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人手不足の補充手段

 或る日、美子は通常モードに戻った。

 何の理由かは分からないが、とにかく元に戻ったのだから良いだろう。

 とはいっても条件付きであって、2人きりになるとデレモードに移行する。

 却ってこっちの方が危ない気がしないこともない。

 暫く高山に居ると、ある事に困った。

 超(very)が何個付くか分からないくらい、暇だ。

 街の構造も知り尽くしている状態では、商店を巡るくらいしかする事がない。

 しかし高山市はそこまでの大都市として設計しておらず、古代風にしては特異な7階建のインスラ群しかない。

 競馬場も住居に改装してしまった。商業用地は1階だけだ。すぐに尽きてしまう。

 今の高山市長は美子がやっている。

 つまりこの繁栄は美子のお蔭なのだが、元々(わたし)の設計が悪い所為(せい)で、狭い。

 そういう訳で、私は日中の間は雪花市に向かう事とした。

 雪花市の宮殿、つまり萌香の家に行って、時間を潰す。

 ここには高山には存在する他人の目というものがない。

 宮殿は空堀で囲まれていて、攻め落とされたり埋められたりしない限りは誰も入ってこない。

 だからこそ、安心して話す事が出来るのだ。

 萌香と話していて、数日前の大逃避劇で分かった事が1つある。

 美子に負担が集中し過ぎているのだ。明らかに過労状態である。

 しかしこの広大な領土を統治するには、「信用できる」人手が足らない。

 こうなれば、「4人目」を召喚するしかない。

 しかし誰が適任か。私と美子は元からだったし、萌香のように何故か来てくれる人はそう居ないだろう。

 私がある人の名前を出すと、萌香は何故か渋々それに同意し、取り敢えず呼び出してみる事にした。



 すると彼女、由美はそれに応えてくれた。

 元世界でよく話しかけてきた人なので覚えている。

 由美はかつての同級生である。

 割と要領が良い方で、少し小柄だ。

 別に付き合っていた訳ではなかったが、一緒に歩いているとそう勘違いされた事も数度あった。

 何故か萌香はいつになく不機嫌だ。

 何かあるのだろうか。取り敢えず由美に現状を話すと、

 「()んでくれて嬉しい」

と言ってくれる。

 結構そういう人が多いのか、と思いつつ、由美には政局の安定している南三壁を任せる事にした。

 美子は今、高山以外に三壁と西森、石野を管轄している。

 要するに萌香に任せている雪花以外の全領土、といった所だ。

 そこで美子には「働き方改革」を提案し、由美が南三壁の管理者となった。


 萌香と話していると、美子が南北に東西に奔走していると分かる。

 道のりとしては最果てにある南三壁を除いたとはいえ、高山から石野まで行って帰ると、それだけで数日が無くなる。

 鉄道網の整備が進んでいるとはいえ、直線距離にして1000B(ブロック)。道のりで換算すれば1500B(ブロック)はある。

 そこで距離の近い雪花と高山を萌香が担当し、美子に北方を任せる事とした。

 どうにか高山に美子を置いておきたい、と思ったが、萌香に諌められて諦めた。

 美子のため、とはいえ辛いものだ。


 こうして我が国にも、ローマ帝国のような分治体制(テトラルキア)が成立した。

 北の領土を美子が、南三壁を由美が、そして南の領土を萌香が担当する。高山については私が仕事をする。

 こうすれば暇にはならないだろう。

 我が国では三壁戦争時代に、全ての資産に0.1%の税を課す代わりにそれ以外の一切の税を取らない事にしたのだが、

 申告税制であるため、市長の元には大量の納税者が訪れる。

 税を納めると「1年国民証」を付与し、帝国内での保護手形とする。

 納税しなくても特段罰せられる事はないのだが、先の戦争の後からは急増した。

 というか実は税を取らなくても、金台のファロス灯台を崩せば財源は確保できるのだが、国民となるからには保護対象なのだから、無駄に増えられても困る。

 誰でも納められる程度には課税が要るだろう。

 そう考えての事だったが、納税者の列が出来てしまっているのだ。

 別に財源には困っていないからという理由で0.2%で2年分という対応もしていたが、1%持ってきて10年分発行してくれというのが多発し、煩雑になるので元に戻した。

 国庫は膨れ上がったが、使う用途(あて)がない。

 本来なら貧困層に渡すだとか、インフラ整備だとかなのだろうけれども、特に食に困っている者も居なければ、インフラは最初から整備済みの地域がある始末。

 ゲーム内の1年というものはすぐに過ぎるもので、5日ほどである。流石に納税受付が処理限界となったので、これからは0.1%で10年相当とした。元世界の感覚だと50日だ。

 国庫も潤っているし、市中から資金を巻き上げる必要はないからだ。

 何よりも、5日に一度来られるのは受付が面倒だからだが。

 これにより空前の好景気が始まった。

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やたら「とにかく」というワードを多用しているような気がします。

トニカワの事を考えているからかな?

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