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異世界のお肉と王都


「おーいお前らー。野営はここにしようか」


帰り道、野営に良さそうな場所があったのでここで野営することにする。日はすっかり傾いて、空には綺麗な星が輝いている。腹が減った。ちなみに少し前までセレスにこっぴどく叱られてたのでこんな時間になった。いや俺がララに悪戯したから悪いのだが。


「いいわねぇ!さっそく夕食の用意するわねぇ!」


「ご主人様ー!オークを食べようや!」


「えっ…マジであれ食べるの?」


生きた姿のオークを遠目で見ちゃってるんだが…。なんか食べるのに抵抗あるよ。だがリルは狼だから肉には目が無いんだろう。


「ボ、ボクも食べてみたいなのです!」


くっ…。プリンに言われたら従うしかない。こんな可愛い天使の顔なのに悲しい顔にさせるわけにはいかない!はぁ。俺はどんどんプリンに甘くなっていく。


「…分かったよ。オーク1体だけだすぞ」


俺はそう言うとアイテムボックスからオークを出す。なぜ1体かというと、オーク1体だけでもそこそこでかい。身長が2メートルをゆうに超えている。3メートルぐらいありそうだ。


「じゃあこれ調理してくるわねぇ。…それにしてもルーク様はプリンちゃんに少し甘くないかしら?」


「ど、どうしたんだ急に?そんなわけないよ…」


「ならいいんですけど」


ニコって笑いながらセレスは調理場に戻る。セレスの笑顔は傍から見たら聖母に見えるんだが、知ってる人間からしたら怖いんだよ。と考えながらテントの中でゆっくりする。ゆっくりしていると少し疲れたのか俺は寝てしまった。ララと一緒に。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「……様。……ク様。ルーク様?」


俺はゆっくり目を覚ます。


「…あぁ。少し寝てたか」


「えぇ。夕食ができたので起こしに来たわ」


「すぐ行く。ララ?ご飯できたから行くぞ?」


「…うーん」


俺はララを起こして顔を洗い外に出る。少し疲れてたのかもしれない。寝起きってあまり食欲がわかないんだよ。特に寝起きの肉は胃にくる。まぁせっかく作ってくれたんだから頑張って食べるか。俺はそう考えて席につく。


「今日はバーベキューにしてみたわぁ!オークの串焼きです!」


そう言ってセレスは俺に渡してくる。いや俺、肉は避けて野菜だけ食べようかと思ってたがそれを即座に阻止された。諦めて食べるか。


「あぁ。ありがとう。……どうした?お前らも食えよ」


「いえ!まずはルーク様に食べてもらいたくて!」


なんかやだなぁー。初めて作った料理の実験されてるみたいで。まぁセレスはそういう考えではなく、ただ一番に食べてもらいたいだけなんだろうけど。


「分かった。ありがたく頂くよ。いただきます」


俺は恐る恐る口に運び齧り付く。……ん?……んっ!?何だこれは!?んぅめぇー!まじかよ!?肉は中まで火が通っているのにかなり柔らかい。少し歯が入るだけでプツンと千切れる柔らかさ。


それに噛んだ瞬間肉汁が溢れ出てくる。しかもその肉汁は全然しつこくなく喉をすぅーっと通っていく。そして最後はかなりの柔らかさ故に肉が溶ける。


こんな美味い豚肉は初めて食べた。あの顔でこの旨さらな全然気にしない。食欲がなかったのにこれなら何個でもいけちゃうぞ!


「どうですか?」


「…あ、あぁ。かなり美味い」


「では私達も食べましょう!」


そして皆も食べ始める。皆も一口食べてその美味さを実感してるようで既にリルは右手と左手にオークの肉を持っている。


「ご主人様!このお肉めっちゃ美味いで!」


「ほんとねぇ。美味しいわぁ!」


「これ程の肉は初めて食べましたな」


「美味しいなのです!」


「おいしー!」


うーむ。異世界の料理ってのはあんまり美味しくないと小説には書いていたがそうでもないのか?いや違うな。宿に出された食事は確かに美味しいが日本より美味しいとは思ってなかった。


だがこのオーク肉は日本の豚肉より美味しい。素材自体は日本より異世界の方が上だ。だが日本は戦争をしなくなって食への探究心に目覚めた。戦争に使う武器等の研究をやめ平和だからこそ料理等の研究ができた。


異世界は料理の研究すら出来てない状況だろうなぁ。それに俺はもう1つ気になる事がある。


「オークジェネラルとオークキングの肉も少し食べてみよう」


「いいですねぇ!」


「オークキングの肉は全部使わないでくれよ」


そう言いながら、俺はオークジェネラルとオークキングのアイテムボックスから出す。セレスはさっそく切り分けてくれる。


「楽しみやなぁ!」


「俺の予想が正しいならオークジェネラルとオークキングの肉は普通のオークより美味いだろうな」


「食べてみたいなのです!」


「美味いからって全部食べるなよ?特にオークキングは。居残りメンバーにも食べさせてやりたいからな」


「ですが少し期待してしまいますね」


「だな」


「ララも食べるー!」


そんな話しているとセレスが切り分けたオークの肉を持ってくる。


「はーいできたわよぉ!左がオークジェネラルで右がオークキングね」


「じゃあオークジェネラルから焼いて食うか」


そしてオークジェネラルの肉を皆で焼く。リルやララは待ちきれなくてソワソワしている。


「よしできた。いただきます」


俺はオークジェネラルの肉に齧り付く。お、おぉー!柔らかさも肉汁の量も全然違う!んまぁっ!やはり日本でこんな美味い肉は食べた事ないぞ!明らかに普通のオーク肉より美味い!


「全然違うわねぇ!」


「えぇ。何と言いましょうか…。肉のランクが上った事が分かります」


「さっきのお肉より美味いでこれ!」


「幸せなのです!」


「おいしー!」


だがオークキングはこの肉より美味いとなると想像もできん。俺は早速オークキングの肉を焼き始める。


「……よしできた。じゃあオークキング食べるぞ!」


俺は喉をゴクッと鳴らして唾を飲み込み、そして俺はオークキングの肉に齧り付く。…ッ!?す、すげぇ!噛んだ瞬間ホロホロと肉が溶けた!オークキングの肉は筋肉が多いと思ってたが、焼くとこんなに柔らかくなるのか!んめぇなこれ!オークジェネラルは確かに美味かった。だがこの肉はそれ以上だ!高級レストランでも並ばない肉だなこりゃ!


「うっ…うぅ……こんな美味しいお肉初めて食べたわ…」


リルが泣きながら食べてるね。よっぽど肉が好きなんだろう。だが気持ちは分かる。


「ほんとこんな美味しいお肉食べたことないわね!」


「これ程のお肉がこの世界にあるとは…」


「早く皆に分けてあげたいのです!」


「お腹いっぱいー!」


皆もかなり満足している。だがこの世界にこれ程の肉が存在してるなんて…。


「旅する目的が1つ増えたな」


「どういう事でしょうか?」


「こんな美味い豚肉があるんだ。他にもあると思わないか?未知なる食材や美味なる食材を見つけに行くのもいいと思わないか?」


「確かにいいわねぇ!美味しい野菜とかあるかしら?」


「ウチはこれ以上のお肉を見つけたいな!」


「ボ、ボクは海鮮とか食べてみたいな」


「ララもたべるー!」


「ふふ。この世界であれば期待できますね」


皆が各々と話し合う。この光景はいつ見ても嬉しいもんだ。俺は自然に笑みがこぼれる。


「さぁ!今日はもう寝ようか。明日にはティタの村から出発したいからな」


皆が頷きテントに戻っていく。さぁ俺も寝るか。俺はいつものように布団に入る。もちろん横にプリンがいる。枕の上にはララが。プリンが横にいることはもう慣れたな。俺は布団に入ってすぐに深い眠りつく。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


次の日、俺達は早く起きてティタの村へ向かう。このままいけば昼過ぎにはティタの村に着くな。ヴィーナを呼び戻しておくか。


「ヴィーナ戻ってきてもいいぞ?」


俺が念話の指輪でヴィーナに伝えると1分もしない内に現れる。


「お前様ー!わっちは寂しかったでありんす!」


とヴィーナは勢いよく抱きついてくる。


「お、おい!……まぁいいか。すまんな寂しい思いをさしてしまって」


普通であれば俺もセレスやリルも止めるのだがずっと1人で俺の命令をこなしてたのだ。今日ぐらいは目を瞑るらしい。ヴィーナもいつもなら止めるセレスやリルが何も言ってこないのでビックリしている。


「今日ぐらいは目を瞑るわ」


「寂しかったやろうからな」


「今日ぐらいは甘えてもいいぞ」


だがそんなに甘えられたら俺の理性が飛ぶかもしれんが。とティタの村に歩き出す。俺の右腕にヴィーナの腕を絡めて歩く。胸が当たってるんですけど…。


「そろそろお昼か。お昼はここで済ましておくか」


「いいわねぇ!」


「賛成や!」


「オークなのです!」


「あれはいつ食べても飽きないですからね」


「肉食べるー!」


「ヴィーナもオークキングの肉を食べな?めっちゃ美味しいぞ?」


「それは楽しみでありんすぇ!」


そして昼食の準備をして皆で食べ始める。


「ほれ。ヴィーナ焼けたぞ?」


「お前様食べさしてほしいでありんす」


「…えっ?いやー…」


あーんとか恥ずかしすぎる。ちらちらとセレスやリルを確認するがやはり目を瞑るようだ。くそっ!だがここでやらないのは男じゃない!


「ほらお前様早く!」


「わ、わかったよ!あ、あーん…」 


「あーん。……んっ!美味しいでありんす!こんな肉初めてでありんす!それにお前様からあーんをしてもらったおかげでもっと美味しくなったでありんす!」


「そ、そうか。それはよかった」


「今日は目を瞑りますけど私にも今度してね?」

 

「えっ?」


「ヴィーナだけずるいで!ウチらにもしてな!」


「いやー…あれっ?」


「プリンもしてほしいなのです!」


「プリンも!?」


「ではわたくしにも…」


「ドラグは洒落になってないからな!」


「ララもー!」


「あーもぅ!わかったよ!また今度してやるよ!」


まぁ案の定、平等で落ち着く。こちとら恥ずかしいのにそれを…。居残り組にも耳に入るんだろうなぁー。はぁー…。と俺は先のことを考えながら肩を落とす。いやまぁ役得なのか?


昼食を終え、ティタの村に歩き出して1時間が経った頃ティタの村が見え始める。そしてティタの村に俺達は帰ってくる。もちろんヴィーナは影の中にいる。


ティタの村ではレナルドさんと村長のミルドさんが出迎えてくれた。


「ルークさんおかえりなさい」


「レナルドさん今戻りました」


「ルーク殿。帰りをお待ちしておりました。して、オークは見つかったのでしょうか?」


「えぇ。オークの群れがいましたね。それもオークキングが率いていた群れですね」


「お、オークキングですと!?た、大変じゃ!すぐにギルドに依頼を出さねば!」


「あぁ。安心してください。オークキングとその群れは片付けましたから」


「……はっ?」


「ルークさん今なんと?」


「えっ?ですからオークキングの群れを片付けたと。オークキングの死骸がありますので見せましょうか?」


「あるのなら是非」


そう言われたので俺はアイテムボックスからオークキングの死骸を出す。急に広場にオークキングの死骸が出てきたので野次馬はビックリしている。


「こ、これは…」


「間違いないです。オークキングですね」


「私も半信半疑だったのですが…。しかし一体どこから出したのですか?」


「ルークさんはアイテムバックを持っているのですよ」


レナルドさんはアイテムボックスのスキルの事を敢えてアイテムバックと言っている。流石はレナルドさんだ。ありがたい。


「な、なるほど」


「しかしルークさん達は強いと思ってましたがまさかここまで強いとは…」


「あと、オーク退治に向かった冒険者は見かけませんでした。死体もありませんでした。恐らくオークキング達に…」


「そうですか…。ルーク殿ありがとうございます!何かお礼をしなければなりませんね」


「いえ結構です」


お礼とかなんとか言って宴だぁ!となって結局次の日に出発しましたなんて事が無いように俺は断る。


「いやしかし…」


「王都への旅の途中、人助けをしただけなので礼はいりません。それよりレナルドさん今から出発すれば王都へ着きますか?」


「あぁ。問題なく着くとおもうよ」


「では行きましょう」


「いいのですか?」


「早く王都へ行きたいのです」


「わかりました。ということなのでミルド村長、私達はすぐに出発します」


「そうですか」


村長は落ち込んでいるが、礼と言って宴やらなんやらされたらまた王都へ行くのが遅くなってしまう。急ぐ旅ではないがもう足止めはくらいたくないのだ。


そして俺達とレナルドさんは準備をしてすぐに出発する。ティタの村全員で見送りに来て見えなくなるまで手を振ってくれた。暖かい村だ。


村から出発して1時間が経ったぐらいで俺はレナルドさんに話しかける。


「レナルドさん。オークの死骸ですがお金になるのですか?」


「えぇ、お金になりますよ。右耳は撃退証明に。オークの牙は素材に。オークの肉は食料に。そして後は心臓部分にある魔石が売れますね」


「なるほど」


「あとオークキングの睾丸も売れます」


「えっ?あれ買う人いるんですか?」


「そうですね。まぁ一部の人にだが性欲を高める効果で人気なんですよ」


あー。精力剤ね。確かに聞きそうだね。


「そ、そうですか。少し剥ぎ取る時間はありますかね?」


「ありますよ。王都はティタの村から近いですからね」


「ありがとうございます」


馬車を止めてもらいアイテムストレージから大量のオークとオークジェネラル、オークキングを出す。それを俺とセレス、リル、プリン、ドラグで手分けして耳、牙、肉、魔石あと睾丸に分ける。その間30分も経ってない。みんなでやれば早いな。


「すごく手際がいいですね!」


「いえ剥ぎ取りなんかしたことないから適当ですけど。それよりこの素材は何処に売ればいいんでしょうか?」


「そうですね、やはり冒険者ギルドでしょうか?冒険者ギルドで素材を買い取ってもらえるのです」


「なるほど。でもオークとオークジェネラルの牙を一緒にしたら見分けが付かなくなったりしませんか?」


「あぁ。それは大丈夫ですよ。買取は鑑定が出来る魔道具があるのですよ。その魔道具を持った人が鑑定をするので問題ないです。じゃあ出発しますね」


なるほど。それなら安心だ。剥ぎ取りを終わらせていらない部位は焼くか捨てるかする。捨てると野生の魔物が集まるから基本はしないので焼いて処分するのがな一般的だ。


そして馬車に揺られて3時間ぐらいでようやく。


「ほら。見えたよ。あれが王都ファルシオンだよ!」


その言葉を聞いて俺は馬車から顔を出し王都へ目を向ける。するとそこには


「お、おぉー!あれが王都か!」


俺の国の3倍、いや4倍はある城郭都市!遠目でも分かる見る者全てを圧倒する大きさ!そして王都の奥に聳える一際目立つ大きい城!そして既に門にはいろんな場所から訪れたであろう商人や冒険者!外から見ても活気があるのがわかる!


「大きいわねぇ!」


「これ程とは」


「楽しみやなー!」


「人がいっぱいいるのです!」


「楽しみー!」


各々と王都を見た感想を言っている。ようやく来たか王都。ここで拠点をおいて色々やらないといけない事があるがやはりワクワクする!


俺は流行る気持ちを抑えて王都の門の列に並ぶ。まずは冒険者になりたいな。ルーク達の新しい生活が始まろうとしていた。


読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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