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13話 村ではこんな動きがあった(ミーシャ視点)

 葉もついに染まり始め、秋が近づいてきたことを教えてくれます。

 そう豊穣を伝えてくれる秋の始まりをです。

 スワイプ村の秋は大忙し。

 寒く厳しい冬を越えるために、皆汗水垂らして食料を確保します。

 勿論沼神様の祭壇にお供え物をするのも忘れずに。

 沼神様は実在する。

 それは私自身助けてもらって目撃したというのもあるけれど、祭壇に置いたお供え物が毎回失くなっていると言うことも裏付けになります。

 村でもいずれは祭壇をもっと良いものにしてあげたいという話も上がっていて、石を使ったものにしようと意見が集まってる。

 そのためにも、いろんな石を集めたりしている。

 石大工さんがいないから、そんな立派なものにはできないけど、木よりはマシなはず。

 そうして数週間立つと石の祭壇が出来上がって、皆が喜んだ。

 そうそうそれからお供え物、何時も私が運んでるんだけど肉の方がいいみたいで、野菜や魚は残ったけど肉は何時も消えている。

 だから今回も肉が良いだろうと、少ないけれど猟をして捕った動物の肉を捧げている。

 けれど冬が本格的に始まってくると残ることが多くなってきた。

 沼が氷で固まる頃になってくると、全く食べられてないこともあった。

 これはどう言うことなんだろう。

 もしかしたら見捨てられてしまった?

 不安に思った私は長老に聞いた。

 すると長老は答えてくれた。

「沼神様は冬は眠りにつくのじゃ。植物も動物も死に付く冬は、豊穣の神である沼神様にとっては天敵なのじゃ。だから冬はワシらも春に備えて備蓄しようぞ」

 なるほど、だから供え物も食べれてないんだね。

 そう私たちは納得した。

 だけれど同時に長老は言った。

「春になれば沼神様は目覚める。その時には目覚めの感謝の祭りを開こうぞ。そして伝承ではその祭りで巫女を選ぶ。沼神様の妻となり、そのお言葉を皆に伝える役割となるのじゃ。ワシらはおとぎ話だと信じず、沼神様に巫女を与えなかった。故に怒りを買い、オークに襲われたのじゃろう」

 そう言う話もしてくれた。

 なるほどと皆は納得した。

 そして巫女は美しい処女のみがなることができるという、とても素晴らしい役なのだと。

 美しいという点ではエルフということで、皆全員なんとかなりそうだけど、処女は少ない。

 そもそもエルフは長寿だから子供が出来にくい。

 それもあってか此村は既婚者が多かった。

 処女は私を含めて両手で数えられる程度だった。

「じゃが巫女はほぼ確定してるのじゃ。ミーシャ、お主で決定じゃ」

 そういって長寿は私を指差す。

 何となく予想はついてた。

 私が村で最初に沼神様に出会い、沼神様に助けられたのだから。

 きっと沼神様は私を選んだという証だろうと、皆もうなずいた。

 両親は寂しがったけど、二度と会えないわけでもないし、言葉を伝えるために、下手したらほぼ毎日訪れることもあると長寿から聞いて、私も安心した。

 だから私は長老の指導のもと、巫女としての修行を始めた。

 なんとか春までに間に合うように。

 修行は以外と辛かった。

 沼神様のすんでる場所が場所なので、泥で汚れることに慣れないと行けないし、基本巫女は裸足なので、地面で足を怪我しないように歩く方法などを学んだ。

 またお言葉を聞けるように、会話術というものを教えてもらい、本番で話が聞けないという事態を避けるようにした。

 そうして巫女修行をするうちに春になった。

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