ルビーとシーナの新たなお仕事
今俺達は商人ギルドに来ている。もちろん、レナルドさんと一緒にだ。俺達は商人ギルドに入り、受付のルピスの列に並ぶ。そして俺達の順番になる。
「ようこそ商人ギルドへ!あっレナルド様にルーク様!今日はどういったご用件でしょうか?」
「今日は横にいるルークさんの商会に商会メンバーとして登録しに来ました」
「そうなのですか?レナルド様は自分で商会を立ち上げたいと以前から仰っていましたが」
「あぁ、その件はもういいのです」
おぉい!そこは何も聞いてやるなよ。この受付嬢さん、頼むから空気読んでくれよ。気まずいんだが…。
「そうですか。ではルーク様の商会に入るという事ですね」
「はい。それと私の店もルークさんの商会の本店にしてほしいです」
「畏まりました。ではトワイライト商会にレナルド様とレナルド様のお店を登録します」
「トワイライト商会?」
「俺の商会です」
「なるほど。ルークさんはトワイライトと言う名なのですね」
「はい」
「確かレナルド様のお店は中央通り東の通りにある店ですね?」
「はい」
「そこをトワイライト商会の本店にっと。ではレナルド様、こちらの書類に名前と年齢をお書きください」
そう言われてレナルドさんは書類に名前などを記入する。
「出来ました」
「はい。確認できました。トワイライト商会は商会ランクがゴールドですので、年会費金貨5枚、税金金貨10枚となります。期日は1年後になります」
「レナルドさんの年会費と税金は俺が払う」
「畏まりました。ではルーク様の年会費と税金を払う際にレナルド様の分もお願いします」
だがまだ払わない。払ってもいいのだが、今は手持ちが心許ない。年会費と税金は1年猶予あるから稼いでから払えばいい。
「分かった」
「トワイライト商会の本店とレナルド様をトワイライト商会のメンバーに登録しました。他に何かご用はありますか?」
「ないな」
「私も特には」
「畏まりました!ではまたのお越しを!」
レナルドさんはトワイライト商会のメンバーに登録できた。これでいつでも商売を始めてもいいという事だ。俺達は一旦商人ギルドの外に出る。
「俺はこのあと砂糖と塩を取りに行ってくるので待っててもらえますか?」
「分かりました」
貴重な物だがこれもついでに渡しておくか。
「レナルドさんこれもお渡しします」
「これは?」
「これは念話の指輪といいます。これを指に嵌めて魔力を指輪に流し、心の中で俺を想像し、念じて話すと俺に繋がります。まぁ一度使ってみましょう」
レナルドさんは念話の指輪を指に嵌め、魔力を流す。レイアが3つ多めに作っていたからな。1つはエールにあげた。そして2つ目はレナルドさんだ。もちろんレナルドさんは薬指ではなく人差し指に付ける。
『ルークさん。聞こえますでしょうか?』
『聞こえてますよ?』
「おぉ!凄いですねこの指輪。ですがかなり高価な物ですよね?それを平然と貸すとは…」
「違いますよ?あげるんですよ」
まぁこれからもレナルドさんにずっと持っててもらうのだ。あげるといっても間違いではない。
「はっ?」
「ですからあげます。トワイライト商会のメンバーには必ずこの指輪を配布します。俺も色々やりたい事がありますからね。なかなか会いに行く事はできないかもしれませんから」
「ははっ…。本当にルークさんは何者なんでしょうね」
「その答えは何れ言いますが、今は教えられません」
申し訳ない。何れ迷いの森の事も誤りますので待っててくれ!
「ええ。分かっています。私はルークさん、あなたに興味がわきましたよ」
「それはありがとうございます」
「それはそうとルークさん。私には敬語じゃなくていいですよ?商会的には私より立場が上なので」
「ですが…」
敬語じゃなくても敬語になるんだよ。家族にさえも敬語だったし。俺が唯一、敬語を使わない者がいるとしたらイーリスや守護王達だけだからな。
それに中身はあれだが、見た目はまだ若い俺がレナルドさんにタメ口ってなんか失礼じゃないのか?っておもうんだよな。本当にいいのか?
「いいのですよ。私がそうしてほしいのです」
「…分かりました。いや分かった。レナルドさんも普通に話してくれ」
「いえ。私はこれからも敬語です。これから先、私の下で働く者も出てくると思います。その者達に私がルークさんに敬語ではなかったら示しがつきませんから」
レナルドさんはそんな先の事まで考えていたのか。改めて良く出来た人だと思う。
「…レナルドさん。分かった。ではこれからよろしく頼む」
「こちらこそお願いします」
「では塩と砂糖を取ってくる。レナルドさんは先に店に戻っていてくれ」
「分かりました。では気をつけてください」
「あぁ」
そして俺達レナルドさんと一度別れ、物置小屋に設置している転移門からトワイライト王国に戻る。…とその前に
『ヴィーナ聞こえるか?』
『何でありんしょう?』
『今からトワイライト王国に戻るから一緒に来てくれ。物置小屋の中で待ってるから』
『分かったでありんすぇ』
『あーそれと他の守護王達にはそのまま待機というか自由行動にしてくれ。お金はイーリスが持ってるから、何か買いたい物があるならイーリスに言ってくれ。あと問題だけは起こすなよ。と伝えてくれ』
『もう伝えたでありんす。では物置小屋に向かいんす』
念話を切る。早いな!どうやって伝えたんだ?気になる。そんなどうでもいい事を考えながらセレスとリルを連れて物置小屋に向かう。
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俺達は物置小屋に着いた。周りを見渡して誰もいない事を確認してから物置小屋に入る。物置小屋に入るとヴィーナが既にいた。
「ヴィーナ早いな」
「影の中を移動すれば早いでありんす」
なるほどな。影の中なら周りに見られず移動できるか。と1人納得した。
「さてトワイライト王国に戻るか」
俺が言うとセレス達は頷く。そして転移門を潜る。転移門を潜ると最古参のメイド達とその後ろに5人のメイドが出迎える。
「「「おかえりなさいませご主人様」」」
「あぁ。ただいま。さてまずはヴィーナ」
「何でありんすかぇ」
「ヴィーナの部下を何人か王都に連れて行ってくれ。精鋭でなくてもそれなりに腕の立つ奴でいい。レナルドさんに気づかれないようにレナルドさんを護衛をしてくれ」
「分かったでありんす」
そう言うとヴィーナは転移門部屋から出ていく。
「次にエール。俺や守護王達がいない間はエールがこの城…いやこの国の最終決定権を有する事にする」
「え、えーとぉ…つまりそれは…」
「何か俺に指示を仰がないといけない問題がある場合に、俺や守護王達がいない時はエールの指示で動くように」
「えぇぇー!?私どうしたらいいか分からないですぅ!」
まぁそりゃ驚くか。だがこれは俺にとってエールは必要だよ?と言う俺からの遠回しのフォローでもある。
「エールには指輪があるだろ?俺に指示を仰がないといけない問題なら俺に念話してこい。俺はすぐ国に戻れるか分からない、なのでエールの指示に従えって事だ。ルビーもシーナも今の言葉しっかり聞いたな?エールの事も任せたぞ」
「そういう事ですかぁ!」
「「お任せください」」
「うむ。それとルビーとシーナに新しい仕事を授けたい」
2人に任せたいと言ったので、2人は真剣になる。そう、俺の本当の目的はこれだ。ルビーとシーナは完璧だからこそ任せたい。ドジっ子なエールには流石に荷が重い。そういう設定にしたのは俺だが。ごめんよぉエール!
ルビーとシーナしか指名してないから、またエールが拗そうだから先にフォローを入れといたのだ。だが、ルビーが不思議に思ったのか、疑問をぶつけてくる。
「ですがルーク様、それならばエールでも良いのではないでしょうか?」
「あー、まぁ確かにエールでもやろうと思えばできるんだが、出来るだけミスしてほしくないんだ。国に関わることだからな」
そう言うとエールは顔を下に向けて落ち込む。ヤバイ!すぐに俺はエールの頭を撫でる。
「か、勘違いするなよ?エール。エールにはエールしか出来ない事がある。さっきも言ったようにエールは念話の指輪があるからな。俺の指示を仰ぐにはエールしか出来ない。ルビーやシーナにも、ルビーやシーナにしか出来ない仕事を任せたいのだ。適材適所と言うやつだ」
「ルーク様の言う通りよ?エール。今回の仕事は国に関わることだから、ちょっとしたミスもかなり大きいミスになるかもしれないわ」
「そうね。エールが役に立ちたい気持ちも分かるけど、エールにはエールしか出来ない仕事があるでしょう?私達も私達にしか出来ない仕事があるからこっちは任せなさい?」
シーナとルビーが俺の意図を分かってくれて援護射撃をする。ナイスだシーナ!ルビー!いいフォローだぞ!エールはメイドの中では一番頑張っているのは知っている。そんなエールに悲しい顔をさせるのは本当に心が痛い。なので俺は全力でエールを笑顔にする。
「ルーク様…、ルビー…、シーナ…。そうですね!私にしか出来ない事がありますよね!申し訳ありません!落ち込んじゃって!」
すっかり元気になったエール。単純な子で良かったよ。と俺はホッと心を撫で下ろす。
「いいんだよ。じゃあ執務室に行くからエール、ルビー、シーナは一緒について来い。他のメイドは持ち場に戻っててくれ」
「「「「「畏まりました」」」」」
さて執務室に行きますか。と俺達は転移門部屋から執務室に移動する。
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俺達は執務室に着き、特にノックせずに入る。執務室に入ると1人働いている者がいる。
「久しぶりだなアルマ。とは言ってもあれからたったの2日しか経ってないが」
「あっ!ルーク…様。おかえりなさいませ」
「なんだ?様って。アルマを買う前は貴方だっただろう?別にそれでいいぞ?」
「いえ私は今、ルーク様の奴隷ですから」
まぁ流石にアルマも自分の立ち位置が分からないほど馬鹿じゃないようだ。奴隷として雇われたからな。
「そうか。別に奴隷なんて俺は気にしないがな」
「それはいけません!」
「まぁアルマがそう言うなら何も言わないが」
よっこらせっと俺は執務室の椅子に座る。
「仕事はどうだ?少しは覚えたか?」
「はい。メイド長のルビー様とシーナ様は教えるのがすごく分かりやすいので、私もすぐに仕事を覚える事が出来ました」
「そうか。それは何よりだ。何か生活に困ったりとかは特にないか?」
「はい。待遇はかなり良くしてもらっています。それに1週間に2日も休みがあるのです。本当にそれでいいのかと思ってしまいます」
「まぁ俺達はそれが普通だからな。働きやすいと思ってくれて何よりだ」
奴隷の身分のアルマには2日も休みあるの!?まじで!?って感じなんだろうな。俺が奴隷の身分ならそう思うし。っていうか日本にいた時より待遇よくね?って思っちゃう。
まぁこれでブラックだ。待遇悪いとか言われたらどうしようかと思ったが、今のままで良さそうだ。
「ルーク様は何故こちらに?」
「あぁ、今日はルビーとシーナにしか出来ない仕事を教えに来た」
「そうでしたか。私が邪魔であればこの部屋から退出しますが?」
「別に大丈夫だよ」
「分かりました」
アルマは仕事を再開する。重要な書類であるかそうでないか、急ぎであるかそうでないかを分けてくれている。分けているといないとでは仕事が終わる早さが違う。つまりほんと助かっている。
「さてルビーとシーナ、お前達には先程も言ったのだが、お前達にしか出来ない仕事を教える。それは拠点宝珠の仕事だ」
そう!俺が教えたかったのは拠点宝珠の扱い方だ!
「たしかルーク様とイーリス様しか使う事が出来ない仕事ですよね」
「そんな仕事を私達がしても宜しいのでしょか?」
ぶっちゃけお前達だから教えるんだぞ?というかこの2人以外に任せれる者はいないというか。まぁドラグは教えてもいいのだが、教えたところでずっと俺の側から離れない。
「この仕事は出来るだけミスを無くしてほしいんだ。だからお前達に任せるんだ。それにイーリスも当分はこっちに戻れないと思うからな」
ルビーとシーナも私達にしか出来ないと考えたのか、顔付きはさらに真剣になる。
「仕事の内容は簡単だ。このトワイライト王国に塩や砂糖の調味料、紙やトイレットペーパー等の消耗品を売ってる店があるだろ?その店の在庫が無くなる前にこの拠点宝珠で大量に買って、その店に売ってやってくれ。特にトイレットペーパーとか在庫を切らしたらとんでもない事になるだろ?」
「た、確かに」
「ええっと……たしかここら辺に……」
俺は執務室の机の引き出しの中をガサゴソと漁る。あんれぇー?ここら辺に入れたと思ってたんだけどな?こっちだったかな?……おっ?
「あぁ。あったあった」
俺は机の引き出しからファイルを取り出す。ファイルの中はイーリスが作った早見表が挟まれている。
「これを渡しておくか。これはイーリスが作った早見表だ。1週間にどれだけ補充すればいいか、1週間にどれだけ売れたのか等記載されている。これを参考にして欲しい」
俺はファイルをルビーとシーナに渡す。正直これめちゃくちゃすげぇんだよ!俺はあんな真似出来ない。なんでも完璧にこなすイーリスだからこそ出来るといったところか?俺なら投げ出す未来しか見えん。
「中を見てもよいでしょうか?」
「あぁ。いいぞ」
「………これはすごく分かりやすいですね。さすがイーリス様です」
「えぇ。1週間前の売られた総量と比較出来るようにもなっていますわ」
そうなんだよ。1日どれぐらい売れたのか?とか1週間でどれだけ売れるのか?とか、こまめにチェックしている。それも拠点宝珠から買える素材を扱ってる店、全てのだ。
「とまぁ、調味料とかトイレットペーパーはここの拠点宝珠でしか買えないから、無くなりそうになったら補充して売ってやってくれ」
「「畏まりました」」
「後は拠点宝珠の使い方だが…少し待ってくれ」
俺は拠点宝珠に触り少し設定をいじる。拠点宝珠を使える人間にルビーとシーナを追加するだけだが。とすぐに設定が終わる。
実はこの拠点宝珠は、宝珠に触れると目の前にスクリーンの様な画面が出てくるのだが、宝珠を触ってる者にしかその画面は見えてない。神眼や鑑定の魔法を使った時と似たような画面が目の前に出てくる感じだ。なので傍から見たら俺が手をクネクネしているように見えているのだろう。
ちなみに宝珠を触れて画面が出たら手を離しても画面は消える事はない。画面を消す時は、画面の右下にある終了を押さないと消えない。この拠点宝珠だけはファンタジー感ゼロだな。
「さてこれで拠点宝珠の設定は終了だ。では実際に商品を買ってみようか」
「ですがまだ補充には充分予備があるかと…」
「あぁ悪い。いい忘れてた。砂糖と塩を大量に使うことになってな。そうだな50キロずつ買ってくれ。砂糖と塩は1キロで売られてるはずだからな。まずはルビー。拠点宝珠に手を置いてみろ」
ルビーは拠点宝珠に手を置く。するとルビーだけにしか見えない画面が現れる。
「っ!凄いですね…」
いつも冷静なルビーでも流石に驚くだろう。言うなればホログラフィックみたいなもんだ。
「何か見えているのかしら?」
「それは拠点宝珠を使ってる者にしか見えないからな」
「そうなのですか」
「次に商品購入を押して砂糖を50キロを購入してくれ」
俺がそう言うと1分も経たない内に砂糖50キロが執務室に出現する。ちゃんと50キロあるようだ。さすがはルビーだ。理解が早い。と俺は砂糖をアイテムボックスに収納する。
「上出来だ。大体の要領は掴めたか?」
「はい。難しい操作や、ややこしい操作などは一切ありませんので。ただ購入する時の購入数などを気をつける必要があります」
「そうだな。一桁間違えるだけでかなりの出費だからな。それはなるべく避けたい。次にシーナ」
まぁ塩とか一桁間違えたぐらいでは痛手にはならないが、そうでもない物も含まれている。
シーナもルビーと同じ様に説明して塩を50キロ購入させる。シーナも流石で、すぐに理解が出来た様だ。塩50キロもアイテムボックスに収納する。
「押し間違いとかにも気を付けなければなりませんわね。これは慣れたからと言って油断してると危ないかもしれませんわ」
「えぇそうね。拠点宝珠を扱う時は慎重に扱いましょう」
2人は気持ちを新たにする。ルビーとシーナは完璧だからミスするとは思ってないが。
「あとは……」
俺は拠点宝珠のポイントの入る仕組みなどを教えていく。1日3時間毎に約7万ポイント入る仕組みなのだが、本当にこの仕組み必要なのかね?1日の上限も20万と36万ポイント分も損してるし。
女神様ならこの仕組み変えれるか?今度聞いてみようか。と考えながらルビーとシーナに説明する。
「……と言う事だな」
「分かりました」
「わたくしも理解しましたわ」
「まぁこんな感じで在庫が無くなりそうな店に売ってやってくれ。もしポイントに余裕があるなら調味料等の備蓄もお前達に2人に任せる。後は何かあったらエールを経由して俺に声をかけてくれ」
「「畏まりました」」
「では俺もそろそろ行かなくてはならないので戻る。レナルドさんを待たしてるからな」
「転移門部屋までお供いたしますぅ!」
「あぁ頼む」
俺達は転移門部屋に向かう。
転移門部屋部屋に着き中に入ると既にヴィーナとヴィーナの精鋭ではないが、ヴィーナの配下5名がいる。精鋭ではないと言っても、この世界の人間からしたらかなり強い。スキルに【剣王Lv6(短剣)】付いてるし。というか普通に俺より強い。その配下5人は俺を見るや片膝をつく。
「楽にしていいぞ」
「「「「「はっ!」」」」」
すぐに立ち上がる。まぁ今は公式の場ではない。なのでそこまで畏まらなくてもいいのだが。この転移門部屋に見送りに来たのは最古参のメンバーとアルマだ。
「エール、俺がいない間の事は任せる。頼んだぞ?」
「お任せくださいぃ!」
「ルビーとシーナもエールを支えてやってくれ。頼んだぞ」
「「お任せください」」
「アルマも何かあれば最古参のメイドに言うんだぞ?」
「畏まりました」
「では行く」
「「「行ってらっしゃいませ」」」
俺とセレスとリル、ヴィーナとその配下を連れて転移門を潜る。次トワイライト王国に戻るのはかなり先そうだなと俺は考えながら。お風呂入りたかったな…。
読んでいただきありがとうございますm(_ _)m




