表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/19

16話 情報交換

「私の冬の頑張りは? 神に嫁ぐ覚悟は? なんだったの……」

 俺の巣穴こと滝の裏の洞窟で、巫女ことミーシャさん(名乗って貰った)が凄く落ち込んでいた。

 勝手に神だと勘違いした向こうの責任だけど、なんか申し訳ない気がする。

 あのあと巣穴についた俺たちは、互いに情報を交換しあった。

 俺は数十年前に来て暮らしてるだけということを。

 ミーシャさんは、俺がミーシャさんをオークから偶然助けたことが原因で、村に昔から伝わる沼神として信仰されているということや、沼神について、自分こと巫女についてを話した。

 豊穣の神として崇められるなんて思いもよらなかった。

 それもただ暮らしているだけで。

 しかしその伝承、やたらワニっぽいな。

 もしかしたら本当に昔、俺みたいにワニのような何かに転生して、この村で神をしたのかもしれない。

 そう思っても仕方ないほど、俺ことワニに都合がよかった。

 都合が良すぎで不気味だ。

 まあなんにしても、ミーシャさんの覚悟は無に帰ったということだ。

 こんなワニに嫁がなくていいということだしね。

 欲望を言えば嫁いでほしいけど……。

 性欲がなくたって、こんな美少女が嫁とか考えるだけで最高の幸せだよ。

 まあ種族が根本から違うけど。

 俺に至っては人型ですらないし。

「いや、今さら帰って実はこうこうなんて話したら貴方殺されちゃうよ? 事情があれだけれど私の命と貞操の恩人? 恩竜? とにかくそれであることには変わらないから、死なれるのは辛いよ」

 そんなことを言ってくれるミーシャさん。

 あ、敬語はやめてといったら素に戻してくれた。

 神でもないのに敬語する必要もないということで。

 俺もこっちの方が話しやすい。

 なんにしても、ミーシャさん曰く俺はこれからミーシャさんを嫁に貰った体で神として過ごさねばならないらしい。

 でなければ神ではないということで、神を偽った怪物として殺されてしまうようだ。

 そっちが勝手に勘違いしただけじゃんと言う話なのに、理不尽だ……。

 でも神としての振る舞いなんて知らないぞ?

 ましてや動物としてのは生前の知識をフル活動させてもわからん。

 高校生までしか生きてないから、そこら辺の人生経験足りないし。

「そこは私がカバーするよ。エルフだとまだ子供だけど、かなり生きてるからね」

 なるほど、それっぽく俺の言ったことを訳してくれるらしい。

 それなら余程変なことじゃない限りなんとかなりそうだ。

 しかし神としてやることってなんだ?

 今までと同じように生きていればいいのか?

「たぶん……村に危機があったら助けるとか、そうことでもないなら、なにもしなくてもいいんじゃないかな?」

 首をかしげて呟くミーシャさん。

 なんにしても、俺の生活は変わらなそうだ。

 とにかく形だけだけど、俺の嫁になってしまったミーシャさん。

 責任はしっかりもって守らないとな。

 怪我なんてさせないように気を付けなきゃ。

 そういえばミーシャさんの食事はどうなるんだろう。

 それを聞いてみると、お供え物と一緒に付いてくると説明してくれた。

 なら一緒にお供え物を取りに行かないとな。

 なんにしても、こうして俺とミーシャさんの共同生活は始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ