リシアの思い
side:リシア
私はリシア。メイドキッサに所属しているメイドです。最近まではメイド見習いとして頑張っていたのですが、ようやく一通りの仕事が出来るようになり、マナリア様からも、主様に仕えても大丈夫と許可が下り、晴れてメイドとして1人前になりました!
メイドは主様に仕える事で、初めて1人前になるのです。まぁ、まだ私は誰にも仕えた事がないのですが、後は仕えるだけですからね!1人前と言ってもいいのではないでしょうか?
メイドキッサには私みたいな、最近見習いになった者から、ベテランメイドまでがいます。ベテランのメイドは主様に恵まれなかったのか、1年ぐらい働いて、このメイドキッサに戻ってきたというメイドもいます。
確か、ミルフィーナさんもベテランメイドでしたね。ただミルフィーナさんの場合、仕事はできるのですが、プライドが高い為、雇われた主様に契約解除されたとか。
まぁそれはいいとして、今日私は新しいご主人様に雇われる事になりました!貴族様は誰を選んだら良いのか分からないので、貴族様方に仕えるメイドを選ぶのは、ほとんどがマナリア様が選ぶのです。ですが、今回はご主人様側が選ぶみたいです。
最近まで見習いだったメイド達はマナリア様に選ばれる事はあまりないですが、選ぶ側がご主人様側だったので、私にもチャンスがあるのではないかと期待しました。最近まで見習いだった私を、ご主人様側が選んでくれる可能性はかなり低いかもしれませんが、ですが少しでもチャンスがあるなら全力でやるだけです!
今回来る主様は、Bランク冒険者様だった為、ほとんどのメイド達が難色を示していました。私も今回の主様は貴族様ではないと驚きましたが、結局雇われるのであれば、貴族様も冒険者様も同じだと私は思うんですよね。貴族様に金貨1枚で雇われるのと、冒険者様に金貨1枚で雇われるのはどう違うのでしょうか?結局やる仕事は同じだと思うのですよ。まぁ、私は早く1人前になりたいので、冒険者様でも全然良いのですが。どんなご主人様であろうと、私は全力で仕えるだけです!
メイドの選び方はご主人様の執事、ドラグニル様とメイド長のルビー様、シーナ様が質問などをするのですが、人数が多いからなのでしょうか?ドラグニル様達が1人1つずつ質問して答えるだけで審査?は終えました。
私はもっとご主人様に全力で仕える事をアピールしたかったのですが、緊張して噛んでばかりでした。正直、もう終わったと思いました。ですが、結果は雇われました!なぜ雇われたかは分かりませんが、雇われた以上全力で仕えるだけです!
私のご主人様になるお方はルーク様という方です。貴族様みたいに偉そうにせず、優しそうな印象です。この後、ご主人様のお屋敷にみんなで行くのですが、お屋敷に着いてビックリする事が多かったです。
まず最初にビックリしたのが、ご主人様のお屋敷です。お屋敷に着くと、そこは王都で一番高い値段で売られている屋敷だったのです!私は屋敷には詳しくありませんが、さすがにこれぐらいは知っています。というよりも、メイドキッサの中では有名な話ですからね。
メイド達の中では王都で一番高いお屋敷で働きたいと思っているメイド達はかなり多かったです。私はどの屋敷でもよかったのですが、まさか私がこの屋敷で働く事になるなんて…。と驚きました。
次に驚いた事が、庭でご主人様に言われた言葉です。私達は雇われたかと思っていましたが、まだご主人様の中では正式に雇ったとは思っていなかった事です。ご主人様が行う最終試験を合格すると、正式にご主人様のメイドとして雇うと言われました。
最終試験は契約魔法を受け入れること。契約魔法と聞けば良いイメージがありません。契約魔法で悪事を働かせる者もいますし、そもそもメイドを雇うだけで、普通は契約魔法なんて使いませんからね。なので他のメイド達もそこまでいい顔はしていませんでした。
ご主人様はいかがわしい事に使ったり、ご主人様のいいなりなどにしないと言ってますし、ドラグ様もご主人様はそのような事をするお方でないと言っています。
メイドは命令に忠実ですが、もちろん命令を断る事もできます。例えばさっき言ったように、いかがわしい事を要求された時に断る事が出来ます。
ただ、私はご主人様がいかがわしい事などをする為に契約魔法を使うとは到底思えません。それにドラグ様も嘘をついている様には思わないのです。直感ですが。ですので、私はすぐに契約魔法を受け入れますとご主人様に言いました。
すると他のメイド達も私に続いて契約魔法を受け入れると言ってくれたんですよね!私の為ではないかもしれませんが正直、私だけならと考えて少し怖かったんですよ。
ですので、他のメイド達も契約魔法を受け入れると言ってくれた時は嬉しかったです!
メイドの中で、2人だけ迷っているメイド達がいました。迷うのは当然の事です。契約魔法の内容も言えないと言ってましたので、迷うのが普通の反応ですよね。
ですが、せっかくみんなで、ここまで残ったのですから、このメンバーで一緒に働きたいと思ったので、何かあれば私が守ってあげると説得しました。
正直、私には守ってあげられる力はありませんが、このメイド達が逃げる時間だけは稼ぐつもりです!
説得した甲斐があったのか、このメイド達も契約魔法を受け入れると納得してくれました。契約内容を言えないという事は、それだけ他人には知られたくない何かがあるのではないでしょうか?そんな事をいくら考えても答えは出ませんね。でしたら、ご主人様から言ってくれるのを待つだけです。
メイド達全員が契約魔法を受け入れると覚悟を決め、ご主人様もそれを了承し、「ついてきてくれ」と言われ、ご主人様についていくと、なぜか地下に入っていきます。
ご主人様曰く、ここは罪人を捕らえて閉じ込めて置く場所らしいです。なぜこの場所に来るのでしょうか?正直、罪人を閉じ込めて置く場所と言われれば私も含めメイド達は良い顔はしませんし、身構えてしまいます。むしろ震えているメイドもいました。ご主人様が、「用があるのはこの先」と言います。すると2つのドアがあり、その内の1つのドアに入れと言われます。
そこは拷問部屋らしく、他のメイド達も拷問されるのではないかと不安になっています。私も、私が守ってあげるとは言いましたが、内心かなり怖いです。ですが、私にできる事は大丈夫と言って、側にいてあげる事しか出来ません。
ご主人様に「とりあえず中に入れ」と言われ中に入ると、そこには見た事もない門?らしき物があります。これには私も、他のメイド達もかなり驚きました。しかも、門の向こうには部屋?らしき場所が映っています。ご主人様はこの門を私達に見せたかったらしいです!
この門は転移門というらしく、遠い場所を一瞬で移動出来る門みたいですが、私には話が飛躍しすぎて理解できませんでした。
そしてご主人様に「中に入ってみるか」といわれ、やはりメイド達は不安になっていますが、ご主人様が一緒に手を繋いでくれるというので、メイド達も中に入る事ができました。
中に入ると、本当に門の向こうに映っていた場所に出る事が出来たのですが、そこは1つの部屋になっていて、部屋にしては大きい部屋です。
周りには今くぐった転移門の他に、違う転移門もあるのです!色々見たかったのですが、ご主人様が見せたいものがあると言っていたので、ついていくとバルコニーらしき場所に連れてこられました。
そこから見える景色を見てすぐに判りました。ここは王都ではないと!そしてご主人様が言いました。「ここはトワイライト王国。俺の国だ」と。本当に目が飛び出るかと思いましたし、他のメイド達も驚いてましたよ!つまりご主人様はこのトワイライト王国の王なのです!
そりゃ驚きますとも!Bランク冒険者様が一国の王なのですからね!しかし、トワイライト王国は聞いたことがない国です。どんな国なのでしょうか?
そんな事を考えながらバルコニーからトワイライト王国を眺めている。今はここです。バルコニーから、このトワイライト王国を眺めていると何かが飛んでいるのが分かります。その何かはこっちに近づいて来るのです。鳥…?違いますね…。あれは…
「ルーク様!ここで何をしているのー?」
「今日から一緒に働く事になったメイド達を案内しているところだ」
「そうなんだー!メイド達よろしくねー!」
「よろしくねー!」
「よろしくー!じゃあ私達もう行くね!バイバイ!」
彼女達は嵐の様に去っていく。その間、メイド達は誰1人言葉を発する事はなかった…。というよりも、驚きすぎて口を開けたまま固まってしまった。というべきですね。そして徐々に思考が回復し、私が口を開く。
「……ご主人様!い、いまのは妖精族ですか!?」
「ん?あぁ、そうだぞ。言い忘れていたが、このトワイライト王国は魔物の国だ」
「…え?大丈夫なのですか!?」
「ま、魔物…。こ、怖いです…」
「安心しろ。この国に住んでいる魔物は全て意思疎通は出来る。王都より治安がいいぞ?」
ご主人様が言ってますが、本当なのでしょうか?また他のメイド達が不安な顔になっています。とんでもないご主人様に雇われたものです!ですが、少しワクワクしている自分がいます!まだ見た事も無い国!こんな国があれば、話の1つや2つは噂で流れてきますが、そんな事は一切無かったのです!つまり、この国を知っている人間は極僅かという事です。
そんな極わずかな人間達に私達が入っている!それにここからでも見えるのですが、見た事も無い物が街に置かれたりしています!気になります!そんな事を考えながらトワイライト王国を眺めていると、ご主人様が口を開く。
「そうだな…。採用するかは明日に決める。今日はこのトワイライト王国を観光してくるがいい。お前達は12人いるんだっけか。6人ずつに別れろ。ルビーとシーナがそれぞれ率いて、このトワイライト王国を案内してやれ。この城にいるメイドも何人か連れていくと良い。ドラグ、ルビー、シーナ、後は任せたぞ」
「畏まりました」
「「畏まりました」」
そう言ってご主人様は城に戻っていく。確かに今の光景を見ると、冒険者様より貴族様に見える。王としては少し威厳がないですが、それがご主人様の良いとこなのでしょう。すると今度はドラグ様が口を開く。
「あなた達は契約魔法を受け入れるという事ですが、もう察しのついた者もいるかもしれません。契約魔法の内容は転移門及び、このトワイライト王国の情報を、トワイライト王国外では話さない事。これが契約魔法の内容になります」
なるほど。確かにこの情報は外では話せませんね。この国には妖精族がいます。妖精は錬金術師の素材になり、今でも妖精を狩る者がいるとか。
最近でもカトラスの街で妖精の事件がありました。その希少な妖精が、この国にいるのですから、契約魔法が必要なわけですね。もしトワイライト王国の存在が外に漏れてしまえば、必ず邪な者がこのトワイライト王国にやって来るでしょう。希少なので、妖精を殺すと死刑になるというぐらいですからね。それほど妖精は貴重という事です。
それに転移門も恐らく希少な物だと思います。あんな便利な物があれば、いろんな国に繋げばいいはずですが、そういう物はありませんからね。
「トワイライト王国や転移門の事を知ったから、もう後戻りはできません…と、いう事ではなく、荷が重いなら辞めてもらっても大丈夫です。ただし、その時は契約魔法を掛けてから辞めてもらう事になります。明日また、ご主人様が改めてメイドになるか問われると思います。その時、メイドを続けるか、辞めるかを決めてください。続けるのであれば、ご主人様は正式にあなた達を雇う事になるでしょう」
この事実を知った上で辞めるとなれば、契約魔法を掛けなくてならないのは理解できますね。まぁ、私はもう答えは出ています。他のメイド達はどうなんでしょうか?できればみんな一緒に働きたいですが…。
「回りくどくて申し訳ございません。今日のところは、このトワイライト王国を楽しんでもらえれば幸いです」
ドラグ様が手を叩くと、この城のメイド達が4人出てきて自己紹介をする。このメイド達はドラグ様達の下で働いている者だと思いますが、流石です。少なくとも私よりも完璧な立ち振る舞いです。
「ではルビー、シーナ、後は頼みましたよ」
「「畏まりました。ドラグ様」」
ドラグ様も城に戻っていく。いまからトワイライト王国を観光します!どんな物があるのでしょうか?魔物の国なので少し怖いですが、少し楽しみでもあります。
メイド達はトワイライト王国を観光するのであった。
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