年少組に囲まれて
窓から今日もいい日差しが入り、朝を告げる。日差しは確かに暑いが俺にはプリンが横にいるからさほど暑くはない…のだが。
「……あつい」
おかしい。俺にはプリンがついてるから暑くないはずなのに。たしかに俺の体の左半分は涼しいが右半分は暑い。……ん?右半分?おれは不思議に思って右を見てみるとそこにはいつの間にか俺のベットに忍び込んで寝ているルーシーがいた。
…何故ここにいるんだ?ルーシーは俺の右腕を抱きながら寝ている。これがヴィーナとかだと驚くし興奮とかしてしまうかもしれんがルーシーだから興奮はしない。
別に色気がないから興奮しないとかではなくプリン、レイア、ルーシーは年少組なので興奮しないという事だ。だから俺の布団に入ってる事に対しても俺は怒らない。
「…おーい?ルーシー?」
頬を突く。呑気に寝ているが可愛いな。ルーシーとプリンは本当に無防備だな。ちなみにルーシーの頬はもちもちしている。まぁ他の年少組もだが、レイアの頬だけはまだ触れたことはない。触らしてはくれないのだ。
「……ん………おはよう」
頬を突いてるとルーシーが起きた。起きたが抱きつくのをやめない。
「ルーシー。なんで俺の布団の中にいるんだ?」
「…一緒に寝たかった」
「そうか」
俺は上体を起こして頭を撫でてやる。そんな事をストレートに言われりゃ納得させられちゃう。ほんと俺は年少組には甘い。撫でられてるルーシーは目を細めながら俺を見つめている。可愛すぎかよ!と部屋がノックされドアが開く。
「おやルーク様。おはようございます」
「おはようドラグ。ルーシーを俺の部屋に入れた?」
ルーシーがこの部屋にいるということはドラグを突破したという事だ。恐らくだが、夜中にルーシーが忍び込んだとしてもすぐにドラグがすぐに勘付くだろう。
「それは申し訳ありません。どうしてもと引かなかったのです。わたくしはご主人様に怒られても知りませんよと言ったのですが聞かなかったのです。それにルーシーは年少組ですからね。少しの間ご主人様がいなくて寂しかったんでしょう。ですので入れてしまいました」
「…ん」
「いや俺も怒ってるわけじゃないんだけどな」
ここでプリンが起きる。
「…おはようなのです」
「おはようプリン」
「おはようございますプリン」
「ん。おはよう」
「ルーシーお姉ちゃん?」
プリンはルーシーの事をお姉ちゃんと呼んでいる。ちなみにプリンはレイアの事もレイアお姉ちゃんと呼んでいる。まぁプリンの設定上は、分かりやすく言えば一番下の男という設定だから。
プリンの方が産まれたのは早いのだが、ルーシーとレイアの事を姉と呼んでいる。ルーシーとレイアとプリンでは、プリンが一番下なのだ。ルーシーとレイアの間では、どちらかが姉とかは無いようだ。
ルーシーとレイアのお互いの呼び方はどちらも呼び捨てだ。と考えているとプリンが頬を膨らましている。恐らく俺がルーシーを撫でているからだろう。
「次はボクが撫でてもらうのです!」
「…ダメ」
「駄目じゃないのです!」
「…いや」
「ほらほら喧嘩するな。どっちも撫でてやるから」
ルーシーとプリンの頭を撫でてやる。ルーシーとプリンの性格は子供のような性格に設定していたはず。甘えたい年頃なんだろう。
まぁでもこれは設定にしていただけで今はその設定が性格になっているから年を重ねれば大人になって甘える事も無くなるかもしれない。
そう考えると少し寂しい気持ちになる。レイアはツンデレだから自分から甘えることはないと思うが。とここでまたドアがノックされる。誰だろうな?
「開いてますよ?」
俺がそう言うと、ドアが開く。そして入ってきたのは
「主よ。妾達の部屋にいたルーシーがどこ…か……に…。な、何をしておるのじゃー!」
レイアだった。レイアはルーシーを探していたらしいのだが、入ってきたら俺に頭を撫でられているルーシーとプリンがいたので驚いてる。
「なでなで」
「そ、そんなのは見れば分かるのじゃ!おぬしはなんでここにおるのじゃルーシー!」
「ん。ルーク様と一緒に寝た」
「な、な、なんじゃと!?我が主よそれは本当か?」
「一緒に寝たというか寝てる間に入ってきたな」
「ドラグ!おぬしは気付いておっただろう?何故そのまま入れたのじゃ!」
「わたくしも最初は止めてたのですが特に問題は無いと判断したからです」
「ぐぬぬ…!」
「レイアもなでなでいる?」
「な、何を言っておるのじゃ!?」
「レイアお姉ちゃんもなでなでしてもらうのです!」
「わ、妾はそんなのいらないのじゃ…」
最後の方はなんと言ってるか聞こえない。まぁでもレイアも素直になれない子供の設定にしていたはず。性格もそんな感じになっているのだろう。同じ年少組なのに私だけ頭を撫でられてない。
だけど素直に撫でてほしいとは言えない性格なのは知っている。
だからいまレイアが怒ったり拗ねたりしている理由は分かる。レイアの性格はプリンやルーシーも理解しているので、レイアになでなでいる?とか聞いたりしている。仕方ない。と俺は立ち上がりレイアの側に向かい頭を撫でてやる。
「な、何をしておるのじゃ!?」
「俺はレイアの親だぞ?何を考えているかなんて分かるよ」
「な、なんの事かわからないのじゃ…」
そう言うが全く逃げ出そうとはしない。やはり撫でられたかったのか。分かりやすい性格だ。ここで少し悪戯をしたくなった。
プリンやルーシーはいつも自分から俺に抱き着いてくるが、レイアからは抱き着いてもらったことがない。性格からして抱き着くのは無理だとおもうがこっちからしてやろうと思った。
「その割にはいつもみたいに逃げないな」
「撫でさせてやってるだけなのじゃ!」
「そうか」
そう言いながら俺はいきなりレイアを抱き締めてやる。まぁ流石にセレス達にはやらんが年少組なら抱き締めてもいいよね?断じて変態ではないからな?レイアはいきなり抱き締められて頬を真っ赤にして驚いている。
「な、な、何をしておるのじゃ我が主よ!?」
「ルーシーやプリンは自分からよく抱き着いてくるが、レイアは無理だろ?だから俺からしている」
「や、やめるのじゃー!」
「ん。私もする」
「ボクも抱き締めるのです!」
ここでルーシーとプリンも俺に抱き着いてくる。可愛い奴らめ!3人いっぺんに抱き締めてやる!
「本当にお前達3人は可愛いなぁ!」
少し力を入れて抱き締めてしまう。あぁ…幸せだ…。子供ができた父の気持ちはこんな感じなのだろうか?
「く、苦しいのじゃー!」
「あぁ。悪い。つい可愛くてな」
「ルーク様大好きなのです!」
「ん。私も」
「俺も大好きだぞ!」
「レイアお姉ちゃんはどうなのです?」
「わ、妾か!?ま、まぁ嫌いではないのじゃ…」
レイアが恥ずかしそうに言ってる。プリン、ルーシー…レイアを追い詰めに来ている。恐ろしい子達だ。
「嫌いではない。じゃあ好きでもない?」
「な、何故そうなるのじゃ!?」
「じゃあ好きなのですか?」
「そ、それは…」
「言えないという事は嫌い?」
「あーもう!好きなのじゃ!大好きなのじゃ!これでいいじゃろ!」
「ありがとうレイア。俺も大好きだぞ」
プリンとルーシーの言葉に押し負けて無理やり言わされたレイア。レイアはと言うと、また顔を真っ赤に染めて恥ずかしそうにしている。
「そ、そんなの知っておるのじゃ!妾はもう自分の部屋に戻るのじゃ!」
勢いよく出ていく。最後は俺ではなくプリンとルーシーがレイアを追い詰めた。プリンは分からんがルーシーは分かっていてやってる。確信犯だ!
「さて。そろそろ冒険者ギルドに行く準備をするか。プリンとルーシーはヴィーナを起こしてやってくれ。ドラグは1階に行って席を取っといてくれ」
「分かったなのです!」
「ん」
「畏まりました」
朝食を食べて冒険者ギルドに行く準備をする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その頃イーリス達が泊まった部屋ではセレスとリルがイーリスと合流していた。
「レイアがルーシーを探しに行ったのだけど遅いですね」
「心配しなくても大丈夫よ。ああ見えてレイアちゃんはしっかりしてるもの」
「せやな!まぁでもツンデレなところは可愛いんやけどなぁ!」
そんな事を話していると勢いよくドアが開かれる。
「あらぁ?そんなに慌ててどうしたの?レイアちゃん。丁度あなたの話をしていたのよ」
「ルーシーは見つかりましたか?」
「あ、あぁ。すまぬな。ルーシーは主の部屋に入って一緒に寝てたらしいのじゃ。全くルーシーの奴は目を離すとすぐこれなのじゃ」
「そうなんや。まぁルーシーはまだ子供やからな」
「そうですね。甘えたいのでしょう」
「レイアちゃんもルーク様に甘えてもいいんですよ?」
「な、何を言うか。妾はそんな事思ってないのじゃ」
「そう?まぁそれはいいとして主様からそろそろ朝食を食べて冒険者ギルドに向かうって念話できたから出掛ける準備をしましょう」
「そうじゃな」
イーリスから言われ女性陣は出掛ける準備をする。イーリスはいつものレイアと違うことを察して気になった事を聞いてみる。
「レイア、機嫌が良いみたいだけど何か良い事でもあったのでしょうか?」
「確かにいつもと雰囲気が違うなぁ」
「それは私も気になってたわぁ」
「な、なんの事じゃ?妾はいつも通りじゃぞ?」
「そう?ならいいんですけどね」
そう呟きながらイーリスは笑顔で言う。セレスもリルも笑っている。レイアが明らかに嬉しそうなのは見てわかる。恐らくルーク様と何か良い事でもあったんだろうなとイーリス達は分かっていたのでこれ以上深く聞くのはしなかった。レイアはニコニコしながら出掛ける準備をするのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
出掛ける準備が出来て皆で1階に降りる。降りるとドラグが席を取っていたのでそちらに向かう。
「お待ちしておりました」
「ドラグありがとう」
そう言ってみんなで座る。
「ん?レイア、今日はやけに機嫌がええのぅ」
「確かにそうなのだよ。何かあったのかね?」
レイアの機嫌が良い事は守護王達なら皆分かってしまう。それぐらいお互いがお互いを知り尽くしてる関係なのだ。
「な、何でもないのじゃ…」
「そんな事を聞くのは野暮よ?」
「ん?あぁ…。すまんかったわい」
「すまないのだよ」
セレスに言われトールとタナトスは何かを察したかのように謝る。レイアは俺の顔を見るとすぐに顔を背けてしまう。その反応を見てトールとタナトスは察したのだ。とここでジーナがこちらにやってくる。
「ん?なんだいあんた達。知り合いだったのかい」
「はい。ここの宿で待ち合わせをしていたのです」
「そうだったのかい。佇まいといいかなりの強者と思っていたがあんた達の仲間なら納得だね」
「…ふむ。…其方も周りの者と比べるとそれなりにできるようだ。…歩き方や立ち振る舞いなどを見れば前衛か」
「……あんたよく分かったね。しかもこっちを一度も見ていないのに」
そう。スサノオはジーナの事を一度も見ていないしジーナが立っている方すら向いてないのに言い当てている。やはり同じ前衛だからわかったりするのか?武芸に秀でてるからなスサノオは。
それにスサノオさん、ジーナさんの事をそれなりにと言っていってる。それはつまりスサノオから見ればそれなりに強いだけでめちゃくちゃ強いという訳ではない。
言葉からして俺より弱いと言ってるもんだ。だがスサノオは嘘を絶対に吐かないし、思った事を言う性格だ。仕方ない。
「…気配で分かる」
「…ふふ。あんた本物だねぇ。こりゃ悪さできないねぇ!」
そう言いながら大笑いする。悪さするつもりはないだろうが、周りに聞こえるぐらいに声を張り上げる。周りの者に、遠回しに「俺達にちょっかいかけたら私は知らないよ!」と言ってるんだろう。この言葉を理解してる者はどれぐらいいるのやら。
「それよりあんた達朝食を食べるんだろ?」
「はい。お願いします」
「あいよ!待ってな!」
ジーナは厨房に戻る。そして皆と雑談する事数分で戻ってくる。
「お待ちどうさん」
「おいそこの小娘。ワシにエールを頼む」
「おっとそこのお爺さんはドワーフだったね!待ってな!」
「誰がお爺さんじゃ!」
「トール。朝から酒を飲むのかね?」
「酒ではない!ドワーフにとっては水じゃ」
「トール、酔うまで飲んではダメですよ?主様食べましょう」
「わかっとるわい」
「じゃあいただきます」
俺達は食べ始める。トールの酒も後からくる。まぁドワーフだから仕方ないか?色んな異世界の小説などを日本で読んだ事があるのだが、どの小説もドワーフは酒豪で有名だと書かれていた。なのでトールが酒を飲む事について俺は何も思っていない。
スサノオはお面つけながら食べている。ちなみにスサノオのお面は口と目だけはくり抜かれているので外さずに食べれる。般若みたいなお面だ。
怖い顔のお面をしながら美味いと言ってるスサノオはなんか面白い。そんなことを考えながらみんなと喋りながら食事を終える。
食事を終えた俺達は冒険者ギルドに向かう。冒険者ギルドは王都ファルシオンの中央広場にあるためそこまで遠くない。冒険者ギルドに向かう途中に俺とレイアで人気のない路地に入る。
「ここでいいだろう。ヴィーナ出てこい」
「やっと外を歩けるのでありんすか」
「妾に感謝するのだぞ」
「分かっているでありんす。レイアは本当に出来の良いわっちらの妹でありんす」
そう言いながらヴィーナがレイアを撫でる。プリンやルーシー達もそうだが、実はセレス達にも結構撫でられたりしている。
「何をするのじゃー!」
「いい子だから頭を撫でるのは当然でありんしょう?」
「分かったからやめるのじゃー!」
レイアは拒んでいるが顔は嫌そうでもない。まぁこんな人気のない路地でこんな事をしてたら誰か来るかもしれないからそろそろやめさすか。
「ヴィーナそれぐらいにしておけ。レイアからローブを受け取れ」
「分かったでありんす」
レイアは少し残念そうにしていた。レイアから真っ黒のローブを貰い羽織るヴィーナ。なかなか様になっている。と言うか傍から見たら本当に暗殺者みたいな格好だ。
「そのローブを着用しているだけでヴィーナ、お主の魅了は封印されてしまうのじゃ。まぁ名付けるなら封印のローブじゃな。なのでフードを脱いでても魅了はされないが、ヴィーナは元が男受けする顔じゃからな。フードは被ってたほうがいいかもなのじゃ」
「レイアは本当に良い事を言ってくれるでありんすぇ。後で抱き締めてあげんしょう」
「そ、そんなのはいらないのじゃ!…まぁスサノオと一緒にいればフードを脱いでてもいいかもしれんのう」
「確かにな。スサノオがいれば大抵の男は近寄れんからな。さてじゃあ今度こそ冒険者ギルドに行くか」
俺は他の守護王達も引き連れて冒険者ギルドに向かうのであった。
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