家族を知る3
ホモォ出るのはまだ先過ぎて申し訳ないなーと思った結果がコレです。
先に謝罪します、申し訳ありません。
拝啓
心の友よ、お元気ですか?
・・・・・・特に言うことがないので、季節の変わり目、体調を崩されることないようお体にはお気をつけください。
敬具
高梨 和希
・・・・・・ダメだ、現実を受け入れる余裕が無くて、脳内の友人宛に手紙の内容を考えてみたんだけど、全然思い浮かばない・・・。前文、主文(無い)、末文全てがクソみそよ。クソみそって脳内変換した時に「すごく・・・大きいです・・・」が予測変換に出てきた絶望ってないわ。私の語彙力・・・死んでる!?
因みに、意味が分からないアナタは「くそ〇そテク〇ック」で検索したら良いと思うの。前世で学校の授業中、何故かあのサイトに流れ着いてしまい、思春期真っ只中な女子中学生だった私は軽くトラウマになったわ。
皆の心に等しくトラウマが降りかかるよう、祈っておくから安心してね。
でも、トラウマを克服してから全作品読ませて頂きました。石を入れられるシーンが新たにトラウマとなりました、大変ありがとうございます。深い世界観、先生にしか作れないキャラクターとストーリーです。勉強になり申した。
ウホッ!良い男!!
「ーー何よ、貴女。使用人のくせに空気も読めないの?」
女性のヒステリックな喚き声が庭園に響く。
それはそうと、文明の利器とは両思いになれない前世だったのよね。パソコンやスマホ自体は家族が使うから家にあったんだけど、私が触ることなんて先ず無かったし、スマホなんて以ての外よ。
テレビも私には見れる時間が無かったから、街の電気屋に設置されてるテレビぐらいのご縁しかなかったわ。
私が唯一堂々と文明の利器といちゃいちゃ出来るのは、学校の情報の時間だけだったのよ。でも、パソコンを禄に触って無い私は、キーボードで躓いた。
他の生徒みたいに高速タイピングができないのよ。指をそろりそろりと動かして、数十秒かけて一文字が打てる。そんな状況だったから、パソコンとは十分にいちゃいちゃ出来なかったわ。
フッ、悲恋だわ。
思い出すだけで涙が出ちゃう、女の子だもん。
「申し訳ございません、奥様。シシィお嬢様に奥様を一目会わせたかったのです・・・。」
ジャミーラの落ち込んだ声が耳に届いて、私は漸く現実をほんの少し直視することにした。
ジャミーラは顔を俯かせて奥様ーーどうやら私の母親らしい・・・に萎縮しきっている。
反面、母親の気性を表したような真赤な出で立ちを前に、私は「コスプレかな?」と呑気な感想を抱いていた。
人の髪や目が生まれながらに赤色というのは前世では有り得ない。勿論、アルビノということも考えないでも無かったけれど、髪を染めているようにも鬘を被っているようにも思えなかった。
どうやら吃驚仰天な髪色も一般的らしい。ファンタジーな世界観だ。
光に透けるとキラキラと輝き、ケアの行き届いた髪には天使の輪が広がる。綺麗な髪が風に揺れて、毛先を目で追うとたわわな胸元に行き着き、なんて目に毒な人だろうとその存在に呆れた。
ジャミーラの発言を信じるなら、この人が私の母親なのだろう。しかし、魅惑的なプロポーションに産後であるとは到底思えない。
だが、いただけないのが先にも述べた母親の気性の荒さである。黙っていれば絶世の美女と称されるべき顔ばせを醜く歪め、ジャミーラを睨みつける様は醜悪だった。元が美しいだけにその表情の変化がより際立つ。
美しくも醜い母親を前に『母』としての実感を抱けず、私は小説や漫画の登場人物に出会ったような面持ちで彼女を見上げた。
ジャミーラの発言で私の存在に漸く気が付いた母親が首を傾げる。
「シシアールスティア・・・?」
乳母車の中から彼女と私の視線が交わった。
「・・・・・・あぅ・・・」
話すことが出来ないので、代わりに愛想笑いを浮かべる。精一杯特訓したアヒルの笑みも追加する。
私が笑みを浮かべた瞬間、母親は歪んだ顔を更にくしゃりと歪にさせた。赤い瞳には明らかな嫌悪が彩られていた。石膏で女神像を作成していた芸術家が「気に食わない」と言って顔を潰したように目も当てられない表情をしている。
浮かべていた笑顔も強過ぎる嫌悪以上の感情を向けられ、引き攣るのを感じた。
「・・・不細工ね、本当に私が産んだのか疑ってしまうくらいだわ。視界に入れるのも不愉快よ。私の子とするには醜過ぎるわ」
吐き捨てるように言い捨てられ、私は固まった。悪意ある言葉を何度も聞いてきたが、ここまで直接的な暴言はあまり受けたことがない。
固まる私を他所に、つかつかと母親が歩み寄り、力任せに私の髪を引っ張った。
「あぅぅ!!」
痛い、痛い!抜ける、抜けるぅ!!禿げるし、ブチブチ聞こえる痛い!!
「奥様!!」
母親の突然の暴挙に、ジャミーラが我に返ってその手から私を救い出す。
ジャミーラは信じられないと非難の目を向けた。
屹然と相対しているが、私を抱き締める腕が細かに震えていて、彼女の押し殺した恐怖が感じ取れた。
私は掴まれていた髪に触れ、しっかりと頭髪が生えていることに安堵の息を吐いた。頭皮を抑えると引き攣れたような痛みが生まれる。
ジャミーラの腕に守られて、憤怒に揺れる母親を覗う。彼女は歯軋りが聞こえそうな程、強く歯を食いしばっていた。
「顔もそうだけれど、その髪色も気に食わないし、何より一番腹立たしいのはその眼よ!!」
長く整えられた指先を向けられ、私は口を噤んだ。
自分の顔を確認したことのない私は、指摘を受けた目ーー父親の瞳を思い出していた。
「・・・・・・っっ!だから、だからと言って、我が子に手をあげるなどという非道な振舞いが、許されるはずがありません!!お嬢様には何の罪もないでしょう!?」
ジャミーラはそう言い返すと私を抱く手に力を込めた。普段穏やかに赤子をあやす彼女からは想像出来ないほどに激高していた。
彼女自身が貶されたからでもなく、私を守護せんとしてーー・・・仕えるべき私のために怒っていた。
私は蛮行を受けた衝撃よりも、ジャミーラの反論に心を奪われた。
ーー私の、罪・・・・・・
私に非があったから、お母さんは私が嫌いだったの?それが罰?だからあんな仕打ちを受けたの?
子に罪があれば、親は手をあげていいの?
高梨和希は罪にまみれていたから、愛されなかった?
それは一体・・・、何の罪だったのだろう。
現実そっちのけで記憶の波へと潜る私は眉根を寄せた。
思い出した。
私は歴とした罪人だった。コンビニでの出来事は、忘れることの出来ない愚かな過ちだ。
裁かれることのない罪を母親が制裁を加えていた、ということだろうか。
ーーいいや違う、私が窃盗を働く前から母親は私を冷遇していた。
私が思考に耽っていると、母親との逢瀬の時間を邪魔された男性が口を開いた。
「まぁまぁ、落ち着いてよヒュリアーナ」
男性は立ち上がると母親ーーヒュリアーナの腰を掴んで慣れた手つきで傍へと引き寄せる。
「君がつまらない者達のために心を揺らす必要は無いよ。視界に入れたくもないと言うなら、今から僕の家にでも来るかい?君の為に絵を描こう・・・とびきり、素敵な絵を」
彼女の鼓膜に甘い声を落として、美しい身体に手を這わせる。途端に、あれほど激怒していた母親は頬を朱に染め、男性の身体に撓垂れ掛かる。
二人の視線が絡まりーー・・・私の視界は黒く染められた。
原因は言わずもがな、ジャミーラである。ジャミーラの判断で視界を手で覆われたのだ。
私の耳には、母親の熱の篭った呼吸音と水の濡れる音が届いた。
何をしているのか理解できない私は固まって耳に集中していた。どれだけそうしていたか、ジャミーラの手が外された時には、ヒュリアーナは男性の胸に顔を填めて全身を紅く染めていた。
「ーーじゃあ、僕達はこれで失礼しようかな。君の主人に、今晩彼女は帰らないことを伝えてあげてくれないか?」
男性はゾッとする程の色気を纏わせてジャミーラに言い渡すとヒュリアーナの覚束無い体を支えて庭園を出ていった。
ジャミーラは穢らわしいモノを見るような顔をして彼らが消えるのを見届けた。恐らく、私がいなければ罵る言葉の一つや二つは出ていたかもしれない。
私はジャミーラの腕に顔を隠した。
言いたいことや思うことは沢山あれど、一番強く思ったことがある。
一瞬チラリと見えた母親の顔・・・・・・
あれはメスの顔ですわぁ。
シリアスとギャグゥの混ぜ方って難しいなぁと思いながら書きました。とりあえず、目的の「ウホッ!良い男!!」と「メスの顔ですわぁ」が入れれて良かったなと思いました丸。
ブクマ、評価等々ありがとうございます。
別作品の箸休め的な感じなので、次回更新は最低でも月一で行きたいと思います。
※10/7追記︰一年ほど資格の為更新が出来なくなります。突然ですみません、また来年になりますが必ず更新します。
ちなみにどうでもいい話しですが、もしも主人公が前世幸せな家庭で育っていたなら、お笑い芸人を目指すくらい明るい子になってました。
あと、前世あのまま生きてたら将来父親に犯されます。