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巣の破壊とクイーンランスホーネット


俺達の目の前には巨大な蜂の巣がある。木と同じぐらいの高さまであるので、遠くから見ても上手く隠れている。さらに巣の半分は地中の中ときた。蜂の数は千、いや万はいるかもしれない。これどうすんだ?


さて、この巨大な蜂の巣をどうするのか守護王達と相談するか。


「どうやってこの巣を壊すか…」


「私の死魔法で全て息の根を止めていいのだよ?」


「ルーク様、私の光魔法で浄化してもいいわよ?」


「ボクの水魔法で全て窒息させるのです!」


「ウチの氷魔法で全てを凍死させてもええんやで?」


「わたくしの火魔法で全てを焼却する手もございますよ?」


どうやって壊すか悩んでいたんだが…うん。全員実現できそうなんだよなぁ。守護王達から提案されたやり方は全て本当に出来そうだから、誰を選ぶのかでまた頭を悩ます。こっちで頭を悩ますとは思ってなかったわぁ。


しかし悠長に考えすぎると、蜂に警戒されて巣の中から大量の蜂が出て来る。流石にそれは避けたい。すぐに誰か選ばないといけないが…そうだな、ドラグにするか。


理由は簡単だ。ドラグの戦う姿はあまり見たことがないからだ。本気とはいかないまでも見てみたい。


「ドラグやってくれるか?」


「畏まりました」


「ただし。周りの森は燃やすなよ?」


「それは一工夫しないといけませんね」


ドラグはいつも格闘で戦うのだが、今回は魔法を使うらしい。珍しいなぁ!どんな戦い方をするかワクワクする。


地中探索(グラウンドサーチ)。…ふむ。大きい巣ですね」


地中探索(グラウンドサーチ)は文字通り地中の中に何があるかを調べる魔法である。本来は鉱石などを採取する為に使われる魔法なのだが、ランスホーネットの巣の大きさなどを調べるために使ったそうだ。


「ではいきますよ!土牢獄(アース・プリズン)


土牢獄は土6級魔法。周りの地面が盛り上がり巨大な蜂の巣を土の牢獄で包み込む。異変に気付いた蜂達が慌てて飛ぶのだが時すでに遅し。1匹たりとも逃げ出す事は出来なかった。ってか何が凄いってあれほどの大きな巣が土魔法だけで包み込めるとか…。


仮にこの世界で土6級魔法を使える人間がいたとしても、同じ事が出来るかは分からない。それはなぜか、同じ土6級魔法の土牢獄が使えても、これほど大きな巣を包み込む為には、この大きな巣を包み込む為に使う大量の魔力と、その大量の土を動かす魔力操作が必要になる。一見ドラグは涼しい顔をしながら魔法を酷使しているが、かなり高度な事をしている。ちなみに地中探索(グラウンドサーチ)は土2級魔法だが、使い手で探索できる距離が伸びる。


そして土で包み込んだ巨大な蜂の巣の上にいつの間にか移動していたドラグは土の中に…消えた?


「ドラグが土の中に入ったのか?」


「そうなのだよ。正確には土壁にドラグが入れるぐらいの穴が空いてたのだよ」


なるほど。だから消えたように見えたのか。というかみんな分かってたのか?明らかにここから見えないよな?どういう目をしてるんだ?と疑問に思いつつ、土に覆われた巣を見つめる。


すると土から白い煙が出てくる。なんだなんだ?いったい中で何が起こってるんだ?


「ドラグもえげつないことするわねぇ」


「完璧に跡形も無く焼却するみたいなのだよ」


「あれはむごいわぁー」


「すごいのです!」


守護王達が、ドラグが中で何をしているかを理解しているのか、各々反応を示している。えっなに…。みんな中で何が起こってるのか分かってるの?理解してないの俺だけ?王として恥ずかしいんだが、仕方ない。恥を忍んで聞こう。


「すまん…。俺には何が起こってるの分からないんだが、中で何が起こってるんだ?」


「ドラグが巣の中心で炎熱地獄を使っているのよぉ」


炎熱地獄(ヘルフレイムサークル)。火7級魔法。自分の周りを業火で焼き尽くす魔法だ。その余りの熱量に近づくことはおろか、少し離れた所にいても肺が焼けてしまう程の熱量だ。水魔法で対応すればいいかもしれないがそうでもない。水魔法で対応しても、ドラグに届く前に蒸発してしまう。それ程の熱量なのだ。ドラグが使えば灰ぐらいじゃ済まないだろうだろう。確かにえげつない。


それにあの土で覆われた中心で炎熱地獄を発動しているのだ。熱の逃げ場はなくその場に熱が留まる。もちろん、地中に半分埋まっている巣も土魔法で包み込んでいるから逃げ場はない。まさに炎熱地獄だ。


すると魔法が終わったのか、土牢獄が崩れ去る。土牢獄の中にあった巣は跡形も消えており、土の中まであった蜂の巣も焼却されて、地面には大きな穴、クレーターがぽっかりと空いている。


そしてそのクレーターの地面からは、まだ白い煙が立ち昇っている。これを見るだけですごい火力だったという事がわかる。するとドラグがこちらに戻ってきて


「戻りましたご主人様」


「すごかったぞ。良くやった」


「お褒めいただき光栄です」


毎回思う事なのだが、本当にイーリスやドラグ達が仲間で良かったと心の底から思う。


「さて後は帰るだけだな。偵察?に出てる蜂は自分達の巣が無くなってる事を知ったら散っていくだろう」


「そうですね。この穴が空いた地面は元に戻しておきましょう」


ドラグは土魔法でぽっかりと穴が空いた地面を元に戻す。いやさらっと戻してるけど、それ地味に凄いからな!あの大きな穴が一瞬で()()()地面に戻ってやがる!いちいち驚かされる。平常心平常心。


「じゃあ森の入り口に戻るか」


みんなが頷いて帰る事にする。やはりといっていいが、呆気なく依頼が終わってしまった。今回はドラグが魔法を使ってる珍しいところを見れたからまぁ良しとするか。自分が産み出した配下達の実力を見るのはやはり楽しい。


俺達は森の入り口でキャンプしていた場所に一旦戻るのであった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


俺はランスホーネットの巣を壊したが一応、範囲地図を開いている。やはりまだランスホーネットが残っているらしく、俺達を見つけたら襲いかかってくる。あぁまたか。


これで何百匹目だ?道中だけでそれぐらい倒してるのに、巣の中には一体どれだけいたんだろう。考えるだけでおぞましい。


そう言えば森に入ってからランスホーネット以外の魔物を見てない。ランスホーネットに全て食べられたか倒されたか、それとも危険を察知して逃げたのか。精霊が少ないのもこれが原因か?


どちらにしてもランスホーネットしか出会わない。これは確かに異常だ…


そう思っていたのだが、マップにポツンと1つだけ赤点が写っている。ん?変だな。普通ランスホーネットは3匹1組で行動するのだが、1匹で行動する事はまずない。この森に生息している魔物が隠れているのか?


他の魔物もいないから隠れているのはありえる。それとも死に損ないのランスホーネットか?と俺は思って近付いて見る。


マップに写っている赤い光点を目指して歩くと、そこは小さい木が生い茂っている場所であった。恐らくその小さな木の中に魔物が隠れているんだろう。だが、俺が近づいているんだ。気付かれたと思って逃げていいはず。それともかなり近づいたところを奇襲するのか?何にしろ盾魔法を掛けておこう。


「どうされましたか?ご主人様」


「その小さな木が生い茂っている場所に魔物がいる」


「ウチらの気配探知には引っかからんかったけどなぁー」


「私が調べてみるのだよ」


そう言って、その小さな木が生い茂っているところをタナトスが探る。


「…ふむ。確かに魔物がいたのだがこれは……」


タナトスは自分の魔力を操作して、その魔物を引きずり出す。魔力操作便利すぎ!タナトスの体から魔力の大きな両手が茂みの中にいる何かを引きずり出す。俺そんな器用なことできないけど?


ちなみに魔力を具現化するには、膨大な魔力が必要になる。フリージアさんでさえ、具現化するには魔力が足りない。


そして中から出てきたのはランスホーネットだ。ただ少し大きい。俺は【神眼】を使ってみる。っ!?これは…


「女王…」


そう。茂みの中から引きずり出したのは魔物はクイーンランスホーネットと書いてある。女王か。しかし何故こんなところに?


それよりも寝ているのか?こんなところで?タナトスに魔力で持ち上げられてもビクともしない。


「ん?寝てるのか?」


「いえ、かなり瀕死で今にも死にそうだわ」


「意識を失ってるんかな?だからウチらの気配探知には引っかからんかったんやなー」


「助けるなのです!」


「えっ!?助けるのか?」


「ダメなのです?」


いやダメじゃないんだが…。やめて!プリンのその上目遣いで、目をウルウルしているその顔は何でも許しちゃうから!落ち着け俺よ…。虫、それも蜂は苦手なのだが…プリンにあんな顔をされたら助けるしか…。くっ…!どうしたら!


「そういえばご主人様はインセクトテイマーの素質があると言われてましたが、助けると手懐ける事が出来るのではないでしょうか?」


「ふむ…。それはいい考えなのだよ!私もそれがいいと思うのだよ!」


「ええなぁ!ご主人様のペットやで!」


嫌なところで思い出すな…。あぁそうだ。俺はインセクトテイマーの素質がある。それは俺も考えてた。まぁ仕方ない。守護王達も乗り気だし、それに何よりGではないんだ…。究極の選択、Gとこの蜂どちらかをテイムしなけばならないと言われたら、迷う事なくこの蜂をテイムする。覚悟を決めるか。


「…分かったよ、助けるよ。セレス回復してくれないか?」


「えぇ、いいですけど普通では助けられないわよ?」


ん?どういう意味だ?セレスの回復でも、どうにもならない傷なのか?そうには見えないが。


「意味がわからないんだが、もう少し説明してくれ?」


「確かにこのランスホーネットは瀕死だわ。だから回復魔法で体のダメージは回復させられるわ。でも回復させられるのは体のダメージであって、体の体調までは回復させられないわ」


「んー?つまり病気って事か?」


「そこまで大袈裟な事ではないのだけど、この子はもう何日も何も食べてないのでしょうね。体に栄養がいかず、意識が朦朧として、意識を手放しているんだと思うわ」


な、なんだってぇー!光魔法もとい回復魔法は万能ではない。外傷を回復させたり、セレスであれば毒などの状態異常を回復させたりはできるのだが、血を増血させたり、空腹を何とかする魔法は無いのだ。まぁ確かに空腹まで回復させたりできるなら食事なんてしなくなる。人という概念から外れている。ちなみに増血の魔法は無いが増血剤はある。


「つまり何か与えないと餓死するって事か?」


「そういう事になるわね。回復魔法も万能ではないの。この子に栄養のある物をあげればなんとかなりそうだけど、意識のない虫に餌を与えるのは現実的ではないわ」


「セレス。こいつはもう時間がないのか?」


「そうね。もって半日ぐらいかも知れないわねぇ」


「そうか。何か良い考えは…」


何かあるはずだ。この蜂が助かる手段が。何かないか…。俺は黙り込む。意識のない虫に直接餌を与えるのは現実的ではない。むしろ何の餌を上げたらいいかも分からんし、虫の体の構造についても詳しくない。


もし餌をあげれたとしても、喉に餌が詰まる事だってあるかもしれない。無理だ。じゃあ他の方法は?外から直接栄養を与える方法…。そんな方法があるのか?


じゃあ流動食みたいにしてあげるのは?そもそもストロー的なのはどう用意する?ストロー的なのを用意したとして、それを食べさせたとして本当に助かるのか?何を食べるか分からないのだぞ?確実に助ける方法。あぁ!なんで俺はこんなに必死に考えているのだ!?こいつは魔物じゃないか!助ける義理なんてない!…といいたいが、何故かこいつは助けてやりたいと思う。なぜ?…えぇい!そんな考えてる暇があるなら助ける方法を考えろ!時間は無いぞ!


何かないか?守護王達の能力で?俺は守護王達を1人1人見つめていく。リル、セレス、タナトス、ドラグ、プリン……プリン?あぁ!あるじゃないか!直接餌を与えなくても食事を取れる方法が!


「プリン!プリンの異次元の中にこのクイーンランスホーネットを住まわせてくれ!」


「分かったのです!」


そうだ!プリンの異次元は生きた生物すら取り込める事ができる!プリンの異次元の中では食事を取れない代わりに、プリンの生命力を奪う事で生きる事が出来る!


確かラガンを何日もプリンの中で住まわせてたが、出した時は特段お腹が空いてるようには見えなかった。恐らくこの方法で、このクイーンランスホーネットは助かるだろう。


「よくお気づきになられました」


「そうねぇ!私達も気づかなかったわぁ」


そう言ってるが本当かどうか怪しい。気づいていながら、敢えて俺に自分で気づいて欲しかったのではないかと思ってしまう。まぁそれをいったところでそんな事はないと言われそうだから口には出さないが。


「そうか。取り敢えずプリン、少しそのクイーンランスホーネットの様子を見ててくれ。気がついたら俺に教えてくれ」


「はいなのです!」


「これでランスホーネットがなぜいきなり襲いかかって来るか少し分かった気がするのだよ」


「そうなのか?」


「恐らくなのだよ。ドラグ、あの大きな巣には女王がいたのかね?」


「分かりませんが、1つだけ明らかに周りのランスホーネットとは違う強さを持つ蜂の気配はありましたよ」


えっ?そんな事判るの?あれ絶対万はいたよね?気配でそこまで判るのも凄いけど。


「恐らくそれは新女王なのだよ。ランスホーネットの生態がまだあまり分かっていないから確かな事は言えないのだが、その新女王が旧女王から王座を奪ったのではないのかね?」


地球にいる蜂などは新女王が誕生して旧女王は巣を旅立ち新たな巣を作るのだが、それは地球での話だ。もしかしたらこちらの蜂は新女王が巣から旅立つのかもしれない。


その過程で新女王が巣から旅立つのをやめて、旧女王を襲って巣を奪ったという事か?ありえない話でない。


「もちろん旧女王も戦ったが新女王には勝てなく逃げ出した。そしてまだ生きてると分かっている新女王は、いつか復讐に来るのではないかと思って、旧女王を殺そうと偵察兵にも旧女王を見つけ次第、すぐ殺せとの命令をしていたのかもなのだよ。それも旧女王を見つけて殺すのが最優先の命令だったのかもしれないのだよ」


なるほど。確かにその仮説ならいきなり蜂共が襲ってきた理由に納得するし、焦っていたって話も辻褄があう。


「それでいきなり襲いかかってきたのか。なんか人間の世界でもありそうな話だなぁー」


「まぁこれはあくまで私の考察なのだがね」


「まぁでも巣を壊したし、いきなり襲いかかって来るのもなくなるかもしれないな」


それに巣が無くなればそこら辺でウロウロしている蜂は何処かに消えるだろう。単体のランスホーネットはそこまで強くないし、1匹じゃそこら辺の魔物にも負けそうだし。


「よし。じゃあ森の入り口まで戻るぞ!」


俺達は森の入り口まで戻るのであった。


読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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