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アルクとラガンの最期


「…ん…朝か。昨日は楽しかったな」


昨日はずっと部屋で皆とお喋りをして過ごしていた。日本にいた時は色んな人と集まって話す事が一度も無かったのでかなり新鮮だった。冒険もいいがたまには部屋で皆とゆっくり話すのもいい、悪くない。ララも色んな話をして疲れて寝ていたな。


今後どこに行きたいかとか話した。セレスはエルフの国というか集落?いやエルフの国もあるかもしれない。ドラグも竜の国に行きたいそうだ。


こうやって配下達が自分のしたい事を話してくれるのは嬉しいものだ。


相変わらず俺の横にはプリンが抱き着いて寝ている。どんなに疲れてもこの寝顔を見れば癒やされちゃう。


そう考えていると部屋のドアが開く。


「おや。おはようございますご主人様」


「ドラグおはよう。今日も早いな」


「ご主人様より早く起きて身の回りの事をするのがわたくしの努めですから」


「いつも助かってるよ」


「勿体なきお言葉」


ドラグと朝の挨拶をして会話をしていると


「…ん……ルーク様おはようございますです」


「おはようプリン」


プリンは起き上がるが、まだ眠いのか目を擦っている。服が少しはだけている。プリンの裸は何故か見てはいけないと思ってしまう。男同士なのに。


そう考えながらプリンの頭を撫でる。ララは…まだ寝ているな。朝食までには起こすか。朝食前までプリンとドラグと適当に話をして時間を潰す。


「ララ?朝ごはんだよ?顔洗ってご飯食べるよ?」


「…んー…ごはんー…」


「いらないの?」


「…やー…いるー…」


ララは食べるのが好きだから朝食に連れて行かないと拗ねる。フラフラ飛びながら顔を洗いに行くララ。ララが顔を洗ったら皆で朝食を食べに1階に降りる。


1階へ降りるとレナルドさんが手招きしていたのでレナルドさんの近くで朝食を食べることにする。


「おはようルークさん。カトラスの街は楽しめましたか?」


「はい!すごく楽しかったですよ!」


「それはよかったです。王都はカトラスの街よりもっと活気が良く、品揃えも良いからもっと楽しいと思いますよ」


「それは楽しみですね!」


「王都には今日のお昼過ぎに出る予定だけど大丈夫ですか?」


「はい。俺たちもそれで大丈夫です!」


「では昼食を皆で食べたら出発しましょう。それまでは自由行動と言う事で」


「分かりました」


今日の予定を話しながら朝食を食べ、俺達は一度部屋に戻る。部屋に戻って女性組も俺の部屋に来る。


「ルーク様、この後はどうしましょう?」


セレスが聞いてくる。


「少し行きたい所があるから皆で一緒に行こうか」


「行きたい所ですか?」


「ついてきたらわかるよ」


そう言って出掛ける準備をして街に繰り出す。ゆりかご亭から歩いて10分ぐらいの場所にある店に辿り着く。外見は少し怪しい感じの雰囲気を放っている。


「ルーク様ここは?」


「まぁ入ろうぜ!」


そして皆で入っていく。入るとそこは魔道具や魔道書等が置いてある。他にも錬金術の素材もある。色々な商品を見ていると


「いらっしゃい」


店の奥から声が聞こえた。声のした方を見ると、そこには少し暗めのローブを纏った80歳ぐらいのおばあちゃんがカウンターの奥に座っている。


「何かお探しかい?」


「錬金術の本を買おうかなと」


「ほぉ。錬金術とは珍しいの」


「魔法の才能が無いので錬金術ならいけるかなと」


「錬金術は無属性の才能が高いと成功しやすいらしいのじゃ。じゃが、無属性は人気が無い魔法じゃ。極める者も少ない。じゃがお主はいつか極めるやもしれぬな」


人気が無いか。やはり無属性の魔法の才能があったとしても錬金術に手を出す者は少ないのだろう。


「何故錬金術に手を出す者が少ないのですか?」


「単純に金にならんのじゃ。今から錬金術を覚えようとしても時間はかかる。それに錬金術は主に回復ポーション等のアイテムで生計を立てるのじゃが、既に腕の良い錬金術者が質の良いポーションを売るから駆け出しの、あまり質の良くないポーションは売れないことがおおいのじゃよ」


「なるほど。錬金術で稼ぐなら冒険者で稼いだ方がましか」


だから極める者が少ないと。錬金術が無属性の才能に直結するなら俺は尚更手を出したほうが良い。


「そういうことじゃ。あとは錬金術は地味じゃ。最近の若者は派手な魔法やら強力な魔法を優先するからのぉ」


まぁ気持ちは分かるな。俺もできればかっこいい魔法とか使いたいが、無属性の才能しか無い俺には選択の余地がない。ってか無属性の才能すら無かったし。


「なるほど。まぁ俺は稼ぐ事が目的じゃないから錬金術の本を買っていくよ」


「ふふ。そうかい」


「火の初級魔道書等はやはり才能がないと効果はないのですか?」


「そうじゃな」


「そうですか」


「ただ……昔噂に聞いた事があるのじゃが、食べるだけで火や水の才能が開花する種があると。じゃが実際そんな種は見つかっておらぬ。時が経つにつれていつしか伝説、この話自体が嘘と言う者も現れてな。今ではこの話を知ってる者も少なくなった」


そんな種があるならめちゃくちゃほしい。まぁあるのかどうかわからないらしいが。


「貴重な話ありがとうございます。初級と中級の錬金術の本を買います」


「まいどあり。金貨1枚、銀貨1枚だよ」


「これで」


ラガン達から金を盗んで正解だった。王都の道中の暇つぶしにはなるか?


「これもつけておいてあげるよ」


「こんな高い物いいのですか?」


おばあちゃんが渡してくれたのは錬金術の書(上級)金貨10枚の代物だ。高い。


「構わぬよ。錬金術の書はただでさえ売れないからね。上級ともなれば買うやつなんていやしないよ。ならこの先、可能性のある者に託したほうがいい」


なんといいおばあちゃんなのだ!必ず錬金術を極めて見せよう!


「ありがとうございます!またカトラスの街に来たら寄らせていただきます!」


「楽しみにしておる」


そして俺達は店をでる。


「ルーク様。いい買い物ができましたね」


「あぁ。そうだな。そろそろ約束の時間だからゆりかご亭に戻るか」


俺達はレナルドさんと合流するために安らぎのゆりかご亭に戻る事にした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「戻りました」


「おや。おかえり。いいタイミングだねぇ!昼食は今出来た所だよ」


昼食はジャイアンボアのステーキに野菜スープ、黒パンだった。白パンは高級で主に貴族の人達が食べているらしい。だが黒パンでも全然不味くはない。むしろ美味しい。


「今日で出発しちまうのかい。もうこの可愛い妖精の食べっぷりはみられないのは残念だねぇ」


ララは食べるのに夢中でベリルの声には全く反応していない。


「また来ますよ」


「また来たときはうちをご贔屓にしてくれると嬉しいねぇ!」


「勿論ですよ!料理も美味しいし安いし満足しました!」


「そりゃ良かったよ。レナルドさんもまた来てくださいね」


「あぁ。その時はまた立ち寄るよ」


「えぇー!もう帰っちゃうの?もうちょっと泊まっていけばいいのにー!」


「アリル。無茶な事言わないの。ルークさん達もカトラスに寄る時はウチをご贔屓してくれるって言ってるんだから我慢しな?」


「はぁーい」


やすらぎのゆりかご亭で最後の昼食を食べたのですぐに出発する。


「ルークさん、馬車の準備は既に出来ています。できるだけ距離を稼ぎたいからすぐに出発しましょう」


「分かりました。ではベリルさん、アリル、また会いましょう」


「また来るんだよ!」


「またねー!」


俺達は挨拶をしてレナルドさんの馬車に乗り込み王都へ目指す。王都はどんな所だろう。楽しみだ


「では出発するよ。ここカトラスから王都までは5日はかかりますので気長に行きましょう」


「分かりました!お願いします!」


俺がそう言うと馬車は動き出す。まぁ馬車で5日と少し長い気がするがのんびりするか。錬金術の本も買ったしな。配下達がいるからのんびりの旅になるだろう。と馬車に揺られながら1人考え事をしてると


「おや?あっちに人集りが見えますね。何かあったのでしょうか?」


「さて?レナルドさん見てきますか?俺達は馬車の護衛してますので見てきても大丈夫ですよ?」


「そうですか。では旅もあるので少しだけ見てきます」


レナルドさんは馬車を降りて人集りの方へ歩いていく。


「ヴィーナ。大丈夫だと思うがレナルドさんの護衛を気付かれないように頼む」


「了解でありんす」


「かなり手を下すのが早かったですね」


「それは仕方ない。妖精殺しにランス辺境伯の領地の一部が入れなくなった。そのせいで迷いの森で採れる貴重な薬草など採れなくなり収益は下がった。しかもランス辺境伯が統治してる街の冒険者が減少。貴族が来訪するなら前もって知らせるのが普通だが、それすらもせず強行軍でカトラスの街に来た。それぐらいの大事だ。ランス辺境伯も自分の治めてる街を長く留守にはできないだろうからな」


「確かに。日をあければ裏工作だってするかもしれないものね」


「そういうことだ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「すいません。この人集りは何かあったんですか?」


「あぁ。俺もよくわからないんだが、何でもアクス男爵様の息子アルク・ランドルがまた何かやらかしたらしい。しかも今回はランス辺境伯様も来ているとか」


「何か大事な様ですね」


しかも人集りの真ん中には断頭台がある。そこまでの事を…?


「おっ…。来たぜ!」


ランス辺境伯とアクス男爵がこちらに歩いてくる。その周りにはランス辺境伯、アクス男爵の精鋭の騎士達が守っている。ランス辺境伯とアクス男爵の少し後ろに両手を縛られ歩かされているアルク・ランドルともう1人、名前の知らない男がいる。あの男は誰だ?


そしてアルクと男は断頭台に膝をつかされる。

その近くに大柄の男が大剣を持っており如何にも処刑人という格好だ。


断頭台にランス辺境伯、アクス男爵も上がりランス辺境伯が口を開く。


「カトラスの民達よ!私の名はランス・ジルドラ・アスカロンだ。急にこのような大事にしてしまい申し訳ないがこちらも緊急だったのでな。皆の者、断頭台の上にいる2人の罪人を見るのだ。1人は皆も知っていると思うがアクス男爵の息子アルクだ。もう1人はラガンという男だ」


アルクと聞いてまたあいつは何かやらかしたのか?と民達がざわつき出す。しかも今回は罪人とランス辺境伯は言っている。イタズラのレベルでは収まらない事をしでかしている。一体何をしでかしたのだと民達が騒ぐ。


「皆も一度は聞いたことがあるだろう、迷いの森には妖精達が住んでいる。アルクはこのラガンという男に迷いの森にいる妖精達を生け捕りにしろという依頼をした。そしてラガンは妖精殺しという罪を犯した。妖精を狙うだけで死罪になる。この2人はその罪を犯したのだ!そして迷いの森を不可侵領域にした原因だ。故に今ここでアルクとラガンを処刑する。証拠として妖精女王から手紙も届いた。その手紙に妖精の粉(フェアリーパウダー)も確認でき、間違いなく妖精女王からの手紙だ。手紙にはアルクが裏にいると書かれていた」


ランス辺境伯はフェアリーパウダーの付いた手紙を懐から出す。


「アルクは妖精にまで手を出したのか!?」


「許せない!今までの悪さは我慢してきたけどもう我慢の限界だ!殺しちまえー!」


もはやアルクに味方するやつはいない。アルクの評判は低いから仕方ない事かもしれないが。とランス辺境伯が手を上げる。


「皆の気持ちは分かった。まずはラガン。最後に言い残す事はあるか?」


「はやく…早く殺してくれぇ!ずっと頭から離れないんだよぉ…。あの音が…」


なんだ?何を言ってるんだ?様子がおかしい。民達も何を言ってるかわからず困惑している。


「…まぁいい。次はアルク。何か言い残す事はあるか?」


「俺はやっていない!皆分かってくれよ。俺を助けろ!俺はこの領主の息子だぞ!」


「うるせぇー!お前は領主の器じゃねぇ!どうせその言葉も嘘なんだろ!」


「そうだそうだ!」


「アルク……残念だ」


「父上!助けてください!」


「ではそろそろいいか。やれっ」


アルクに味方する民はいない。当然だ。今まで少しでも気に食わなければ民にイタズラでは済まされないイタズラをしていたのだが、領主の息子と言うだけで誰も手を出せなかったが、今回ばかりは違う。今までのツケが回ってきたのだ。


それに迷いの森を入れなくし、私の商売も出来なくした元凶だ。死んで当然の行いだ。処刑人は自分の手に持っている大きな大剣を持ち上げ大きく振りかぶる。


「死にたくない!やめてく……」


処刑人が首を跳ねた瞬間民達から歓声が上がる。レナルドはその歓声を背にその場を後にした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


レナルドさんが馬車を降りて30分。レナルドさんが馬車に戻ってきた。


「おかえりなさい。レナルドさん。どうでしたか?」


「あぁ。すごい事になってましたよ。アクス男爵の息子アルクが妖精を狙ったので死罪になっていました。もう1人ラガンという男もいたようです。処刑人に首を跳ね飛ばされていましたね。評判が悪いと聞いていたがここまで馬鹿な男とは思っていなかったです。それに…」


「それに?」


本当はもっと色々と言いたい事があるのだが、それをルークさんに言うと愚痴になってしまう。迷いの森に入れなくなった事は納得できないが、それをルークさんに言ったところで…


「…いえ、何でもありません」


その時レナルドはルークの顔を見て、ルークが少し笑ったような気がしたが気のせいだとおもいなおした。


「そうですか。それよりもレナルドさん。そろそろ出発しましょう」


「それもそうですね。待たせて申し訳ないです」


「気にしてませんよ」


俺達は今度こそ馬車は王都へ進んでいくのであった。


読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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