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妖精女王との邂逅


湖の奥の森を歩いて1時間ほどが経った。

代わり映えのしない風景に俺は内心飽きていた。


「本当にこの道で合ってるのか?」


「間違い無いと思うわぁ。精霊の力が強くなっているもの」


「こっちで間違いないでありんすぇ」


まぁセレスとヴィーナが言うなら間違いないんだろう。


「お前様、魔物が近づいてくるでありんす」


「ほんとねぇ。それも3体も」


「えっ?セレスにも分かるの?」


「私は精霊にお願いして周りを見張らせているから分かるのですよ」


「そうなのか」


なるほど。精霊を使役してか。エルフらしいな。俺も精霊とお話したいんだけど。と考えていると森の奥の草むらからゴソゴソ…と揺れる。


「来るか」


剣を抜いて構える。そして3匹の魔物の影…いや人影が姿を現す。ソレは身長120cmぐらいで緑の皮膚をしており、顔は醜くお腹が少し出て、腰に布の腰巻きをしている。手には棍棒を持っている。


「おぉ。ゴブリンか」


俺の国にもいるので驚きはしなかった。異世界ファンタジーの敵と言えば重鎮のゴブリンさんだよな。初心者が最初に戦う雑魚の2大巨塔の1匹だ。ちなみにもう1匹はスライムと俺は思っている。俺は【神眼】を使ってゴブリンの情報を確認する。ゴブリンのレベル70前後だ。特に目立つスキルはないな。スキルは持っているが、全く使ってないな。雑魚だ。


「ゲギャギャ!」


「グギャー!」


威嚇してるのかこちらに何か叫んでいる。うーむ。うちの国にいるゴブリンは喋るのだが余程知能が低いのかな?


「何言ってるかわからんぞ。さっさとかかってこい」


俺の国にもいるからと言って手加減などする訳もない。俺からしたら醜い魔物で、敵なのだ。是非も無し!


是非も無しって言葉なのだが、一度は使いたかった言葉なんだよなぁ。口にはしていないが格好良くね?と俺はどうでもいい事を考えていたら3匹は一斉に、俺に飛び掛かる。

だがやはりと言うべきか敵が遅い。


「是非も無し」


俺はそう呟いて3匹のゴブリンの首を跳ねる。断末魔すら叫べず絶命する。


「すごいわルーク様!」


「お前様、ゴブリンを屠る前に何か呟いてたでありんすが、何と呟いてたんでありんすかぇ?」


……言えない。格好つけたいが為に言ったなんて言えない。


「あ、あぁ…あれはまぁ……何でもない。気にするな」


「そうでありんすかぇ?なら気にしないでありんす」


なんとか誤魔化せたか?それにしても……


「ルーク様お顔が優れてないけど大丈夫かしら?」


「あぁ。大丈夫だ」


ゴブリンと言えど人型だ。それにゲームプレイ時は野良でゴブリンが出て来たから、今回も普通に倒したが、手に残る感触というのは慣れない。まぁ魔物と割り切るか。人型とはいえゴブリンだ。気持ち悪いのは確かだがゲームをしていなかったら間違いなく吐いてるな。


「ゴブリンは食べれないだろ?どうする?」


「ここに放って置いていいのではないかしら」


「ウルフ系のモンスター、ハウンドが死体を食べると思うでありんす。遠巻きに見ているだけで賢いから近づいて来ないでありんすが」


「ならそうするか」


俺はゴブリンの死体をそこに放置し先を急ぐ。ちなみにここら辺の魔物は、リルの偵察部隊がある程度調べているので魔物の名前も分かるという事だ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


先を進むこと1時間半ぐらいは経っただろうか?少し疲れてきた。もうそろそろ幻術の結界がある場所に着いていいと思うが……と考えていたら。


「お前様、すぐそこに幻術の結界がありんすぇ」


「そうなのか?俺には全く見えんな」


「見るのはコツがいるのよ」


「コツ?」


「目に魔力を集めると見えるわよ!【魔力操作】というスキルが必要になるけれど」


目に魔力ねぇー。というかこの世界に来てから魔力すら感じた事がないのだが…。俺に魔力はあるのかね?まぁ考えても仕方ない。


「結界の中に入ってもいいのか?」


「問題ないでありんすぇ」


「ただ奥に行き過ぎるとここではなく、違う場所から出る事になるのであまり奥に行かないようにね」


「分かった」


俺はゆっくり歩いていく。そして


「特になんにもな…いッ!?何だ今のは?」


今、得体の知れない何かが体の中に一瞬だけ走った。奇妙な感覚だ。俺は振り返りセレスとヴィーナの側に戻る。戻る際、また一瞬だが得体の知れない何かが体を走る。


「今、体に何か違和感が…」


「それは恐らくですが、ルーク様が幻術の結界に抵抗レジストしたからだと思うわ」


「普通は何かを感じる事なんてありえないでありんすぇ」


そうか。俺は【女神の口付け】という【状態異常完全無効】の指輪を装備している。体に走った違和感は幻術に抵抗レジストした感覚なのか。


「だがどうする?このまま進むか?」


側近と守護王達は皆【状態異常完全無効】というチートスキルを持っている。最高位まで進化すると自動的に取得するらしい。


「このまま進んでもいいのでありんすが、この幻術の結界を破りんしょう」


「何故そこまでするんだ?」


「ルーク様、結界は効かないとして、この先に集落があるとします。どうやって集落を探すのつもりなの?いちいち探すのも面倒くさいですし、精霊は何故か教えてくれないの。ですから破って相手に来てもらうのです。人に見つかりたくないから幻術の結界を張っているのですから、壊したら集落に近付かせない為に出て来るしかないと思うのだけど…どうかしら?」


ニコニコしながらセレスは説明している。どうかしら?って俺に聞かれてもな。だがなるほど。確かにトワイライト王国ぐらい広い結界だ。虱潰しで探すのは骨が折れる。だから敢えて結界を壊して相手に出てこさせるという事か。


そんな事も思いつかない俺は本当に配下達に助けられている。もっと俺自身も成長しないとな。


「なるほどな。こんな考え思い付かない俺もまだまだだな」


「いいえルーク様。ルーク様は至っては普通だと思うわよ?いきなり結界を壊すなんて敵ですと言ってるようなものですし」


「ならなんで壊すんだ?」


「それはこの結界を張っている住人に心当たりがあるからよ!」


セレスはニコニコしながら言う。心当たり?セレスはこの世界に友達なんかいたのか?いやありえない。では何だ?考えても仕方ないと思い結界を壊す作戦を了承する事にした。


「そうか。よくわからんが大丈夫なんだな?」


「えぇ!恐らく!」


心配だなぁーと俺は思う。


「じゃあ結界を壊してくれ。というか簡単に壊せるのか?」


「普通の人間なら難しいかもしれないでありんす。けどわっちは守護王の中では一番幻術が得意でありんす。この程度の幻術の結界、わっちから見れば児戯と一緒でありんすぇ」


普通の人間なら難しいけどヴィーナから見たら子供の悪戯と変わらないらしい。そしてヴィーナは、俺が見たらあるかも分からない結界に近付き手をかざすと突然パリンッ……と硝子が割れるような音が響いた。


「結界の一部に穴を開けたでありんすぇ。ここから入りんす」


なんと言ったらいいのだろうか…結界が張られてる所は俺には見えなく、特に変わった所は無いのだが、結界の一部を開けた所は明らかにその一部だけが周りの風景に同化してない。そこだけ不自然なのだ。


「すごいな」


「ではいきましょう!」


俺は結界の一部が開いたところから入り奥に進んでいく。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


そこは、森の一部だというのに、そこだけが木が生えてなく、まるで人の手が加わった様な円の形をした広場とでも言えばいいのだろうか。


その広場には花があちこちに咲いており、その周りには人にしたら小さい家がいくつかある。その中の1つの家だが、やはり人にしては小さいが、周りの家よりも一際大きい家がある。


その家の中には身長100cmぐらいでサラサラとした緑の髪を持ち、これまた美しい黄緑のワンピースを着ている少女が、少し豪華な木の椅子に座っている。

華奢な少女なのだが何処か威厳すら感じられる。


そしてその少女の一番の特徴が背中に生えた青い蝶々の羽が生えている。


その少女の周りには3人の小人みたいな何かが居て、3人とも蝶々の羽を持っている。その小人は少女の顔の辺りを忙しなく飛んでいる。そう彼女らは妖精族。


「リリ、ルル、ララ少しは落ち着きなさい?」


「だってだってー!また結界の外で人間を見たよー?」


「見たよー?」


「たよー?」


「わかっています。ですが人間にはこの幻術の結界を解くのは無理です」


「でも昔も同じこと言って破られたんだよー?」


「だよー?」


「だよー?」


「あれは……たまたまです!事故です!」


「破られたからここまで逃げてきたのに、次破られたらもう逃げるとこないんだよー?」


「そんときはどうするのー?」


「捕まっちゃうのー?」


「そんなことはさせません!私の命に替えても貴方達は逃します!」


「女王様が居なくなったら私達生きていけないよー」


「そうだよー」


「駄目だよー」


この椅子に座る少女は妖精の女王様らしい。どうやら人間に追われてここまで逃げてきたのだ。


「ねー女王様、今精霊達から聞いたんだけど結界の外に変な3人組が彷徨ってるらしいよー」


「誰だろうね?」


「危険な人かな?」


「どうせ何時もの冒険者達ではないんですか?」


「そうかもしれないけどエルフもいるよー?」


「エルフは友達ー」


「見に行かないの?」


「エルフの冒険者もいるのです。放っておきなさい。エルフでもこの幻術の結界は簡単には解けないはずです」


と軽く流していると突然パリンッ…。硝子の割れた音がこの広場、というよりも集落に響き渡った。


「えっ……?今のなに?」


「女王様大変だよー!結界の一部が壊されたよー!」


「ッ!?貴方達はここに居なさい!私が言って追い払ってきます!」


「でもっ…!」


「駄目だよ…!」


「言う事聞きなさい!貴方達は隠れて何があっても外に出ないこと!これを他の皆にも言いに行きなさい!もし私が帰ってこないなら貴方達が他のみんなを連れて逃げなさい!わかった!?」


「うん…」


「絶対に帰ってきてね」


「待ってるね」


「分かっているわ。貴方達を置いてなんて行かないわ。さぁ行きなさい。時間が無いわ!」


そして3人の妖精は飛んでいく。妖精の女王の顔には一筋の汗が垂れる。ここに居ても感じられる。圧倒的な存在感を持つ者が近付いている。


あの子達にはああ言ったけど、帰れそうにないわね…。

せめてあの子達が逃げる時間を稼がないと。


そして妖精の女王は圧倒的存在感を持つ()()の場所へ全速力で向かう。


見つけたっ!……ッ!?…なんて()()()なの。こんな色見た事がない…。あの者達の魔力の総量を全く量る事が出来ない。分かっていたけどこれは私の手に負えないわ。覚悟を決めないとね。


「貴方達!結界を破ってここまで何をしに来たのですか?返答次第ではタダじゃおきませんよ!」


勝てないと分かっているがここで怯えてしまっては敵に舐められる。今は少しでもあの子達が逃げる為の時間を稼ぐ。そう思いながら相手の返答を待つ。


だがその答えは妖精女王が思ってもいなかった返答だった。


「実は旅人で迷ってしまいまして」


「……へ?」


思いもよらない返答に妖精女王は変な声を出し呆気にとられるのだった。


読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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