久しぶりの女神ミール
大事な話があるとレナルドさんに言われ家についていき、そこで俺に手伝ってくれるとレナルドさんが言ってきた。ドキドキしたがかなり嬉しい。今はレナルドさんと一緒に商人ギルドに向かおうとしていた。
「レナルドさん少しだけ待ってもらえますか?」
「ん?全然いいですよ」
「リルとセレスはついてきても残っててもどちらでもいいよ」
そう言って俺は少しだけ店から出る。どうやらリルだけついてくるようだ。護衛だそうだ。
なぜ俺が一度レナルドさんの店から出たと言うと以前冒険者ギルドから聞いた迷宮などについて色々聞きたくなったからだ。誰も入ってこなさそうな路地に入り、右目に意識を集中し、ミール様を想い続けると
『お元気にしてましたか?全然連絡が来ないので暇をしていました。まぁあなたを見る生活は悪くないですがね』
そう言いながら透けている女神様が目の前に現れる。俺を見る生活?風呂を入ってる時も見ているのか?それは流石にやめてほしいのだが…。
『そういうところは見てませんからね!』
やはり心なかで喋っても女神様には聞こえるようだ。
『それはそうと、なにか聞きたいことがあったのではないですか?』
あぁ、そうだった。聞きたいことは何故この世界にローマ字があるのかだ。
『この世界のローマ字についてですね。これは少し長くなります。この世界の者はブルへイアを創った創世神は私と思っていますが、実はそうではありません。私よりも上の神がこの世界を創ったのです。まぁ私もそれなりに立場は上なのですが。その私よりも上の神からこの世界の管理を任せられているのです。神の中でも立場が私ぐらいになると、私の上の神から世界の管理を任せられるのです。ですから私以外に世界を管理している神はまぁそれなりにいますね。なのでこのブルへイア以外にも世界はあるのですよ?』
私よりも上の神とかそれなりに立場が上とか、恐らくだけど言えない場所はそういう曖昧な言葉で濁している。
まぁそれは仕方ないか。一介の人間にはそうそう教えられない事だろう。そもそもこの話自体も人間で知ってるのは俺だけではないのか?というかこんな話俺にしてもいいのか?
『いいのです。それはそうと、私がこのブルへイアの世界を任せられた時には既に人間も生まれてましたし、魔物も魔王もいました。もっと言えば……あぁ、これを言うのはまだ先にしましょう』
おい気になるじゃねぇか。なんだその濁し方は。
『私がブルへイアを任せられた時は、今から3千年ぐらい前でしょうか?その時から人間の繁栄は魔物というよりは、魔王に妨げられていました。この世界の人間は魔物と戦う力はあるのですが、突出した才能の人間はいませんでした。ですので、人間は魔王を倒せず衰退していく世界を容易に想像することができました。そこで考えたのが勇者召喚という魔法を人間に授ける事です。勇者召喚の魔法は私が創ったのです。勇者召喚の魔法には【言語翻訳】の魔法と【言語変換】は絶対に組み込まれているのですよ。この【言語翻訳】はこの世界の言葉を理解し、【言語変換】はこの世界の言語を喋る事ができるスキルですね。これは以前にお話しましたね』
勇者召喚は女神様が創った魔法ってのは確かに以前に聞いたな。
『勇者を召喚した後は、勇者に必要なスキル、まぁ魔王は基本光が弱点なので、光の魔法適性とかを召喚された時に授けるようにしたのです。私達創世神はこの世界に降りて、直接問題を解決するという事は出来ないのです。まぁ私よりも立場が下というより、このブルへイアにいる神はそこまで力が無いので、干渉したり出来るのですが…。ちなみに地球を管理する創世神もいますよ?ただ地球では神をあまり信じない人が多いので名前すら知られてないのですがね』
ミール様がそれなりの立場にいる神ってのが分かった。恐らくミール様ぐらいの神がこの世界で力を振るうと、何らかの影響をもたらすからこの世界には降りれないとかではないのか?
あたってるか分からないけど。あと、気になるのが、このブルへイアにいる神?その言い方だと、ミール様はこのブルへイアにはおらず、違う場所から管理している。このブルへイアの何処かに神が既にいるという事だ。まぁ考えても分からんし、詮索はあまりしないほうがいいのかもな。まぁいまはローマ字の事だ。
『少し話が逸れましたが、勇者が魔王を倒したらこの世界の人間を導いて、この世界を発展させてほしいと、力を授ける時にお願いしました。ちなみに、勇者には長く生きてもらう為、勇者召喚に選ばれる人間はあなたがいた時代の若い青年に絞る事にしました。それも誠実で正義感のあるれる青年にと』
なるほど。だから勇者って若い者が多いのか。そしてその召喚した勇者にレベルが無い、ステータスが無いと文句言われてたのか。女神様も大変だな。
『えぇ、そうなんですよ。勇者召喚を人間に伝え、勇者召喚は成功し、無事魔王を倒せたのです。まぁ勇者が複数人、召喚される時もありましたが。そういう経緯があったので、勇者召喚の魔法が創られ、後世にまで伝えられていきます。魔王を倒した後、私が思い描いた通り、勇者はこの世界の人間と共に人間の発展に力を尽くしました。その勇者がこの世界を発展させていく中でローマ字も伝えられていますね。なのでこの世界にローマ字は存在するのです。冒険者ギルドも勇者が作り、冒険者ランクも全て勇者が考えた物ですから』
そういう事か。というかほんとミール様はすごい神だ。3千年前ぐらいに勇者召喚を授けたのだろ?だが召喚される勇者は俺がいた時代の若者に絞られている。時間や空間も関係なしかよ。ほんと神はなんでもありだ。
ただ俺らの時代から召喚されても、この世界はあまりにも発展してない。そもそも科学とか機械はない。恐らくそれは召喚する者が若すぎたのだろう。たぶん10代ではないか?
普通その年は学校で勉強してるぐらいだ。科学や機械の事を少しかじっただけで教えてもこの世界の人間にはあまり理解は出来ないだろう。
そもそもこの世界には魔法がある。勇者が寿命で死ぬのは約100年。魔王が復活するのは何百年〜何千年周期。
その間、勇者は召喚されないから科学や機械の事を教えてもすぐに衰退したのだろう。ただ便利な冒険者ギルドやローマ字というか冒険者ランクは残ったという事か?
『これがローマ字がこの世界にある理由ですね。まぁ少し関係ない話もしてしまいましたが…』
先程この世界を創ったのは私の上の立場にいる神と言っていたが、ミール様も充分創世神なんだが。勇者召喚を創ってしまうし。
それに、勇者召喚に若者を選んだのには他の理由もありそうだ。さっきもいったが、科学や機械が発展してない。俺はむしろ発展しない方が良いと思ってる。それこそ魔法があるからな。銃や爆弾なんか作ろうもんなら、その国は世界統一とか簡単にできそうだし、機械と魔法の組み合わせなんて考えるだけで恐ろしい。
『私も貴方と同じ気持ちですね。それと、勇者召喚自体は私もあまり良しとはしないのです。魔王を倒すためにやむを得なく授けましたが、今の時代は戦争の為に勇者召喚を行おうとしています。それに勇者召喚は悪く言うと、あなたの世界から人間を誘拐するって意味ですからね。もちろん勇者に来てもらうという事は、地球に残してきた家族が心配ですよね。残念ですが、地球の勇者という人間の存在を消すことになります。なので誰も勇者の事を覚えてないという事になっています。もちろん死ぬと魂は地球に返し、来世では不自由のない良い暮らしが出来ます。もちろんこの世界に残る選択もありますが。ちなみに地球を管理している神とは話がついていますので、勇者召喚は問題なく使えます。なので選ばれる勇者は地球の神が決めていますね。あと勇者召喚は一方通行です。こちらからは召喚できますが、送還は出来ません。送還出来ない理由は1.そもそも送還魔法がない。2.送還魔法の術式を作れたとしても必要魔力が少なく見積もっても召喚魔法100倍は必要。3.送還するなら地球から召喚すれば送り返せるのですが、地球には魔力がない。ですので帰れませんね』
今は戦争のために勇者召喚を行おうとしているのか。まぁ簡単に強い戦力を補充出来るとなれば使わない手はないからな。
だが、いきなり召喚された勇者には同情する。いきなり連れて来られて勇者と讃えられ、帰る術がないんだからな。絶望だろう。
まぁだからと言って嘆いても仕方がない。俺は死んでしまったので地球には帰るところがないけど。
『まぁ勇者召喚を授けた祖先が神聖ルナミール皇国の者なので、今は後悔してますがね』
ミール様は相当後悔してそうだ。まぁ自分が授けた勇者召喚は、今は戦争に使わされそうになっているし同情する。
次は迷宮、ダンジョンが生きているのかどうかを聞きたいのですが。
『ダンジョンが生きてるかどうかですね。先に答えを言ってしまうと生きていますね。まぁ生きているといっても生き物では無いですよ。実は迷宮も勇者を育てる為に創ったのです。ダンジョンの最深部にダンジョンコアという物があります。ダンジョン内はこのダンジョンコアの支配下にあります。それと、ボスに入れる人数は6人までと設定していますので、それ以上は入れませんね。ボス宝箱の中身も人数分出るように設定されていますね。そして魔物はダンジョンが全て産み出しています。まぁそういう設定をしたのは全部私ですがね。ダンジョンに宝箱があるとモチベーションもあがるでしょ?それとダンジョンは生き物ではないと言いましたが、意志はあります。ダンジョンコアは壊されるとダンジョンの機能を失ってしまいます。なので奥に行く程、魔物が強くなり、奥に行く事をダンジョンコアは阻止してきます。ちなみに転移装置なども私が作ったのですよ!今では古代の遺産なんて言われてますけどね』
なるほど。ダンジョンは元々勇者育成の為に創られたのか。勇者に優しい女神様だ。つまりダンジョンが6人までも女神様が設定したせいだ。
まぁ先程の勇者召喚の話で、複数人の勇者が現れたって事は、この先、勇者召喚で6人ぐらいは召喚されることもありそうだ。そう考えて多めに6人の設定にしたのじゃないか?
まぁダンジョンの仕組みについては分かった。最後の転移装置は私が作ったと自慢してほしくなかったが。古代遺産だから気になっていたが、女神様が作ったのならなんか興味薄れた。まぁ確かに古代遺産なのだが。
『なんで興味薄れるのですか!もっと褒めてください!ちなみになんですが、私の作ったダンジョンはこの王都だけですよ。他のダンジョンについては知りません。魔物が多い場所ではダンジョンが出来ることもありますし、低級の神が作ったのかもしれませんし。まぁ低級の神と言っても貴方達なら問題ありませんし、気に入られると加護もくれたりする場合もありますからね。ダンジョンを創ったのはもう何千年も前ですからね。実際、今はそこまでダンジョンの事は気にしてませんが。王都が管理してますし』
そうなのか!てっきり他のダンジョンもミール様が作った物かと思ったけど違うのか。ふむ。それはちょっと攻略したい。いや攻略したいな!加護とかほしいし。俺やる気出てきた!
女神様はダンジョンの事はもうどうでもいいみたいだ。確か今の勇者は女を侍らせ、遊ぶだけの屑だったような。勇者の為に創ったとはいえ、今の勇者があれじゃあ仕方ない。
それはそうとミール様の上の立場から世界を任せられているのだろう?勇者召喚とかスキルの概念をこの世界に勝手に創っても良かったのか?
『それは大丈夫ですよ。この世界は私の上の立場の者が創り、私はこの世界の管理を任されたと言いましたね。その任された世界を好きにしていいのかって疑問に思うかもしれませんが問題ないです。私が任された以上何をしてもいいのです。人間が繁栄する世界を創れるなら世界を壊さない限りですが。神にとって人間の信仰は力になるのです。私の上の立場にいる者と私達の立場にいる者で集まり、世界を創るのですが、難しいができます。人間を産み出す事もまぁできます。ただ繁栄となると話は変わります。ずっと見ていられるわけではありませんからね。それに全てを神にやらせては人間は成長できないですからね』
俺が疑問に思ったことを答えてくれた。なるほど。
繁栄出来る世界が作れるならどんな世界でもいいのか。人間を増やし信仰する者が増えれば神にとってもそれは喜ばしい事だからか。
というか世界はミール様の上の立場にいる者と、ミール様と同じ立場な者が集まり皆で協力し世界を創るのか。世界を創る事もできるし人間を産み出す事もできる。
ただ、生み出してもその人間は狩りや物を作るなど知らないのだろう。だから人は学んで成長する。神にとって何百年という時は短いのだろう。人が学び成長するまで待つのだろう。
『先に言っておきますが、世界を創るという事は難しいです。地球みたいな魔物が全くいない世界を創るのは神でもほぼ不可能です。私達には魔法という地球にはないものがありますからね。世界を創る際に、少なからず作る者の影響を受けてしまいます。魔法や色々な神の影響を受けて世界を創るのですが、私達の中には邪神もいます。だから魔物やいろいろな種族が産まれてしまうのです。ですが、我々には世界を創る事で精一杯ですからね。ちなみに地球は私達が創ったのではありません。元からあったというべきですかね。それを見つけただけです。今の地球は人が多いですけど信仰が少ないです。理想は地球の様に人が多く信仰心も多い世界を創るのが理想なんですけどなかなか上手くいきませんからね』
なんかすごい話をしている。地球はビックバンによって産まれた星だし、太陽と絶妙な位置に地球があるからあんな住みやすい環境にもなったんだが。
まぁでも世界を創る事はかなり難しいみたいだ。そしてその世界を創る際に神たちの影響がどうしても混じってしまうと。
恐らくこのブルへイアという世界もミール様の影響を少し受けているんだろう。何処がミール様の影響を受けているか分からんが。
しかしこの空の上も宇宙なんだよな?一体神はどこから俺達を見てるんだか。
『気になりますか?』
気になるが、それら本当に教えても良い事なのか?
『確かにその答えはまだ教える訳にはいきません。ただ宇宙にも神はいますよ。それだけは答えておきましょう。これ以上話すと私も何を言われるか分かりませんからね』
宇宙にも神はいるのにはビックリした。これ以上は教えるのは無理だが、まぁでもそれは俺達人間が知るべき事ではないのだろう。まぁ教えていいなら教えてくれるだろうし。
『ただ貴方は特別だからここまで教えたまでです。また関係ない話になってしまいましたが、貴方は理から外れた者なのでいいでしょう。ではそろそろ時間なのでまた呼んでくださいね!』
そう言いながら女神様は消えた。最後の理から外れた者ってなんだ?まぁだが何となく理から外れた者って分かる気がするな。
女神様は恐らく口がかなり軽いと言う事は分かったか。それ俺が知っても本当に大丈夫なのか?って思ってしまう情報が多すぎる。
まぁ俺がした質問については解決したからいいか。早くレナルドさんと一緒に商人ギルドに行こう。と俺はレナルドさんの店に戻る。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺はレナルドさんの店の奥にいく。
「レナルドさんお待たせしました」
「おや?もういいのですか?」
「はい」
「では商人ギルドに行きましょうか」
俺達は今度こそ商人ギルドに向かうのであった。
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