元剣聖は神話を思い出す。
三話切りを乗り越えた皆さん。おめでとうございます。四話です。
ここから今までにも増して怪文書が連なられていることが予想されますので、お気をつけ下さい。
「まぁーまずは事前情報のすり合わせと行こうじゃないか。常識、基本、それは常に偏見と隣り合わせだからね。正しい知識をもって僕の話を聞かなければ意味がない。そうだろう?」
「その点に関しては同意なんだが、何でそんなに含みのある言い方をするんだ?ただの説明回だぞ?」
「あー何でそんなメタいこと言っちゃうのさ!?メタ的なネタが苦手な読者だっているんだよ?もうちょっと読者的に視点に立たないと!」
リーガンは驚きながら悲鳴を上げた。これでは読者が消えてしまう、と。
ただでさえ一日更新を開けてしまったというのに、さらに読者が減ってしまっては目も当てられない!!
「いや……お前のその発言のほうが何倍もメタいからな?……まあ、とにかくその知識のすり合わせ?とやらをやれよ」
ロンはあきれながら話を進めた。「やれやれ」みたいなジェスチャーまでして。
「そんな呆れた反応しないでよー!この前三話越えたから三話切りライン越えた!と思って何でもありなところを見せつけたかっただけなんだよ?……あー、まあそれは後々のお話で見せていくとするか。このままじゃぐだっちゃうもんね」
「この少ない文字数の中で何回メタいことを言うつもりなんだ……?」
「まーまー、ちゃんと話すから許してよ。まずは、世界の神話からだ。そんなに信心深くないロンでも神話のストーリーをなんとなく、ぐらいなら言えるでしょ?」
腕を組んで必死に思い出す。なんせ、戦争に明け暮れていたような人間だ。神様なんて信じても無駄、なんて考えてはいるものの、この世界の人間は子供のころから神話を言い聞かされている。
「〇きなかぶ」とか、「〇りとぐ〇」と同じようなものだ。
「えーっと、確か白い男神と女神、それに様々な色の精霊がいて、精霊がなんかやらかして神様が封印して、なんかいろいろあったやつ?」
「話すの下手って言われたことない?」
「何で知ってるんだ……?」
どこの時代、どこの地域でも、自覚のないものがいるもの。
その後、リーガンは神話をロンに教えた。
要約すると、こういうものだ。
この地ができた直後、世界には二人の白き神と、様々な色をつかさどる精霊が現れた。
しばらくの間神と精霊は仲良く暮らしていた、が。
ある時、精霊は二人の神を怒らせる大きな悪事を行った。
二人は精霊たちを封印することを決める。
しかし、色のない世界で生きることなど退屈すぎてできない、と考えた二人は、お互いの睾丸と子宮に半分ずつ精霊を封印し、子をなした。
それが我々人間である……といった内容だ。
「こ、こんなえぐい話だったっけ?睾丸とか、子宮とか……」
「万年チェリーボーイのロン君には厳しかったかもしれないけど、神話なんてこんなもんだよ。ゼウスだってたくさん不倫してるし」
「別世界の神を出すな」
ロンは嫌悪感を隠すこともせず、顔をしかめた。
「俺らはガキの頃からこんなえっぐい話を聞かされたってのか?」
「あー子供用の神話……っていうか大体の人の認識ではここまで詳しく知られてないよ?市民たちの神話は口伝だし」
「なぁーるほどなぁ……で、それと俺の今の状態、どう関係するんだよ」
「この神話に精霊って出てきたじゃない?こいつは魔力と、つまるところは髪の色とイコールの関係で結ばれる、つまりは僕らが魔法なんて読んでいるものはすべて精霊の力だってことさ」
「い、いやいや、それはあまりにも飛躍しすぎっつーか……こじつけじゃないか?確かに髪色によって使える魔法は違うけど、それを神話に出てくるようわからん精霊なにがしと関連させるってのは、おかしくねぇか?」
今更だが、この世界には魔法がある。
この世界は髪色によって使用できる魔法が変わる。
赤い髪色の者は火を操る魔法、青系統の髪色の者は水を操る、というようになっている。
「じゃあ、一個思い出してくれよ。戦場でじゃなく、衰弱死だったり病死だったりをした死体って髪の毛が何色になっていたか」
「確かに白かったが……じゃ、じゃあ今の俺の状態は何だ?こんな真っ白な髪色なのにぴんぴんしてるぜ?……まあ、こんな姿ではあるが」
するとリーガンは、にぃ、と笑って、楽しそうに話をつづけた。
「その通り、おかしいんだ。髪色からしても、君の体内にいるはずの精霊は死んでいる。少なくともその体に精霊の恩恵はない。だから僕がこんな都合よくここに来たのさ。わかったかい?」
「まったく、わからん」
気持ちよく話し始めたリーガンから見えたのは、頭から煙を出して、目をまわしたロンだった。
その様子を見て、大げさに呆れたようにため息をつき、こういった。
「まったく、次話も説明回になってしまうじゃないか」
「だからメタいことを言うな」
2020/5/28 22:52 誤字修正