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外部との接触

追記: 何か会話文無いっすよねぇ…(第2章書いてて気付いた)

という訳で第2章からは多くしますよ!

 全軍が撤退し、元に戻ったのはそれから1週間経った頃だった。

 物的損害は北三壁の廃墟群程度に抑えられた。

 人的損害はリスポーン中に殺された者がいないためゼロ。

 というか、リスポーン中に殺されたら復活できないのは初めて知ったのだが、ここでは経験則として知られているようだ。

 壁内はやはり3つに分かれたままらしく、三壁公国が統一する算段だったが、北や中央部にはまだ帝国の残滓があるらしく、三壁連邦として3国分治という形を取った。

 移住した湿地系の多い、北の北三壁国。

 亡命者の多い、中央部の正統三壁帝国。

 そして南の三壁公国。

 一方で西森共和国は護国戦争中に本土侵攻を受け、月都帝国との同君連合を所望(しょもう)し、同君連合化した。

 そして東安帝国は領土再編により、未確定だった領土の多くを確定させた。

 また壁内植民地3州の1つで、係争の種となっていた下街区を返還した。

 しかし残る2州の外街11区と12区は返還されなかった。

 護国戦争の結果として、月都・東安・三壁の三国での防衛協定が締結された。

 商都高山は月都帝国の繁栄を物語るかのような大都市となった。

 しかしそれを聞きつけたか、攻め込もうとする者が現れた。


 彼等は「雪原の民」と名付けられた。

 西の民の原住地よりも南の、無主の地の先住民だとか。

 そして護国戦争で月都帝国の目が東に向いている間に、高山の西200ブロックに都市を見つけ、そこに定住したのだという。

 あれはペテルブルクをモデルに造った都市、湯岐(ゆき)市だ。

 雪の中に建てたからという安直なネーミングだ。

 雪原の中にクォーツで建てたせいで見つけにくかったのだ。

 というか、せいぜいミニ・ミハイロフスキー城を建てた程度だったから、自分もてっきり忘れていた。

 何はともあれそこが敵の橋頭堡なら、そこを叩かねばならない。

 そう考えていると急報が届いた。

 「雪原の民」が西森と本土の間の海峡部にある、砂岩の都市・砂山(すなやま)市を占拠し、そこを拠点に海賊行為を働こうとしているらしい。

 まだ砂山市には誰も住み着いていない。

 つまり、このままでは領有権を主張されても言い返せない。

 すぐさま西森・月都連合軍がそこを陥落させると、「雪原の民」が反撃として高山西の畑を包囲したのだ。

 月都帝国軍は湯岐市攻略に向けて進軍し、完全兵装で攻囲戦に勝利した。

 しかしこの攻囲戦は実質向こうが打って出た白兵戦であり、そうならなければ間違いなく長期戦であった。

 この事は建国期の者にしか分からないような、些細な違いだろうけれども、間違いなく敵が強くなっているのだ。

 かつては鉄兵装だった外敵が、今ではダイヤ兵装である。

 もう「完全兵装」でさえ「完全」でなくなりつつあるのだ。

 武器特化の時代が限界を迎えつつある。

 そろそろ新戦術を取らねば。

 この危機感はかつての海賊首領で、今は陸軍大臣を務める田中などの一部の者にのみ伝わったようだ。


 「雪原の民」を湯岐市から放逐した次は、海峡の向こう側へと遠征に向かった。

 目指すは奴等の本拠。そこまでに補給地は一切無い。

 つまり基地を作りながら攻め込み、敵基地破壊が終われば資材を撤収しながら戻らねばならないのだ。

 それができれば暫くは攻めてこない。

 途上に雪原県を設置しながら、本拠へ進軍する。

 結局、行き着いた本拠地は高山市から西に1000ブロック彼方。

 よくこんな所から攻撃してきたものだ。

 村や木々に火を放ち、首領と思しき者を連行する。

 また1人も逃がさぬよう村を包囲し、連行する。

 こうして本拠地を徹底破壊した上に連行まで行えば、再起を図る事はないだろう。

 そして奴隷市場のある北三壁に送り、徹底的に分断する。

 これは高山の南の島々の先住民への政策とは対照的だっただろう。

 都南(みやこみなみ)県を設置した際には、先住民を高山に招きいれ、そして開発援助まで行ったというのに。

 しかし、歯向かうとこうなると諸民族に示しておかないと、いつ攻め込まれるか分からない。

 同君連合の西森では石野を併合し、更に森の民が逃れていた森山まで進出し、月都系君主国の合計では旧三壁植民地を上回る領土を手にした。

 三壁公国は北に進軍し、正統三壁帝国の内部紛争に介入し、遂に併合した。

 そして北三壁国が東安の植民地2州を武力で奪回したと見るやいなや、更に北に進軍して北三壁国ごと併合した。

 この働きにより、三壁を公国から王国に昇格させるほどだった。

 東安帝国は壁内領土を喪失したが、かつて侵攻した「北湿地の民」の本拠地を併合して北湿地を手に入れたとか。

 しかし「南湿地の民」がバビロン州の城壁を突破し、その上石野を併合した西森の三壁との交易により三壁への穀物輸出が再開した。

 これにより収入を絶たれた東安は財政危機に陥ったらしい。

 こうして「南湿地の民」の侵攻と開封蜂起により東安は東方植民地を失った。

 「『南湿地の民』がアレクサンドリア州の南の南海県に攻め込んできたため、月都軍が打ち破って奴隷化し、北三壁に売り飛ばした」

 こんな噂を聞くが、実際は「南湿地」の流した流言(デマ)だ。

 調べていくと、どうやら「南湿地」は東安を包囲し、この機に新王朝を建てるつもりらしい。


 しかしこちらとしては、友好国の東安第1王朝に倒れられては困るのである。

 東安は史上最大の防衛戦を強いられ、(いつも)のように全ての外地を占領され、籠城戦となっていた。

 第1次包囲をあの「魔獣(モンスター)戦線」、

 第2次包囲を「北湿地」とすると、今回の南湿地が第3次包囲だろうか。

 東安は西方の三壁や月都本土と、「湿地」や開封のある東方を結ぶ最重要要衝なのだ。

 欧亜でいえばまさにコンスタンティノープルである。

 そして「南湿地」は東安の堅牢な城壁を破るための様々な兵器や戦術を投入した。

 坑道や砲撃といったものであった。

 新世界の最終勝者・南湿地と旧世界の最終戦争。護国戦争は緒戦に過ぎなかったのだ。

 東安が落ちれば、傀儡の三壁と月都本国のみが残る。

 そうなれば月都本国がいずれ狙われるのは確実。

 今は「完全兵装」が通じるが、いずれは陳腐化するだろう。

 そうなった時、我が国は座して死を待たざるを得ない事となる。

 ならば東安を守る形で交渉せねば。

 しかし「南湿地」の突きつけてきた講和条件は、あまりに承服できかねるものだった。

 東安王朝を維持する代わり、東安を放棄する。

 旧世界での非戦のため、東安・月都両国が武器の一切を放棄する。

 この2条件のうち片方でも呑もうものなら、我が国が講和に応じる意味はなくなる。

 もう、この最終戦争に勝利する他、方法はない。


 この戦争の最低目標は東安の後詰め決戦勝利。最高目標は「南湿地」の滅亡。

 まずは本隊と包囲隊を切り離すところからせねば。

 本隊は東安の東にある岩山にいる。

 それに対し、包囲隊は東安を包む形で、海側にもいる。

 これまでの包囲よりもきつい包囲だ。

 幸いにして海底回廊は無事だが、海側はかなり攻撃を受けたらしい。

 敵本隊を引き離すには、やはりこちらの本隊を出すしかないだろう。

 とはいっても兵は少数。

 これではまだ「完全兵装」を失うリスクが高い。

 ならばバビロン州に未だにいる怪物(モンスター)どもを使えば。

 奴等は数を追いかける傾向がある。

 つまり両方同じだ。

 大勢が動けば、もう1つの大勢も動く。

 敵本隊を少しでも岩山(いわやま)から下ろせれば、あとはモンスターどもにお任せだ。

 南湿地の民はモンスターどもの恐ろしさを知らない。

 というのもモンスターの殆どは人工の横穴に封じ込めてしまったから。

 その扉を開ければ、魑魅魍魎どもが地獄の底から這い上がってくる。

 両方が消耗戦を展開して、どちらかが全滅するだろう。

 怪物共は撤退を知らない。いつまでも戦い続ける。

 手初めにモンスターどもを誘き出し、自らは川に潜って逃れつつ岩山に誘導する。

 現実世界では泳げなかったクセにという点は棚に上げる。

 「モンスターどもの急襲」を見た敵軍は月都軍と勘違いし、それを討伐せんと兵を差し向ける。

 これを見たモンスターどもは更に数が増え…という算段だ。

 敵本隊は崖にてモンスターと一戦交え、薄勝を掴んだ。

 しかし総数は激減し、その分はやはり包囲軍から充当された。

 本陣を奇襲から守るためとはいえ、兵数の激減した東壁包囲軍は、東安軍が敵の殲滅を目指して矢の雨を降らせ、敵を全滅させた。

 結果、完全兵装隊の軍事介入をチラつかせると、敵軍は撤退し、全植民地を返還する代わりに不可侵条約を締結。

 かなりの譲歩を引き出したものだ。


 こうして最終戦争はほぼ勝利に終わったが、東安は小麦道の衰退に伴い産業構造の転換を求められ、陸路の交易路拡大に勤しんだらしい。

 バビロンに残されたモンスターらは南湿地軍により殲滅され、東安はその戦利品などを販売した。

 帝政西森は更に西進し、南西森(にしもり)県と西域(さいいき)県を設置。

 これにより月都系3国の合計領域は旧三壁を上回った。

 捕縛した首領から、「雪原の民」よりも更に遠くに異民族が複数居る事を確認した。

 そのため、この異民族との共存共栄を図るため、辺境県に交易路整備を命じた。

 また東安帝国が大探検を実施、東方1000ブロック先まで探索し、発見した異民族に移住を提案し成功した。

 一方で西方では月都・西森がそれぞれ大探検を実施し、月都は南洋3000ブロックを探検し、南に大陸が広がっている可能性を発見した。

 西森は西方2000ブロックと北方1000ブロックを探検し、更に北方探検隊は北端で東に折り返して更に南下し、東安までの帰還を実現した。

 こうして旧世界は、外側に広がる新世界との共存共栄を図りつつ、経済活動を行うのであった。

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