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ポーション瓶を取りにビルドの店へ


俺は王都へ行く準備ができたので、転移門部屋に行く。今回行くメンバーはドラグとプリンだけだ。


まぁ王都に行くといっても、やる事はポーション瓶を取りにいって、拠点宝珠で買った商品をマリナとレナルドに預けるだけだからそこまで忙しくない。


転移門部屋に着いて中に入るとドラグ、プリンがいる。が、もう1人守護王がいた。


「来たようじゃな。主よ」


「レイアどうしたんだ?レイアも行くのか?」


「いや妾はいかん」


「じゃあ見送りか?」


「それもあるがこれを持っていくのじゃ」


渡されたのは小さな女神?が、小さな丸い水晶を掲げている像だ。その像を2体、俺に渡してくる。


「どうじゃ?見た目も凝ってみたぞ」


「いや凄いけど何だこれ?」


「なんじゃ?セレスから話は聞いたぞ?ランスホーネットが目撃された森に行く前の道中で話したんじゃろ?」


道中で話した?何の話だ?…あー…あれか?


「あー…確か、今後マリナやレナルドを襲う輩がいるかもしれない。それに店自体に火をつけたりするかもしれない…みたいな話はしたかな?」


「その話じゃ。これは女神像に見えるが魔道具じゃ。使い方は置いとけばいい。もし放火されても、勝手にこの魔道具が起動して防いでくれる。万が一、店に火がついたとしても、この魔道具の結界には火を消すオプションもつけておるから問題ない」


いつの間にそんな凄い物を作ったんだ。俺の国に張ってある結界を小さくして、少しオプションを付け加えた感じか?俺の国の結界は害あるというか、悪意を持った者は入れない結界が張ってある。正直悪意あるとかどう分かるのか?この結界の道具を作る時にヴィーナに手伝ってもらったとか言ってた。もしかしたらヴィーナの洗脳魔法に鍵があるかもしれない。洗脳とかいいつつ、あれ少なからず精神にも影響を与えているわけだし。


まぁ考えても俺にはよく分からん。というかこの話を知っているという事は、恐らくセレスが先に話してくれていたのだろう。ありがたい話だ。褒美を与えないとな。


「ありがとうレイア」


俺はレイアの頭を撫でる。


「べ、別に主の為にやったわけじゃないのじゃ。これから妾達の資金源になってくれるレナルドやマリナに死なれては困るからのう」


「そうだな」


俺はニコニコしながら撫でる。相変わらず腕を組み、目を瞑り、顔をプイっと逸らしているがレイアも嫌そうではない。


「そうじゃ。言い忘れてたが、この魔道具はトワイライト王国に張ってある結界とは少し違うからの」


「どういう事だ?」


「このトワイライト王国の結界は2つある。1つは認識阻害の結界じゃ。そしてもう1つは悪意を持って近付く者がいたら自動で起動する防御結界。まぁ悪意を持っているとトワイライト王国に入れないという事じゃ」


それは俺も知っている。だが、それとは少し違うのだから新しい結界という事か?


「ふむふむ」


「じゃが、いま渡した女神像の魔道具は少し効果が違う。悪意を持っていたとしてもその結界を通れる。この女神像の結界は店を守る事しか出来ないのじゃ」


なるほど。悪意を持った人でも店に入れるし、店の中で暴れようと店だけは守りますよ!みたいな結界か。


「つまり悪意を持った人が店に入り、店の中で放火しても、この女神の結界で火はつかないが、マリナ達が狙われると女神の結界の効果を発揮しないという事か?」


「そうじゃ。店の中で魔法を放とうしても無駄じゃし、外からの放火や魔法も意味がない。じゃが、主の言った通り、マリナ達が狙われるとまずい。あくまで店を守る事を優先して作っているからのぅ」


なるほど。そういう効果なのか。だが何故、トワイライト王国と同じ悪意持った奴を入れない結界にしなかったのか。


「レイアだったらもっといい結界を作れたんじゃないか?それこそトワイライト王国と同じ結界と似たような物が」


「それは作れるぞ?じゃが悪意を持ってる者が店に入れないと騒いだらどうじゃ?」


俺は気付く。確かにそれは厄介だ。客に悪意を持った人がいようが、周りの人があいつは悪い奴だ!と気付く事はできない。なのに悪意を持っている人が店に入る事が出来ないと騒いだとしたら、傍から見ればあの店は客を選ぶ店と思われてしまう。簡単に言えば貴族専用の店とかと同じだ。


俺みたいな国は、今は誰も知られたくないし、誰とも関わりたくない。なので悪意を持った者は入れない結界で全然良いのだが、マリナの店は違う。絶対に誰かと関わってしまう。悪意も持った人も入れるので、その悪意を持った者が店で騒いだとしても、入れる者からしたらどうでもいい話だ。


だが噂は必ず広がる。根も葉もない噂なら、マリナの店に来る客足が減りかねない。それに新商品や最高品質のポーションも売るのだから、他の道具屋は良いように思わない店も出てくるはず。開店してすぐにそんな騒ぎを起こしたら、客は不信感を抱くだろう。それで客足が遠のいたらナンセンスだ。なら店の信頼を失わない為に、少しリスクはあるが、悪意の持った人を店に入れる方が良いとレイアは判断したのだろう。


「あーそれは厄介だな。悪意を持っている奴がいたら自動で起動する魔道具だとしても、本当に悪意を持っていたかなんて周りの客が分かるわけもない。その状況で入れないと騒がれたら客の信頼度が落ちるかもしれないな」


「そうじゃ。だから悪意を持ってたとしても通れるようにしている。そいつが店の中で何かをしたら発動するようになってるからな。何かをして魔道具が起動するなら、害する事をしたという証拠も出来る訳じゃ。ならばこちらから手を出してもよいということじゃ」


確かにそれならば取り押さえたりする事が出来るだろう。だがもし、それが俺のいない間に起こってしまったら…。マリナやその娘達は戦う事が出来ない。この女神の像は店の中で魔法を発動しようとしても、発動しない効果があるのだろう。要はアンチマジックエリアだな。だが、魔法を発動するのではなく、直接マリナを攫う場合はどうか?おそらく結界は意味をなさない。


だからといって常時護衛を雇うのはな…。マリナの道具屋を妬んでる者が、その護衛に近付き、金で裏切りをさせるなんて事もあり得る。護衛だから一番近くにいる者だ。攫ったりするのは簡単に出来てしまう。だからって裏切らない為にその護衛に金を多く積むのも違うし、脅すのも違う。それならば…


「なるほどな。それなら悪いがもう1つ頼まれてくれないか?」


「なんじゃ?」


「悪意を持った奴がマリナ達を害そうとしたら発動する、魔道具の装飾品を作ってくれ」


まぁこれしかないか?要はマリナ達を守ればいい。プレゼントとか言って、常に付けさせればいい。装飾品ならマリナ達も身に付けてくれるだろう。まぁレイアにはまた仕事をしてもらわないといけないが。本当に良い配下を持った。相変わらず俺は他力本願だぜ!いや情けないが…


「なるほど。店ではなくマリナ達を守る対象とするのか。それならいけそうじゃ」


「まぁ指輪とかあれだから、ネックレスにするのはどうか?」


「良い考えじゃな」


「それを4つ分お願いする」


「まぁ妾の主の頼みじゃ。作ってやるのじゃ。それぐらいならすぐ出来そうじゃしな」


「ありがとうレイア」


また頭を撫でる。天才なのに幼女だからご褒美が頭を撫でるしか思いつかないのだ。なので全力で撫でる。


「頭を撫ですぎじゃ!もう充分じゃ!」


「いやありがとうの意味もあるが、単純にレイアは可愛いから撫でたくなるんだよな」


見た目は可愛い子供というより幼女だしな。そう言われたレイアは顔を真っ赤に染めて


「わ、妾の用事もうないのじゃ!ネックレスを作る為にもう行くのじゃ!」


転移門部屋から足早に出て行く。まーたツンツンしちゃって。


「さてプリン、ドラグ。俺達も王都に行くか」


「はいなのです!」


「畏まりました」


「「「行ってらっしゃいませ。ルーク様」」」


最古参のメイド達に見送れられて王都に行く。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


俺達は王都に着いてまずはビルドさんの所に行く。


日本酒は1本1リットル入ってるのだが、それを小樽に入れて持ってきている。5リットル分なので少ないかもしれないが、まぁ日本酒だし、ちびちび飲むだろう。


ちなみに、なぜ小樽に入れたかというと、日本酒の瓶だけでも、この世界にはかなりの値打ちになりそうだから。この世界ではガラスって高価だからなぁ。教会に色付きガラス、ステンドグラスがあるらしいが、めちゃくちゃ高価らしい。


どうでもいいが教会にも一度は行ってみたいのだが…いや教会で女神様と会えることが出来るかもしれないが、別に会わなくても喋れるし、あまり行く価値はないのでは?と思う。気が向いたら行く事にしよ。


そんな考えをしながらビルドさんの店に入る。ちなみにドラグやプリンは外で待機させている。


俺はビルドさんの店に入り、ビルドさんを呼ぶ。


「ビルドさーん?いますかー?」


呼ぶとすぐに奥から出てくる。前はあれほど呼んでも全然出てこなかったのに…。久しぶりに家に帰った時の犬の反応と似ている。このビルドは前世は犬だったのではないか?というか少し走ってなかったか?ずんぐり体型が小走りなのは少し可愛い。それほど飲みたかったのかな?


「ようやく来たか!ポーション瓶千個はもう出来ておるぞ!だから早く新種の酒を飲ませてくれ!」


いや圧が凄いし怖い。危ない物を摂取して、それがないと生きていけないから早くくれ!みたいな感じでいわれるとなんか渡したくない。


「ま、まぁ待ってください。先に確認が先です」


「ぐぬぬ…。分かった。少し待っておれ」


ビルドさんは店の奥に入っていく。少し待つとビルドさんが戻ってくる。ビルドさんの両手には木で出来た箱?か何かを持っていた。


「重そうですが、それは何ですか?」


「これか。これはポーション瓶を入れる箱みたいなもんだ。実際には風魔法で少し浮かせてるから重くはない。」


その木の箱みたいなのを俺の近くに置く。それは上から見ると10×10のボトルクレートみたいな物だった。それが右手に5箱、左手に5箱もっていた。


「この箱1つにポーション瓶が百本入っている。箱ごと持っていっても構わん」


「ありがとうございます」


俺はアイテムボックスに、木のボトルクレートごとポーション瓶を入れる。アイテムボックスの中ではちゃんとポーション瓶×1000となっている。ちなみにポーション瓶には全てコルク?的な蓋が付けられていた。


ふむ。この世界にもコルクがあるのか。たしかコルクって樹皮を乾燥させてから作られているのだっけ?それならこの世界にもあって不思議ではないか?もちろんだが、乾燥せてからの作り方は俺にもわからん。


「ポーション瓶千個で金貨1枚だ」


「安くないですか?」


「そんなことはねぇ。ポーション瓶1本で銅貨1枚だからな。それ以上、値上げしてしまうと、ポーション自体の値段が高くなるからな」


確かにポーション瓶自体がポーションより高かったら儲ける事は出来ない。ポーションを作る人がいなくなる。ちなみにポーションの品質で、普通(並)銅貨3枚だ。良質で銅貨5枚、最高で大銅貨1枚。魔力ポーションなら並で銅貨5枚、良質で大銅貨1枚、最高で大銅貨2枚だ。とはいっても、ポーション瓶もコルクもビルドにとってそこまで時間を掛けなくても作れる物みたいだ。 


「だが、今回は酒の味で金貨を取るか決める」


「いいのですか?それで」


「なに、お前さんの他にも客はおる。そいつらから生活費などを取れるからな」


「そうですか」


ちなみに木のボトルクレートは、木魔法を使える者が小遣い稼ぎに作るみたいだ。10×10のボトルクレートを10箱で大銅貨1枚。駆け出しの魔道士(木魔法を覚えている者のみ限定)には人気みたいだ。


「少し気になったのですが、ポーション瓶はポーションを飲んだ後、みんなどうするんですか?」


「どうするとは?」


「ポーション瓶を持って帰るのか、捨てるのかですね」


「ポーション瓶は使い捨てじゃ。ポーションを飲んだらそこら辺に捨てておけ。もちろん王都の中では捨てるなよ?」


「それは分かってますが、外に捨てるのですか?」


「そうだ。迷宮の中でも王都の外でも捨てていい。それはスライムの餌にもなる。スライムってのは何処でも湧くからのぅ」


「そうなのですか?」


「あぁ。スライムは何処にでもいるからな。それこそ砂漠でも極寒の氷世界でもいる。その環境に適したスライムがいるのじゃ」


そんなスライムがいるのか。プリンの配下にも色々なスライムの種類がいるが、まだ聞いた事がないスライムがいそうだ。いやだが、それこそ冒険者ってどこにでもいるよな?街道にポーション瓶を捨てる事もあるだろう。スライムがどこでも湧くといっても、流石に生息域があるはずだから、その場所に生息してない場所にポーション瓶を捨てたらどうなるのか?本当に全ての地域に生息してるわけではないと思うが。


たしか日本では、土に生ゴミを入れると土の中にいる微生物が生ごみを分解すると聞いた事がある。もしかするとポーション瓶を分解する微生物がいるかもしれない。ここは異世界だからそんな微生物がいたとしても不思議ではない。だがこの世界の者は微生物とかいっても分からなそうだし、ポーション瓶を捨てた場所に、ポーション瓶が無くなっていたとしても、どうせスライムが食べたのだろうと気にしてないのかもしれない。


「その何処にでもいるスライムがポーション瓶を食べてくれる。スライムってのは自然に近い魔物でな、自然に出来た物以外は全て餌じゃ。スライムは雑食じゃから何でも食べてくれるのじゃ。魔物の死骸の骨や糞までな。何でも溶かして食べてくれるのじゃ。じゃが、草や木など自然に出来た物はどういう訳か食べないのじゃ」


ふむ。ポーション瓶も土魔法から出来てるから土だよな?自然に影響しているのでは?それとも人が手を加えたから自然の物ではなくなったとか?まぁ俺がさっき考えた微生物がいるとしているなら、ポーション瓶のゴミが落ちてなくても説明がつく。だがこの世界ではスライムが何でも食べるって事は常識だからそう思っているかもしれない。もしかすれば、微生物並の小ささのスライムがいるかもしれないなぁ。


ポーション瓶を土ではなくゴミとスライムが認識しているなら、ポーション瓶を食べるかもしれない。それに王都の外、というか街道の近くにスライムなんて見ない。周りは見晴らしが良いのにだ。そもそも街道の近くでポーション瓶を捨てる事はないが、もし捨てたとしたらスライムが街道の近くに現れるという事だ。本当に現れるのだろうか?ポーション瓶食べる前に倒されたら意味ないし。やはり微生物並のスライムが…。


こんど配下を使って実験してみるか?まぁこれも気が向いたらかな?というか俺はいま、めちゃくちゃどうでもいい事を考えていたか。ビルドさんの話を適当に流しておくか。


「やはりスライムは便利ですね」


「あぁ。恐らくじゃが自然に悪影響する物や、ゴミや糞などを食べるんじゃろう。じゃから冒険者はあまりスライムを倒さないのじゃ」


まぁ骨や糞など食べなくても、あんな可愛い生き物は倒せないよな。ゴブリンなら容赦なく殺すがな…。


「なるほど。色々教えてくれてありがとうございます。では約束通り新種のお酒を出しますね」


日本酒の入った小樽をビルドさんの前に出す。


「その中にお酒が入ってます」


「なんじゃ。これだけか?」


「まぁ貴重なんでこれだけで勘弁してください」


まぁケチってる訳じゃないのだが、ポーション瓶千個ならこれぐらいが妥当かなとおもった。というか日本酒1本3千だぞ?金貨10枚ではきかないと思うが、それを5本分。ポーション瓶千個で金貨1枚と交換してやるのだ。文句言うんじゃねぇよ。


「まぁいいじゃろう。早速飲ませてもらおうかのう」


小樽の蓋を開けて、木のコップで掬う。


「ふむ。香りは良いな。甘い匂いがする」


そして一気に飲みほす。もっとちびちび飲めばいいのになぁ…勿体ない。


「うむ…。美味い!エールとは違い、透き通った色だな。味は滑らからで瑞々しい」


「気に入りましたか?」


「こんなお酒は飲んだ事がない!文句はない!これをお前さんが指定した日付までにポーション瓶千個と交換という事か?」


「そうです。量は毎回これぐらいの量ですが」


「いいじゃろう!お前さんのポーション瓶を一番先に作ってやる。まぁ千個だからそこまで時間は掛からんじゃろうし。あと金貨はいらぬ!むしろこちらの方がもっと出さねばならないとおもうのだが」


ほう。これの価値が分かったか!3千だからな!まぁでも俺からしたらたかが3千だ。一番最初にポーション瓶を作ってくれるならそれでいい。


「ありがとうございます」


「こちらこそいい取引が出来たわい」


「では俺達はこれで。次は日付の日にまた来ますね」


「おぅ!待ってるぞ!」


俺達はビルドの店を後にする。次はマリナとレナルドの店に行く。



読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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