クインの生態と依頼報告
クイーンランスホーネットのクインが従魔になり、種族がDクイーンビーにいつの間にか進化していた。
恐らくプリンの中で進化したのだが、プリンは分からなかったとの事だ。もしかしたら寝てた時に進化をしたのかも?
クインのユニークスキル【異次元の巣】の説明に、Dクイーンビーの作る異次元空間には空気が無く、人間以外の魔物等は異次元に入る事が出来る。つまり人間以外の生き物なら異次元で生息できるという事だ。
もちろん異次元の不思議空間では時が止まっているから、歳をとらないし食料等も腐る事はない。クインの年齢が?になってたのはそういう事だろうな。
その不思議空間に俺達は入れるのかまだ分からないので試してみる。俺はホムンクルスだけど人間だと思うのだが、守護王達は魔物だ。もしかしたら入れるかもしれない。
「クイン空間を開けてくれ」
「ギチチ!」
クインは何もない空間に穴を開けて異次元と繋げる。異次元の中は真っ暗だが、クインがその異次元に入ると暗闇の中でクインだけが認識できる。
クインを暗闇の中で何処まで行けるか空間を開けたまま実験してみる。暗闇のかなり奥までクインが進むが、クインが小さくなるだけで、遠目でクインを認識できる。どんなに遠くに行っても認識出来なくなる事はない。つまりだ、この暗闇の空間は行ける範囲が決まっているという事だ。
次に俺達が異次元に入ろうとする。俺が異次元の空間に手を入れようとするが、異次元の入り口に波紋が広がり、俺の手が入り口を貫通する。異次元が透けて手が貫通する。どうやら人間はこの異次元に干渉することが出来ないらしい。
ふむ。人間が触れられない様になっているのか?試しに体全体で入り口に入ってみる。ちなみにクインが開いた空間は、俺達人間が入れる大きさに作ってもらっている。空間の入り口はまだ大きくできるみたいで、入り口はかなり大きく作れるみたいだ
体で異次元の空間に入ろうとするが、やはり波紋が広がり、異次元の入り口を通り過ぎてしまう。異次元の空間は人間でも認識はできるが、触れる事さえ出来ないらしい。
その後にリル、セレス、タナトス、プリン、ドラグにも試してもらうが入れなかった。どうやら守護王達も人間と認識されてるみたいだ。プリンには魔物の姿のスライム形態になって試すが、それでも駄目だった。という事は、他の守護王達でも無理だろうし、トワイライト王国の住人でも恐らくは無理だろう。
やはりトワイライト王国の住人だからなのか、人間と見倣されているのかも。というか女神が俺達の事を人間と見做しているからなぁ。
最後に異次元の暗闇の事で少し調べたい事があるのでもう少し実験する。異次元の暗闇の中ではクインがどれだけ遠くに行ってもクインが小さくなるだけで、クインは認識できた。
では物を入れたらどうなるかを確かめたかった。そこら辺に落ちている木の枝や葉っぱをクインに渡して異次元に持っていってもらう。そして適当に異次元の中にバラまいてもらう。
物体も異次元の中に入れれるみたいだ。蜂の中には木の皮と蜂の体液を混ぜて巣を作る種類もいたから、物体も異次元の中に入れれる事は可能なのかもな。
バラまいた木の枝や葉っぱ等は、やはり異次元の暗闇の中ではちゃんと認識できる。物体もクイン達と同じく認識できるみたいだな。つまり異次元の暗闇は、周り全て見えなくなるのではなく、生き物や物体は認識できる暗闇になっている。
俺はクインに巣はどうやって作るのか聞いたら、少し伝えるのが難しいみたいだが、頑張って伝えてくれた。
地球のミツバチは働き蜂が蜜蝋という分泌液を出して巣を作るのだが、スズメバチの巣は木の皮を砕いて、木の繊維と女王の唾液を混ぜて巣を作る。だがクインはどちらも出来るらしい。しかも女王自ら蜜蝋も出せると言うのだ。
そして餌もやはり地球の蜂とは少し違う。ミツバチの女王は主にロイヤルゼリーを、スズメバチは幼虫と成虫では食べる物が違うが、主に肉食なので虫を狩って食べる。
だがクインの場合はロイヤルゼリーも食べるし虫も、さらに肉等も食べるらしい。どちらかというと肉食だ。
クインや産まれてくる蜂なども蜂蜜作りをするのだが、蜂蜜は基本保存食みたいな物とクインは伝えてくる。虫や肉など、食べる物が無くなった時の緊急用に作るらしい。
クインに色々と聞いたのである程度DクイーンビーやDビーの生態が分かった。なかなか興味深い。タナトスもかなり必死になって俺に伝えられたクイン達の生態の話を真剣に聞いている。
「ふむふむ。色々と勉強になるのだよ」
「ほんとだな」
タナトスと2人で納得していると
「そろそろ朝食を食べるわよ」
「そうですね。もう朝食は出来ていますからね」
「はやく食べたいのです!」
「せやなぁー!」
みんなで朝食を食べ始める。クインには細かく、ブロック状に分けられたオークの肉を上げる。オーク1匹分ぐらいの肉はクインにあげたか?クインは意外によく食べるのだなぁ。
クインは俺から貰った肉をせっせと異次元の巣に運び込んでる。クインの異次元の中は肉等は腐ったりしないし、劣化する事はない不思議空間。歳を取ることもない。異次元では時の流れが止まっているからなのだろう、この異次元はアイテムボックスやアイテムバックと同じ空間だろうな。
全ての肉を運び込んだクインは食事をせずに葉っぱなどを集めている。何をやっているのだろうか?まさか!貰った肉を葉っぱの上に置き、ちょっとした皿の代わりにしようと思っているのか?いや頭良すぎないか?いや皿の代わりと決まったわけではないか。聞いてみよ。
「クイン何してるんだ?」
「ギチチ!ギチチチ!」
「そうなのか」
「王よ、クインはなんて言ってるのかね?」
「クインは卵を産むために葉など集めてクッション的な物を作るって言ってるね」
どうやら皿の代わりではないらしい。まぁ異次元の中はどうだか知らないが、異次元の中って汚れる事なんてなさそうだし、皿なんて必要ないか。それよりも、もう卵を産む準備に入っているようだ。クインからしたら早く手足のように動かせる配下が欲しいのだろう。
「それならベットに使われている掛け布団とかあげてはどうかしら?女性のベットは1つ空いてますし」
「それはええ考えやなぁ!」
「ボクはルーク様と寝るから大丈夫なのです!」
「どう致しますか?ご主人様」
「別にあげてもいいぞ?使わないなら」
「分かったわぁ!じゃあ持ってくるわねぇ!」
セレスが取りに行く。クインの産む卵を出来るだけ傷付けない為に、葉などをおいて、柔らかい場所を作ってから産むらしい。だがクインは人間という俺の従魔だ。葉などよりもっと柔らかくて傷がつかない物を用意できる。
まずはクイン1人が巣を作ってからだと思ったが、そもそも異次元の中に居れば外敵には襲われない。クインにとっては産む場所さえ確保すればいいのかもしれない。そんな事を考えていると、セレスが掛け布団を持って帰ってくる。
「ルーク様どうぞ」
「ありがとう。…クイン?これを使うか?」
「ギチ?」
「この上で卵を産めばいいんじゃないか?」
俺がそう言うと、クインは器用に前足?で柔らかさを確認して、クインのお眼鏡に叶ったのか、掛け布団を巣の中に運んでいく。それからクインは葉っぱなどを集めに出てくる事は無かった。掛け布団を貰って卵を産む準備が出来たのか?まぁそっとしておこう。
さて色々とハプニングは起きたが、朝食を食べたら王都を目指すか。今日中には王都に着くだろうし。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺達は朝食を食べてまた王都に向けて歩きだし、王都にはお昼前には着いた。
久しぶりの王都だなぁ!なんか懐かしくなってくるよ。まぁ5日ぐらいしか離れてないのだが。
すぐにマリナの道具屋に向かいたいのだが、まずギルドマスターの所に行く。ギルドマスターから依頼を受けてちょうど1週間だ。期日は1週間前後だが、早めに報告した方がいいだろう。俺はそう考えて冒険者ギルドを目指す。
冒険者ギルドに着いて中に入り、俺達はサーシャの受付に並ぶ。流石に朝だから混んでる。まぁ依頼の受付などよりはまだマシだが。
そしてようやく俺達の番になる。
「ようこそ冒険者ギルドへ!あっルーク様!」
「久しぶりだなサーシャ。今日はギルドマスターの指名依頼の報告をしに来た」
「はい!ギルドマスターから話は伺ってますよ!ルーク様が来られたらギルドマスターの部屋に呼んでほしいと言われましたからね!」
「そうなのか」
「はい!ではギルドマスターの部屋に行きましょうか!」
「受付はいいのか?」
「少しの間だけ違う人に代わってもらうので大丈夫です!」
「そうか。じゃあ行くか」
「はい!」
俺はサーシャと一緒にギルドマスターの部屋に行く。確かギルドマスターの部屋は3階だったはず。周りの冒険者は、何故あいつがギルドマスターの部屋なんかに?と訝しんでこちらに目を向けているが無視だ無視!
そしてギルドマスターの部屋に着いてサーシャがノックする。
「ギルドマスター、サーシャです!ルーク様をお連れしました」
「入れ」
サーシャはドアを開け、俺達もその後に続く。冒険者ギルドマスターのマグナスさんは既にソファーに座っている。その後ろには秘書らしき人が立っている。
「よく来たな。座って報告を聞かせてくれ。サーシャは引き続き受付を頼む」
「分かりました!」
サーシャは部屋から退出する。そして俺達はマグナスさんが座っているソファー、その対面のソファーに座る。いつも通りセレスは横に座り、他の守護王達は後ろに立つ。
「お久しぶりですね。マグナスさん」
「そうだなルーク。とは言っても前と違って何人か居ないがな」
「ランスホーネットの巣の調査にはこのメンバーで行きましたから」
「そうか。…で、どうだったんだ?」
「巣はありましたよ。正直ランスホーネットの巣は初めて見たのであの大きさで、大きいのかどうか分かりませんが」
俺的にはかなり大きいと思ったが。
「確かにそうだな。ざっくりでいい。何匹ぐらいはいそうだったのか教えてくれ」
「そうですね。ざっと1万匹ぐらいでしょうか?ランスホーネットの巣は森の木と同じ高さまであり、さらに半分は地中に埋まってましたからね」
俺がそう言ったら秘書らしき者の顔が曇り、口を開く。
「そ、それは本当なのでしょうか?もしそれが本当なら早急に対策を練らなければなりません!」
「まぁ落ち着け、メルトリア」
マグナスが秘書に言う。この秘書の名前はメルトリアと言うのか。
「し、しかし…!」
「ルーク、その巣はどうした?」
「壊しましたよ。まぁ俺ではなく後ろにいるドラグという男が1人で壊しましたが」
マグナスさんはドラグを見る。見られたと分かったドラグがお辞儀をする。
「あ、ありえません!そんな大きいランスホーネットの巣ならSランク冒険者に匹敵する実力がいります!それを1人で?馬鹿馬鹿しい!」
「とはいっても本当の事ですからね。何ならランスホーネットの死体を見せましょうか?」
「アイテムバック持ちですか?ですが、それでも1万匹のランスホーネットの死体は持ち運べませんよね?」
「あー違います。巣はドラグが跡形も無く燃やしたので灰すら残ってません。俺のアイテムバックに入っているのは巣に向かう道中で殺したランスホーネットです。200匹ぐらいしかいませんが。あっ、ちなみに燃やしたと言いましたが森は全く燃えてませんからご安心を」
「ますます信じられませんね!それほど大きい巣をランスホーネットと一緒に跡形も無く燃やす?話が逸脱しすぎてとても信じられません」
メルトリアが言う。まぁこの秘書の言いたい事は分かる。あんなバカでかい巣を跡形も無く燃やし尽したなんて簡単に信じられる訳がない。メルトリアは巣を直接見たわけではないが、1万匹ぐらいいる巣と聞いたのだ。その巣を跡形も無く燃やし尽くすのは無理だと思っているのだろう。そしてマグナスも口を開く。
「確かにそんな事が出来るのはSSSランク冒険者ぐらいだろう」
「そうですよ!SSSランク冒険者でも無いあなた達ができる訳がありません」
「だが俺はその話を信じる」
冒険者ギルドのトップがCランクの程度の冒険者の言う事を信じるのだ。メルトリアは目を見開いて驚いている。
「ギルドマスター!?」
「メルトリア、お前の言い分は間違っていないだろう。1万匹が入るぐらいの大きな巣を跡形も無く燃やす事ができる訳がない。それもCランクの冒険者なんかに…ってそう思うのは当然だ。百人に聞けば全員がお前の意見に賛同するだろう」
「では何故信じるのですか?」
「簡単な事だ。このドラグという男はその大きな巣を跡形も無く燃やし尽くすだけの実力を持っているからだ。この俺が保証する」
「本気で言ってるのですか?」
「あぁ、本気だ。前にも言っただろ?ルーク達は強いとな。いつの時代もいるんだよ。ランクは低いのに強い奴はな」
このマグナスという男はやはり相手の実力を測れるんだろう。フリージアさんも確か実力をある程度分かると言ってたし、恐らくマグナスさん自身も相当な強者なのだろう。
「だからルーク。俺はお前の言ってる事を信じる」
「ありがとうございます。あぁ、あと巣を壊したのですが、偵察に出ている蜂は殺していませんから、まだあの森にはランスホーネットがいると思います」
「あぁそれは問題ない。ランスホーネットは巣がなくなると連携すらも出来なくなり、散り散りになる。ランスホーネット単体だとそこまで強くないから色んな魔物の餌になるのが落ちだ」
「そうなのですか」
まぁそれなら安心だな。さて次は新しく従魔になったクインがいるので、その事と従魔を登録する仕方を教えてもらうか。
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