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ルークの一人居酒屋


俺達は今、レナルドの店の前に来ている。俺は店に入りいつもの様にレナルドを呼ぶ。


「レナルドー?いるかー?」


呼ぶとすぐに奥からレナルドがやってくる。


「おやルークさん。おはようございます」


「あぁおはよう。まだ店は開いてないのか?」


「えぇ。今日はお昼から開くつもりですよ」


この異世界の店ではいつ店を開けるのか、とかは特に決まってない。もちろんいつ休むとかもだ。そこは店主の判断なので休もうと思ったら、基本いつでも休むことが出来る。だが、当たり前の事だが、店を開けて商品を売らなければ儲ける事は出来ない。なので大体の店はほとんど毎日店を開けている。


「そうなのか。新しい商品の最高級紙を持ってきたぞ」


「それはありがとうございます」


「さっそく倉庫に置こう。案内してくれ」


「分かりました」


倉庫に向かう。レナルドの店もマリナの店と同じで店に入って右奥にドアがあり、その場所が倉庫になっている。


「この中です」


レナルドが倉庫のドアを開けて中に入る。レナルドの店の倉庫は地下ではないのでそれなりに明るい。とはいっても安い物だが、灯りの魔道具はあるらしい。カンテラみたいな灯りだ。レナルドの倉庫はマリナの店とは違い少し小さい。


倉庫の中にカンテラみたいな灯りの魔道具がいくつか設置されており、その全てに火をつける。それだけで倉庫の全体が見える。


倉庫には塩と砂糖の大樽が2つ置かれている。まだ倉庫には物を置けるスペースがかなり空いているが…


「少し小さい倉庫だな」


「そうですね。私もこの店を買う時はまだ有名でもありませんでしたし、そこまでお金は持っていませんでした。立地は良いのですが、少し小さい店ですから値段はまぁ、他の店よりは安かったですね」


「そうなのか」


長い事この店で商売していたんだろう。だが倉庫は少し小さいからいつか改装して、倉庫を大きくはしたいな。


「いつか店を大きくしたいな」


「えぇ。特に倉庫はもっと大きくしたいですね」


やはりレナルドもそう考えていたようだ。資金に余裕が出てきたらやるか。いつやるかはレナルドの判断に任せるが。


「まぁもう少しお金を貯めたらだな」


「はい」


「じゃあ最高級紙を置いていくぞ」


俺は紙の入った木箱を置いていく。


「レナルド、その木箱には紙が千枚入っている。分かりやすいように、百枚単位で区切られているから、売る時には便利だろ?」


「確かに売る時、いちいち百枚ずつ数えて出すのは面倒くさいですね。これはありがとうございます」


レナルドは1人だからなぁ。店を閉めても、今日の売り上げとか集計しなければならないのだが、その後に紙を百枚ずつ別ける作業をするのは大変だろう。いつかは倒れそうだ。


「一体、何枚分持ってきたんですか?」


「10万枚だ。これだけありゃすぐには無くならんだろ」


「10万枚…。それはかなりの量ですね」


1つの箱には千枚入っている。なので持ってきたのは100箱なのだが、やはり倉庫が小さいため100箱は置けない。


「この倉庫に紙の入った木箱を全て置くのは無理だから、半分の50箱置いていく」


「分かりました。また無くなりそうなら連絡します」


「あぁそうしてくれ。あとこれを渡して置く」


俺はマリナにも渡した女神像をレナルドに渡す。


「これは何でしょうか?綺麗な女神像ですが」


「それはまぁちょっとした魔道具だ。マリナにも渡したが、これはマリナの店やレナルドの店を守ってくれる物だ」


「それは有り難いですね!で、これはどうやって使うのでしょうか?」


「これは自動で発動してくれる。店の何処かに飾っててくれ。まぁ盗まれる可能性もあるから出来るだけ奥に飾っててくれ」


「分かりました」


魔道具とは基本かなり値段が高い。レナルドにあげた念話の指輪も値段にすれば相当高いはず。それをポンポン渡すのだ。この女神の像の魔道具も恐らく、めちゃくちゃ高いのだろうが、ルークさんのやる事だからと考えるのをやめているレナルド。そんな事をレナルドは思っているのだが、ルークは当然気付いてない。


さて特にやる事がなくなったからトワイライト王国に戻るとするか。


「じゃあ俺はそろそろ行くよ」


「分かりました。また来てくださいね!」


「あぁ」


俺はレナルドの店を後にする。久しぶりにやる事が無くなったので、のんびりできそうだ。執務の仕事はあるが、それは俺の中では日課なので入っていない。俺達はトワイライト王国に戻るのであった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


俺達はトワイライト王国に戻ってくる。今日は戻るとは伝えずに戻ってきたからメイド達のお迎えは特にない。


「この後は特に用事とかは無いから自由行動でいいのだが、2人はどうする?」


「ボクは配下のスライム達を見てくるのです!」


「わたくしも少し用事がありますので」


ドラグは俺の身の回りのお世話をする事になっているのだが、このトワイライト王国ではそうではない。まぁ専属メイドのエールがいるのだから、エールに任せればよい。なのでドラグは、トワイライト王国ではやりたい事をしている。まぁやりたい事といっても読書とかそんな事ではなく、メイド達を束ねる執事としての仕事だ。ドラグは真面目だからなぁ。


「そうか。ではここで解散しよう」


「わかったなのです!」


「畏まりました」


プリンとドラグは先に転移門部屋から出て行く。さて俺はどうするか…。久しぶりにこの街を歩くか。


俺は1人で街へ出かける。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


さて、俺は南東エリアの方を歩く事にする。トワイライト王国の南東エリアは食材などが売られている市場なのだが、それだけではなく、屋台や酒場等、食事する場所も多い。なので人通りがかなり多いのだ。俺の国はスラム街がないので、どの通りも賑やかだ。


もちろんここは魔物の国で歩いているのは魔物だ。ゴブリンやオーガをはじめ、少し顔の色が悪いゾンビまでいる。もっといえば明らかに人ではない悪魔だっている。だがみんなここの住人だ。店の経営をしているのは意外にもゴブリンやオーガが多い。ちなみにゴブリンやオーガはスサノオの配下である。


ゾンビはタナトスの配下で本当はスケルトン等もいるのだが、流石にスケルトンは食事が出来ない。人化を覚える事が出来たならば食事をする事が出来るのだが。他にもインキュバスやサキュバスもいる。これはヴィーナの配下である。


インキュバスは寝ている女性を襲い悪魔の子を妊娠させると聞いた事があるが、もちろんこの国ではそんな事をしない。というかこの国ではそんな事したら衛兵が飛んで来る。普通に結婚の制度がこの国でもあるしな。サキュバスも食事は男性の精液と有名だが、この異世界では別段そうでもない。もちろん精液で食事をとる事は出来るのだが、普通の食事でも問題ない。


これは驚くかもしれないがヴァンパイアもいる。しかもこんな良い天気なのに普通に外を闊歩している。ヴァンパイアは太陽が苦手というが、それはこの異世界でもその通りで、太陽を浴びれば皮膚が火傷していつかは灰になる。


まぁ死ぬって事なんだが、なぜこんな良い天気に闊歩出来るかというと、この王国全体に張ってある結界に光遮断の効果が付与されているからだろう。この異世界に飛ばされてすぐにレイアが結界を改造していたな。


ちなみにヴァンパイアも血が食事というのは有名だが、血を飲まなくても全然大丈夫だ。ただずっと飲まなければ喉は乾くみたいなので、その場合はこの王国の周りの森にいるジャイアントボア等の血を飲んでいる。


少し前に、レナルドやマリナをこっそり守るように、ヴィーナの配下に頼んだが、実はその中にもヴァンパイアはいる。その配下は太陽は大丈夫なのかと聞かれたら、大丈夫である。


ヴィーナの配下の精鋭はもちろん、精鋭じゃなくても、実力のあるヴァンパイアは太陽を克服している。太陽が苦手なのは、一般市民や、下級のヴァンパイアだけが太陽を苦手にしている。


魔物だけでなく、もちろんエルフやドワーフ、天使や堕天使も歩いている。あとは少しだが獣人だ。この獣人はリルの配下にあたるが数は少ない。なぜかというと、リルの配下は獣人ではないからだ。この国で歩いている獣人は、リルの配下の魔物が人化、この場合は獣人化だが、その獣人化をしているから、獣人に見えるだけであって獣人化を解けば魔物だ。


魔物から人化するには最低でも中級、上級魔物以上にならなければいけない。なのでいま見えてる獣人は、最低でも中級の魔物になる。それ以下は狼の魔物だ。中級といっても、この世界では恐らくはAランク冒険者ぐらいの強さはある。


当たり前だが狼がお金を払って何かを買うなんて高度な事は出来ない。言葉は理解しているが狼だからな。


その点レイアの配下である悪魔達は人の顔をしてないが、言葉は理解しているし何より手がある。なので買い物も出来たりする。そうそう、この異世界に来て守護王以外の配下の種族が変わっていたな。主に守護王達の情報しか見てなかったから気付かなかったが。


レイアの種族は悪魔種で悪魔から上級悪魔になり魔王、魔神王と、<聖戦タクティクスウォー>ではこの様な進化図になっていた。レイアの他に少なからず魔神王という種族の配下はいた。もっといえばスサノオと同じ武神の配下や、セレスやトールみたいな古代(エンシェント)エルフまたはドワーフも何人かいたのだが、その種族が変わっていた。


セレスが王都で、この異世界の同じ種族のエルフに話を聞いたらしいのだが、どうやらこの世界ではハイエルフという種族がこの世界では一番上らしい。古代エルフは伝説上の話でハイエルフクイーンなどの種族は存在しないらしい。


つまりこの世界ではエルフ→ハイエルフ→古代エルフの進化しかない。しかも古代エルフは恐らく、この世界では1人しかなれないのかも。それか、古代エルフに複数人なろうと思えばなれるが、何か条件があるのかもしれない。


レイアの魔神王もそうだが、そう何人も魔神王が出てきたら異世界でも普通にヤバいよな。たぶん古代エルフも魔神王と同じ1人しか存在できない種族なのだろう。それか、何か条件があり、それをクリアしたら魔神王とかも複数人存在できるのかも。ゲームだから魔神王とか被っても大丈夫なだけであって、異世界ではだめなのかも。女神も最初にいってたが、こちらにもこちらのルールがあるみたいな事は言ってたしなぁ。


なので、セレスやレイア以外の古代エルフや魔神王は、ハイエルフ、悪魔王に種族が変わっていた。


守護王の中ではヴィーナとプリンの種族だけは、なるのが難しそうだ。そもそもヴィーナとプリンの種族になれる魔物はほとんど存在しない。それは何故か。どちらも種族、種類を掛け合わせているからである。ギルドマスターの話ではグラトニースライムがいたという話だが、そうそうにはなれないだろう。


ちなみに悪魔は下級悪魔(レッサーデーモン)中級悪魔(デーモン)上級悪魔(グレーターデーモン)最上級悪魔(アークデーモン)悪魔将(デーモンジェネラル)悪魔王(デーモンロード)になっている。魔神王は魔神王のままだ。これは恐らくだが、魔神王という種族なんてものは元々無かったのかもしれない。武神もタナトスもそうだ。古代○○やプリンの種族はあったかもしれないが…


俺達はこの世界ではイレギュラーだから魔神王とかそういう種族を女神様が無理やり追加したのかもしれない。種族に関しては、またタナトスに纏めてもらおう。


とまぁ最初から人型っぽい魔物は人化出来なくても売り買いは出来るのだが、リルの配下やプリンの配下は人化しないと無理みたいだ。いやプリンの配下は人に化ける事も出来るのだが、喋る事が出来ない。やはり人化しないと喋る事は出来ないのかもしれない。


人化というのはこのトワイライト王国では難しい事ではないのだが、この世界で人化出来るの魔物は知恵のある強い魔物しか出来ないみたいで、人化出来る魔物はかなり珍しい。言い換えれば強くても知恵が無くては人化出来ないという事だ。


話が少し逸れてしまったが、魔物の国なので、みんなありのままなのだが、俺はそんな中でフードを被っているから余計目立つわけで。相手からは俺が口だけしか見えてないだろう。まぁ気づかれてもいいのだが怪しさマックスだ。


それにしても南東エリアはいつも賑わっているなぁ。屋台もある。


「焼き鳥1本100円だよー!」


「お好み焼きは300円だ!」


まだこちらの異世界の通貨にしてないから円のままだ。こちらの通貨をするにはまだ掛かりそうだが。


俺は適当な居酒屋を見つけて中に入る。まだ昼には少し早いが、こんな朝と言うより昼から酒を飲むなんて…至福だ!


いつもは仕事しているのだ。たまにはいいだろう。店の中はテーブル席とカウンター席に別れている。昼前というのにそれなりに客がいるな。


おれはカウンターの一番端に移動して座る。


「いらっしゃい!お客さん。私はこの居酒屋の店長ボルガです。」


ボルガと名乗ったのはオーガだ。実はこのトワイライト王国の民達は、元々名前がなかった。名前があったのは側近と守護王達だけだ。だがこちらの異世界にきて、ちゃんと生きてる住人になったから5万人の民達の名前をちゃんとつける事にした。


もちろん名前は民自身が考えて書類で提出している。当たり前だが、全ての名前は覚えられない。というか覚えていない。


「ボルガさんか。先に謝っておくが、このフードはあまり取りたくない」


「まぁ取りたくないのであればいいのですが…」


だがフードを着て食べるなんてやはり目立つらしく、なんか視線を感じるのだが…。多分目立つのはフードを被っているからってのもあると思うが、こちらを見てくる客はここの常連客なのだろう。いつもはいないフードを被った怪しい者が入ってくればそりゃ気になるだろう。


しかもこのトワイライト王国ではフードを被る者なんていない。ぶっちゃけみんな仲良しだ。物を盗むなんて事も無い。犯罪率はほぼ0だ。酔っぱらった勢いで殴るってのはあるが、それぐらいだ。だから怪しいし常連客も警戒しているのかもしれない。


「お客さん何か注文はありますか?」


「そうだな。冷酒とおでんはあるか?」


「ありますよ」


「ではそれで」


俺が日本に居た時に、居酒屋でよく頼むのがこの組み合わせだ。たまに熱燗とおでんという組み合わせもあるが、基本冷酒とおでんだ。


「おでんはなんの具材がいいでしょうか?」


「ボルガさんが適当に見繕ってくれ。ボルガさんのオススメでいい」


「分かりました」


おでんは既に出来ているので、すぐに冷酒と出てくる。


「大根にソーセージ、厚揚げにジャガイモです」


「ありがとう」


俺はまず大根を一口サイズに切り食べる。…うん。ちゃんと味が染み込んでいて柔らかい。美味い!


そして冷酒を飲み、また大根を食べて冷酒を飲む。このちびちび飲むのが大好きなんだよなぁ。


「美味いな」


「ありがとうございます」


先程の見られている視線は感じなくなり、近くの団体?の客から話し声が聞こえてくる。


「やっぱ守護王様で最強はドラグニル様だろ!なんたって竜だからな!」


「何を言う!イーリス様は虹九尾だ!九本の異なる色の魔法を使いこなす!それに尻尾は武器にもなる!いうなれば九刀流にもなる!」


「いいや、最強ならレイア様だ!自分の目で見た全ての魔法を使えるらしいぞ!恐らく守護王様達が使う魔法も全て使うぞ!あと罵られたい!」


「いや俺はヴィーナ様だ!あの暗殺術は完璧だ!守護王様も、もしかしたらヴィーナ様には気づかれないかも。そして後ろから一突きだ!あと弄ばれたい!」


「いやルーシー様だ!」


「いやスサノオ様だ!」


白熱している。その後も他の守護王達の名前も出ていた。俺だけの名前は出てこない。当然だ。悔しくなんかないんだから!まぁ実際、実力的には天と地の差だからなぁ。


「ああやっていつも騒いでるのですよ。誰が一番強いかなんてどうでも良い事ですのにね。側近のイーリス様や守護王様はみんなこのトワイライト王国を守っているんですからね」


「そうだな。だがまぁいいんじゃないか?それだけ愛されているって事だろう」


それに住民達にもアイドルみたいな推しがあるのだろう。自分の推しが一番であってほしいのは分からないでもない。まぁ何人か強さとは関係ない事を言ってる奴がいたが。


「ここは魔物の国だ。魔物とは強さに敏感だから、誰が一番なのか決めたくなるのだろう。まぁ俺も守護王達の中で誰が一番なのかはどうでもいいんだがな」


俺がそう言うと、ボルガさんが一瞬大きく目を見開いて驚き、そしてすぐに平静を取り戻しこちらをずっと見てくる。ジーっと見られているのは俺も気付いていたので


「どうした?そんなに顔が気になるか?」


「気になるといいますか…」


ボルガは小声で喋る。


「もしかしてあなた様はルーク様でしょうか?」


っ!?…俺の正体が分かったのか?やるなこの店長。俺と言い当てられた時、微動だにせず平静を装った。まぁ隠す必要もないし驚いたがそれだけだ。正体を見せないのは単に騒ぎになるからだし、落ち着いて飲む事も出来ないからだ。ちなみに俺のフードは認識阻害があるフードである。


「…よく分かったな。正解だ」


俺が言うとボルガさんがガタガタ震えだした。緊張しているのか?


「も、申し訳ありません!あの者達は酒の席ですので、少し失礼な事を言ってるだけでして…」


あぁそっちか。レイアに罵られたいとかヴィーナに弄ばれたいとかな。まぁ別にいいだろう。それぐらいなら。それに酒の席だ。確かに失礼だが、罵倒しているわけではない。むしろ好意で言ってる。流石に素面の時では言わないし、言えない事はあの者達も分かっているだろう。俺が日本にいたとき、酒の席では上司の悪口とか言ってたし、それならアウトだが、あの者達は好意だ。だから特に気にしてない。


「気にしてない。酒の席なんだ。好きに話をさせてやれ」


「は、はい。ありがとうございます…」


「しかしボルガさん…」


「お客様、呼び捨てで構いません」


「そうか?まぁいいがボルガ、なぜ俺が王だと気付いた?」


「はい、守護王様の事を守護王達と呼んでいたので」


あーそうだった。いつもの呼び方で呼んでしまった。


「この国で守護王様の事を呼び捨てに出来るのは同じ守護王様同士かイーリス様、王様だけです」


「ふむ。確かに守護王達と呼んだな。これは少し酔がまわったか?」


「それに声は男です。スサノオ様は体がデカいですので見た目でわかります。トール様も来る可能性はありますが、口調に特徴がありますから。タナトス様も口調に特徴があるので分かると思いますし、そもそも研究一筋な方ですので、ここに来るよりも研究してる方がいいのかと。プリン様はまだ子供ですので、この場所は入らないと思います。ドラグニル様はかなりしっかりした方だと思います。タナトス様と一緒でここに来るぐらいなら仕事をするかと思います」


なるほど。しっかりと分析している。ほとんど当たっていると俺は思う。そう考えれば確かに俺しか当てはまらないな。確かに来る可能性としては守護王達の方が可能性はあるのだろうが、まさかこの国の王が来るとは思わないだろう。だからこのボルガも驚いていたし。


「ですので、お客様が一番可能性があるかと」


「なるほどな。いや見事な推察だ」


「ありがとうございます」


「さて俺はもう行く」


「はい」


俺は話を聞きながら酒を飲み、おでんを食べながら話していた。おでんは全て美味しかった。正直まだ居てもいいのだが、ドラグが城に帰ったから俺が城に戻っているのはメイド達も既に知っていると思う。あまり1人で行動すると怒られてしまう。どこかに行くのは全然いいのだが、メイドぐらい連れて行けと遠回しにな。俺はアイテムボックスからこの国のお金を出す。


「釣りはいい。美味しかったぞ。また来るよ」


「はい!ありがとうございます!」


俺は城に帰る。恐らくボルガは今までにないぐらい頭を下げて、カウンターの中から客を見送っただろう。俺が帰った後の居酒屋では


「大将、今の人は誰だったんだ?」


「大将の腰がかなり低かったが」


「名前は…言えない。…というよりも恐れ多くて言えないか」


「そんな大物が来たのかよ!」


「まさか守護王様か!?」


「どうなんだよ大将!」


「守護王様より更に上の人だ。これ以上は言えない。これだけ言えばお前らも察しがつくだろ?だがくれぐれも内密にしろ?この噂が広まればあの方だってここに来にくいだろうからな。」


「そんな大物の方だったとは…」


「これはまじで本当に内緒にしなければならない案件だな…」


「というか俺達の守護王様の話聞かれてないか?マズイんじゃないのか!?」


「安心しろ。あの方は寛容な方だ。気にしないと言ってたぞ。取り敢えず今日いた者達はこの事を内緒にしてくれ。そうすればまた来てくださるかもしれないからな」


「あぁ分かったぜ!」


「俺も協力するぜ!」


後にこの店は王が来る店と、知る人が知る隠れ名店になるのだが、その話はまだ先の事である。



読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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