商人ギルド
ようやく冒険者ギルドの登録が終わり、俺達は冒険者になった。まぁまだパーティの名前とかは決めてないのだがそれは後だ。
今から商人ギルドに行く。商人ギルドは王都ファルシオンの中央広場、冒険者ギルドの向かい側にあるから近い。
俺達は商人ギルドに着いたので早速中に入る。冒険者ギルドとは違い商人ギルドは明るく綺麗だ。埃が1つも落ちてなさそう。
俺達は商人ギルドの受付に向かう。商人ギルドの受付カウンターは2つあるので、俺から見て右のカウンターに並ぶ。やはり俺達、特にスサノオが目立っている。周りからはかなり目線を感じる。
まぁ気にしないでおこう。そして待っているとようやく俺達の番になる。
「商人ギルドへようこそ!受付のルピスと申します。今日はどういった御用でしょうか?」
「俺はルークだ。今日は商人ギルドに登録したくてな。だが初めてだから説明もお願いしたい」
「ルーク様ですね。畏まりました。ではまずはこの商人ギルドからお話しますね。商人ギルド、または商業ギルドと言われていますこの商人ギルドは各地に支部があり、この王都ファルシオンが本部になります」
冒険者ギルドも本部が王都だったけど、商人ギルドの本部も王都だったか。やはり迷宮があるからだろう。貴重な素材なども出回りやすい。冒険するにも商人するにもここよりいい場所はないのだろう。
「商人とは他の街で仕入れた安い素材や自分で仕入れた素材、自分で作った商品などを売ったりして生計を立ててる職業になります。商会になりますと自分の店を持ったりも出来ます!冒険者ギルドもそうですが、商人ギルドも王公認のギルドになります。この王都内での商売をする場合、商人ギルドに登録せずに商売を始めるのは禁止されていますのでご注意を。王都外でなら商人ギルドに登録していなくても商売を始める事は出来ますが、商人ギルドに登録したほうがメリットが多いので商売をするのであれば登録をおすすめします!商人に登録する場合は金貨2枚で商人カードを発行できます」
「そうなのか」
商売の事は俺もよく分からないのでちゃんと聞いておくか。まぁそこまで難しい仕組みにはなってないと思うが。
「では商人ギルドの仕組みについてお話します」
商人ギルドにもランクがあるらしく下からブロンズ→シルバー→ゴールド→ミスリル→アダマンタイトの5つのランクがある。登録費とは別に年会費と税金を登録した日から1年後までに支払わなければならない。年会費と税金はランクによって支払う金額が違う。
・ブロンズランク(行商人など)
年会費金貨1枚、税金金貨2枚。
・シルバーランク(街の肉屋や料理屋、宿屋など)
年会費金貨3枚、税金金貨5枚。
・ゴールドランク(それなりに名の知れた商会など)
年会費金貨5枚、税金金貨10枚。
・ミスリルランク(名の知れた商会で支店2〜4店舗持っている商会)
年会費店舗数×金貨5枚、税金店舗数×金貨10枚。
・アダマンタイトランク(知らない者はほとんどいないぐらい有名な大商会。支店を5店舗以上持っている大商会)
年会費店舗数×金貨10枚。税金店舗数×金貨20枚。
アダマンタイトの年会費とか税金とか高いが、まぁ売上の何%とかではないからまだマシなのか?まぁアダマンタイト級の大商会になれば金貨100枚なんてすぐに払えるだろう。
「商人登録後はルーク様がランクを決める事ができます」
「俺がランクを決めていいのか?」
「はい。ただしゴールドまでになります。お客様の中にですが、たまにすぐに商会を立ち上げたいと言う者もいますので。ミスリル以上は支店をいくつか持っていないとミスリルランクになれません。本店を持つ場合は商人ギルドに登録しなければなりませんが、支店を持つ場合も再度こちらに支店を登録しに来なければなりません。ちなみに商会を立ち上げる場合はゴールドランク以上になります。ルーク様がゴールドランクだったとしても、年会費と税金を支払う期日までに支店を2つ登録しに来られた場合、ミスリルの年会費と税金を収めればミスリルランクに上げることも出来ます」
なるほど。ランクを上げる事はいつでも出来るという事か。商会についても少し説明が聞きたい。分からない事は何でも聞いたほうが良さそうだ。
「なるほど。商会について説明してくれ」
「畏まりました!商会とは簡単に言えば店の名前みたいなものです。この王都で有名なミルハイム大商会ですが、各街に支店を持っています。ですがその支店の店の名前が1つずつ違うと誰の店なんだ?となりませんか?ですが支店の名前もミルハイム商会となっていればお客様もあの有名なミルハイム様の店か!となります。ミルハイム様は主に衣類や衣服、土地や家の売買、奴隷の売買をしています。ミルハイム様はお客様からも信頼されていますので、衣類や衣服がほしいお客様ならミルハイム様の店と分かれば迷わず入る事でしょう」
なるほど。確かに店の名前が1つずつ違うのであれば誰の店なんだ?ってなるけど店の名前が一緒ならばあの有名な人の店かとなる。
やはり怪しい店に入るより名の知れた有名な店に入りたい。その店に入ってれば間違いないのだから。それに名前が一緒ならば集客のために活用できたりもするか。
つまり商会というのは看板にもなるし顧客を呼び込むための宣伝にもなると言う事だ。
「なるほどな。少し聞きたいことがあるのだが、支店を持ったとして、その支店を任せる人材も商人登録しないといけないのか?」
「はい。支店を任せるという事は店を任せる、つまり商品も任せる事になります。ですので商人登録は必要になります。ただし、年会費と税金については少し違います。ルーク様の商会がミスリルだった場合、支店を任せる者の年会費は店舗数×金貨5枚、税金は店舗数×10枚ではなく、年会費金貨5枚、税金金貨10枚だけでいいです。年会費と税金×店舗数は商会の代表だけが支払わなければなりません。ちなみに支店を任せる者はルーク様の商会にメンバー登録しなければなりません。支店もそうですが、支店を任せる者も誰の傘下にあるか把握しやすくする為ですね。ただ、人手が足りなく従業員を雇うのであれば商人ギルドに登録しなくても大丈夫です。まぁその場合は働いた後の対価を雇った者に支払わなければなりませんが。それと支店を任せる者の年会費と税金は商会の代表が纏めて支払う事も出来ます」
なるほど。まぁ当然か。支店を任せる者の年会費と税金が店舗数×金貨だとおかしいし。つまり支店を任せる者は商会ランクの年会費と税金だけでいい。
そしてその支店を任せる者が俺の商会メンバーに登録したら、代表の俺が支店を任せる者の年会費や税金を纏めて支払えると言うわけだ。これは当然俺が払う。
優秀な人材だから俺の店を任せる、だけど年会費と税金はお前が払えってなれば納得できないよなぁ。だから代表が纏めて払えるようになってるのか?なんにしろ良くできたシステムだ。
後は人手が足りない場合、要はアルバイトを雇うのであれば商人登録をしなくてもいい。まぁそうだろう。アルバイトは商売ではなく簡単に言えば手伝いだ。店を任せられている者とは違う。
「なるほど。理解した」
「それから違法な商売をした場合、その時は商人カードが剥奪されます。また、年会費と税金を期日に支払わない場合も商人カードが剥奪されます。支払い期日が近付きましたら、こちらからも連絡いたします。もし理由があり、払えない場合は商人ギルドにお越しくだい」
年会費と税金を払い忘れただけで商人カード剥奪はやりすぎかもとおもうが、支払いの期日が近くなったら商人ギルドが連絡してくれるのだ。
なのに支払いを忘れたとなると無視したと思われても仕方ないか。払う意志が無いと見なされるわけだ。
「分かった」
「商人ギルドについては以上です。何か質問がありましたら何なりと。無いのであれば商人登録の手続きをしますね」
「そうだな。特にはないか。商人登録の手続きをしたい」
かなり丁寧に教えてくれたので今は特に聞くことがない。俺は商人登録の手続きをする。
「畏まりました。ではこちらの書類に名前と年齢をお書きください」
「何を売るかとか書かなくてもいいのですか?」
「はい。商人にとって情報は命なのであまり詮索はしないのです。それに売り物は変わってしまう事が多いので書いたところでそこまであてにはできませんからね」
「分かりました。……書けました」
書類を渡す。登録は今は俺だけだ。店もないのにトール達を登録させては金の無駄だ。支店ができたら登録させればいい。
「ではルーク様はどの商人ランクにしますか?」
「ゴールドで頼む」
俺が言うと受付のルピスはビックリしたものの、すぐ不安な顔になる。いやまぁ、気持ちは分かる。そもそも店すら持ってない、そこまで歳もいっていない男がいきなりゴールドランクの商会を立ち上げたいと言うのだ。頭おかしいんじゃね?今の話ちゃんと聞いてた?と思うのは普通だろう。
「初めて商人をする場合はブロンズランクから始める者が多いのですが大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だ。1年以内に年会費と税金を払えばいいんだろ?」
「そうですが…」
「なら問題ない」
「…畏まりました。では商会は立ち上げますか?」
渋々了解したような顔だ。まぁ安心しろ。すぐに名のある商会になってるだろう。
「あぁ。立ち上げる。名前はトワイライト商会で頼む」
「トワイライト商会ですね。では本店や支店の登録またはトワイライト商会のメンバー登録はありますか?」
「本店は決まったら登録しにくる。トワイライト商会のメンバーも今はまだ俺だけでいい」
「畏まりました。ではその内容で商人カードを発行します。金貨2枚になります」
俺は金貨2枚を出す。イーリスに預けた金貨があるのでイーリスが出そうとしたが止める。その金貨はイーリスに持たせて置く。
「では発行するまで少しお待ちください。それと言い忘れましたが、カードを紛失された場合は再発行が必要になりますが金貨も掛かります。特にミスリルとアダマンタイトのカードは少し高いのでお気を付けてください」
冒険者ギルドと似たような事を言われた。まぁそりゃそうだ。冒険者カードと商人カードは大事にしまっておくか。受付のルピスは少し退席してすぐに戻ってくる。
まぁまたギルドマスターか副ギルドマスターに目を通しているんだろう。それよりよく小説で冒険者ギルドと商業ギルドは仲が悪いと聞くがそこら辺はどうなんだろう。
「聞きたいことがあるんだが、冒険者ギルドと商業ギルドは仲が悪いのか?」
直球で聞いてみる。
「いえ。そんな事はないと思いますが」
「そうなのか?冒険者ギルドで素材の買取をしてるのだが、あれは商人の仕事ではないのか?」
普通であれば魔物の素材も商人ギルドに売るのではないのか?と思ってしまうのだが…。
「あぁ。その事ですね。確かにかなり昔の時代は仲が悪かったと言う話は聞きますね。なので揉めたらしいですよ。素材を買い取るのは商人の仕事だから冒険者は素材を商人ギルドに持ってこいと。まぁ実際、商人ギルドの言い分は筋が通ってるので、その話は王に許可されたのです。最初はまぁ何とか捌けてたのですが、とある冒険者が魔物を解体せずにそのまま持ってきたのです。商人ギルドは解体してから持ってこいと言ったんですが、冒険者は激怒しました。冒険者ギルドでは解体もしてくれる。解体してくれないならこの魔物の素材は商人ギルドには売れないと。その話はそれで終わったのですが、その次にドラゴンを丸ごと持ってきた冒険者がいたのです。ドラゴンは捨てる部位がないと言われるほど貴重なのです。もちろん解体は商人ギルドに丸投げされましたが、当然出来る訳もなく冒険者ギルドのお抱えの解体屋が全て解体しました。素材を持ってきたのに買い取る事が出来ない、解体もしてくれないとかなり荒れたらしいですよ。なので魔物の素材は一度冒険者ギルドで買い取ってから商人ギルドに卸す事になったのです。と今の商人ギルドマスターが話していました」
なるほど。確かに魔物全て持ってきたら商人ギルドの連中はどうしようもないだろう。解体の仕方すら知らないかもしれないし。
まぁ商人ギルドも冒険者ギルドと同じく解体屋を雇えばいいのじゃないか?と思うのだがそんな簡単にはいかない。
元々解体屋というのは冒険者稼業から引退した者がなったりする者が多いのだ。当然冒険者ギルドに義理があり、商人ギルドはなんの関係もない。そこから解体屋を引き抜くなんてまず出来ない。
かと言って下っ端をお金をチラつかせて雇うとなってもあまり意味がない。もちろんそれで解体屋の下っ端を大量に雇う事ができるかもしれないのだが、解体屋は主に解体されてない魔物を解体するのだ。
先程のドラゴンもそうだが、下っ端がどれだけ集まろうとドラゴンの解体はできない。歴戦の冒険者だった者が解体屋になり、その歴戦の冒険者がいたからこそドラゴンは解体出来たのだ。
つまり何が言いたいかと言えば、どれだけ下っ端が集めようが技術等が備わっていないなら貴重な素材を無駄にするだけなのだ。
「ですが他にも理由があるのですよ」
「他にも理由?どんなのだ?」
「冒険者は商人ギルドで売るのをかなり嫌がっていたとか。それは何故かと言いますと、商人は足元を見てくる可能性があるからです。それなら冒険者ギルドに売った方がいいと。冒険者ギルドの素材買取は元々、相場があまり詳しくない冒険者達がやり手の商人にかなり足元を見られて買い取られてた為に作られたと聞いたことがありますからね。そんな足元を見てくる商人で売るのを防ぐ為に、冒険者ギルドが高くも安くもない普通の相場で素材を買い取るようになったのです。最初はこんなに高くていいのか!?と冒険者は驚いてたらしいですが、これが普通の相場だと聞かされて激怒していた冒険者は多かったらしいですよ」
昔にそんな事があったのか。確かに冒険者は商売にあまり詳しくないからいいカモだったんだろう。
「そう言った理由で今では冒険者ギルドが素材を買い取っているのです。今ではそれが当たり前なので誰も不満はないと思いますよ。ただ迷宮で出た宝石類等のお宝は冒険者ギルドではなく商人ギルドに売りに行く人は少なくないらしいですよ」
「宝石は足元見られないのか?」
「どうでしょうか?冒険者の方は一度冒険者ギルドの買取で値段を確認して商人ギルドで買取の値段を見比べて売る人が多いらしいとか」
「なるほどな」
そんな事を話をしていると。
「ルーク様。商人カードの発行ができましたのでお渡ししますね!」
「ありがとう」
「では期日は今日から1年後までになります。お忘れなく!」
「あぁ。また来る」
そう言って俺達は商人ギルドから出るのであった。
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