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色々と終わったので蜂がいる森へ


俺達は王都ファルシオンの西門に来ていた。王都ファルシオンの西門と東門は王都から外に出る場合に使われる門で、この2つの門から王都へ入る事は禁止されている。出口専用門という事だ。


やはり王都というだけあって、外に出ていく冒険者や商人がそれなりにいる。冒険者は依頼で外に出たり、商人の護衛だったりと色んな冒険者がいるなぁ。


さて俺達も行くか。俺達は西門を通過する。西門には門番がいるのだが、外に出る場合は、ギルトカードを提示するだけで基本的には止められたりはしない。怪しい者は流石に止めたりはするらしいが。


王都の外に出て地図を確認する。冒険者ギルドマスターのマグナスさんが言うには、王都から北西に進んだ森にランスホーネットがいるらしく、その近くというか、奥にはかなり大きい山脈があるらしい。


その山脈の名前はボルドラ大山脈。冒険者大国ハルバードと魔王国ヘルゴーラの間に挟まれているボルドラ大山脈だ。冒険者大国と魔王国ヘルゴーラの間に挟まれているって事はつまり国境線だ。このボルドラ大山脈はかなり大きいのだが、実際この王都から既に見えるぐらいには大きい。しかも山脈の後ろに、さらに大きい山脈がある。


ちなみに竜人国という竜が住んでいる国があるのだが、それがこのボルドラ大山脈の中心だ。竜人族は数はそこまで多くはないが、みんな竜の血を引いているのでかなり強い種族なのだ。なので魔王国も冒険者大国もそのボルドラ大山脈に足を踏み入れる者は滅多にいない。


足を踏み入れる者は相当の命知らずか物好きだけとの事だ。


地図を見てみるとボルドラ山脈の近く、少し手前らへんに小さいが、森がある所がある。恐らくそこが俺達の目指す場所だろう。


歩く方角も分かったので、俺は地図をしまってみんなに声をかける。


「歩く方角は分かったから出発するか」


「ランスホーネットどんなんか楽しみやなぁ!」


「遊びに行くのじゃないのよ?」


「だが、私も楽しみなのだよ」


「ボクも楽しみなのです!」


「まぁ良いではないですか。旅は賑やかな方が楽しいですからね」


「そうだな。じゃあ出発するぞー!」


俺達は森に向けて歩きだすのであった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


王都からでて何時間か歩いたところで


「やっぱ馬車ほしいなぁー」


「確かに馬車があると楽だわよねぇ」


「馬車が無くてもうちの背中ならもっと早いで!」


「リルは目立ち過ぎるのだよ」


「一応わたくしの背中にも乗れますが、騒ぎになるでしょうね」


「ボク達は魔物だからバレたらまずいのです!」


「そうだな。俺たちの仲間に馬系の配下がいないから仕方ないが」


確かにリルやドラグが元の姿に戻って運んでくれるのならすぐに着くだろうが、ここはまだ王都に近いから見つかれば騒ぎになる。遠くにボルドラ大山脈らしき山が見えてるのだが、全然近付いてるようには見えない。


というか王都から見た時と大きさが変わっているようには見えない。それぐらい大きいと言う事だ。迷宮外での移動手段も考えないといけないか。そんな事を考えていると


『ルークさん、聞こえますか?』


『聞こえている。どうしたレナルド?』


『いまマリナさんに念話の指輪の使い方を教えてます。マリナさんから念話が届くと思うのでよろしくお願いします』


『あぁ。分かった』


レナルドの念話を切る。そうか。もう渡したのか。マリナの奴うまく使えるか?マリナからの念話を待つ事数分、マリナから念話が届く。


『ルークさん聞こえてますでしょうか?…これ本当に聞こえてるんですかね?』


『聞こえてるぞ?』


『きゃっ!?本当に聞こえました!ビックリしすぎて声に出して驚いてしまいました!』


『まぁ一度使い方が分かるともう大丈夫だろう』


『そうですね。あの塩と砂糖にこんな高価な物を本当にありがとうございます。私…どうしたら…』


マリナがまた泣きそうになる。おいおい…いきなり泣くのは勘弁してくれ!俺は気軽に知らない女性に話しかけれるほど勇気は備わってないんだぜ?そんな俺が泣いてる女性の扱い方を分かる訳がないだろ!


考えろ…。選択肢1、「泣くなよ…可愛い顔が台無しだぜ?」…却下だ。というかシャイボーイな俺がそんな発言はレベルがたけぇ!


選択肢2、無視…これも却下だ。折角俺のトワイライト商会のメンバーになったのだ。信頼は大事だ!無視なんて好感度があるゲームなら間違いなく信頼度が下がる。信頼度が下がって引き抜きなんて目も当てられない!


選択肢3、誤魔化す。…ありか?まぁ確かに嘘をつく事にはなるのだが、バレなきゃ良いのでは?やむを得なく念話を切ればマリナもわかってくれる!いけるぞ!


『気にしなくても大丈夫だ!それよりも今こっちは戦闘で大変だ!また連絡するからな!』


一方的に切る。ふぅー…。今まで彼女が居た事なんてないし、泣かれたらどういう対応していいか分からんのだよ。許せマリナ。


俺に感謝をして泣いてるのだ。親が亡くなって泣いてるなら俺にも慰める事は出来ると思うが、俺に感謝して泣いてる時の対応は、俺のマニュアルには書かれてないからなぁ。というかそんな俺に感謝して泣かれるなんて初めての事だ。攻略方法が分からん!


「ルーク様どうしたのです?」


「あぁ。ちょっとレナルドとマリナから念話が届いてな」


「店の店主だったかね。いい調子に売上を伸ばしてると聞いたのだよ」


「そうね。恐らくマリナの店もそれなりの売上を出すでしょうね。でも心配だわ」


「ん?何が心配なん?」


「妬みを買ってしまう心配でしょうね」


それは確かに心配だ。マリナの道具屋に出す物は間違いなく売れると確信がある。同じ道具屋の者から妬まれるのはあるだろう。だからヴィーナの配下にマリナ一家を守らせているのだから。


「でも、ヴィーナお姉ちゃんの配下がついてるのですよ?」


「そうだな。だからレナルドやマリナ一家は大丈夫だろう。ただ店を狙う場合もあるな」


「なるほど。店に火をつけるなどだね」


「そんな事させへんで!」


「まだ時間はあるだろうから大丈夫と思うが、店を守る結界の魔道具も置いておくか」


「それは良い考えねぇ!ルーク様の国に張ってある魔道具の結界を小さくすればいいのじゃないかしら?」


そうだ。悪意がある者を見分けて近付けないようにする結界だ。もちろん色んな攻撃からも守ってくれる。レナルドやマリナを直接狙わずに店を狙ってくるのは普通にありそうだし。


「それに、そろそろヴィーナ達を動かそうかなって思ってる」


「それはどのように?」


「それは…考え中だな」


本当はある程度、頭の中では形になっているが、取り敢えずまだ言わなくてもいいだろう。ある程度の形にはなっているが、まだ問題もあるからどうしようかな?っていう具合だ。これが纏まれば守護王達にも話す予定だ。


「そうなのですか」


「まぁでも近い内に動かすよ」


とはいえ、これはヴィーナ達にもピッタリな仕事だ。ヴィーナ達には存分に力を発揮してもらおう。と考えているとセレスが俺に話を振ってくる。


「ルーク様、話が変わりますがトワイライト王国で貴重な花などの栽培をしたいのだけれど」


貴重な花などの栽培か。月花草などの栽培って事かな?それは良いのではないか?たしか月花草はポーションの素材とかって聞いたしな。


「いいんじゃないか?場所は使いたい所があれば言ってくれると助かるよ」


「トワイライト王国外の一角を欲しいのですが」


「畑とは被らない所であればいいぞ?それに貴重な花などの栽培は俺も賛成だからな」


「実はフリージアさんと一緒に話してた時に意気投合してね、一緒に栽培をしたいと言う話になったのよ。ですから妖精や精霊達に育て方を教わりながら栽培をしてみようかと」


なるほどなぁー。セレスもフリージアさんと話したりと、俺が見てない間に色々行動してるんだなと感心した。守護王達が自主的に自分のやりたい事を進んでやったり、俺に提案してくれるのはイーリスや守護王達を産んだ俺からしたら感動だ。


冒険者で有名になる事は今後トワイライト王国の為になるから、みんなにも頑張ってほしいが、自由行動の時はやはり趣味などを守護王達には持ってほしい。せっかく自分の意思で行動できるようになったんだ。セレスのきっかけで変わってくれると嬉しいが。


「分かった。俺も全力でサポートするよ」


「ありがとう!嬉しいわぁ!」


栽培をする事もいいのだが、やはり守護王達が自分のやりたい事を自分で言ってくれるのはもっと嬉しい。俺はそれを全力でサポートしたい。


「リル、タナトス、プリン、ドラグもやりたい事があれば遠慮なく言ってくれよ?」


「はいっ!」


「分かったのだよ」


「はいなのです!」


「畏まりました」


俺達はそんな話をしながら歩き続けるのであった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


食事する時と寝る時以外はただひたすら歩く。そんな日を丸2日続けてようやく地図に書いてある森に到着する。ここから見えるボルドラ大山脈はやはり王都とそこまで変わらない大きさだ。ボルドラに行くならもう数日歩かないといけなさそうだ。今はもう夜なので森の探索は明日にする。


「この森そこまで遠くないと言ってたが、歩いて丸2日掛かったな」


この世界でのそこまで遠くないは、丸2日は当たり前のようだ。やはり馬車が必要かも。ゴーレム馬もいいのだが、俺はまだ作れない。ゴーレム馬を創るには俺の魔力が足りないらしい。それにゴーレムを維持する魔力も必要になるらしいから、ゴーレム馬を創れたとしても維持できないだろうなぁ。


「ルーク様、夕食出来たわよぉ?」


「あぁ、今行く」


俺は今テントの中にいるのだが、夕食を食べに外に出る。セレスが木魔法で作ったテーブルや椅子には既にみんな座っている。木魔法ってこういう時便利だよなぁ。俺もこういう魔法使いたいのだが、望みは薄そうだ。もちろん適性がなくても努力すれば使えるが、相当努力がいるのだとか。しかも努力して火魔法を使えても手に火を出すので精一杯らしい。


それも魔道士として才能がある者でそれだ。魔法にも魔道士にも才能が無い俺であれば努力せずとも結果は分かる。俺は努力すれば報われるとか、努力すればどんな夢でも叶うという言葉が嫌いだった。


どんなに努力しても覆らないものがある。産まれた時から平等なんてのは嘘だ。産まれた時から裕福な家庭と貧乏な家庭、その時点でもう将来のなりたい職業の選択肢の幅ははかなり違うと思う。将来の夢を持つのは勝手だ。だがどれだけ将来の夢を見て努力しても覆らないものがある。努力が足りない?


違う。俺は努力したところで意味はないと思う。高校を卒業したら俺を養った分のお金を返せと、本当の親ではない親に言われた。選択肢などなかった。俺からすれば選択肢を与えられる事がもはや羨ましい。俺は子供だ。反抗して追い出されて野垂れ死んでも、あの親達は俺に関心すらないだろう。邪魔者が消えた。生きてるなら今まで俺に使った金を返せ。確かにここまで生きてこれたのはこの親のおかげだ。


1人暮らしを始めたのは俺の意志ではなく親の意志だ。顔も見たくないから1人暮らしをしろ、でもお金を入れろだ。まぁそれで離れられるのなら否が応もない。俺に与えられたのはその道だけ。俺が親になりたい職業は言ってないが、大学に行きたいと言おうもんならキレ散らかして殴るは蹴るはで。


そして「お前は高校を卒業したらすぐに働いて、私達にお金を返しなさい!大学なんて贅沢!」と言われた。たぶんこの職業になりたいと言ってても同じことになってたかな?あの親共、俺にお金を振り込んでもらう事しか頭になかったからなぁ。いつの間にか殴られない為に、逆らわないようになったっけ?っと胸糞悪い話を思い出してしまった。そんな事は今はどうでもいいか。


「ルーク様?浮かない顔してどうしたの?」


「いや、何でもないよ」


「そう?」


「おぉ!今日は唐揚げか!」


「はい!挑戦してみました!卵は迷宮でビックバードの卵を見つけましたのでそれを使ったの!」


へぇー!迷宮にビックバードの卵があったのか!まぁ調味料は一通り拠点宝珠で買えるから油や小麦粉は売っている。パン粉はこの世界のパンを使って粉末にしたらしい。


今日の夕食は唐揚げと野菜のスープだ。基本なレシピや作り方等は女神に魂を入れられる時に情報もある程度入れられてるそうで、イーリスや守護王達は全員作り方を知っているそうだ。


まぁでも料理に興味あるのはリル、セレス、ヴィーナ、ドラグぐらいだろうか?リルが料理に興味があるのは意外だが。俺以外のみんなは食べた事がないので、みんなワクワクしているようだ。


「じゃあ食べようか!」


そしてみんなで「いただきます」という合図で食べ始める。俺は唐揚げを1つ箸に取って食べる。…おぉ!美味いな!外はカリカリだが中の肉は柔らかく肉汁が出てくる。これはお米やビールが飲みたくなるなぁ!これだけでも売れそうだ!


「美味いな!」


「めっちゃうまいでこれ!」


「ご主人様、上手く出来ていますでしょうか?」


「本当の味を知っているのはルーク様だけなの。だから感想を聞きたいわ!」


「あぁ!バッチリだ!というか俺がいた世界でもこれぐらい美味しい唐揚げはなかなかないぞ?」


調味料は恐らく日本と同じだが、やはり品質が良いからか?かなり美味しい。


「美味しいのです!」


「やはりこの世界の魔物は、王が元いた世界よりも品質が良いかもしれないのだよ」


「そうかもしれんな。強くてレアな鳥ならもっと美味しい唐揚げが作れるかもしれんな。あと米が欲しいな」


「この世界には米があると聞いたわぁ。まだ見つけてないのだけど」


「まぁいつか見つかるだろう」


大きな皿に大量の唐揚げが乗せられていたが、あっという間になくなった。だがあの量でビックバード1体の半分ぐらいだそうだ。食料には当分困らないな。


さて食事も食べた事だし明日に備えて寝るか。明日は森の中を探索しないといけないし。テントは2つ持ってきていて、男性用と女性用に別れている。


テントの中にベットは3つだが、何時もの様にプリンが俺と一緒に寝るみたいだ。


プリンのひんやりした体を抱きしめながら俺は深い眠りにつく。



読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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