閉門寸前で入れてもらい、何とか宿を借りようとするも、カネがない。

 どうやらここには私達同様の異界人が沢山いるようだ。

 通貨にはエメラルドよりも金や鉄が用いられていて、他にも沢山市街区があるらしい。まあ元々は全て私が建てたのだが。

 某漫画を参考に作った3重城壁は機能していて、外街1区~10区と中街1区~4区が連合し、「三壁共和国」なるものを作っているらしい。

 三壁というのは「みつかべ」という読み方と「さんかべ」という読み方の2通りがあるらしく、まだ始まって暫く経っていないからか、読み方が統一されていないらしい。

 三壁市内、つまり壁内では既に危険な生物は駆逐されており、夜でもそれなりに安全だという。

 とはいえそれなりに安全とはいっても疲労困憊の中、美子を連れての移動は危険すぎる。

 じゃあ金目のものは何か。

 そうだ。地図データがあるではないか。

 あれをインポートさえ出来れば。そうして製図屋に行ってみた。


 やはり驚かれた。製図屋が言うには、

 「これは金ブロックでもネオ・ファロス島並みに要るなぁ」


 ネオ・ファロス島―私がクリエイティブモードで作った、悪趣味な金の塊。

 金ブロックを10000個以上は使ったから、1基で1000億円くらいに相当する。

 ここからなら近いが、そういえば誰が所有しているのだろうか。

 取り敢えず製図屋にはこれで今日の宿代を出して貰い、一夜を明かした。

 一夜が明けると、外街1区では大騒ぎとなった。

 「謎の旅人」がとてつもない広さの探索図を持ってきたという噂だ。

 もしや私の事では、と思いつつもあまり気にせずに外街1区から壁内へ入ると、ゲームでは見慣れた光景が広がっていた。

 しかし今の目的は壁内探索ではなく壁外探索。三壁共和国を後にして、他の都市も見ておきたい。

 外壁の南東口から出るとネオ・ファロス島―この世で間違いなく最も高価な建造物―がある。

 解体すれば中小国程度の軍事力は容易に手に入る。

 開闢からまだ数日らしいこの世界なら、最強の切り札である。

 今すぐ、ここの所有者を明確にしておかなくては。

 南東口を出てすぐ、金の塊が見える。ここには黄金の図書館に黄金灯台、黄金宮殿を併設している。

 しかし、入ってみると誰もいない。

 何故だろう。

 その理由はすぐに分かった。

 二足歩行の犬のような、爪の異様に長い、黒い化け物がいたのだ。

 チュパカブラだろうか。こんなものはゲームに居なかった筈だが。

 私と美子はすぐに、1つしかない細い出入口から転げ落ちながらも、脱出した。

 しかしこの怪物は、扉よりもこちら側には出てこない。

 当面の間はこの怪物が資産を守ってくれるようなので、放置しておいてよさそうだ。

 しかしすぐ近くの三壁共和国ですら手出しができていないのだ。きっとよほど強いのだろう。

 この近くには、ネオ・ファロス島を守るために作った、サンドリアという名の砂岩ブロックで作った海上要塞がある。

 サンドリアに行ってみると、エンダーチェストがあったので、中身をダメ元で確認してみる。

 見てみると、フルエンチャント=ネザーライトソードがあるではないか。

 こんな事を言っても分からないので説明すると、完凸の最強の剣があったという事である。

 「修繕」も付いているので、失くさない限りは最強である。

 ん?これなら怪物退治ができるのではないか。


 翌日、フルエンチャント=ネザーライトソード、略して剣を持ち、ネオ・ファロス灯台の扉を開く。

 怪物(チュパカブラ)が全速力で向かってくる。

 これが鉄の扉でなければ、既に三壁市にも被害が及んでいる事だろう。

 剣を構える。あとは斬れるか否か。いや、突く方が確実だろうか。

 怪物が襲い掛かってくる。

 すると、突き立てた剣に刺さる。

 まだ暴れている。

 重さがもう限界なので、下ろしてから斬る事にする。

 しかし何度斬ってもなかなか倒れない。

 こっちはノックバック効果のお陰で生きているようなものだ。

 延焼ダメージも付与してあるはずなのに。

 そう思っていると、何十回斬ったか分からない頃になってやっと倒れて、経験値を放って消えた。

 後から思えば、エンダードラゴンの亜種のようなものだったのだろうか。

 後の者が入りにくいようにブロックを置きまくって、逃げるように去る。

 もう倒して存在しなくなってしまった怪物(チュパカブラ)の存在を何とか信じさせておかないと、三壁市は今すぐにもこれを解体して大帝国を築くだろう。

 そうされれば、元々は私の世界なのに自由に暮らせないという状況が固定化されてしまう。

 いつかはこの超大国を倒してみせよう。

 そんな妄言を、と同じ転移者たちは言うけれども、私には創造者特権がある。

 壁の外や様々な建造物の本来の使い方についての見識である。


 建築物といえば、三壁市があるという事は私の建設した「東安(とうあん)」市や「月都(げっと)」市には同様に国家が存在するのだろうか。

 それを少し楽しみに思いつつ、壁外探索を開始した。


 東安市は三壁市とは湾を共有する形となっている。

 つまり、東安への道のりはただ湾岸を進めばよいだけだ。

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追記

いきなり来年以降投稿予定の第3章の伏線って良いんすかね。

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