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女神とステータスの概念


「ふぃ〜……生き返る……」


俺ことルークはいま大浴場に来ている。

初めての謁見で心身共に疲れたのだが生き返るわぁ!


この大浴場なのだが4つの風呂がある。

1つは普通の風呂だ。普通の風呂だけに浴槽が一番でかい。2つ目は水風呂だ。これも特に説明はしない。


3つ目はサウナ。まぁ当然だな。4つは電気風呂だ。この電気風呂は雷魔法を使える人材を使ってレイアちゃんが調整して作った魔道具を使用している。

まぁおれは普通の風呂で満足するが。


「はぁ…色々やらないといけないことが多いな」


まだこの世界の何処に転移したのか、近くにどんな村や国があるのか、国の周りの森もわかっていない状況なのだ。まぁいきなり見晴らしがいい場所にワープしたらそれこそ面倒だ。俺の国民は俺を除いてすべて魔物だ。面倒の騒ぎでない。魔王認定すらされるぞ。


「慎重に動かないとな」


俺は重い腰を上げ風呂から上がる。脱衣場で体を拭いてると……


「ふんふんふ〜んお掃除お掃除ー!………きゃぁぁーー!ごめんなさいですぅ!申し訳ありませんですぅ!」


そう叫びながらメイドが入ってきた。茶色のショートカットで胸が大きい。だが天然でドジっ子ぽいイメージだ。喋り方もドジっ子っぽい。


「ごめんなさいですぅご主人様ぁ!そのぉ……少ししかみてないですぅ!」


「いいよ別に。少し見たんだ?」


見てないです!と言うのかと思ったら少ししか見てないです!と見た事を正直に言う。素直でいいのだがそこは気を使って見てないと言ってほしかったがまぁいい。ちなみに非公式なので口調は普通に戻してる。


「はいぃ……いえみてません!」


いやもう遅いからな!誤魔化されんぞ?


「正直に言ってごらん?」


「見てしまいましたぁ。その……素敵なお身体でした…」


メイドは頬を赤く染めながらチラチラこちらを見る。やっぱ見たんだ。ってかチラチラ見てるし。まぁ見られて減るもんじゃないけど。というかこんな可愛いメイドに言われたら嬉しいのだ。


「ありがとう。君名前あったっけ?」


「いえ、ないですぅ!」


だよな。メイドは基本、メイドAメイドBだった。この子はメイドAみたいだ。


「じゃあ名前ないと不便だからつけてあげるよ!うーん…何にしようか……」


「いいのですかぁ?」


「あーうん。他のメイドにもつける予定だからな。そうだな…。エール、君はエールだ!」


「エール…エール……はい!素敵な名前をありがとうございますぅ!私の名前はこれからエールですぅ!」


満面の笑みで喜ぶエール。


「じゃあお仕事頑張って」


「頑張りますぅ!」


A、エーだからエール。我ながら安直だな。俺は脱衣場を出て自室に向かう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


自室について早速やりたいことをやってみる。


「ウィンドウオープン」


……まぁやっぱり無理だよな。ゲームの世界ならまだしも、ここが本当の異世界ならゲーム上のシステムを使えないのは当然だ。


俺はいきなりやる事が終わってしまってどうするかと考えていると、ふと自室にある机に目がいった。その机の上には先程まで無かった手紙のような物と機械っぽい指輪が置かれている。


なんだ?メイドの誰かが置いたのか?俺はその手紙を怪しむ事もせず開けた。すると手紙には簡潔に『右目を意識しながら女神ミールを想い続けてください』と書かれていた。


なんだこの手紙は…。と思ったが、まぁミール様が書いたのだろうし、ミール様がやれと言うなら騙されたと思ってやってみるか。と右目に意識を集中し、ミール様を想い続けると


『ようやく繋がりました!』


目の前に薄い女神が現れる。薄いというのは消えかかってる感じなのだがどうなってるんだ!?


「な、なんでここに?」


『貴方との繋がりが強くなったからですね。まぁその話も兼ねて色々と話すことがあります。決して説明するのを忘れてたとかじゃありませんよ?』


本当かなぁ?この女神様大丈夫か?できる女の姿をしていながら、実は駄女神ではないのだろうか?


『いま駄女神とか思いましたね!違いますからね!教えなかったのには理由があるのですっ!』


うわっ!ドキッとしたよ…。俺の心読んでる。流石女神様だ。女神様が怒って目の前でプリプリしている姿が可愛い。しかし教えなかった理由か。気になるな。というか頭の中で会話出来ているな。不思議な感覚だ。


『教えなかったのは、あの場で説明しても多分理解できないと思ったのです。ですから転生させた後に教えようと思ったのです』


「なるほどな」


『まず〈聖戦タクティクスウォー〉とは違う点が何点かあります。まず1つ目は拠点宝珠は使えるのですが、魔物の生産はできなくなりました。ただ、元々拠点宝珠は人間の器を作れましたが、その機能は残っています。まぁ器を作っても、何も喋らない人形が出来るだけですけど。NPCはシステムで動かされてましたが、今いる民達は人形ではなく、本物の生きてる魔物にんげんです。元々、器だけだった民達に魂を入れました。拠点宝珠は器は作れても魂は作れないので、私が魂を用意して器に入れたのです。その民達の魂にゲーム内のデータ情報や基本知識等を詰め込んでいます。人格については、生きてますので1人1人、既に自我を持っている事でしょう。もっとも守護王達は細かな性格が書かれていましたので、それを参考にいたしました』


魔物が生産出来なくなるのはまぁ分かるな。際限無く生産出来たらこの世界の生態系が壊れるだろう。それでも人形が作れるってやばいけど、まぁ使う事はないだろう。


それから守護王や民達には魂が無いので女神が魂を入れた。民達は基本知識や元あったデータ情報をインプットされているみたいだ。それに、1人1人違う性格だと。だが守護王達は俺の設定を参考にしているらしい…。恥ずかしい。


『拠点宝珠の忠誠ポイントですが、ブルへイアの世界で新たに魔物を配下にすると忠誠ポイントは貰えます。ちなみにですが、配下が殺されても復活はする事ができます!要は魂があればいけるのです!拠点宝珠は器の生成が出来ても魂は生成できませんからね。拠点宝珠をこちらの世界でも使えるようにするには大変だったのですからね!』


少し胸を張りながら言う。しかしこのブルへイアで魔物を配下に加えたら忠誠ポイントがもらえるのは大きいな。俺も強化されるって事だよな?


あと配下達が殺されても復活出来るのは、たぶんゲームシステムを少し引き継いだのか。拠点宝珠で器は生成出来るのは分かったが、配下達が死んだ場合に魂を入れるのは女神様だろ?じゃあ生き返らすためには女神様にいちいち報告しないといけないのか?


『そういう事になりますね!ちなみに配下達を復活する場合ですが、器を生成し私が魂を入れる工程で復活します。…が全く同じ者を復活出来るかどうかは分かりません』


ん?どういう事だ?


『つまり復活する前の者と、似て非なる者と言えばいいでしょうか?私も復活する前の者に極力近付けるのですが、魂が少しでも欠けていたりすると、全く同じ者が復活するかどうかは分からないのです。それに新しく器を生成するという事は、新しい体になるという事。復活する前は剣を振るう事が出来たのに、復活した後は、体がついてこないとかあると思います』


いやそれ爆弾発言じゃね?つまり配下達が死んでも復活できますよ。でも、もしかしたら復活する前の配下とは別人(性格など)かもしれませんよ。あとは弱体化します。ってことだよな?


いや弱体化はまだしも、別人になるのは嫌だわぁー。って事は結局それって死んだらヤバいってことだよな…。特にイーリスや守護王達が別人になるのも嫌だし弱体化したら戦力が大幅に下がってしまう。死ねないって事だ…。


『まぁ貴方達も今は人間、生きているのです!人間は一度死んだら終わりなんです!なのに貴方達は復活できる。そのデメリットが嫌なら死なないようにしましょう!』


簡単に言ってくれるなぁおい!まぁだが、女神様のいう通りだ。人間は一度しか死ねないのだ。それを前提に生きていけばいいんだし。何回も死ねるとなればデメリットもあって当然だ。というか配下達は何回でも復活する事ができるが、俺は問答無用で一度しか死ねないのに。


まぁだが、俺はゲームシステム上かなりチートなステータスになってるだろうからな!この世界でも無双してやるわ!


『次にですが貴方のステータスについてです。ゲーム時代では貴方の配下(民も含む)全てのステータスの1割を貴方のステータス加算されていたのですが、この世界では貴方にステータスの1割は加算されません』


前言撤回。なん…だと…?なら俺はめっちゃ弱いんじゃないか?


背中に嫌な汗が流れる。


『まぁこれも簡単に言えば、NPCには対応されていましたが、魂が入った本物の魔物にんげんには適応外ということですね』


そういうことか。理解はできる…できるが認めたくないっ!ステータスを見るのが怖いよ。それに一度でも死んだらダメなんだろ?俺ヤバくね?


『そもそもこちらの世界のステータスなんですが、これもゲームとは違います!』


ここからの話は女神様の話が長かったので簡潔にまとめる。ステータスという概念は無いが、ステータスに似たものはある。その者の情報なのだが、こちらの住人と転移者、転生者は少し異なるのだ。


・レベルについて


レベルはこの世界の住人には見えないのだが、転生者または転移者は相手のレベルが見える。これには理由があるとの事だ。


・ステータスの数値化


よくゲームで体力とか攻撃力とかの数値があるが、この世界では存在しないとの事だ。名前だとか称号だとかスキルとか見れるが、自分でステータスオープンみたいな事を言っても見れない。


・スキル


この世界にはスキルが存在する。剣術や火魔法などがある。そしてスキルにはスキルレベルもあるらしい。


しかもこの世界の住人はスキルを理解している。ただ、自分のスキルを確認する方法は教会等に行かないと分からないのだとか。


ただ、事細かくスキルがあるのではなく、料理や掃除、釣りや伐採等のスキルは無い。これには理由がある。


あとはゲームでいう、火魔法ならば火の魔法の威力に補正が掛かるとかは無い。あくまで、その人の熟練度をスキルに表しているだけだと。


つまり火魔法Lv4のスキルがあるから、火魔法Lv4の魔法が使えるのではなく、自分が成長したから火魔法Lv4の魔法まで使えるという意味だ。


とまぁ大まかな事はこれぐらいか?


『レベルやスキルの概念ですが、これは勇者召喚に関係してますね。私がこの世界の管理を任された時は、レベルやスキルという概念はありませんでした。大昔、魔王がいて人間の繁栄を妨げていたのですが、その当時の人間はあまりにも弱く、強い人間はほとんどいませんでした』


そうなのか。昔はレベルやスキルという概念すら無かったのか。


『そこで魔王を倒す為に勇者召喚という魔法を私が創りました。異世界から若くて、正義感のある人間をこの世界に連れてくる魔法なのです。この世界を発展させたいという理由もありましたので、貴方のいた時代から勇者を選んだという事です。勇者召喚の術式には勇者がこちらに来る際に、私と直接会える工夫をしました。貴方が私と出会った際、白い空間にいましたよね?そこに勇者を呼んで、勇者に強力な力を授けたのです。それがスキルなのですが、本来スキルとは目には見えないものなのです。言い方を変えれば、スキルというのは熟練度というものですかね?剣の扱いも最初はみんな下手です。ですが、努力すれば剣の扱いは上手くなっていくでしょう?これを目に見える形にしたのがスキルなのです』


勇者召喚って女神様が創ったのか!女神様はこの世界に干渉出来ないから、勇者召喚という魔法を創り、こちらの世界に来た勇者に強力な力を授けたのだ。


スキルのレベルだが、要するに人がどれだけ熟達しているのかを、目に見える形にしたのだろう。しかし、異世界でスキルは違和感だな。


それにしても、この世界で干渉出来ない理由か。なんだろうな?というか俺の時代から勇者選ぶって…時間とか空間とか関係なしか。さすが女神様だ。勇者召喚をこの世界の住人に授けた方法は神託との事だ。


これも女神様に聞いたのだが、地球にも女神様と同じ立場の神がいて、その神は勇者召喚には了承済みだそうだ。ちなみに勇者に選ばれる人間なのだが、勇者が若い理由は長生きして、この世界を発展させてほしいという理由もあるが、過度な発展は避けたいという理由もあるのだ。


言ってる事が矛盾していると思うが、要は機械みたいな、影響が多い発展は避けたいのだ。この世界には魔法があるからな。大人の方が知識があるから万が一、億が一に機械を作ってしまう可能性もある。若い方が知識が浅いから選ばれるのだ。後は若い方が純粋だったりとかの理由だ。


この世界に影響が少ないのなら大丈夫らしい。まぁ実際にカレンダーみたいなのがある。その程度の発展なら大丈夫だ。


そういえば何故スキルを目に見える形にしたのだろうか?最初は勇者に力を授けるだけだったはず。と考えていると女神様が答えてくれた。


『勇者召喚で勇者を呼び出すところまでは良かったのですが、貴方のいた世界の若い人間、勇者は『レベルやスキルはないのか?レベルが無いと強くなっている実感が湧かないんだよなぁ。スキルも自分がどの魔法を覚えているかとか、どれだけ扱えるか分かるようにして欲しい』と言いまして…』


この勇者絶対にゲームやりこみ勢だ。まぁ、若い者はそういうレベルとかスキルとか好きだよなぁ。それで納得してしまい、レベルやスキルという概念が出来たのか。


『私は『魔王よりレベルやスキルが高くなったとしても、魔王に勝てるかは分かりませんよ?それこそスキルを使いこなす技量や、多くの戦闘経験が必要になります』といっても、『そう言われてもやる気でねぇよ。スキルも使いこなすって言うけど、修行とかしても実際スキルにレベルが無いから、強くなっているか分からんだろ?だけどレベルが1から2に上がったら、少しずつ強くなっている実感を湧くし、もっとスキルを上げたいという意欲も湧く』と言われました』


確かにレベルやスキルレベルがあると、レベルを上げる事に意欲が湧くし、もっと強くなりたいとかも思ってしまう。特にゲームや異世界の話が好きな者なら尚更だ。


『流石にステータスの数値化(攻撃力とか守備力等)というのは無理ですけど、レベルやスキルを目に見える形ぐらいならという妥協で受け入れてくれました。とはいっても、事細かくスキルを目に見える形にするのは大変なので、ある程度のスキルだけという事になりました。実際、こちらの世界に勇者を呼んだのに、怠惰な生活を送られては困りますし、自分から強くなりたいと思えるならそれも良いかなと。それにスキルは勇者達には一種の目安にもなりますし、この世界の住人も自分のスキルが見られるなら、勢力的に力を付けてくれそうですし、そもそも勇者が魔王にやられては、呼んだ意味がありませんからね。どれだけレベルやスキルを上げれば、安全に魔王を倒せるかも、考える事ができますし。まぁ勇者の意思を無視し、強制的に強くならせる呪いみたいなのも考えましたが、それは流石に可哀想かと思いやめましたが』


自主的に強くなりたいと思うなら良い事だな。強くなっていると目に見えて分かるならやる気も上がるし。ってか神様そんな事しようとしてのか…こえぇー。


それと料理スキルとか釣りスキルとかないのは、まぁ戦闘に関係ないからだろう。あったとしても結局は熟達具合を表しているだけだから、戦闘系スキルよりもどうでもいいのだろう。


ちなみに勇者達は相手のレベルやスキルを見れる魔法を元々持たせてるらしいので、魔王がどれぐらいのレベルなのか、どれぐらいスキルを持ってるか、魔王討伐の目安に出来たのだ。


『それと、この世界でのレベルなのですが、レベルというのも一種の目安です。そもそも、この世界の人間は、あなたのいた世界の人間とは少し異なります』


えっそうなのか?てっきり一緒だと思っていたのだが…。


『この世界では、魔物というのがいるのですが、その魔物を倒せば倒すほど、人間は肉体的に成長する構造になっているのです。ほら、どれだけ剣の扱いが上手くても、人間には限界がありますよね。あなたは車より早く走れますか?大きな岩を素手で壊せますか?無理ですよね?この世界には、車より速く動く魔物はいますし、大きな岩を簡単に壊す魔物もいます。その魔物達に対抗する為に、人間の構造を変えたのです』


確かに納得だ。俺のいた世界で、どれだけ剣の達人と言われた者でも、この世界の竜の前では無力だ。竜の攻撃に反応すら出来ないだろうし、反応出来たとしても、速く動けないので避けれないだろう。逆に攻撃出来たとしても、人間の力で剣を振るっても、竜の鱗すら傷つける事は出来ないだろう。


だからこの世界では、人間は魔物を倒すと肉体的に強くなっていくのだ。それこそ車より速く走れたり、大きな岩を素手で壊したりと。俺達の世界の言葉で表すなら、魔物を倒すと目には見えないが、経験値が入り、レベルが上がる。


だがこの世界の住人は、自分のレベルが見れない。レベルを確認出来るのは転生者か転移者だけだ。スキルはこの世界の住人でも見れるみたいだが。魔物を倒せば肉体的に強くなるというのは、この世界では常識みたいだ。


『その通りです。ちなみにレベルというのは、その者の肉体的強さと、保有している魔力量、そして保有しているスキルを統合して数値化したものです』


なるほどな。


『よくあなたの世界では、レベルが上がればスキルも上がっていくのが一般的ではありますが、この世界ではそうじゃありません。スキルというのはその人の熟練度を表したものです。剣で例えるなら、その人の剣の扱い方が、どれだけ上手いかです。力任せに魔物を倒しても、剣の扱い方が上手くなりますか?』


ならないな。要は力任せに倒しても、肉体的には強くなるが、剣の技術は上手くならない。自分で我流で磨くか、剣の扱いが上手い者に教えてもらうかしないと、スキルのレベルは上がらない。


『そういった形で、この世界にレベルやスキルの概念が出来たのです。まぁ、最初の勇者は強くなりたいという意欲があるだけマシで、ちゃんと魔王も倒しましたし。後の勇者の中には、自分が勇者なんだとやりたい放題したり、中には元いた場所に返してください!なんて言う勇者も。もちろん、そんな事は出来ませんし、私には謝る事しか出来ません。まぁ何とか説得して納得してもらいましたが…』


勇者も結構召喚されているのだな。まぁ元いた場所に返してほしいという奴の気持ちも分かる。大切な家族や友人がいるわけだから。まぁ俺には帰る場所というか死んでるから無理なのだが。


ちなみに地球では、行方不明ではなく、勇者に召喚された者の存在自体が無かった事になっている。元々勇者が2人兄弟なら、あっちの世界では1人っ子の認識になっているという事だ。


それにしても、この世界では魔物を倒すと肉体的に成長するのだろう?それでも昔は、魔王に人間の繁栄が妨げられていたのか。やはり魔王や魔物達は強いのだろうな。


『とまぁ、こういう経緯でブルへイアにステータスというか、レベルやスキルの概念を創ったのです。つまり、レベルやスキルというのは一種の目安ですね。勇者達には必ず、相手のレベルやスキルが見れる魔法分析(アナライズ)を最初から授けてます。ちなみに勇者は1人ですが、たまに巻き込まれて数人で来る事があります。多くは幼馴染とか、友達とからしいですが、恐らく召喚の魔法陣の近くにいたので、一緒に巻き込んだのでしょう。まぁそういう場合も一応は勇者に相応しいスキルを授けてますね』


なるほど。この世界にレベルやスキルという概念がある理由はわかった。要するに、レベルとスキルはこの世界にはあり、この世界の住人はスキルだけ認識していると。そして転生者や転移者はレベルやスキルを見れる分析(アナライズ)という魔法が授けられている。


『大体理解できましたかね?ちなみに貴方と配下達は()()です!不老だからといって子供が作れないとか、死なないなんて事はありませんからね?何故不老かは、貴方の情報の種族を見れば気付くのではないでしょうか?ちなみに私とこうやって話せるのは、貴方が私の力の一部を持っているからですね。私の力の一部は『神眼』というスキルで、相手のレベルやスキル、ユニークスキルまで見えます。普通は教会にいかないと見れないのですけどね。貴方に私の力の一部、繋がりがあるから、それを意識すると話せるのです。ただ、私は幻影の様なもので、貴方だけにしか見えません。なので、周りに誰かいる時に私と話していると、不審者に見えますから、気を付けてくださいね?では、また話を聞きたければ右目を意識して、私を想い続けるとリンクが繋がりますので』


最後に爆弾発言したな女神様。消える前にユニークスキル『神眼』の使い方を慌てて聞いた。しかし俺と配下達が不老だって?意味が分からん。色々気になるが、一番気になるのはやはり不老だよな。


確かにこの情報はあの真っ白な世界で教えられてもピンと来ないだろう。だが今は、俺の情報を確認してみながら考えられる。見るの怖いが。


この世界で生きられるのか?それに俺の不老の意味が、を見ればわかると書いていた。まぁとりあえず確認してみるか。


ユニークスキル『神眼』は、神眼とつぶやいたり、心の中で言うだけで発動するのだとか。自分を対象にしたい時は、自分の手を見て唱えると見れるという事なので早速試して見る。


「えぇと……自分の手を見て…〈神眼〉」


すると目の前にホログラムの様な四角いスクリーンが出てきた。凄いな。このホログラムみたいなのも魔法なのか?その四角いスクリーンには俺の詳細が書かれていた。


・名 前:ルーク・シルバ・トワイライト

・種 族:ホムンクルス

・年 齢:31

・レベル:231

・称 号:黄昏の王

・スキル:【無属性魔法Lv10】【剣術Lv2】【気配感知】【詠唱破棄】【魔力操作】【魔力感知】【言語翻訳】【言語変換】

・ユニーク:【神眼】


おぉ!これが俺の情報か!スキル以外に名前、種族、年齢、レベル、称号、ユニークが書かれているのか。ステータスという概念はないが、この情報がステータスみたいに感じる。この世界でのステータスというのは、社会的地位とかの事をいうのだろうな。


まず気になるところだが、やはり種族だな。ホムンクルスとなっている。何故か……先程の女神様のメールを思い出して仮説をたてると、恐らくはこの体が俺の本当の体ではないからだろう。


女神様がこんな事を言ってた、『拠点宝珠は器の生成が出来ても魂は生成できませんからね』と。つまりは、器は創り出してるという事だ。


その器に魂を入れたのだから、それはもう人間ではない。人から生まれたのではなく創り出されたのだ。恐らく配下も同じ意味での不老だろう。


スサノオの種族ならホムンクルスの武神という事になるだろう。まぁ老いでは死なないという事だ。逆にこちらの世界で、新たな配下になった魔物は寿命があるという事だろうか?まぁそこはおいおい確認だ。


次に目に付いたのが年齢だ。俺、ルークの外見は18ぐらいに見える。なのに31。これは恐らく俺が〈聖戦タクティクスウォー〉をリリースされた時に始めた年齢が21。つまりそこから10年経っての異世界へ来たから31という事だろう。この見た目で31はなんかやだわぁ。


次に称号だがこれは二つ名みたいなやつか?称号がついてて何かあるのか?と称号をタップすると。


【黄昏の王:トワイライト王国の王だけが得られる称号】


ふむ。称号をつけてるからと言って特に何も無いようだ。肩書きみたいなものかな?まぁ俺にピッタリの称号だ。


その次にレベルだ。レベルが231となってるが、これはそこそこ強いのではないか?と、俺は女神様に聞いてみたところ、『魔物を倒しても肉体的に成長はしますが、子供から大人になる事でも成長します。魔物を倒していない、一般的な人間のレベルは大体100前後です』だそうだ。


一般的な人間よりは強いのか。女神様がいうには、ゲーム時代の時に戦争にちょくちょく参加していたので、一般人よりは強いとの事だ。


一般的な人間に、少し毛が生えた程度だということだ。ちょっと不安になってきた。


最後にスキルとユニークだ。色々スキルが書いてあるのだが、その中で一番気になるのが無属性魔法Lv10だ。たぶん10って高いと思うのだが、何故こんなに高いのか。


【言語翻訳】と【言語変換】はこの世界の言葉を理解出来るって事かな?流石にこの世界も日本語ではないだろうし。


それとユニーク【神眼】と書かれている。これは先程効果を聞いたから良いとして。


装備欄は無いようだ。そんなの作ったら、身に着けている全ての物を表示させないとダメだから無いのだろう。パンツとか装備欄に書かれるの嫌だし。


まぁゲーム時代では装備欄があったのだが。基本武器、防御、装飾品を1つずつ身に付けられる。


装備はガチャで手に入れるのが効率良く、装備ガチャは基本勇者側の為にあるのだ。兵士も装備出来るからだ。だが魔王側のプレイヤーや、一部の特殊な魔物だけは武器も防具も装備できるから、魔物側でも装備ガチャは多少価値はある。だけど俺はそこまで回さなかった。


回すとしたら強力な指輪等の装飾品を狙う時だけだ。その副産物として出たのが、俺が今着ているフェアリーローブだ。


とまぁ話はそれたが、こんなところか?無属性は気になったので神に聞いてみる


また右目を意識して想い続けるのか…。まぁ嫌ではないのだが。そう想いながら女神様と繋がるのを待つ。


 ・レベルについて


人間の構造は魔物を倒すと肉体的に成長する。それはこの世界の魔物に対抗する為に、神達がそういう風に人間を創ったからだ。でなければ、人間と魔物のバランスが崩れ蹂躙されるからである。


レベルはその者の肉体的強さと、保有している魔力量、保有しているスキルによってレベルが決定する。保有しているスキルと言っているが、スキルもその者の熟練度を人間達に視えるように可視化させているが、本来はスキルとは無いものである。


スキルがあるから強いのではなく、その者が努力し、研鑽して強くなったから、分かりやすくスキルという形で可視化させ、纏めているだけである。


なのでスキルは、その者が元から身に付いている技量や技術なので、レベルにも反映される。


ちなみに魔物も人間や、他の魔物を倒せば成長するし、進化もする。

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[気になる点] 面白いです。 ただし、語尾が「〜だろうな。」「〜だからな。」が多すぎます。「な」を文の最後にするのは小説として避けるべきです。すごく読みづらいです。 「〜だろう。」「〜だから。」に…
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