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メイドキッサの仕組み


俺はドラグ、ルビー、シーナを連れて屋敷に戻ってくる。ふーむ。ドラグは執事の格好をしているし、ルビーとシーナもメイドなので、傍から見れば貴族に見えているのだろうか?


いやまぁ、確かにトワイライト王国では貴族というより王家になるのだが、この王都では平民というより、冒険者の振りをしている。貴族と間違えられると色々面倒になりそうだが、メイドを雇うならルビー達にも来てほしいからこればっかりは仕方ないか。


俺は屋敷で待っていた守護王達に声を掛ける。


「待たせたな、お前達」


「お帰りご主人様!」


「お帰りなさい。あら?ルビーとシーナもいるのね」


「どうしてルビーお姉ちゃんとシーナお姉ちゃんがいるのです?」


プリンはルビーやシーナにもお姉ちゃんと呼んでいるのか。立場的にはプリンの方が上なのだが、プリンの性格上、呼び捨てはしないと思っていたが、なるほど。これはメイド達も骨抜きにされているだろう。何よりメイド達の中でもプリンは人気と聞いた事がある。メイド達も母性本能を擽られているのだろうか?まぁそれはいいとして


「俺が連れてきたんだよ。メイドを雇おうかなと思っているんだが、ルビーとシーナに手伝ってもらおうかなって」


「なるほどなぁー。だからルビーとシーナがおるんやな」


「メイドの事は本職であるこの子達に聞くのが一番ですものねぇ」


「そうなのですね!よろしくなのです!」


「「リル様、セレス様、プリン様、少しの間ですが、よろしくお願いいたします(わ)」」


毎回思うのだがルビーとシーナは口を揃えて同じ言葉を言うことが多い。まるでそのセリフを前もって準備していたかのように、息をぴったり合わせてハモる。しかも会話の間を一呼吸置いて話しているわけではない。なので念話で言葉を合わしている暇なんてないはずだ。まぁシーナの語尾は「〜わ」とついているが。


恐らく長年、メイド長をやってきた者同士、通じるところがあるのだろう。お互いを知り尽くしているとも言えるか。まぁゲーム時代では、性格は違えど、完璧なメイドとして設定されていたはず。何が言いたいかというと、完璧なメイドだと、改めてその凄さを実感したという事だ。それはさておき、メイドキッサに行かなければ。…っと行く前に


「まずはこの屋敷に転移門を繋げないと駄目なのだが、何処にするか…。1つ部屋を空けるか?」


「ご主人様、転移門は地下に繋げては如何でしょうか?」


別に守護王達に聞いたのではないが、ドラグが提案してくれる。こうやって意見を述べてくれるのは有難い。それにしても地下か…。確かに使わないかもな…。だが


「地下か…。別に良いのだが、地下からこの屋敷の部屋まで行くの面倒くさくないか?」


「私は大丈夫よぉ?」


「ボクもなのです!」


「ウチもや!それに物置小屋よりはめっちゃ楽やと思うけどな」


「うーむ、確かにそれもそうだな。じゃあ転移門は地下に作るか」


俺達は地下に向かう。地下は1本道となっており、鉄格子で作られた牢屋が左右に4カ所ずつ、計8カ所あり、拷問をする部屋が2カ所ある。通路の先、行き止まりの奥に2つの扉があるのだが、その扉が拷問部屋になっている。明かりは牢屋と牢屋の間、壁の上に掛けられている篝火だけで、どこか物々しい雰囲気を醸し出している。その1本道を俺は特になんとも思わず歩いている。


「拷問部屋は2部屋あるから、その内の1部屋を転移門の部屋にするか」


「それは良い考えかと」


「そもそも拷問部屋を使う機会があるのかしら?」


「それを言うたら、この牢屋もいらんのちゃう?」


「重要人を捕らえたとしても、トワイライト王国に連れて行けばよいだけですからね」


「それもそうか」


俺は納得する。プリンは、話は理解できているだろうが、こういう話には基本入ってこない。ルビーとシーナは俺の許可なく話す事はあまりないので黙っている。俺から話しかけたら喋るのだが。


俺はそんな事を考えながら、転移門を拷問部屋に設置する。ちなみに対となる転移門は、この屋敷に戻ってくる前に転移門部屋に、既に設置している。


「起動して…よし。さて、転移門も設置出来たことだし、メイドを雇いに行くか」


俺は守護王達とルビーとシーナをつれてメイドキッサに向かう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ミルハイムさんから貰った簡易的な地図によるとこの辺りだ。メイドキッサは貴族通りから西側に、2つ隣の通りにあるらしく、俺の屋敷から15分ぐらいで着く所にある。王都はトワイライト王国より2倍は広い。なので同じ貴族街といえど、15分も掛かってしまう。


「おっ、ここだな」


流石は貴族街だ。このメイドキッサという建物も屋敷だ。俺の屋敷よりかは当然小さいが、それでも屋敷としては大きい方だろう。俺達はメイドキッサに入店する。


「ようこそ!いらっしゃいませ!」


「あっどうも。食事をしに来ました」


「…お客様、ここは食事をする所ではなく、メイドを雇う所です。店を間違えているのではないですか?」


違うんだ!ミルハイムさんから聞かされていたので知ってはいたのだが、聞かずにはいられなかった…。もしかしたらメイド喫茶かもしれないだろう!前の世界では一度は行ってみたいと思っていたが、結局一緒に行ってくれる人はいなかったし、1人で行ける勇気もなかった。


それでもいつか一緒に行ってくれる人が出来たらと期待していたが、一緒に行ってくれる友は出来なかった。だが、出来なくてもいつかは勇気を出して、1人で行こうと後回しにしていたのだが、いつの間にか死んでいたし…。こうなる事になれば行っていたのだが…人生とは分からないものだ。としみじみ考えていたら


「ご主人様」


「あ、あぁ。…いや悪い。メイドを雇いに来たんだ」


「そうでしたか!私はこの店のオーナー兼メイド指導役のマナリア・ルフランという者です。以後お見知りおきください」


そう自己紹介をしてきたのは、気品溢れる女性マナリアさんだ。歳は50ぐらいだろうが、それを感じさせない流れるようなお辞儀だ。俺には完璧に見えたのだが、俺は執事やメイドに関しては素人だから完璧に見えるだけかもしれないが。


「初めまして。俺はルークという者だ」


「ルーク様ですね!失礼ですが、そこの殿方、それに後ろの2人の女性は執事にメイドですか?」


マナリアがいっている殿方はドラグで、後ろの女性はルビーとシーナだ。


「あぁ。俺に仕えている執事とメイドだ」


「やはりですか。服などで執事やメイドと判断できますが、この御三方は立ち姿だけでも、非の打ち所がない完璧な執事とメイドだと判ります!私の店…いえ、私がこれまで出会った中で、これ程までに完璧な執事やメイドは見たことがありません!」


「見ただけで判るのか?」


いや確かに完璧なのは知っている。ドラグ達がミスしている所なんて見た事ないし。だがそれは、俺がドラグ達の親だから知っている事だ。このマナリアさんという女は立ち振る舞いだけでドラグ達を完璧だと見抜いたのだ。俺はただ立っているだけでも違いが判らないのだが。この女…できる!…と思う。


「えぇ、私もメイド歴は40年以上ですからね。今では教える側ですが」


「なるほど。それは大ベテランだな!ドラグ、ルビー、シーナ、自己紹介をしてあげな?」


「畏まりました」


「「畏まりました」」


まずはドラグが自己紹介をする。


「わたくしはご主人様に仕える、執事を勤めさせていただいております、ドラグニルと申します。以後お見知りおきください」


「私はルーク様に仕える、メイド長を勤めさせていただいております、ルビーと申します。以後お見知りおきください」


「同じく、私はルーク様に仕える、メイド長を勤めさせていただいております、シーナと申しますわ。ルビーと同様、以後お見知りおきくださいませ」


「こちらこそよろしくお願いしますね。…それにしてもお辞儀も完璧な角度です!やはり非の打ち所がないです!」


挨拶しても尚、マナリアさんは興奮しているなぁ。まぁドラグやルビー、シーナを創る時の設定は、何でも完璧にこなす使用人という設定にしていたはずだから、完璧なのは間違いない!ちなみにエールの設定はドジっ子に設定していた筈だから、ミスばっかしてしまう。ごめんよエール…。だが俺は嫌いじゃないぞ?ドジっ子メイド!


「それはそうとルーク様は貴族でいらっしゃるのですか?」


「いや俺は冒険者だ。Bランク冒険者だがな」


「Bランク冒険者がメイドですか?」


マナリアさんは顔には出していないが、内心驚いているのだろう。メイドを雇う場合は貴族でなければ雇えないなんてルールはないはずだ。だが、まだ信じられないのだろうか、「Bランク冒険者がメイドですか?」と聞き返している。失礼だぞ。まぁ失礼だが、俺がマナリアさんの立場なら同じ事を言ってると思うので、敢えてスルーするが。


「あぁ、大きい屋敷を購入したからな」


「大きい屋敷ですか?」


これも顔には出してないが驚いているだろう。もっと驚かしてやるぜ!


「大した事ないぞ?貴族街の中心にある大きい屋敷だ」


「それってまさか!金貨5000枚で売られている屋敷ですか!?」


「そうだ。俺が買ったからもう売られていないがな。それより、よく知っていたな」


「それは大した事ありますよ!王都で一番高い屋敷ですよ!?」


そうなのか?それは知らなかった。ミルハイムさんは大きさの事しか言ってなかったからなぁ。まぁ貴族に人気だったのだから、有名なのは当たり前か。


「そうか。まぁその屋敷を購入したからメイドを雇おうかなと」


「確かにあの屋敷ならメイドが必要になりますね。分かりました、このメイドキッサの仕組みについてお話しますね」


「お願いします」


ん?俺は試されていたのか?いい気はしないが、まぁ冒険者がメイドを雇うってあり得ないからなぁ。冒険者はメイドを雇うぐらいなら奴隷を雇うはずだ。男は誰だって溜まるものだ。であれば、メイドではなくて奴隷を雇った方が安上がりだし。


「まずメイドを雇うについてですが、メイドは奴隷とは違い、メイドを買うという事はできません。例外はありますが、メイドは契約という形で雇うことが出来ます」


「なるほど」


「メイドは半年に一度、まだ仕えていたいか、それとも主様に仕えるのはもう辞めたいかの選択を私に報告してもらいます。私が半年に一度ルーク様の屋敷に直接聞きに行きます」


「まだ仕えたいか、仕えたくないかは普通主人に言うのじゃないのか?」


「はい。主人様だと脅されたり、話しにくい事もありますので。ちなみに脅して辞めるなと言われても無駄です。このメイドキッサの後ろ盾には王家がついていますので。もちろんメイドに暴力なども王家の衛兵達が動きますのでご注意を」


まぁ王家もここのメイドをここで雇っていて懇意にしているのだろう。じゃなければたかがメイドに、王家が動くなんてありえない。だが王家が懇意にしているなら後ろ盾でもおかしくはない。それにメイドを雇えるのはこのメイドキッサしかない。


だから脅して辞めるなとメイドに言ったところで、メイドがマナリアに言えば意味がない。契約魔法で言わないようにしても、腕の甲には契約の紋章が浮かび上がる。それを見せれば契約魔法で縛られている事なんてすぐ分かる。


なので貴族はメイド1人を脅して、王家に目を付けられるなんて割に合わないと思っているので、そんな馬鹿な真似をする者はほとんどいない。


「先ほどメイドは契約でしか雇えないと言いましたが、例外もあります。メイド側が本当に買われても良いと私に言ってきた場合はメイドを買う事ができます」


「メイドを買った後に、メイドが辞めたいといった場合は?」


「メイドを買った場合そういう事はあまりないと思いますが、確かに万が一の事もあります。メイドを買ったあとに、暴力などを振るって、メイドが辞めたいと言うのであれば買い戻させていただきます。そのメイドが主人様に所有権があってもです。私はメイドを傷つける為に売ったわけではありませんので。なのでメイドを買ったあとは、半年ではなくて1年に一度、様子を見に行く決まりがあります」


当然だな。もし買い戻すのを断ったとしても王家が出張ってくるだろう。王家を敵に回すのはどの貴族も避けたいだろうし。


ちなみに、奴隷を雇って、その奴隷をメイドにするというか事も出来るが、貴族はそのやり方を好まないし、そうやってメイドを育てても、中途半端に育ってしまう事が多い。


何故、貴族はそのやり方を好まないかというと、貴族はプライドや威厳、財力など見栄を張る生き物だ。そんな貴族が奴隷を雇ってメイドを育てるなんて、金が無いから奴隷をメイドにしてると他の貴族から蔑まれる。


メイドキッサみたいな、ちゃんとしたメイド育成学校の者は、奴隷のメイドとは違い、箔が付くのだ。


まぁ日本にいた時、異世界小説をよく読んでいたが、奴隷や行き倒れた者を拾ってメイドにしてる話があったな。大抵の話は、そのメイドは完璧になるのだが、そんな事はありえない。


人は誰だってミスをする。ドラグやルビー、シーナは完璧だが、この3人が異常なだけである。この3人の下で、奴隷を雇い育てるとなれば、完璧に近いメイドにはなると思うが、やはりミスはするだろう。トワイライトにいるメイドもミスをする事はあるし。まぁドラグ、ルビー、シーナは完璧であれとして創られた存在だからミスをしないのだが。


貴族が奴隷を雇い、その貴族の家にメイド長やメイドがいたとしても、やはり中途半端に育ってしまうだろう。


それに奴隷のメイドは、メイド育成学校へ行ってるメイド達からも、あまり良い印象はないのだろう。私達はちゃんとしたメイド育成学校でイロハを叩き込まれたのに、この奴隷はいきなり雇われ、メイドと名乗る。メイドの誇りを踏み躙られる様な事だ。


少し話は逸れてしまったが、貴族が奴隷を雇ってメイドにしない理由にはそういう事だ。俺もそれはやらないな。


ここは言わば、メイドのエリート達が集まる所だ。メイドのイロハを叩き込まれ、メイドとして恥ずかしくない、メイドに誇りを持っている者達。なのにいきなり奴隷のメイドを雇うとなれば、確実にメイドと奴隷の間に亀裂を生む。そんな事を俺もわかっているからな。どうでもいい事を考えてしまったな


「理解した」


「次にメイド契約についてです。まずメイドを雇うには会員になってもらいます」


「会員?」


「はい。会員については後ほど説明します。メイドは契約をして雇う事が出来ます。契約の際には、契約料とかは無いです。メイドを雇ってから1ヶ月後に、雇ったメイドに給金を支払ってください。給金の額は雇った主人様に任せますが、あまり低すぎるとメイドが仕えるのを辞めてしまう原因になりますのでご注意を」


実は、貴族がメイドを雇うとなれば、どの貴族も慎重になる。それはなぜか。メイドを雇ったとしても、雇ったメイドに辞められると、周りの貴族からはあまり良い目で見られないのである。


メイドが辞めるという理由は主に2つ。1つは先程も言っていたが、暴力や脅しなどをした場合。そもそもミスをしてないのに日々のストレスを暴言に代えて、言葉で八つ当たりをしたため辞めたメイドもいる。


少しのミスで暴力をされたメイドもいる。どんな者でもミスはする。そんな事でいちいち暴力振るわれたら、メイド達からすればたまったもんじゃない。そんな待遇では働きたくない。


そういった理由でメイドが辞めてしまえば、周りの貴族からは当たり前だが非難されるだろう。しかもメイドは辞めた理由を話してはいけない、なんてルール無いから、「あの貴族の下で働かない方がいい」と、同じ犠牲者を出さない為に噂はするだろう。噂なんてすぐに広まる。メイドネットワーク恐るべし。


そしてメイドが辞めるもう1つの理由は給金だ。給金が少なければ辞めてしまう。つまりそれは、メイドに満足のいく給金を与えてやれなかった、もしくはケチっていたと、他の貴族からは財力も無いのに見栄を張ったと笑われてしまう事になる。


もちろんメイドの中にはミスが多い者はいるし、雇い主から契約解除する事も出来る。だが、メイドからの契約解除は、貴族からしたらデメリットしかない。ちなみにメイドを選ぶのは基本マナリアさんだが、最終的に働くのはメイドの意思だ。


「大体で良いのですが、メイドにどれぐらい支払うのが妥当なのですか?」


「メイドを雇う場合は、一月(ひとつき)の給金で最低金貨1枚とされていますが、絶対ではないです。金貨1枚以下でも問題ないですが、メイドが雇われたいと思うかどうかは別です。メイド契約は主人様とメイドの2人が同意して、初めて契約になります。もちろん、雇ってから給金を下げるのも出来ますが、それもメイドが契約解除してしまうかもしれません。ちなみに貴族の間では、メイドを雇う場合は最低金貨1枚という暗黙のルールがあります」


なるほど。つまり主側は金貨1枚で雇われてくれないか?と募集する、そしてメイド側は金貨1枚でも雇われて良い、という者をマナリアさんが見繕ってくれるのだ。給金が少なすぎると、雇われたい思うメイドがいないという事になる。


過去に給金をケチって銀貨5枚と言った貴族は、全てのメイド達に雇われたく無いと言われ、その貴族はメイドが雇えなく噂になったらしい。貴族は見栄を張りたがる者だからそれはダメージが大きかっただろう。


ちなみにだが、ここのメイド達は、メイドという仕事に誇りを持っている。故にみんな最低金貨1枚で雇われる価値があると思っているし、それが妥当だと思っている。金貨1枚以下は他のメイドよりも下に見られるという事で、貴方は金貨1枚以下の価値しかないと、言われているのと同然だ。それで雇われるなら、金貨1枚以下の価値しかないと自分で認めてしまう事になる。


逆に金貨1枚以上は、貴方は金貨1枚以上の価値があると、言われているのと同然である。なのでメイドは、がめついわけではなく、給金の価値で自分の価値が決まるという認識なのだ。


「そして会員についてですが、主人様がメイドを雇っても、メイドキッサにはお金が入ってきません。もちろん、メイドになりたいという志願者から、金貨10枚でメイドの立ち振る舞いなど、1から全てを教えていますが、金貨10枚を払い終えると、メイドからはお金を回収できませんからね」


お金を回収出来ないって、危なさそうな組織が言いそうな言葉だ。会員とは毎月このメイドキッサにお金を払わないといけない。メイドを1人前に育てるという事は、住み込みで家事はもちろん、掃除等も教えられる。料理も教えられるのだが、何十人、何百人いるか分からないメイドの食費代は全てこのメイドキッサが払っている。


メイドになりたければ金貨10枚必要だが、それを払い終わったら集金は出来ず、浪費していくばかりだ。それ故の会員なのだろう。メイドの給金から1割ぐらい貰ったらいいのでは?と思ったが、それを察したのかマナリアは「給金は主人様の下で働いたメイド達の対価であって、何もしていない私が貰えるお金ではありませんので」と言ってきた。


メイド志願者の金貨10枚は、一括とかではなく、メイドとして働いて給金を貰ってからでも大丈夫なのだとか。


会員にならなければメイドを雇えないという事に、難色を示している貴族もいる。しかも会員とは別にメイドの給金を与えなければならない。


だが、メイドは貴族にとって一種のステータスだ。貴族が自分から料理や掃除などするのはありえない。なので余計なお金が掛かろうと、見栄を気にする貴族は雇う以外の選択肢は無いといっても過言ではない。


「ちなみにメイドが金貨10枚を支払うのは、期限などは特にないです。過去には支払い終えたメイド達ばかりで、店には全くお金が入ってこず、店が潰れかけた事もありますからね。なので会員制にして、少しお金が店に入る仕組みにしています。メイドを育てるにもお金が掛かりますからね。貴族側もこの店が潰れると、質の良いメイドが雇えなくなるので、文句を言う貴族はいますが、それたけです」


へぇー、やっぱりそういった理由か。しかし、メイドは金貨10枚でなれるのか。給金という制度なら、確かにこの店にお金が入らない。まぁ、金貨10枚払い終わるまでは期限が無いのだから、給金から少し引いて、金貨10枚分の返済にあてるのだろうが、払い終わったらメイドキッサの収入無くなるもんなぁ。この会員制は確かに文句は出るが、潰れてほしくないので文句を言うだけなのだろう。


「会員になると、毎月金貨5枚を支払ってもらう事になります。ただ、どれだけメイドを雇っても金貨は5枚です」


1人や2人しか雇わない貴族からしたら、文句を言いたくなるのだろうが、俺みたいに雇う人数が多い人達からしたら有り難い。


「なるほど。それも理解した」


「ありがとうございます。最後に、このメイドキッサにはメイドだけではなく、執事も雇う事が出来ます。これでメイドキッサの仕組みの説明は以上です」


「説明助かった。今はメイドだけでいい。執事はいいかな。あとこれを」


俺は会員になる為の金貨5枚を出す。


「ありがとうございます」


「1つ聞きたいのですが、メイドはこちら側で選んでも良いのですか?」


「それは勿論大丈夫です!」


「分かりました。ではメイドを10人雇います。給金は1人金貨5枚だします」


「き、金貨5枚ですか?そんなに…いえ、あの屋敷を買うぐらいです。それぐらい出しても不思議ではありませんか」


「ただ、選ぶのはドラグ、ルビー、シーナに任せます」


「これは…あの子達には酷ですね。恐らくみんなルーク様に仕えたいと思いますが、選ばれるのはたったの10人。メイド達は百人以上いますからね」


メイドはそんなにいるのか。やはり練習に使う、百人以上の食材とか考えただけでもお金が掛かるだろう。


「それはまぁ仕方ありません。ドラグ達はメイドの仕事は勿論、人柄や可能性も見るので、意外と注目されてないメイドが選ばれるかもしれませんよ?」


「なるほど。ドラグ様たちは私よりも見る目があるかもしれませんね。勉強させてもらいます」


「ドラグ、ルビー、シーナ、俺はここで待っているから選んできてくれ」


「畏まりました」


「「畏まりました」」


「ではドラグ様、ルビー様、シーナ様こちらにどうぞ」


ドラグ達はマナリアさんに、奥の部屋に促される。まぁこの3人なら良い子達を連れてくるだろう。俺とリル、セレス、プリンはメイドキッサのエントランスで待たせてもらう。エントランスにはテーブルや椅子があるので、待つには問題ない。時よりここの従業員らしき者が、飲み物を入れに来るので退屈はしない。ドラグ達を気長に待っていよう。



読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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