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二回目の謁見


あー。気持ちいい。お風呂は全然入ってなかったから生き返る。旅の道中は俺の無属性魔法〈清掃(クリーン)〉があるから入らなくても大丈夫なんだが。


その魔法が無くてもプリンが綺麗にしてくれる。プリンはスライム族で、スライム族は雑食だから体の汚れさえも食べてしまう。便利で良い子である。


まぁ流石に体を綺麗にしてもらうのがプリンと考えたらなんか変な意味で申し訳なくなって〈清掃(クリーン)〉で綺麗にすることにしているのだが。


んー。そう言えば今俺が使っている石鹸とかも売れたりするのだろうか?いや多分売れるが石鹸はまた今度にするか。


さてと。体も温まったからそろそろ出るか。いやーやっぱりお風呂はいい!魔法で綺麗にするより、お風呂に入ってゆっくり湯に浸かる方が俺は好きだな!やっぱ日本人ならお風呂は定期的に入らないといけないよなぁ!そう思いながらお風呂を出る。


風呂から出るとエールともう1人のメイドがいる。謁見の間はエールにも出てもらうから先に謁見の間に行ってもらう事になっている。王と配下達では謁見の間に入る場所が違うから。


「ル、ルーク様タオルですぅ!」


「ありがとうな」


本当はメイドに体を拭かせるのが普通なのだが、俺は恥ずかしいから自分で拭くようにしている。まぁ別に見られてもいいのだがエールはドジだ。


何かやらかすのではないかと思って自分で拭いてるってのもあるんだが。ちなみに念話の指輪とかは風呂でも付けている。とここでイーリスから念話が届く。


『主様。既に守護王達は謁見の間に集まっています。いつでも謁見ができます』


「分かった。すぐ行く」


『分かりました。お待ちしておりますね』


俺はそう言ってイーリスとの念話を切る。


「どうしましたか?」


「いまイーリスから連絡があって、守護王達が既に謁見の間に集まっているとの事だ」


「な、なるほどぉー」


「緊張するか?」


「はい」


「まぁ気楽でいいよ。エール、先に謁見の間に行ってきな?」


そう言って楽にさせる。エールも「はいっ!」と元気よく返事しているし大丈夫だろう。服装とか整えて俺は謁見の間に向かう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


俺は玉座の横にある入り口から謁見の間に入る。トワイライト王国の城は元々魔王の城がコンセプトだ。謁見の間は相変わらず暗い。俺は玉座まで歩いていき、玉座に座る。うーんやはりいつ座っても落ち着かない席だ。


俺の目の前には10人の守護王達と、その後ろに3人の最古参のメイド達、玉座の隣にイーリスとアルマが頭を下げ跪いている。こんなに謁見の間が広いのに頭を伏せているのは15人か。なんか寂しい。まぁでも重要人物がこれだけだから仕方ないのだが。


フリージアさんも呼んではいいと思うがなぁー。ちなみにララはフリージアさんの所にいる。


俺から見て玉座の左に側近のイーリスが、俺から見て玉座の右側にアルマがいる。アルマも場の雰囲気に呑まれて頭を下げているのが少し面白い。さていつもの喋り方ではなく王の喋り方に切り替えるか。


「面をあげよ」


相変わらず一矢乱れぬ動きだ。シンクロしている。しかもメイド達も皆シンクロしているのだ。あのエールでさえ!これには俺も驚いた。流石にアルマは初めてなのでオロオロしているが。


「まずは皆よく集まってくれた。感謝する」


「「「「「はっ!」」」」」


「我がいない間のトワイライト王国の近況を聞きたい。我の旅に同行していない者達。まずはスサノオから頼む」


「承知」


そう言うとスサノオは立ち上がる。そしてトワイライト王国の近況を話す。


「…我は念の為、人が結界を抜けてないか森を探索しながら見回っている。…今のところ人間が結界を抜けてきてはいない。…森には特に脅威となる魔物は今のところいない。…我からは以上だ」


「報告ご苦労。スサノオが見回りをしているのは我としても安心できる。感謝する」


ふむ。まぁあの結界を抜けられる人間なんてそうはいないだろう。それよりもスサノオが自主的に迷いの森を見回っているのか。ならば安心だ。スサノオは動いてなくてもかなりの距離の気配を探れるのだ。


「次はトール、報告頼む」


「おぅ!」


トールが立ち上がり報告する。


「ワシが報告するのは主に畑のことだな。トワイライト王国の周りの森を開拓して畑を耕しているが順調だ。何もやる事がない民達や、プリンの部下のスライム達が手伝っておるから作業が捗るな。排泄物を肥料にしておるので土の状態は良く、中々質の良い野菜ができそうじゃ。やろうと思えば木魔法で直ぐに収穫できるが、まぁデメリットもあるからのぅ。出来るまで待つ方が良いとおもうんじゃわい。まぁワシからの報告はこんなとこか?」


「報告感謝する。木魔法で直ぐに収穫というのは最終手段とする。手伝いたいという民達がいるなら民達に手伝わせてやってくれ。とりあえず食糧問題はなんとかなりそうだな。トールも感謝する。では次にタナトス。報告を頼む」


木魔法で植物の成長を促進させる魔法があるのだが、トールの言ってたデメリットもあるのだ。成長を促進させる代わりに土の栄養分を根こそぎ持っていく。これによって土が死んでしまうのだ。なので、木魔法ですぐに収穫というのは最終手段にしている。


「わかったのだよ」


タナトスが立ち上がって報告する。


「私からは特に報告するべき事はあまりないのだよ。私は魔物の研究ばかりしていたからね。だが魔物の研究ばかりでは飽きてしまうので、迷いの森の生き物を調査した所、土の中にどうやらミミズに似た虫がいたのだよ。ミミズと同じ生態をしていたのでその虫を畑に住まわせたのだよ。私がした事はそれぐらいなのだよ」


「報告ご苦労。タナトスがした事はそれぐらいなのかもしれないが、良い畑を作る事は良い野菜を作れると同義。国の為にしている事なのだろ?ならばそれは我にとってはそれぐらいではない。タナトスの働きにも感謝する。次にレイア報告を頼む」


「わかったのじゃ」


レイアが立ち上がって報告する。


「妾はからは主に迷いの森全域に覆っている結界の魔道具の状態確認、調整をしていたのじゃ。後は畑を作るから害虫等が寄り付かない魔道具を開発したりじゃな。妾が報告するとしたらこれくじゃな」


「報告ご苦労。迷いの森を覆っている結界を作る魔道具のメンテナンスには我も助かっている。そしてレイアも畑の為に魔道具を作ってくれて感謝する。レイアの魔道具にはいつも助かっておるからな。次にルーシー、報告を頼む」


「ん」


ルーシーが立ち上がって報告する。


「私から報告。民の治安は良好。とくに揉め事ない。酔っ払ってたまに争うだけ。地下の部下達の様子、私が見てる。特に変わった事ない。報告以上」


ルーシーは初めて謁見した時よりも少し言葉が上手くなったか?まぁ俺がそういう口調に設定したが、片言がマシになってるというか。まぁいいか。


ちなみに地下の部下達というのは各守護王達の中級、上級の部下達の事だ。メイド達の部屋は地下にあるのだが、それよりも少し深い地下に部下達が住んでいる。


もちろん家もある。ちなみにメイド達と守護王達の部下は、地下の深さは違うが同じ地下第1フロアになる。部下達のフロアに転移門を設置して、トワイライト王国の広場に、対となる転移門を設置する予定だ。


部下達は毎回地下から地上に出て、買い物をしたりするの大変そうだからな。ちなみに中級、上級の部下達は全部で1100人いたが、今では少し増えてるみたいだ。


増えている理由は初級から中級に、中級から上級に進化している者がいるからだ。中級、上級魔物のフロアはちょっとした村みたいになっている。初級魔物は数が多いので民と同じ地上に住んでいる。


ちなみに上級から最上級魔物に進化している者はいない。進化するには何か条件があるのかもしれない。


まぁそんな簡単に魔王みたいな奴らがポンポン産まれたらヤバいもんな。と話が逸れまくってしまった。


「報告ご苦労。民達の治安をいつも守ってくれて我も助かっている。これから我が多くの時間を留守してもなんとかなりそうだな。ルーシーがいつもいるから我も安心できるぞ。感謝する」


守護王達皆に感謝を伝える。ちなみにルーシーはよくサボり、部下に助けられてるみたいだが、見た目や性格が子供だから部下達からは手の掛かる子供上司と言うことで、部下達が親の役目っぽい事をやったりして意外に部下達から好まれている。


俺がサボろうとしたら「やれやれ、仕方ないですねー」と言われやってくれる事はない。まぁ王だから仕方ないんだけどさー…。とそんな事はどうでもよくて、さて次は俺から報告する番だ。


「トワイライト王国の近況は分かった。では我からの報告をする。これは皆にも共有してほしいからな。我等は迷いの森の領地を奪いトワイライト王国を建国宣言する為の第一歩として王都ファルシオンに向かうことになった。目的は色々あるのだがその1つの王都に転移門を設置する事ができた。これで王都には行き放題だ」


俺がそう言うと「おぉ!」という歓声があちこちから聞こえてくる。恥ずかしいからやめてくれ!そしてそこまで持ち上げないでくれ!


俺ではなくほとんど配下達のおかげなのだから。恥ずかしい気持ちを抑えて次の目的について話す。


「次の目的なのだが冒険者登録と商人登録をして、冒険者と商売を同時進行したい。冒険者登録は守護王達皆にしてもらう。もちろんイーリス、お前もだ」


「分かりました」


「特にトール、タナトス、レイア。あとルーシー。お前達も冒険者に登録してもらいたい」


この4人は何かと忙しいから断られるかもしれないがどうなんだろう?まぁ1人はごろごろするのに忙しいのだが。


「わしゃ息抜きに丁度いいと思っとるからいいぞい」


「ふむ。私はこちらの世界の魔物と触れ合うことが出来るから是非とも登録したいものだね。色んな魔物の研究が出来そうだね」


「妾もずっと魔道具の研究ばかりではな。迷宮にはまだ見ぬ魔道具があるんじゃろ?この目で見てみたいものじゃ」


3人とも結構乗り気でよかった。だが最後の1人はどうだろう。ルーシーは面倒臭がり屋だからなぁー。とルーシーの目を見る。


「ん」


えっ?それだけ?もっと嫌がるかと思ったけどいいのか?いや納得してくれて嬉しいがいいのか?


「ル、ルーシー。我はお前が面倒臭いと言うのかと思ったがいいのか?」


「ん。楽しそう」


「そ、そうか。ならよかった」


ルーシーは単純にこっちの治安を守る仕事より冒険者のが楽しそうなので冒険者になるのを拒まなかったようだ。まぁルーシーがそう言うならもう何も言うまい。


「そしてこれは既に旅について来た者達には話したが、商人登録にも皆登録してほしい。正直、商人ギルドでどんな話をされるかは分からないが一応皆、登録する予定で覚えていてくれ」


俺が言うと皆も黙ってはいるが、肯定してくれている。


「冒険者登録や商人登録は明日、皆で登録に行く。旅に同行してない守護王達は今日の夜に転移門を潜って王都ファルシオンに来てくれ。あまり目立たない格好で来てくれ。その後は宿を取ってくれ。お金は後で渡す。転移門を潜り物置小屋から出る時は、一応周りには見られたくないからヴィーナに手を借りて人が誰もいないタイミングで出て来てくれ」


守護王達も頷く。さて次に話すことは


「次に我の秘書がほしいと思って秘書を雇って育てる事にした。勘違いしてほしくないのだが、イーリスが使えないとかではない。今後イーリスにも冒険者としても活躍してもらう。それはつまり我とイーリス、どちらとも執務室にいない時が多くなると言う事だ。なので秘書を雇いたいという事だな。そしてその候補となる者が…アルマ」


俺がアルマを呼ぶと体がビクッとする。かなり緊張してるみたいだ。大丈夫か?まぁ仕方ないと思うが。


「アルマには言ってなかったが、アルマのやってもらいたい仕事は秘書だ。まぁ文官みたいな立ち位置と考えてくれ」


「わ、私が文官?奴隷の身分でそのような仕事は…」


「身分など我からしたらどうでもいい。アルマは秘書ができると思ったので雇ったのだ。それに、ここには貴族はいないからな。身分など関係ないと思え」


そりゃまぁ、奴隷から文官の立ち位置になってくれといきなり言われたら驚くし無理だと普通は思うだろう。アルマの反応は間違いじゃない。


「ですか文官の仕事は一度も…」


「案ずるな。何もいきなりやれとは言わん。アルマが覚えるまで人はつける。ルビー、シーナ」


「「はい」」


「秘書の仕事はどうだ?まだ覚えていないなら覚えるまで待つが」


「「問題ありません」」


「そうか。ではアルマが覚えるまでルビーとシーナを交互につける」


「「畏まりました」」


イーリスとは旅の途中にも定期的に連絡はしていた。その時に少しやってもらいたい事があるからイーリスにお願いしていた。それがルビーとシーナに執務室の仕事を覚えさせていたのだ。


ルビーとシーナに手伝わせればいいかもしれないが、ルビーもシーナもメイド長だからな。やる事はいっぱいある。


なのでルビーとシーナに俺が旅の途中に執務室の仕事を覚えさせ、秘書になる者に俺とイーリスがいない間、仕事をしてもらう。その時に交代でルビーとシーナをつけて覚えさすというやり方だ。


「それならばその仕事承りました」


そう言いながら胸に手をやり頭を下げる。了承してくれてよかった。内心断られるかと思った。いやアルマの事だから断ったらマズいとか思われたりして。ありそうだ。


「うむ。我からは以上だ。旅の途中でオークキングの肉を手に入れたので後で皆で食うとしよう。まぁこの肉は旅に同行してない守護王達の為に残していた肉だからな。我もまだ昼食は食べてないから丁度いい。エール達も食べるといい」


そう言うとまたも「おぉ!」と歓声が聞こえる。しかも旅に同行したセレス達も言うのだからたまったもんじゃない。謁見している時はほんと罰ゲームしているみたいな気分になるのたが…


これはセレス達の手柄だから!俺何もしてないから!流石王だ!みたいな反応はやめてくれ!他の守護王達の分を残すのは当然だから!と一人悶絶する。話を切り替えよう。


「えー……最後にエール」


「は、はいっ!」


「エールにはすまないがまた長い間、国を空けるかもしれない」


「はいっ…」


明らかに落ち込んでいる返事だ。専属メイドと言いながら側で仕事できない。かといって冒険に連れていけるほど強くない。ちなみにルビーとシーナは強い。


「なのでこれを授ける。エールこっちに」


「?はい」


そして俺が渡したのは念話の指輪だ。これでいつでも俺と話ができる。まぁこれで少しはマシだろう。


「これは?」


「これは念話の指輪と言ってな、それを指に嵌めて念じればどこでも俺と話すことができる。もちろん俺だけに聞こえる専用の指輪だな。これで何時でも話す事ができる」


「い、いいのですかぁ?」


エールの目はすでに涙が溜まっており今にも泣きそうだ。


「あぁ。あとエール、お前は今声をかけて俺が忙しかったらどうしようとか、迷惑かなと考えてしまうかもしれないが、そんなのは気にするなよ?迷惑とは思わないし俺も何時でもエールの声を聞きたいからな。だから好きなときに話しかけてこい」


俺はエールに言う。我ではなく、素の俺が出てしまったがまぁいいだろう。これだけ言えばエールも安心するだろうと思ったら


「……うっ…ルーグざまぁー!」


「ど、どうしたんだ?」


急に泣き出してしまった。周りの守護王、特にイーリスがまた泣かしたとジト目をこちらに向けている。俺が前にエールを泣かした事は何故か守護王達全員が知っている。何故だ!


「…うっ…エールはうれじいんでずぅ!」


「そ、そうか。ならよかった。エールには定期的にトワイライト王国の様子も報告してもらうからな」


エールは頷いている。これで安心だなと思っていたらエールは念話の指輪を左薬指につける。何故そこにつけるのだ!?いや何処でもいいんだがよりにもよってそこか。


しかもエールは絶対、無意識にやってるんだよなぁ。守護王達、特に女性陣がハッ!としている。その手があったか!なんて考えてそうだがもう謁見を終わろう。


女性守護王達から何を言われるか分からん。ちなみにプリンもハッ!としていた。


「わ、我からの報告はもう無い。ではこれにて謁見を終わる。何か至急の報告があるなら直ぐに報告しろ。俺がいない場合はエールを経由して話を通せ。皆、よろしく頼む!」


「「「「「はっ!」」」」」


そして俺は謁見の間から出る。ふぅー。やっぱ疲れる。まぁ少しは王には慣れたか?この後は食堂に言ってオークキングを皆で食べる。お腹空いたなぁ。と俺は食堂に向かう。


ちなみに女性陣とプリンの念話の指輪は俺があげてもないのに、何故か左薬指に付いていた。



読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新感謝です\(^^)/\(^^)/\(^^)/ まさか連続で更新されてるなんて というより8月の更新振る舞い大サービスですね [一言] ちょい前のコメントした人にモノ申す訳ではありません…
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