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メイド達の観光1


side:リシア


「では6人ずつ別れてください。今日あなた達はメイドではなく、この国に招かれたお客様という事で、私達がこの国を案内いたします」


ルビー様が言う。メイドなのにメイドのお世話になるなんて不思議な感覚です。私達は6人ずつに別れる。私はルビー様に案内される事になります。


「ではまず、私達は南西エリアから案内いたします」


「私達は南東エリアから行きますわ」


「ではまた、後程」


シーナ様達は先に出発する。どうでもいいですが、シーナ様は語尾の後に「わ」を付けています。どこかの国のお嬢様みたいな喋り方です!


「では、私達も行きましょう。このトワイライト王国については歩きながら説明いたします」


「分かりました」


バルコニーから城の1階に行き、城から外に出る。半信半疑だったのですが、本当にここは城だったのだなと改めて思います。


「まずこの城ですが、トワイライト城と言います。この城はトワイライト王国の中心に建てられています。トワイライト王国は王都ファルシオンみたいに、国民が多くいるわけではないので、そこまで大きい国ではありません」


ルビー様はそう言いますが、正直魔物の国でここまで大きいなんて異常ですし、王都よりも清潔ではないかと思ってしまいます。特に王都の人気が無い路地は臭いです。家を持っていないスラムの人間や酔っぱらった人間が路地でしてしまうので、糞尿の匂いが凄いです。


ですが、王都はまだましな方です。他の街や村はもっと酷いとか。そんな事を考えていると、他のメイド達がざわざわしています。何かあったのでしょうか?すると1人のメイドが口を開く。


「あのー…。この鉄の棒?みたいな物はなんでしょうか?」


「ほんとだ。何でしょうか?これ硬いですね」


他のメイド達が騒いでいる。確かに何でしょう?黒くて細長いです。それに触っている者もいます。何か分からないのに触るとか危ないと思うですが…。


「あぁ、それは街灯ですよ。」


ルビー様が答えてくれますが、がいとうとは何でしょうか?


「がいとう?」


「暗くなると辺りを照らしてくれるんです。この国は夜でも明るいですよ。ちなみにこの街灯の光は魔法ですので、大きいですが、魔道具という事になります」


「こ、こんな大きい魔道具…普通の魔道具でも高いのに、これだといくらに…」


思わずそう口にしてしまう私。しかもこのがいとう?はあちこちに置いてあるのです!王都ではこんな魔道具ありません!もしかしたら魔導大国エクセリオンにもないかもしれません!


「では南西エリアに向かいましょう」


ですが、ルビー様はそのがいとう?があるのが当たり前と言わんばかりか、次に向かおうと急かして来ます。まぁ確かに気になりますが、回るところがいっぱいあるのでしょう。城を出てすぐに足を止めては、観光が終わるのはいつの事になるのか分かりませんからね。そう思って私達は南西エリアに向かう。向かっている最中に1人のメイドが叫び声をあげる。


「きゃー!!ゴブリンがいるわー!」


ゴブリンに指を指して叫んでいる。他のメイド達も驚いているが、声は出していない。


「落ち着いてください。あのゴブリンはトワイライト王国の国民です。害はありません」


「で、ですが…」


「仕方ありませんね…。そこのゴブリン!こちらに来ていただけませんか?」


ルビー様が声を掛けると、そのゴブリンは辺りを見渡して、自分以外にゴブリンがいない事を確認してこちらに向き、人差し指で「自分?」みたいに顔をして、頭を傾けている。ルビー様が「あなたです」と言うと、そのゴブリンはこちらに歩いてきます。正直、私も怖いです!ゴブリンといえば人間を見境なく襲い、女は苗床にされると聞いたことがあります!


もし襲われたらと考えると悲鳴を叫びたくなります。他のメイド達も叫んではいませんが、体が震えています。私も震えていますが…。


「なんか呼んだっすか?…ってルビー様じゃないっすか!どうしたんすか?」


「きゃー!!ゴブリンが喋りましたー!」


「このトワイライト王国の国民だから当然っす!いきなりなんすか!失礼っすよ!」


ゴブリンが喋りました!普通ではありえませんよ!しかもゴブリンに失礼だと言われてしまいました!


「ルーク様が言っていたでしょう?この国に住んでいる魔物は意思疎通が出来ると」


「た、確かにそんな事を言ってたような…」


「で、ルビー様。これは何なんすか?」


「申し訳ありません。この子達はルーク様に新しく雇われるかもしれないメイド達ですが、この王国の外から来た者達です。つまり人間ですね」


「あー…そういう事っすか。それにしても驚きすぎやしないっすか?」


それは驚きますよ!ゴブリンと言えば女性が嫌いな魔物ランキングの2大巨頭ですよ(メイドキッサのメイド達全員に聞いたところの結果)!もう1体はオークです!私の思ってる事を代弁したかの様に他のメイドが口を開く。


「そ、それはそうですよ!ゴブリンは人間を襲うのです!男は殺し、女は連れ去り、ゴブリンの苗床にされるのです!」


「へぇー、そんなゴブリンもいるんすね」


「そうなのです!ゴブリンはみんな怖いのです!だから親からはゴブリンを見たら逃げなさいと教えられているんです!」


「そうなんすか。ところでいいっすか?」


「なんですか!」


「熱く語っているところ申し訳ないっすが、…俺ゴブリンすよ?」


「……きゃーー!」


…確かに今のは失礼ですね。


「…何なんすかこのメイド?本当にルーク様の下で働けるんすか?心配になってきたっすよ」


「……こ、こわいですぅ」


「いやそれは俺のセリフっす。さっきまでゴブリンの俺に熱く語っていたじゃないっすか。それに、この国のゴブリンをそんな野蛮なゴブリンと一緒にしないでほしいっす!この国の外、迷いの森にもゴブリンはいるから知ってるっすけど、あんな腰巻き1枚の裸族と一緒にしないでほしいっす!見てくれっす!俺は…いや、俺達はちゃんと服をきているっす!」


そうなんです!このゴブリンは驚く事に服を着ているのです!悔しい事にオシャレです!


「それに俺達ゴブリンはスサノオ様の部下っす!スサノオ様の顔に泥を塗る事なんて出来ないっす!」


「スサノオ様?」


私は思わず聞き返してしまいました。このゴブリンさんがスサノオ様の部下って言っているという事は、このゴブリンさんの上に立つ者になるのでしょう。それになんだか、重要人物の様なお方なのでは…?


「そうっす!ルーク様を守る10人の守護王様。その第1守護王を司る、俺達ゴブリンやオーガを率いるお方っす!もしルーク様の下で働くなら、それぐらい知ってた方がいいっすよ」


「なるほど!勉強になります!」


「…お、襲わないですか?」


「襲うわけないっす!そんな事したら衛兵が出てくるっす!ルーシー様の部下は怖いっすからね…」


また新しい、重要人物っぽそうな名前が出てきました!10人の守護王様と言っている事から、守護王様はスサノオ様の他に9人いるという事です。つまり


「ルーシー様?その方も守護王様ですか?」


「そうです。ルーシー様は第9守護王を司る、天使と堕天使を率いるお方です」


ルビー様が普通に答えてくれますが、とんでもない言葉が出てきたので、それどころではありません!


「こ、この国には天使や堕天使がいるのですか!?お伽話でしか聞いたことがありません!」


私もビックリです!私も天使や堕天使はお伽話でしか聞いたことがありません!噂ですけど、今もどこかで天使達が暮らしている楽園があると聞いた事がありますが、信じている者はいません。言わば伝説の種族らしいのですが…


「まぁこの国を歩いていれば逢う事もあるでしょう」


「この国では天使や堕天使は珍しくないっす。という事で俺はもういくっす。また何処かであったら声かけてほしいっす!」


ゴブリンは去っていく。本当に意思疎通が出来ていましたね。あんな感じで来られると少しですが、ゴブリンが怖いという意識が薄れますね。叫んでいたメイドも、未だに信じられないという目で去っていくゴブリンを見ている。私なんてゴブリンではなく、同じ人として喋ってる感覚でした。


「これで分かりましたか?この国のゴブリンは大丈夫だという事を」


「す、少しは慣れた…かもしれません」


「でも本当に襲ってこないなんてビックリしましたね!」


「もちろん、この国の外にいるゴブリンは容赦なく襲ってくるので、安心するのはこの国だけにしてくださいね」


「「「は、はいっ!」」」


私含めメイド達はそろって返事をする。


「では、少し時間を使いましたが、南西エリアに向かいましょう」


私達は南西エリアに今度こそ向かう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


南西エリアまで歩いて思ったのですが、本当に色んな種族がいるなと思いました。確かにゴブリンなどもいますが、もはや人ではない、悪魔みたいな者もいました。話を聞くと人化がまだ出来ない悪魔(デーモン)の種族らしいです。


ですが、ちゃんと喋る事が出来るみたいです。何でも最近、人化してない下級の魔物でも、喋る事が出来る魔道具を作ったらしいとか。それのおかげで人化しないと喋れない種族も、人化しなくても喋れる様になったとか。


仕組みは分かりませんが、思った事を念話で相手に伝えるという魔道具らしくて、悪魔さんはみんな首にネックレスみたいなのを付けている。そのネックレスが人化しなくても喋れる魔道具で、さっき悪魔さんともお話ししました。やはり襲うとか全く考えていなかったです!そんな事を考えていると


「ここから南西エリアになります。南西エリアは主に鍛冶や、研究等が行われているエリアです。まぁ簡単にいえば物作りや研究等が盛んに行われているエリアになりますね」


「あっ!ドワーフがいます!」


「本当ですね!鍛冶屋などがあるからなのでしょうか?ドワーフが多いですね!」


確か魔物の国と言ってましたが、人間の種族もいるのですね!そういえばエルフもいるとか聞きましたが、まだ会っていませんね。


「あの街灯もこのエリアで作られたんですよ」


「あの凄い魔道具もここで作られていたのですか!」


「えぇ、そうです」


ルビー様は歩きながら説明してくれる。どうやら、あの魔道具は第4守護王を司るトール様と、第8守護王を司るレイア様が作った物との事だ。この南西エリアは主にトール様とレイア様、それに第6守護王様のタナトス様が管理しているエリアという事だ。


タナトス様は魔物の研究をしているらしく、魔物を捕まえてきては実験を繰り返しているのだとか。最近は魔物の弱点などを紙に記録して本にしているとか。魔物を捕まえて実験するなんてすこし怖いです。


「トール様、レイア様、タナトス様も魔物なのですか?」


「はい。トール様は土人族(ドワーフ)、レイア様は悪魔(デーモン)。タナトス様は骸骨(スケルトン)ですね」


「なるほど…」


ドワーフは魔物ではないと思いますが、気にしないでおきましょう。


「次は南東エリアに行きましょう」


「「「「はいっ!」」」


私達は次に南東エリアに向かう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ここから南東エリアになります。南東エリアは国民達の住居が建ち並んでいるエリアです。他のエリアも住居はありますが、この南東エリアが一番民達の住居が多いエリアになっています。説明する事はあまりないのですが」


説明しながら歩くルビー様。すると、突然ルビー様の足が止まり上を向く。一体どうしたのでしょうか?


「ルビー様、どうかされましたか?」


「上をご覧ください」


ルビー様が言うので上を向くと、そこには家の上で寛いでいる、白い羽を生やした女性と、黒い羽を生やした男性が寛いでいるのです!


「ル、ルビー様あれって…!」


「はい。あれが天使と堕天使ですね」


「ほ、本当にいたんですね!」


「私感激です!」


私も天使と堕天使は初めて見ました!それも天使と堕天使が仲良く寛いでいる姿を!私達が天使達の寛いでいる姿を見て、下ではしゃいでいると、天使達が私達に気付いて舞い降りてくる。美しいです!


「これはルビー様!こんにちは!」


「こんにちは!珍しいですね。こんな場所に」


「こんにちは。今日は新しくルーク様の下で働くかもしれないメイド達に、このトワイライト王国を案内しているのです」


「そうだったんですか!トワイライト王国は楽しんでいる?」


「はい!魔物の国と聞いて少し怖かったですが、楽しめています!」


「ここの民はみんな意思疎通が出来るから安心していいよ!それに悪さをする者はこの国にはいないから大丈夫!」


悪さをする者はいないから安心しろと堕天使の男が言っていますが、凄く違和感です。天使が悪に染まったら、堕天使に堕ちると聞いた事がありますが、この2人の天使と堕天使を見ていると迷信ではないかと思ってしまいます!あとは、天使と堕天使は相容れぬ存在だとか聞いた事がありますが、この国ではそんな事はないようです!


「さっきのゴブリンさんも優しかったです!」


「私含めてみんな仲間だからね!この国での大きな揉め事は殆どないよ。せいぜい酒を飲んで喧嘩するぐらいだよ」


「そうなんですね!本当に治安が良いのですね!」


「民のみんなはルーク様やイーリス様、それに守護王様達に迷惑を掛けたくないからね。じゃあ、そろそろ僕達も行くよ。観光の邪魔しちゃ悪いからね!」


天使と堕天使は羽を大きく広げ飛んでいく。イーリス様?その方も守護王様の方でしょうか?あとでルビー様に聞いてみましょう。


この国には希少な妖精族もいたのに、天使達までいるなんて尚更、情報を外に漏らすわけにはいきませんね。それぐらい他のメイド達も気付いている事でしょう。


「では私達も次に行きましょう。次は北西エリアです」


私達は次のエリアに歩いて行く。次はどんなエリアなのでしょうか?私はワクワクするのであった。



読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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