ソフィアの窓
ずっと、そう、ずっとと言っていいくらい、そんな遠い朝だった。楽が鳴り響く。ああ、朝のひかりが、外の窓からながれくる。その日の世界はまだれも見たことがないくらいのひかりが降り注ぎ、そして聖なる夢が奥へ、奥へ、そして奥へと幽玄な鬼がいるのだ。とまったように時計が動かなかった。だから僕は夢の跡を少しも壊すことがなく、そしてだれもかれもが海辺にいる、その明るい、あともう少しのそれでいてもうちょっとだけ草たちの奥へと分け入っては時は止まったままでいる。
それはまるで明かりを照らしている世界。なんでこんなに明るいのか? それすら、もうわからない。ソフィアがカーテンを開けたとき、太平洋上に住む世界の人は夢を共有している。世界地図に、僕たちの家がある。聖なる家族が歌った。歌った。そして歌った。歌は歌われた。鏡の中で歌は反芻され、時計が僕たちの死を一刻一刻と、刻んでいくのだ。
忘れたくても忘れることなんて、到底できやしない夕辺に編み出した世界の事象。もう終わったのだろうか?
きみが、いた。
そしてぼくがいる。
きみがいたから、だからぼくは、生きていられるのだ。